富士重工:2011年に新型インプレッサ、2012年に小型スポーツカーを投入

次期中期計画では、中国など新興国事業を強化

2011/06/27

要 約

 富士重工の2010年度業績は、3月11日に発生した東日本大震災の影響を吸収し、連結売上台数(65.7万台)、売上高(1兆5,805億円)、当期純利益(503億円)が過去最高となった。

 2007~2010年度中期計画で、米国を最重要市場と確認し、主力モデルであるレガシィ、フォレスター、インプレッサを大型化したことが成功し、27.9万台に拡大した米国市場の販売が貢献した。営業利益は、中期計画の2010年度目標である800億円を達成した。

 2011年度からの新たな中期計画をスタートさせる予定で、2011年度の見通しが立った段階で発表する。グローバル視点の商品開発を継続すると同時に、新興国市場で一層の拡販を図り、2015年度に世界販売80万台規模を目指すとされている。そのために、日本または米国での生産能力増強を検討し、また中国で奇瑞汽車との合弁生産を協議中。

 東日本大震災の影響については、6月の富士重工の工場稼働率は6~7割程度だが、7月以降は8割まで回復し、従来は11月頃としていた生産が正常化する時期を10月に1カ月前倒しした(6月14日発表)。

 新商品計画では、2010年に新世代2000cc/2500cc自然吸気のボクサーエンジン(水平対向エンジン)を開発し、10月にマイナーチェンジしたフォレスターから搭載を開始した。2011年後半に新型インプレッサを発売する。軽自動車生産については、群馬製作所本工場での軽乗用車の生産を2011年4月に終了し、軽乗用車は全てダイハツからのOEM調達に切り替えた。残る軽商用車サンバーの生産も2012年初めに終了し、トヨタと共同開発した小型FRスポーツカーの生産を開始する。



2010年度連結売上台数は、過去最高の65.7万台

 富士重工の2010年度連結売上台数は、米国27.9万台、中国6.2万台など海外販売が好調で、連結売上台数は過去最高の65.7万台。カナダ(2.8万台)、オーストラリア(4.1万台)も拡大した。

 国内販売は、登録車、軽自動車とも減少傾向が続いており、年度後半はエコカー補助金終了の影響が大きく、6年連続で前年実績を下回り15.8万台にとどまった。

 生産台数は、国内生産は軽自動車生産減を完成車輸出の増加が補いほぼ前年度並みの45.9万台、米国での生産が16.5万台に1.5倍強増加し、世界生産は62.4万台(米国SIAでのトヨタカムリの受託生産は含まない)。

富士重工の連結売上台数

(台)
    2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
日本 登録車
軽自動車
97,700
132,500
81,200
145,600
78,100
130,600
70,100
108,700
75,100
96,200
68,100
90,000
合計 230,200 226,800 208,700 178,800 171,300 158,100
海外 米国
カナダ
193,600
16,400
190,300
16,200
192,800
17,600
188,200
18,900
227,000
22,800
279,000
28,100
ロシア
欧州
64,700 71,400 22,600
63,400
20,700
56,800
1,600
37,300
11,300
48,200
オーストラリア 36,500 38,100 40,200 36,700 35,000 41,200
中国
その他
30,000 35,100 12,600
38,800
26,200
29,100
48,900
18,900
62,400
28,700
合計 341,200 351,100 388,000 376,500 391,600 498,900
連結売上台数 571,400 577,900 596,700 555,300 562,800 657,000
富士重工の生産台数
(台)
    2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
日本 登録車
軽自動車
330,755
135,974
326,372
157,891
356,837
132,833
362,395
111,571
356,734
96,012
381,783
77,005
合計 466,729 484,263 489,670 473,966 452,746 458,788
海外生産
世界生産
121,505
588,234
103,415
587,678
110,979
600,649
83,239
557,205
104,346
557,092
164,773
623,561
日本からの完成車輸出
輸出/国内生産
224,723
48.1%
239,722
49.5%
273,703
55.9%
299,186
63.1%
279,398
61.7%
329,912
71.9%

資料:富士重工の、生産・販売広報発表 2011.4.25
(注)国内生産は自工会報告ベース(完成車)。海外生産は、ラインオフベースで、米国SIAでのトヨタカムリの受託生産を含まない。

 



2010年度決算:売上高が過去最高の1兆5,805億円、営業利益は841億円

 2010年度の連結売上高は、1兆5,805億円で過去最高。海外売上高も過去最高の1兆1,132億円で、うち北米が7,258億円と65%を占めた。

 営業利益は前年度比3.1倍の841億円、当期純損益は2008年度699億円の赤字、2009年度164億円の赤字から503億円の黒字に転換した。

富士重工の連結業績

(100万円)
  2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
国内売上高
海外売上高
604,100
872,200
576,200
918,600
544,000
1,028,400
507,500
938,300
520,800
907,900
467,300
1,113,200
売上高
うち自動車部門
1,476,368
1,329,200
1,494,817
1,339,300
1,572,346
1,421,200
1,445,790
1,316,305
1,428,690
1,294,451
1,580,563
1,452,207
営業利益
経常利益
当期純利益
58,339
46,768
15,611
47,906
42,215
31,899
45,680
45,437
18,481
(5,803)
(4,600)
(69,933)
27,350
22,361
(16,450)
84,135
82,225
50,326
設備投資
減価償却費
試験研究費
56,200
57,500
46,900
59,600
58,900
50,700
56,300
35,500
52,000
58,000
65,100
42,800
56,100
57,100
37,200
43,100
49,800
42,900
対US$レート(円) 112 117 116 102 93 86
資料:富士重工決算発表資料 2011.5.10
(注) 1. 2010年度営業増益(568億円)の要因は、売上構成差等が831億円、原価低減等が89億円、諸経費等減61億円、為替レート差(356億円)など。
2-1. 東日本大震災の影響は、生産が止まった期間の固定費負担など74億円の特別損失を計上した。2011年度については、特別損失は発生しない見込みとしている。
2-2. 営業面では、2010年度に約15,000台の販売ロスが生じ、売上高で300億円、営業利益への影響は約60億円。2011年度についても、生産・販売減が相当程度営業利益に影響するとしている。
3. 2010年度は、主力モデルのフルモデルチェンジがなかったので、設備投資が抑えられた。2011年度からは、新型エンジンやCVTなどの設備投資を増やしながら成長を目指すとしている。
海外売上高の地域別内訳
(100万円)
  2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
北米
欧州
616,437
128,777
622,149
152,458
667,310
181,333
582,979
168,520
622,126
84,474
725,800
126,300
アジア
その他
127,016 143,994 179,716 186,777 101,470
99,784
138,900
122,300
海外売上高 872,230 918,601 1,028,359 938,276 907,854 1,113,200

 



燃費を1割向上させた新世代ボクサーエンジンを開発、一部改良したフォレスターに搭載

 富士重工は2010年9月、新世代2000cc/2500cc自然吸気ボクサー(水平対向)エンジンを開発し、その概要を発表した。1989年発売の初代レガシィに搭載した第2世代ボクサーエンジン以来21年ぶりの全面刷新。

 旧型エンジンよりもロングストローク化するなど構造を全面的に刷新し、基本性能の高効率化を徹底的に追求し、燃費を1割、コストを2割削減した。10月に一部改良して発売したフォレスターシリーズに搭載した。

 なお、次期中期計画の一環として、現行より50kg~100kg軽量化した新プラットフォームを開発し、新世代ボクサーエンジンとCVTを搭載して、先進国での燃費規制の強化に対応するとされる。

燃費を1割削減した新型ボクサーエンジンを開発

 新開発エンジンは、構造を基本骨格から全面的に刷新し、軽量・コンパクト、低重心、優れた振動バランスなど、水平対向レイアウトならではの強みはそのままに、約10%の燃費向上をはじめとした環境性能と、全域でのスムーズな加速といった走行性能を高次元で両立するなど、新世代エンジンとして求められる基本性能を追求した。製造コストも約2割低減した。
 これまで車体への搭載条件から困難とされてきたロングストローク化と燃焼室のコンパクト化を実現した。これにより、高い燃費性能と実用性に優れた豊かな低中速トルクを実現。吸気・排気バルブともAVCS(アクティブ・バルブ・コントロール・システム、スバルのバルブタイミング可変機構の商品名)を採用。
 2007年から4年間かけて開発し、約170億円を投資して月産能力14,000基のエンジン新ラインを設け、2010年9月から群馬製作所大泉工場で生産を開始した。米国工場にはモジュール部品を輸出して現地で組み立てる。

資料:富士重工広報資料 2010.9.23

新旧ボクサーエンジンの比較
  新世代ボクサーエンジン 前代ボクサーエンジン
エンジン形式 水平対向4気筒DOHCエンジン 水平対向4気筒DOHCエンジン
総排気量 1995cc 1994cc
圧縮比 10.5 10.2
ボア/ストローク 84mm/90mm 92mm/75mm
最大出力 109kW 109kW
最大トルク 196Nm 191Nm

(注)国内向け2000cc自然吸気エンジンの主要な変更点

 

炭素繊維複合材を東レと共同開発し採用

 また富士重工は、2010年12月~2011年3月の間に400台限定生産・販売したWRX STI tSに、炭素繊維複合材を採用した。

東レとカーボンルーフを共同開発し、400台限定生産のWRX STI tSに採用

 富士重工は、東レと共同で、炭素繊維複合材を用いたルーフを開発し、「カーボンルーフ」の名称で、12月~2011年3月に400台限定生産・販売する「スバル インプレッサWRX STI tS」に採用した。炭素繊維複合材採用によるルーフの軽量化は低重心化に最も効果があり、車両の軽量化とともに、回頭性のよいハンドリングなど走行性能の向上が期待できる。
 炭素繊維複合材は、重量が一般的なスチールの約2割と非常に軽く、引張強度がスチールと同程度などのメリットがある。しかし高価なことと、材質の異なる部材の結合部設計に高い技術やノウハウが必要なことから、自動車ボディーではF1などのレーシングカーやごく一部の車種に限られている。
 富士重工は航空宇宙部門において、数々の航空機の開発・製造に携わり、現在は、主要構造に全面的に炭素繊維複合材を使用するボーイング787の開発パートナー企業として翼と胴体を結合する中央翼の開発・製造を担当している。

資料:富士重工広報資料 2010.12.3/2010.12.21

 

レガシィシリーズ顧客の58%が、アイサイト搭載車を選択

 富士重工は、2010年5月~2011年3月の間に国内でレガシィを購入した顧客の58%が、安全運転支援システム「アイサイト」搭載車を選択したと発表した。従来のシステムから半減させた10.5万円の価格が搭載率アップにつながったとされる。

 2013年をめどに、国内優先で、全車種に設定を拡大する計画とされる。

レガシィシリーズ購入顧客の58%がアイサイト搭載車を選択

 富士重工は、2010年5月、レガシィシリーズに安全運転支援システム「アイサイト」を搭載するモデルを設定し発売した。アイサイトは、スバル独自のステレオカメラを搭載し、(1)衝突の手前で自動ブレーキを作動させ、対象物との速度差が30km/h以下であれば衝突を回避し、速度差が30km/hを超える場合は減速し衝突の被害を軽減する、(2)先行車が停止した場合には、自車も停止する"全車速追従機能付クルーズコントロール"、などの機能を持つ。搭載車の価格は標準車比10.5万円高に抑えた。
 2011年3月、レガシィのアイサイト搭載車販売が1万台を達成したと発表した。この期間に国内販売したレガシィ全体の57.9%に相当し、目標搭載率の30%を大きく上回った。アイサイト搭載車購入ユーザーに次に自車を買い換える場合の意向を聞くと、9割の顧客が「アイサイト付を購入したい」と回答した、としている。

資料:富士重工広報資料 2010.5.18/2011.3.4

 



モデルチェンジサイクルを短縮し、新しいボディータイプも開発

 富士重工は、これまでは登録車と軽自動車を開発・生産していたため、1モデルの全面改良は7~8年のサイクルであったが、軽自動車の開発と生産をダイハツに委ねることにより、今後は4~5年のサイクルで全面改良し、また新しいボディータイプも導入していくとしている。

 2010年度は、4月にダイハツから供給を受ける軽自動車ルクラとプレオを発売した。

 6月にインプレッサを一部改良し、同時にクロスオーバーモデル"XV"を発売。10月にフォレスターを一部改良し、新世代ボクサーエンジンを初搭載した。

 11月に、トヨタラクティスのOEM供給を受け、スバルトレジアとして発売した。軽乗用車と登録車の間を補完することで、ラインアップを強化したとしている。

 2011年5月に、ダイハツからOEM調達し、新型ステラを発売した。これで軽乗用車は全てダイハツからの調達に切り替わり、群馬製作所本工場での軽乗用車の生産を終了した。

2010年6月~2011年5月の新モデル発売

2010年6月 インプレッサの
一部改良と、
XV発売
 インプレッサを一部改良するとともに、従来からの5ドアハッチバックに加え、新たにクロスオーバーモデルXV(XはCrossover、VはVehicleの意)を設定し発売した。XVは、2000ccエンジンとマニュアルモード付4速ATを搭載する。
 2010年夏に、XVを中国市場に投入した。中国で苦戦しているインプレッサ販売をてこいれする狙いとされる。
7月 WRX STI
一部改良と、
4ドア車発売
 インプレッサの高性能シリーズWRX STIを一部改良するとともに、従来からの5ドアハッチバックに加え4ドア車を設定した。
 2010年秋に、4ドア車を中国市場に投入した。
10月~12月 フォレスター
一部改良と、
S-EDITION設定
 富士重工は2010年10月、フォレスターシリーズを一部改良し発売した。新世代2000cc自然吸気エンジンと4速AT/5速MTを採用し、またシャシー性能の進化による操縦安定性や乗り心地を向上、さらにエクステリア・インテリアの質感を向上させた。
 また新たに"S-EDITION"を国内向けに設定した。専用の2500ccターボエンジンとマニュアルモード付E-5ATを採用し、高い動力性能と日常での使いやすさを両立させた。
米国発売  新世代2500ccエンジンを搭載するフォレスター改良車を、米国でもほぼ同時に発売した。米国市場において、フォレスターは2010年に8.5万台販売し、Legacy、Outbackと並ぶ主力モデル。
中国  12月に、新世代2000cc/2500ccエンジン搭載車を中国市場に投入した。フォレスターは、富士重工の中国販売の約6割を占める主力モデルになっている。従来からの2500ccターボエンジン車も併売する。
11月 コンパクトカー
トレジア
 トヨタラクティスのOEM供給を受け、スバルトレジアとして発売。富士重工は、ラクティス開発の初期段階から開発陣を送り込み、一緒に開発してきた。スバルらしいワゴンテイストを備えたツーリングコンパクトとしている。全長 3990mmのコンパクトなボディーだが、有効室内長2690mmを確保。
 1300cc/1500ccエンジンと、全車CVTを搭載。価格は、税込み142.8万円から197.9万円。
 欧州では、それまでダイハツ ブーン(Boon)をOEM調達し、スバルジャスティとして販売してきたが、2011年からトレジアに切り替えた。

(注)国内では、2008年11月以来、ダイハツ"クー"のOEM車を、スバル"デックス"として販売している。

2011年5月 ステラ  軽乗用車ステラを5年ぶりにフルモデルチェンジし発売した。広い室内空間と扱いやすさ、優れた燃費性能を誇る軽乗用車。ダイハツムーヴのOEM供給車。
 直列3気筒NAエンジン、電子制御スロットルシステム、新CVTなどを採用し、アイドリングストップ搭載車は、ガソリン車トップの低燃費27.0km/L(10・15モード)を実現した。
資料:富士重工広報資料 2010.6.24/2010.7.1/2010.10.25/2010.11.29/2011.5.24
(注) 1. ダイハツは、2010年12月に発売した新型ムーヴに、新開発「第2世代KFエンジン」と、新開発のアイドリングストップシステム「eco IDLE」をいずれも初搭載し、また約35kgの軽量化など車体側の燃費対策も徹底し、X、X "Limited"、カスタムGの2WD車で、ガソリン車トップの10・15モード燃費27.0km/Lを達成した。
2. ダイハツは、2011年9月に、JC08モードで燃費30km/Lの軽自動車を国内市場へ投入する計画。
3. 新型ステラのダイハツからの調達で、富士重工は軽乗用車の生産を全て終了した。群馬製作所本工場で生産を継続する軽自動車は商用車のサンバーのみとなった。サンバーの生産も2012年2月に終了し、同工場でトヨタと共同開発する小型FRスポーツカーを生産する予定。


 今後の計画としては、2011年後半に日米市場で新型インプレッサを発売。2012年に、トヨタと共同開発した小型FRスポーツカーを群馬製作所本工場で生産し発売する。

 2012年にハイブリッド車を日米で発売する計画。富士重工は、次期中期計画でガソリン車の燃費改善を最優先するが、先進国の燃費規制がより厳しくなることを見越し、電動車両開発も加速するとされる。

2011年後半からの新モデル計画

2011年後半 新型
インプレッサ
 新型インプレッサを、2010年11月開催のLAオートショーと2011年4月開催のニューヨークオートショーで発表した。4年ぶりの全面改良で、4代目のインプレッサとなる。
 4ドア車は、スポーツ性の高さを強調するため4ドアクーペスタイルとし、5ドアハッチバックも開発。2010年に生産を開始した2000cc新世代ボクサーエンジンとリニアトロニックCVTを搭載する。日本で、2011年後半に発売する。
 米国市場にも2011年中に投入する。米国仕様車は、米国のAWD乗用車としてトップクラスのハイウェイ燃費36 mpgを達成し、現モデル比35%向上させた。
未詳 スバルXV
コンセプト
 2011年4月上海モーターショーで、新世代クロスオーバーのデザインコンセプトカー"SUBARU XV CONCEPT"を世界初公開した。クロスオーバーらしい力強いフォルムと、ファッショナブルなイメ-ジをひとつに融合させたとしている。2000cc新世代ボクサーエンジンとリニアトロニックCVTを搭載する。全長は4450mm、全幅1800mm。
 米国市場への投入も、米国向けとしてサイズが十分かを中心に検討中。投入すれば、トヨタRAV4、ホンダCR-Vの対抗車になるとされる。
2012年春 小型FR
スポーツ車
 小型FRスポーツ車開発は、2008年にトヨタが富士重工への出資を拡大したのを機に着手したプロジェクト。当初は新工場を建設し生産する予定だったが、リーマンショックの影響で、群馬製作所本工場での生産に変更した。
 2011年3月、ジュネーブモーターショーで、"BOXER Sports Car Architecture"を世界初公開した。ボクサーエンジン(水平対向エンジン)を搭載し、FRレイアウト、低重心、軽量でコンパクトなボディー、そしてショートホイールベースなどユニークな特徴を持つ。エンジンを車体の中央寄りに配置し、コーナリングに優れ気持ちの良い走りを実現する。
 日本では、2011年東京モーターショーで量産車を紹介し、2012年春までに発売する。価格は200万円台半ばに設定し、通勤にも使用できる、誰もが楽しめるスポーツカーを目指す(スバルの代表的スポーツカーであるインプレッサWRX STIは税込み315万円から)。
 米国でも2012年に発売する。スバルのスポーツカー販売は、米国が中心になるとされる。欧州市場にも投入する。
トヨタ向け  トヨタは、2011年4月のニューヨークオートショーに、"FR-S Concept"を出展した。スバルのボクサーエンジンに、筒内直接噴射とポート噴射を併用するD-4S(Direct injection 4 stroke gasoline engine Superior version)を採用し、若者向けScionブランドで発売する。世界唯一のD-4S採用の水平対向エンジンとして訴求する方針。富士重工が受託生産する。
電動車両計画
2012年 ハイブリッド車  トヨタの技術を導入し、水平対向エンジンに対応できるよう調整して、主力モデルのレガシィに搭載し、まず国内で発売。最大市場である米国にも輸出し、特に環境への関心が高い南部地域やカリフォルニア州での拡販につなげる計画とされる。群馬製作所本工場で生産する。
未詳 プラグイン
ハイブリッド車
 2012年に市場投入するハイブリッドベースのPHEVを開発中。このためハイブリッド車は、より多くの電池を搭載するPHEVも考慮して開発中とされる。
EV  2011年のステラ生産終了とともにステラEVの生産・販売も終了した。富士重工は、小型車ベースに変更して、EV開発を継続するとされる。

資料:富士重工広報資料 2011.3.1/2011.4.19/2011.4.21、トヨタ広報資料 2011.4.21

 



2010年に米国で26.4万台販売し、シェアは2.3%

 北米市場では、同市場に合わせて2008年にモデルチェンジしたフォレスターと、 2009年に導入したレガシィ/アウトバックの販売が好調で、米国のLight vehicle市場が1,040万台(2008年は1,319万台)に縮小した2009年にも販売台数を拡大し、シェアは2008年の1.4%から2.1%に上昇した。2010年の米国販売は263,820台で前年比21.7%増加しシェア2.3%で、過去最高を記録した。これに伴いSIAでのスバル車生産は2009年の82,953台から158,020台へ大幅増加し、富士重工の2010年度決算に貢献した。

 富士重工は、米国市場が回復するに伴い、自社の生産体制を整えシェアを維持すれば、販売台数は自動的に伸びるとしている。

富士重工の米国とカナダ販売台数

(台)
  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2010年
1~5月
2011年
1~5月
米国 レガシィ
インプレッサ
乗用車計
84,442
41,148
125,590
78,428
46,333
124,761
66,876
49,098
115,974
30,974
46,611
77,585
38,725
44,395
83,120
15,987
17,315
33,302
17,813
18,347
36,160
アウトバック
バハ
フォレスター
トライベッカ
トラック計
 
5,241
51,258
18,614
75,113
 
1,127
44,530
16,790
62,447
 
2
60,748
10,975
71,725
55,356
 
77,781
5,930
139,067
93,148
 
85,080
2,472
180,700
34,593
 
35,328
1,136
71,057
43,325
 
31,676
1,094
76,095
合計
シェア
200,703
1.2%
187,208
1.2%
187,699
1.4%
216,652
2.1%
263,820
2.3%
104,359
2.3%
112,255
2.1%
カナダ 乗用車
トラック
11,500
4,690
11,399
4,105
12,644
7,248
11,296
11,738
15,878
11,927
-
-
-
-
合計 16,190 15,504 19,892 23,034 27,805 11,032 11,694
米国とカナダ合計 216,893 202,712 207,591 239,686 291,625 115,391 123,949
資料:Ward's Automotive Yearbook, Reports 2011.1.31、日刊工業新聞 2011.5.10
(注) 1. "2010 Subaru Legacy(5代目レガシィ)"シリーズを発売した2009年以降、Ward'sはレガシィシリーズのSUVであるアウトバックをLight truckに分類している。
2. なお、販売不振のトライベッカは、次期型は開発せず、現モデルで生産・販売を終了する。
3. カナダの2011年1~5月実績は、5月が速報値のため、乗用車/トラックの内訳は不明。

 

Subaru of Indiana Automotiveの生産台数

(台)
  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2010年
1~4月
2011年
1~4月
スバル車
トヨタカムリ
118,991
 
110,368
 
109,177
37,972
91,597
91,671
82,953
87,926
158,020
87,731
50,584
29,981
53,047
28,923
合計 118,991 110,368 147,149 183,268 170,879 245,751 80,565 81,970

資料:Ward's Automotive Yearbook, Reports 2011.1.17/2011.5.16

 



次期中期計画で、中国など新興国市場を強化

 富士重工は、近く発表する2011年度からの中期計画で、新興国市場強化策を発表する見通し。

 中国では、2010年度に6.2万台販売した。今後の重点地域と位置づけ、現地自動車メーカーの奇瑞汽車と大連市での現地生産を協議中とされる。また2011年初で約100店舗のディーラー網拡大も課題としている。

 中国に次いでは、ロシア、ASEAN諸国での拡大を計画。ロシアでは2007~2008年度に2万台強販売しており、市場が復調しつつある現在、再度販売攻勢をかける。ASEANでは将来KD生産を検討する。

 また2011年以降の早い時期に、インド市場への参入を目指すとされる。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>