第2回国際二次電池展取材報告 1 電池編

2011/04/06

要 約

第2回国際二次電池展[Battery Japan 2011](2011年3月2日~4日に東京ビッグサイトで開催)における環境対応車(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車)に関連するリチウムイオン電池・次世代電池/ニッケル水素電池で注目すべき14社の新製品/技術を紹介する。

分野 企業 技術/製品
リチウムイオン電池・次世代電池 日立ビークルエナジー HEV用リチウムイオン電池(GM eAssistハイブリッド車へ供給)
新神戸電機 建機用リチウムイオン電池
IHI / A123Systems(米国) リチウムイオン電池モジュール(Karma PHEV用に供給)
電源設計 / 昭和飛行機工業

・リン酸鉄リチウムイオン電池とBMS(バッテリーマネジメントシステム)

・非接触急速充電システム
GSユアサ / リチウムエナジージャパン

・リチウムイオン電池「LEV50」

・リン酸バナジウムリチウム電池
三菱重工業 リチウムイオン電池「MLiX」
大和製罐 / ピューズ

・リチウムイオン電池パック製造受託

・BMS
セイキ / 精進能源(中国) 電動バイク用リチウムポリマー電池
エジソンパワー / Kokam(韓国) 産業用/スマートグリッド用リチウムイオン電池
GS Caltex(韓国) 全固体薄膜二次電池
珠海銀通新能源(中国)

・リン酸鉄リチウムイオン電池

・チタン酸リチウムイオン電池(米Altairnano買収により技術取得)
FDK HEV用リチウムイオンキャパシター「EneCapten」
ニッケル水素電池 川崎重工業

・大容量ニッケル水素電池「ギガセル」

・次世代路面電車「LRV」
セバン電池(韓国) EV用ニッケル水素電池「GMH」

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リチウムイオン電池・次世代電池

日立ビークルエナジー

日立ビークルエナジーは、GMの eAssistマイルドハイブリッドシステム車(Buickのセダン「LaCrosse」2012年モデル)へ供給するハイブリッド車用リチウムイオン電池を初展示した。展示したリチウムイオン電池パックは、円筒型電池セルLIB-Ⅲを32個搭載し、最高出力:15kW、電力容量:0.5kWh、電圧:115V。円筒型電池セルLIB-Ⅲは、直径:40×高さ92mm、質量:0.26kg、電圧:3.6V、電流容量:4.4Ah、出力密度:3kW/kg、エネルギ密度:61Wh/kgである。

(注)eAssistマイルドハイブリッドシステムは、従来のベルト駆動型マイルドハイブリッドシステムよりもモーター出力を高め、回生およびアシスト時のエネルギー量を増やし、ニッケル水素電池からリチウムイオン電池へ変更した。モーター兼発電機は、回生時の最高発電力が15kW、アシスト時の最高出力が11kWである。エンジンは、車速がゼロになるまで停止しない。エンジンは、減速時に早めに燃料をカットし、トルク変動をモーターで補って、振動を抑える。

GMの eAssistマイルドハイブリッド車に採用されたHEV用
リチウムイオン電池モジュールの特長

2005年より量産しているハイブリッド商用車用リチウムイオン
電池の特長と仕様(車はいすゞエルフハイブリッド)

HEV/PHEV用角型リチウムイオン電池セルLIB-IVとHEV-EV
の特長と仕様

HEV用円筒形リチウムイオン電池セルLIB-IIとLIB-IIIの
特長と仕様

LIB-II搭載のHEV用リチウムイオン電池モジュールの展示

LIB-III搭載のHEV用リチウムイオン電池モジュールの展示
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新神戸電機

日立グループの電池事業の再編により、新神戸電機のHEV用マンガン系リチウムイオン電池(日産ティーノハイブリッドに実績)の設計・製造は2004年に日立ビークルエナジーへ移管され、現在は建機用リチウムイオン電池事業を担当する。


建機用リチウムイオン電池の特長と仕様
(図の建機は日立建機製電動パワーショベル)

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IHI / A123Systems

IHIは、2009年10月に米国の電池メーカーA123Systemsと共同事業契約を締結し、自動車用リチウムイオン電池事業に進出した。A123Systemsは、既に角型リチウムイオン電池セルを製品名 Nanophosphateで商品化済みで、米国の新興EVメーカーFisker AutomotiveのPHEV車Karmaや、米国の大手自動車部品サプライヤーのEatonのPHEV車に対してリチウムイオン電池パックの供給を行っている。IHIは、A123Systemsと提携して日本、韓国、中国、米国、欧州にリチウムイオン電池製造工場を展開中である。日本では、環境省の2010年度実証実験プロジェクトに電動バイク用リチウムイオン電池セルを提供している。

A123Systemsと提携して自動車用リチウムイオン電池事業に
進出した。

A123Systemsと提携して日本、韓国、中国、米国、欧州に
リチウムイオン電池製造工場を展開中。

環境省の2010年度実証実験プロジェクトにおいて、ピューズに
対し電動バイク用リチウムイオン電池セルを提供。

米国EatonのPHEV作業車に対してリチウムイオン電池パックを供給。
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電源設計 / 昭和飛行機工業 

電源設計はリン酸鉄リチウムイオン電池とBMS(バッテリーマネジメントシステム)、昭和飛行機工業は非接触急速充電システムを共同で展示し、早稲田大学・三井造船・エレクセルと共同で進めている「リン酸鉄リチウムイオン電池搭載のEV製作プロジェクト」の成果(小型EVのWEB-0 Advanced)を発表。昭和飛行機工業は、これまでの小型EVから非接触急速充電システムに事業を移行するようである。非接触急速充電システムを搭載したEVコミューターバスを早稲田大学等と進めている。

早稲田大学主導の2010年度EV製作プロジェクトの成果
(小型EVのWEB-0 Advanced)
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GSユアサ / リチウムエナジージャパン

GSユアサは、三菱商事と三菱自動車工業との3社合弁会社リチウムエナジージャパン製角型リチウムイオン電池「LEV50」を実績ある自動車用大型電池として展示すると共に、次世代電池であるリン酸バナジウムリチウム電池を参考出展した。正極材であるリン酸バナジウムは、NEDOの委託開発事業で同社が開発したもの。実用化済みのリン酸鉄リチウムと同等の安全性を確保しながら出力特性を20%以上高め、既存のリチウムイオン電池の正極材より比較的安価な合成法で製造できる見通しを得た、としている。リン酸バナジウムリチウム電池の公称電圧は3.5V、容量は5.0Ah。同社は、HEV用やアイドリングストップを含むマイルドHEV用に開発を進める計画である。

GSユアサは、他に急速充電器を展示した。新技術として、参考出展された太陽光発電システム、リチウムイオン電池、急速充電器を組み合わせたEV用のPV-EVシステムが目を引いた。

(注1)リチウムイオン電池「LEV50」の概要は下記のURLを参照願います。
http://lithiumenergy.jp/jp/products/index.html

(注2)リン酸バナジウムリチウム電池の広報資料は下記のURLを参照願います。
http://www.gs-yuasa.com/gyp/jp/pdf/20100909.pdf

リン酸バナジウムリチウム電池の試作品(同社広報資料より引用)

太陽光発電エネルギーを利用したEV用急速充電器の特長
(同社パンフレットより引用)

太陽光発電エネルギーを利用したEV用急速充電器のシステム
構成と動作モード
(同社パンフレットより引用)
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三菱重工業

三菱重工業独自の角型積層式リチウムイオン電池「MLiX」を展示。セルあたりの容量が50Ahと他社よりも大容量・高エネルギー密度が特徴である。同社は、2009年10月より世界初の4〜5tクラスディーゼルエンジン式ハイブリッドフォークリフトの国内販売を開始し、さらに電気バスの開発を国土交通省の「2010年度まちづくり実証実験」で行い、京都市と青森市で走行実験を行い、電気バスの実用化を目指している。

大和製罐 / ピューズ

大和製罐は、ピューズと提携し、ピューズ製BCM(バッテリーコントロールモジュール)を組み込んだリチウムイオン電池パック「e-Link Can」の製造受託の事業化を進めている。ただし、現在のところ、車載用は考えていないもよう。

「e-Link Can」の製造受託事業の特長
(同社パンフレットより引用)

「e-Link Can」の製造受託事業の特長
(同社パンフレットより引用)

缶モジュール「e-Link Can」とBCMのサンプル展示
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セイキ / 精進能源

セイキは、中国のリチウムイオン電池メーカー精進能源(Advanced Electronics Energy)製の電動バイク用リチウムポリマー電池と、同社開発のBMS(バッテリーマネジメントシステム)を展示。同社は、電気制御の技術力を有し、単なる代理店ではなく、自社開発したBMSと一体で電動バイク向け電池事業に進出した

精進能源のリチウムポリマー電池の特長
(同社パンプレットより引用)

セイキ製BMSのサンプル展示

精進能源のリチウムポリマー電池のサンプル展示
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エジソンパワー / Kokam

エジソンパワーは、包括的技術契約を締結した韓国Kokam製リチウムポリマー電池と自社開発のBMSを組み合わせて産業用/スマートグリッド用リチウムイオン電池と、その応用であるEVの両面で事業を行っている新興企業である。自動車用の導入実績として群馬大学次世代EV研究会と愛媛県EV開発プロジェクトがある。群馬大学の開発した超小型EV「μ-TT2」は原動機付き自転車に分類される一人乗りEVである。愛媛県は、県内にコンバートEV産業を育成すべくEV開発センターを設立してEV改造車と電動改造漁船の開発を進めている。

Kokam製産業用大型リチウムポリマー電池の特長
(同社パンフレットから引用)

Kokam製産業用大型リチウムポリマー電池の導入事例
(同社パンフレットから引用)

群馬大学次世代EV研究会の成果発表

超小型EV「μ-TT2」用電池ユニットの概要
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GS Caltex

韓国の大手複合エネルギー企業であるGS Caltexは、リチウムコバルトオキサイド正極材、リチウム金属負極材と固体電解質を使う全固体薄膜二次電池を開発してきたが、今回、薄い切手大の全固体リチウムイオン二次電池を展示。これは自動車用ではないが、次世代電池として全固体二次電池をめぐる電池メーカー、自動車メーカー各社の開発競争は激化している。たとえば、トヨタ自動車では電池研究部がリチウム空気電池と共に全固体電池の研究開発を行っている。近い将来、全固体リチウムイオン二次電池が実用化されると、公称電圧 3.9V(リチウムイオン電池は3.7V)、使用温度 -20℃~120℃(リチウムイオン電池は-20℃~60℃)と性能が向上し、同時に安全性は著しく向上するため、自動車メーカーの期待感は強いものがある。
日本の販売代理店は稲畑産業で、今回は共同で出展。


全固体薄膜二次電池の技術概要

全固体薄膜二次電池と他の電池の特性比較
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珠海銀通新能源 Zhuhai Yintong Energy

2009年12月に設立された新興リチウムイオン電池メーカーの珠海銀通新能源は、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)イオン電池を主力とし、設立後短期間で米国Altair Nanotechnologies, Inc.を買収して負極材としてのチタン酸リチウム(LTO)技術を獲得(2010年10月)し、積極的なチタン酸リチウムイオン電池事業を推進している。更には、EVバスの事業化も第一汽車(FAW)と提携して進めている。

チタン酸リチウムイオン電池の用途提案

米国Altair Nanotechnologies買収の告知

独自開発のEVバス特長と仕様概要
(同社パンフレットから引用)

第一汽車(FAW)と共同開発のEVバスの特長と仕様概要
(同社パンフレットから引用)
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FKD

富士通グループのFDKは、HEV用リチウムイオンキャパシター「EneCapTen」を自動車業界へ提案のため展示。EneCapTenは、リチウムイオンをあらかじめ負極に塗布しており、このリチウムイオンがキャパシターセルの電圧と負極の静電容量を増加させるため、従来の電気二重層キャパシターに比べてエネルギー密度を高くできる。これにより、充放電サイクル寿命が長く、大電流の急速充放電が可能となる。

HEV用リチウムイオンキャパシター「EneCapTen」の特長


HEV用リチウムイオンキャパシター「EneCapTen」の
サンプル展示
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ニッケル水素電池

川崎重工業

川崎重工業の展示した大容量ニッケル水素電池「ギガセル®」は、バイポーラ3D構造により、モジュールを構成するセル容量およびセル数を増加でき、電池の大容量化を可能とする。移動体への用途としては、既に札幌市等が実証走行を行っている次世代路面電車「LRV」がある。LRVは、架線無しでの走行を可能とし、低床の客室床面積を大幅に広げている。同社はさらに、「内部抵抗が小さいため、急速充電が可能」、「深く放電しても電圧降下が少ないため、安定した出力が可能」というギガセル®の特長を活かし、小型EVやEVバス、フォークリフトへの用途を提案している。

ニッケル水素電池「ギガセル®」の仕様
(同社パンフレットから引用)

次世代路面電車「LRV」の概要

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セバン電池 Sebang Global Battery

韓国の電池メーカーであるセバン電池は、EV用ニッケル水素電池「GMH」を展示。リチウムイオン電池に比較しての低コストと高安全性をアピール。適用事例は、韓国のC社(コミューターEV)、L社(乗用車EV)、T社(軍用多目的EV)を紹介。

EV用ニッケル水素電池「GMH」の特長と適用事例紹介


EV用ニッケル水素電池「GMH」の電池パック(韓国L社の乗用車EVに使用)の展示。電池パックの電圧は72V、容量は150Ah。
このL社製乗用車EVは、充電あたり約100km走行し、最高速度は100km/h。
(注)画像はクリックすると拡大します。                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>