第11回 国際ミュンヘン・シャシー・シンポジウム - chassis.tech plus 2020

バーチャル会議のハイライト

2020/08/04

要約

  Springer Natureパブリッシング・グループの一部門であるATZ liveは、2020年6月23日から24日にかけて11chassis.tech plusシンポジウムを開催した。今回は、COVID-19感染拡大への対応からバーチャル形式のコンファレンスとなったが、参加者は200人を超えた。シンポジウムでは、シャシー開発と、それに係わる主要課題である安全性、ビークル・ダイナミクス、快適性に焦点があてられた。この分野は 運転支援システムとの連携、自動運転の各種ソリューション、さらに電動化や電子アーキテクチャでの様々な動きを背景に、かつてないほどに複雑なものになっている。

chassis.tech plus 2020
chassis.tech plus 2020 - バーチャル・コンファレンス・サイトのホーム画面 (© Proske GmbH)

  将来の自動車では、シャシー、ならびにそのサブシステムであるステアリング、ブレーキ、タイヤ/ホイール消費者の要望に応える上で大きな役割を果たす。すなわち、車を操るときのダイナミックなドライビング体験、あらゆる運転/走行状況下での高度な安全性、自動化機能や自動運転モードで特に重要となる快適性である。業界では、車両やその派生モデルの開発期間を短縮しコスト効率を高めるために、より迅速で高精度のバーチャル開発ツール、プラットフォーム・ソリューション、および機能の統合が重要となる。これらのテーマは、国外から参加した様々なOEM、サプライヤー、大学、そして研究機関のプレゼンターが取り上げた。

  今年のコンファレンスは異例のバーチャル形式となったが、対面形式のリアルなシンポジウムを可能な限り再現する試みが行われた。参加者は、一階では展示エリアネットワーキング・エリア(チャット・フォーラム)がある建物の中を移動できる。二階に上がると、ライブ体験(受付、キーノート講演、エキスパート・インタビュー)のための本会議場と、4つのセクション(シャシー、ステアリング、ブレーキ、タイヤ/ホイール)にグループ分けされた各種技術プレゼンテーションが行われる自己体験エリアにアクセスできるようになっている。

Upper floor
2階では、キーノート講演のライブとインタビュー(右のドア)、並びに技術プレゼンテーションのビデオ(左のドア)にアクセスできる (© Proske GmbH)


  これまでのシンポジウムでは、複数の技術プレゼンテーションが同時並行で行われたが、今回は講演者の音声入りスライドショーの録画ビデオとなった。これによってプレゼンテーションへの参加方法が非常にフレキシブルなものになった。関心のあるプレゼンテーションをいつでも好きなだけ見ることができ、途中休止も可能である。プレゼンターとのコミュニケーションはいくぶん制限されるが、チャット機能を通じて司会者や講演者へ質問することができる。キーノート講演に対する質問には口頭で、技術プレゼンテーションに対する質問に対してはチャット・フォーラムの中で文書によって回答された。

  本レポートでは、当シンポジウムで行われた50を超えるプレゼンテーションの中からいくつかを選び、その要旨を報告する。

  第12回国際ミュンヘン・シャシー・シンポジウム‐chassis.tech plus 2021‐については現在計画が策定中だが、2021年6月29日から30日にかけて対面式の形態で開催される見通しである。過去に開催されたコンファレンスの資料を収録する書籍がSpringerから入手可能となっている。

 

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