株式会社ジェイテクト 2006年度の動向

ハイライト

業績

(単位:
百万円)

2007年
3月期
2006年
3月期
増減率
(%)
主な要因
全社
売上高 1,025,297 724,349 41.5 効率的な生産体制を構築するとともに、品質管理体制および販売体制を強化。
営業利益 64,630 44,624 44.8 原材料価格上昇の影響を受けたが、売上高の増加や合併効果により増益。
経常利益 66,968 46,804 43.1
当期純利益 44,900 27,285 64.6
機械器具部品事業
売上高 826,045 609,499 35.5 ステアリング、駆動系部品およびベアリングとも、国内をはじめ北米やアジア等でも販売を伸ばす。
営業利益 43,665 31,685 37.8 -

受注
2006年7月、スズキから新型車「SX4」用のi-AWDを受注。

受注
2006年7月、スズキから新型車「SX4」用のi-AWDを受注。

事業計画
回転抵抗が低く、剛性と耐久性に優れた新型円すいころ軸受けの拡販を本格化。トヨタ自動車など有力メーカーから大型受注を獲得、年内にも供給を開始するのを機に、自動車での新たな用途開発やコストダウンを徹底する。同時に、大型トラックや建設機械、工作機械など、自動車以外への応用研究も進め、提案力を高める。2010年をめどに年間60億円の売り上げ目標を掲げているが、将来的には機械産業の要素技術革新につながる製品として、普及促進を図る。同社が開発、実用化した新型軸受けは、円すいころを使用する高剛性タイプ。一般的に円すいころ軸受けは、剛性や耐久性に優れるものの、トルク損失(回転時の抵抗)が大きいため、用途が限られていた。新型軸受けでは、標準的な円すいころ軸受けに比べ、回転抵抗を80%低減するとともに、従来品に比べ40%の軽量化と小型化を図った。乗用車の駆動系部品に採用した場合、約2%の燃費改善が見込め、玉軸受けを含めて総合的に切り替えた場合は、2けた台の改善も可能としている。(2007年2月9日付日刊自動車新聞より)

油圧式パワーステアリングの国内生産を豊橋工場(愛知県豊橋市)に集約。2007年3月、奈良工場(奈良県橿原市)の油圧パワーステアリングのラインのうち、一本で生産を終了。岡崎工場(愛知県岡崎市)でも、油圧パワーステアリング用部品の生産を今月から減らす。パワーステアリングの需要は油圧式から、燃費性能の向上に効果がある電動式(EPS)へとシフトしていく見通し。このため、分散している国内の油圧パワーステアリングの生産体制を順次集約して、設備や人を電動式の生産に振り向けていく。同社は、連結売上高の約4割を占めるステアリング部門の売上高を、2008年度をめどに、2005年度実績に比べ17%増の4,870億円に引き上げる計画。油圧式と電動式の売上高比率は2007年度には逆転し、2008年度に約6割が電動式となる見込み。ステアリングの世界市場での同社のシェアは27%とトップ。また電動式のシェアは45%になる。電動式は油圧式に比べ、自動車の燃費を2,3%向上させる効果があり、今後国内外で幅広い車種に採用が広がる見通しとなっている。(2007年3月20日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費用
2007年3月期の研究開発費は、29,957百万円

研究開発活動(2007年3月期)

ステアリング部門

-レクサス「LS460」向けにラック式電動パワーステアリング「IFSシステム(インテリジェントフロントステアリング)」をトヨタ自動車と共同開発。高出力化したラック式電動パワーステアリング「RD-EPS」に、電子制御式ギア比可変機構「E-VGR」を一体化したもので、車両の消費燃料を低減し、安定性を向上できる。(2007年3月5日付けプレスリリースより)

-2010年以降に制定予定の「欧州新安全規格」を先取りしたホールIC式トルクセンサを搭載したコラムアシスト式電動パワーステアリングを国内外に展開。

駆動系部品部門
-従来の中小径(直径200-350mm)ドライブシャフトと同等以上のトルク容量を確保しつつ、コストダウンを実現したCSシリーズの開発に成功、販売を開始。 従来品と比較し、ユニバーサルジョイント部を10%小径化することで、コストダウンに成功。ベアリング固定ボルトの問題に関しては、熱処理した後に転造する螺子を採用することで、疲労強度を向上させ、問題を解決。また、クロスの剥離寿命の問題は、クロス表面にバニッシュ加工と呼ばれる塑性加工を施すことで、剥離寿命の向上を図った。(2007年2月14日付けプレスリリースより)

-国内最高級ハイブリッド乗用車に搭載のコンパクトなセンタデフ用トルセン、センタデフ用トルセンとフロントデフをコンパクトに一体化したツインデフの商品化。

ベアリング部門
-駆動輪用の「シール一体型ABSセンサー内蔵ハブユニット」を開発。ブレーキのロックを防止するABS制御は、車輪の回転速度を検知するために、前後輪の軸受周辺にセンサーを搭載する。 同社が開発した「シール一体型ABSセンサ内蔵ハブユニット」は、軸受内部側にABSセンサと着磁パルサを配置することで、泥水などからセンシング部を保護し、信頼性を向上した。また、車両組み付け時に必要であった「センサーを取り付けるためのナックルへの穴・螺子加工」、「着磁パルサへの鉄粉付着の防止」、「エアギャップ調整」などの工程が不要となった。さらに、シールには新たにラビリンス・リップを追加し、従来CVJに組み込まれていたデフレクターをなくすことができるため、コスト削減にもつながる。2010年より販売を開始、2013年度に70億円の売上を目指す、としている。(2007年3月29日付けプレスリリースより)

-低粘度オイルに対応するローラロッカアーム用軸受け「ロッカローラ」を開発し、自動車メーカーへの納入を開始。2008年度には、自動車エンジン用として月間100万個の販売を目指す。カムとローラロッカアームをつなぐ軸受けはショットブラスト処理により表面の疲労強度を高め、バレル(研磨)工程で表面を研摩していたが、表面に粗さが残り、低粘度オイルを使用した場合にカムを損傷させる可能性があった。新製品では、バレル工程の砥粒の素材変更、素材割合を変更した特殊バレル「テトラテクト」を開発し、ショットブラスト工程を省略することに成功。これにより、トルクの低減と、カムの損傷防止を実現した。今後、用途の拡大を検討する。(2007年3月23日付日刊自動車新聞より)

-従来品に比べ8倍の寿命を持つプラネタリ用針状ころ軸受を開発し、販売を開始。自動車のオートマチック・トランスミッションや無段変速機などの採用に向けて市場展開する方針。保持器付き針状ころ軸受の高速性と低トルク性を生かしながら、熱加工技術と疲労強度を高める表面改質処理を施し、負荷容量を低下させることで長寿命化を実現した。(2006年12月1日付日刊自動車新聞より)

-自動車用では、従来の金属ベルトに比べ4~5%の燃費向上と低騒音を実現した高効率CVTチェーン(J-ICジェイテクト・インボリュートチェーン)の開発。

-寿命8倍を実現した長寿命遊星歯車用ニードルベアリングの開発。

設備投資

2007年3月期の設備投資総額は60,303百万円。
内、機械器具部品事業では、製造設備の更新、新規型番への生産対応により53,053百万円。

海外投資
米国でのベアリング需要の増加に対応して米国子会社である光洋アメリカ(KCU)の第3工場をテネシー州ジョンソンシティー近郊の工業団地に建設する。2006年中に着工し、2008年7月から生産を開始する計画。新工場では自動車用高機能テーパーローラーベアリング(TRB)を生産し、現在のKCUの生産能力である月産100万セットを150万セットまで増強する。総投資額は2千万米ドル(約23億円)。今回の増強に当たり、グループでは同社が20%の資本を入れている株式会社ナカテツ(大阪府河内長野市)と、KCUなどへTRBの前工程品(旋削品)の供給を目的にした合弁会社も同工業団地内に設立する。合弁会社は「ナカテツ・マシニング・テクノロジーLLC」で、生産は2008年4月から開始する予定。(2006年8月12日付日刊自動車新聞より)

設備の新設等

事業所名 所在地 設備の内容 設備予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
香川工場 香川県
東かがわ市
機械器具部品製造設備等 3,900 2007年4月 2008年3月
奈良工場 奈良県
橿原市
機械器具部品製造設備等 3,600 2007年4月 2008年3月
田戸岬工場 愛知県
高浜市
機械器具部品製造設備等 3,500 2007年4月 2008年3月
ダイベア㈱
本社・堺工場ほか
大阪府
堺市
機械器具部品製造設備等 2,900 2007年4月 2008年3月
KOYO CORPORATION OF U.S.A. アメリカ
サウスカロライナ州
機械器具部品製造設備等 2,700 2007年1月 2007年12月