欧米Tier1の中国事業動向: 新興EVメーカーと提携、NEV部品の供給拡大

IT企業と自動運転、コネクテッドカー、スマート交通の開発加速

2019/07/10

要約

  本レポートは、欧米Tier1サプライヤーの中国におけるElectric(電動化)、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)などの事業動向をまとめたものである。(2018年5月から2019年6月までの1年余りを収録)

  中国では、新エネルギー車(NEV)、自動運転、コネクテッドカーなどの産業高度化を進めている。中国政府は、2019年から企業の平均燃費とNEVの販売に対するクレジット制を導入。2018年6月に導入した新エネルギー車補助金政策では、航続距離が長いほど補助金は高くなり、150km未満では補助対象から外されることになった。2021年には補助金廃止を決めている。コネクテッドカーでは、上海、浙江、湖北、北京、河北などに続き、2018年には広東が「中国製造2025」の重点項目であるモデル地区となり、5G通信技術を徐々に配置していく方針。このほか、中国各地でコネクテッドカー、自動運転の実証実験が始まっている。

  こうした中、欧米Tier1サプライヤーは、バッテリー関連、電動ドライブ、インテリジェント部品などの新工場建設や既存工場の拡張を進めると共に、部品の供給先を大手OEMのみならず、新興EVメーカーに拡大している。また、華為(Huawei)、騰訊車聯(Tencent)、百度(Baidu)などのIT企業と、自動運転、コネクテッドカー、インテリジェントモビリティなどの分野で提携し、共同開発を進めている。

 

Tier1サプライヤーによる電動化、自動運転、コネクテッドなどの中国事業動向(抜粋)

サプライヤー 主な事業
Bosch ・一汽轎車と自動運転技術の開発
・蔚来汽車 (NIO) に電動ブレーキ、センサー、自動運転部品を提供
・電咖汽車(DEARCC)とEV用部品の供給、スマートモビリティシステム等で提携
・華為(Huawei)と戦略的提携、IoTソリューションの共同開発
・IoV開発のAutoAIに出資
・無錫に新工場建設、自動車用48V電池生産
・蕪湖に工場新設、インフォテインメント製品
Continental ・上海通用五菱とシャシー・安全システム共同研究開発センター開設
・車和家、蔚来汽車とEVの車内振動と騒音レベルを最適化する部品開発
・青島の新ホース工場で新エネ車向けにフルイドソリューション生産
・蕪湖にパワートレイン部品工場建設
・常熟工場を拡張、センサーやアクチュエータ、燃料系製品など生産
・重慶R&Dセンターが稼働、未来のモビリティ関連技術を開発
ZF ・吉利汽車に共同開発のEPS、MSGを供給
・杭州に新工場建設、NEV用のアクスル、電気駆動部品を生産へ
・インテリジェントADASシステム「ZF coPILOT」を2021年に量産へ
Aptiv ・上海に新開発センター設立、L4自動運転技術の開発や商業展開を図る
・蘇州で中国電信と提携し、5G V2E研究所を設立
・東風商用車と戦略的提携、新型燃料システムを共同開発
Magna ・北京新能源汽車と開発と生産の2つの合弁会社設立
・蘇州にR&Dセンター開設、メカトロニクス製品を開発

 

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