GKN 2006年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ポンド) 2006
年度
2005
年度
増減率
(%)
要因
グループ
売上高(継続事業) 3,634 3,648 (0.4) -売上高は前年より14百万ポンド減少し3,648百万ポンドであった。為替変動の影響並びに事業の買収及び売却効果を除くと、2百万増加。

営業利益
(継続事業)

203 98 107.1

-営業利益は前年より105百万ポンド増加し、203百万ポンド。営業利益改善の要因は;
(1) 売上総利益が13百万ポンド増で242百万ポンド
(2) リストラ及び減損処理費が24百万減の74百万ポンド
(3) 金融派生商品益が前年より66百万増えて33百万ポンド。

自動車分野

売上高

2,608 2,711 (3.8) -前年度2,711百万に比し2,608百万で、これは為替変動による減少33百万、事業売却、買収及び事業形態変更による減少が33百万あったこと、並びに第3及び第4四半期の北米及び西欧での需要の減退に因るところが大きい。通常の売上減は47百万(1.8%)。

営業利益

103 48 114.6

-営業利益は前年比114.6%改善し103百万ポンドで、これはリストラ及び減損処理費の減少並びに良好な為替環境によるところが大きい。売上総利益は前年とほぼ同等であったが、これは継続的に進めている生産性の向上努力により低調な売上並びにその他自動車部門の再編コスト増をカバー出来た為である。

GKN Driveline
-2006年度売上は前年度の1,993百万ポンドから87百万ポンド減少し1,906百万ポンドであった。為替変動による減少、買収並びに持ち株比率変更による売上減少は各々17百万ポンド、3百万ポンドとそれほど大きくはなかったが、中国の非コアであった鋳造事業のFUJIWAの売却により売上が30百万ポンド減少した。純然たる売上減は37百万ポンド(1.9%減)であり、これは第3四半期の主要マーケットでの需要減退並びに第4四半期の北米生産減少に影響されている。

-生産能力の高コスト、低成長の成熟市場から低コスト、高成長の新興市場へ移動を進める戦略的リストラクチャリングプログラム に絡む経費が、37百万ポンド(2005年度は46百万ポンド)かかった。このプログラムは2007年度早々に終了する見込みで2007年度も引き続き29百万ポンドの支出を見込んでいる。

粉末冶金
-本年度の売上は582百万ポンドであり、2005年度588百万ポンドからの減少の原因は、全て為替変動による減少によるもの。北米での売上は主要ユーザーの占有率の減少、並びに第3及び第4四半期での生産カットの影響により減少した。この売上減は欧州、及び、その他の世界市場での自動車、及び産業機器ユーザーへの新規プログラムの導入によりカバーすることができた。結果的にSinter Metals(焼結メタル)売上全体の54%、部門全体の48%が北米市場以外からの売上となった。この傾向は継続すると思われ、特に新興市場での需要増が期待される。

-2006年度リストラクチャリング及び資産処分費用は、24百万ポンド(2005年度ー28百万ポンド)かかり、これは北米で3箇所、英国及びドイツで各々1箇所の閉鎖に関係している。同時に中国で2箇所の新規プラント開設があった。 2007年度2月に最後の閉鎖が実行されたが、その先行費用として、本年度8百万ポンドの費用を計上したが、今後このプログラム終了による収益増が期待される。

その他自動車部品
-本年度連結子会社売上は前年度より10百万ポンド減少し120百万ポンドであり、これは主に自動車及びトラック市場での売上減による。
-持分法合弁会社の売上は前年度67百万ポンドから、本年度は97百万ポンドと増え、これはChassis System Ltd (CSL)社が、フル操業に入ったことと、Siemensとの50%出資合弁会社のEmitec社に対するドイツでの強い需要によっている。 子会社及び持分法合弁会社合併の売上高は前年度197百万ポンドから212百万ポンドへと増額した。
-欧州でのシリンダーライナー生産からの完全撤退に先がけた、GKN Sheepbridge Stokes社の閉鎖による損失が引き続きあり、これは2007年度1月には完了する。

リストラクチャリング及び再整理
-2006年度も、同社は、2004年に打ち出した戦略的リストラクチャリングプログラムを、引き続き推進.。 このプログラムで、Drivelineの20%の生産設備を高コスト、低成長経済地域から低コスト、高成長の東欧、南米及びアジア太平洋の新興市場へ移設するとともに、粉末冶金分野(Powder Metallurgy)事業回復のためのコスト削減、及び、インフラ整備費用並びにその他企業内管理費の削減計画を含んでいる。
本年度、同費用として63百万ポンド(2005年度ー77百万ポンド)を要した。 部門別の経費の明細は下記の通り。

部門 2006年度 2005年度
資産減損処理 人員整理 合理化 合計
ドライブライイン部門 3 21 13 37 46
粉末冶金部門 (1) 14 11 24

28

オフハイウェイ部門 - - - - 2
全社部門 - - 2 2 1
合計 2 35

26

63

77


新規完全子会社及び合弁会社
-世界成長戦略の一環として同社は中国でSinter Metal分野での新規操業を開始すると発表。 同部門は大連に工場を建設する。同工場は2006年末に操業を開始し、翌年には人員を180名から500名に増強し新規事業生産をおこなう。(2006年2月27日付けプレスリリースより)

-中国で合弁会社を立ち上げた。同合弁会社はGKN Zhongyuan Cylinder Liner Company Ltd (GKNZ)社で同社が51%、Hena Zhongyuan Engine Fittings Stock Comany Ltd.社が41%を所有。 この工場は河南省孟州市に建設され、トラックエンジンシリンダーライナーの生産をおこなう。 同工場の建設は2005年4月に開始され、本年度末にはトライアル生産が開始された。フル生産すると年間3百万個のシリンダーラインを生産し中国国内及び輸出トラック市場向けに出荷され、700人の雇用を生み出す。(2006年3月29日付プレスリリースより)


展望
同社は、2007年度を以下のとおり認識している。
-同社の主要マーケットは北米自動車需要の不安定性はあるものの概ね良好。2007度の自動車市場は3-4%生産増の成長を見込む。西欧での生産は総じて変動はなく、北米需要は上半期は落ちこむも、2006年と同等と思われる。中国及びインドを含む新興市場は成長が見込まれ、同社の売上に影響する。 北米オフハイウェイ需要は昨年より若干減少見込まれるも、欧州市場およに鉱業、建設用重機は引き続き根強く、改善の余地が見受けられる。 従って2007年度、同社の自動車部門の業績は改善されると思われ、オフハイウェイと航空機部門は引き続き成長が期待される。

開発動向

研究開発費用
ドライブライン部門

-本年度、同部門は、R&Dに63百万ポンドを支出した。(2005年ー71百万ポンド) 費用が削減された理由は、地域の再編と全世界デザイン機能のソフトウェアー導入に伴うエンジニアリング開発機能の再編による。          GKN Driveshafts社では2005年に開発した等速ジョイントハーフシャフトのcrosstrack(TM)及びcountertrack(TM)の開発に注力。 Chrysler社との初めての生産契約を締結しを生産開始し、2007年度にはその他のプログラムも開始される予定。 Torque Technologyグループでは駆動輪にトルクを与えて車両の安全を更に改善できるElectronic Torque Vectoring (ETV)の開発に成果が見られる。

粉末冶金部門(Powder Metallurgy)

同部門のR&D経費は、5百万ポンド (2005年度ー6百万ポンド) で、素材及び生産技術両面で改良を加えたシンター部品の厚み、表面加工の開発に注力。 結果的に数種類のコンポーネントがユーザーによってテストされており、うまく行けば新しい生産分野が開ける可能性がある。

製品開発
-GKN Drivelineは、等速ジョイント(CVJ)の部品耐久性と寿命を大幅に向上させる柔軟性のあるシール/保護 ブーツを新たに開発したと発表した。この新しいプランジブーツは熱可塑性エラストマー(TPE)製で、従来のゴム製ブーツに比べて小型で耐久性に優れている。TPEシーリングシステムには、以下のような特徴がある;最高140度Cという高い耐熱性;石などによる高速衝撃への耐性;高い亀裂抵抗;高速スピン安定性;内圧変化に対する高度な耐久性。TPEの別の利点としては、輸送時や車両組み立て時の保護強化、従来のゴムブーツと比較した場合の優れた素材品質安定性とリサイクルのしやすさがある。

-GKN Drivelineは、米国において2輪駆動及び4輪駆動用の新しいエレクトロニック・ディファレンシャル・ロックの生産を開始した。新製品は、従来のニューマティック方式のディファレンシャル・ロックやその他の競合品に比べ、ドライバーにとって取り扱いやすく、素早く効き、高速及び低温時に於いても応答性に優れたものである。(2006年8月15日付プレスリリースより)


-車体重量を減らし、燃費効率を向上させるGKN Drivelineの新らしいcountertrack(TM)PXプロップシャフト技術による製品が2007年に、クライスラー社製2007年新型Dodge Ram、2007年新型Dakotaピックアップトラック、および2007年新型Durango SUVの限定モデルにモデルチェンジ時期を待たずに導入される。GKN Drivelineのcountertrack(TM)は自動車業界における固定ボールプランジング等速ジョイント(CVJ)技術の分野において70年ぶりの革新的商品。(2006年12月19日付けプレスリリースより)

設備投資

設備投資費用

単位: 百万ポンド 2006年 2005年 2004年 2003年
設備投資費用

197

206

184

162

-投下資本は土地、建物及び什器備品の有形固定資産に対する197百万ポンドの投資であり、これは減価償却費の1.4倍(2005年ー1.5倍)であった。 この費用は、通常の時期よりもかなり高い金額であるが、これは同社の戦略的リストラクチャリングプログラムに基づく新興市場に対する投資の最終段階のもので、このプログラムが終了する2007年度よりは減額される見込みである。

-2006年度の部門別投下資本は:ドライブライン部門(98百万ポンド)、粉末冶金部門(49百万ポンド)、その他自動車部品部門(7百万ポンド)、オフハイウェイ部門(10百万ポンド)、航空機部門(30百万ポンド)及びその他(3百万ポンド)