新神戸電機株式会社 2007年度の動向

ハイライト

業績
単位:百万円 2007年3月期 2006年3月期 増減率
(%)
要因
売上高 78,067 65,344 19 ・成形品の売上高は、15,742百万円(前期比6%増)となった。熱可塑性成形品では、ハイブリッド車の販売が引き続き好調なことから、搭載されているIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)用ハウジングの需要が堅調に推移した一方、不採算製品の見直しを進めた結果、前期実績微増。熱硬化性成形品では、バランスシャフトシステム用高強度樹脂ギヤは、前期末から開始した中国での生産が年間を通じて寄与した結果、増加。また、EPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)用樹脂ギヤへの横展開もできたことから、熱硬化性成形品全体として順調な伸びを示した。
営業利益 5,720 4,961 15
経常利益 5,189 4,285 21
当期純利益 2,931 2,261 30

海外事業
<北米>
-合成樹脂事業の強化を目的に、高強度樹脂製エンジンギアの北米生産に乗り出す。トヨタ自動車が現地で生産する新型エンジン向けに供給する予定で、今年度中にも計画をまとめ、2008年以降早期に生産を開始する。北米地域へ進出するのは同社としては初めて。将来的には、ハイブリッド車向け電装部品などの現地生産も検討する。高強度樹脂ギアは、トヨタと共同開発したもので、四気筒エンジン(排気量2.4㍑)のバランスシャフトギアに採用されている。今年度の販売目標は、前年度比10%増の40億円。(2007年5月14日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-中国での事業体制を大幅に拡充する。電動フォークリフトやゴルフカートなどの電動車向け鉛蓄電池(バッテリー)と、自動車内外装用の樹脂部品を新たに生産する。現地の生産品目を増やし、収益力の向上につなげる。今年度中に計画を具体化するが、特に、電動車向けバッテリーは現地需要の急増が予想されることから、可能な限り早期に現地化を目指す。同社は、2003年に100%出資の子会社を広東省に設立、中国市場に進出。2004年から自動車用バッテリーの本格生産を開始し、2007年1月には、トヨタ自動車向けのエンジン部品(高強度樹脂ギア)の生産もスタートした。2009年度をめどに海外事業の売上比率を現状の数%レベルから10%に引き上げる目標を掲げ、成長市場である中国での体制を強化することで、達成に結び付ける。(2007年7月6日付日刊自動車新聞より)

2008年度の課題(自動車関連)
新事業・新製品の創造と早期戦力化
・鉛蓄電池事業分野における競争力強化のため、国内外でのアライアンスを促進。
・高強度樹脂ギヤ・複合電装成形品・車載用電子材料をフラッグ製品とした樹脂事業分野でのコアコンピタンス経営を推進。
・中国市場をコアに、自動車関連製品を軸とするグローバル化を促進し、海外売上高比率10%をめざす。

開発動向

2008年3月期の研究開発費は1,490百万円、研究人員は151名、産業財産権は763件

・電池研究開発センター及び日立ビークルエナジー㈱:鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池を中心に、自動車用電池の補修市場や自動車用次期新システムに対応また産業用新規用途に即応する新製品の開発


研究開発活動
-合成樹脂事業の拡充を目的に、自動車向け高強度樹脂ギアの用途開発を加速する。現在、エンジンバランスシャフトギアや電動パワーステアリング部品として供給しているが、今後は樹脂素材の強度を大幅に高め、スチールなど金属ギアとの代替促進に結び付ける。同社は合成樹脂部門における戦略商品として、高強度樹脂ギアを手掛けている。高強度樹脂ギアは、トヨタ自動車との共同開発品で、エンジニアリングプラスチックとアラミド繊維の複合構造により、金属に匹敵する強度、耐久性を持ちながら、振動減衰(静寂性)に優れるのが特徴。(2007年4月16日付日刊自動車新聞より)

-パナソニックストレージバッテリー(静岡県湖西市)と自動車用バッテリーの軽量化につながる負極添加剤を共同開発したと発表。両社は、2004年から自動車バッテリー事業で共同開発を進めており、今回が初めての具体化となった。今回開発した負極添加剤は従来の添加剤に比べて活物質の反応面積の増大を実現させた。同時に、反応化合物に導電性を付与する大きな効果をもたらすことにより、負極活物質の利用率向上を実現させた。両社は今後、負極添加剤のさらなる改良を図るとともに、次世代バッテリーにおいて軽量・小型化とともに重要な要素である高入力化に関する共同開発を進め、実用化を目指していく考え。(2007年12月11日付日刊自動車新聞より)

-鉛電池の小型・軽量化を可能にする新タイプの集電材料用鉛合金を開発したと発表。粉末圧延プロセスという製造方法を鉛電池用で初めて採用した合金で、耐腐食性の確保に必要だった集電体の厚みを従来比4分の1レベルとなる0.2ミリメートルに薄膜化、コンパクト化に結びつける。大電力の必要なハイブリッド車の駆動やバイ・ワイヤー・システムへの適応を提案しながら、製品化を急ぐ。(2008年2月5日付日刊自動車新聞より)

技術援助契約 (2008年3月時点)

相手先 国名 契約内容 契約期間
EXIDE Industries Ltd. インド 自動車用鉛蓄電池 2004年3月29日より5年間
パナソニック・ストレージ・バッテリー 日本 鉛蓄電池に関する技術ライセンス契約 2004年7月1日から10年間

設備投資

2008年3月期は、成長製品の設備拡充及び合理化などを目的として総額3,173百万円の設備投資を実施。
・電池・電気機器製品:電動車用電池の増産設備などに1,696百万円
・合成樹脂製品:自動車用成形品生産設備などに1,471百万円

-2008年3月期は、新型ハイブリッド車向けの電源部品や樹脂部品、バッテリーフォークリフトなどの電動車向け電池の生産設備を増強する。研究開発費は同12.9%増の18億円の計画。今年度の設備投資では電池・電気機器部門がほぼ倍増の20億3500万円、樹脂部門が同11.0%減の18億6500万円。樹脂部門では昨年度までに中国拠点での大型投資を完了したこともあり、当面はトヨタ自動車のハイブリッド車向け部品など戦略分野に絞り込む。(2007年5月25日付日刊自動車新聞より)


設備の新設計画 (2008年3月現在)
会社名/事業所名 所在地 投資予定金額
(百万円)
着手 完了
彦根事業所 滋賀県彦根市 553 2007年7月 2008年8月
新神戸プラテックス(株)
大阪工場
大阪府枚方市 663 2008年2月 2009年1月