2022年中国自動車フォーラム:カーボンピークアウトとカーボンニュートラル

中国自動車業界のCO2削減対策、駆動用バッテリーの炭素排出の現状、動力の低炭素化へのトレンド

2022/11/30

要約

2022中国汽车论坛会场
2022年中国自動車フォーラム会場(出所:中国自動車フォーラム)

 中国汽車工業協会(CAAM)が主催する2022年中国自動車フォーラムが、118-10日の日程で上海市嘉定区にて開催された。当フォーラムは新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、これまで何度も延期されていた。フォーラムは、1つの非公開サミット、1つの大会フォーラム及び16のテーマ別セッションを含む18の会議が設定され、参加者は政府主管部門、業界団体、完成車及び部品メーカー、テクノロジー企業、大学及び研究機関などで、講演者は200人余りに及んだ。

 2020年9月に中国は2030年に「カーボンピークアウト」、2060年に「カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げた。中国の「カーボンピークアウト、カーボンニュートラル」には重大な戦略的意義がある。地球温暖化の減速に大きく貢献(2021年の中国の温室効果ガス排出量は世界全体の33%)、エネルギー転換の実現、石油の対外依存からの脱却、国家のエネルギー安全保障、双炭(カーボンピークアウト及びカーボンニュートラル)の技術、産業及び経済発展の推進、そして国家競争力と発言権の向上である。本レポートでは、テーマ別セッション8の「エネルギー転換中の自動車業界におけるカーボンピークアウト」のうち、中国汽車工業協会、中国汽車動力電池産業創新連盟、上海交通大学の講演者による中国自動車産業のカーボンピークアウトとカーボンニュートラルに関する講演の内容を紹介する。

 また、中国国務院発展研究センター市場経済研究所の副所長である王青 氏は、テーマ別セッション2「次世代自動車産業の発展戦略に焦点をあてる」のビデオ講演にて、2017年以来NEV(新エネルギー車)の占める割合の増加に伴い、車両の使用工程における1台当たりの直接的な炭素排出削減が加速していると述べた。さらに、EVの生産工程での炭素排出量はガソリン車よりも多いが、使用工程では炭素排出の優位性は明らかである。全ライフサイクルから見ると、EVの炭素排出は明らかにガソリン車やディーゼル車よりも低い。特に小型・中型EV及び華中と南部の電力供給網がカバーされている地域では、排出削減効果が明らかに突出している。NEVは2025年には1,200万台に達すると予想され、市場シェアは40%近くになると見込まれている。自動車分野のカーボンピークアウトの、支援推進への働きかけは益々増加すると思われる。全ライフサイクルの観点から見ると、自動車分野のカーボンピークアウトの実現には7-8年程度の時間がかかるとのことである。


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