SAE China 2018 (1):インテリジェント・コネクテッドカー

未来のインテリジェント化、コネクテッド化及び関連する情報セキュリティ

2018/12/26

要約

 2018中国汽車工程学会年会展覧会(SAECCE2018)が11月6日から8日まで、上海汽車会展中心(Shanghai Automobile Exhibition Center)で開催された。年会では多くのカンファレンスに参加し、7つのカンファレスについて取りまとめ、3本のレポートとして報告する。

 自動車は将来インテリジェント化とコネクテッド化が進む。これはすでに世界共通の認識となっている。また、それに伴い誕生した各種技術にも関心が集まっている。第1弾の本レポートでは車のインテリジェント化、コネクテッド化と安全性の3つに主眼を置き、産業界や学術界からの参加者たちの観点をまとめた。

 中国汽車工程学会(SAE-China)は1963年に自動車技術関係者によって自主的に設立された、全国的な、学術性の強い法人団体である。中国科学技術協会の組織の一部で、非営利組織である。国際自動車技術会連盟(FISITA)のメンバーであり、国際太平洋地区自動車技術会(IPC)の発起団体の一つでもある(現在はアジア太平洋地区自動車技術会/APACと改名)。中国汽車工程学会年会展覧会(SAECCE)はこれまで24回開催され、総会、技術分科会、テーマ別分科会、技術展示、企業見学、試乗会など豊富な会議や活動を展開し、自動車業界内で最も支持されている技術交流と展示のプラットフォームとなっている。

関連レポート:
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インテリジェント・コネクテッドカーで商業化のチャンスをつかむ

社名/組織名 会社/組織の概要 講演者(敬称略) 部門と職位
清華大学、FISITA 中国トップクラスの大学。英国の国際自動車技術会連盟。 趙福全 教授(以下、略称趙) 自動車産業と技術戦略研究院院長。2018-2020年 議長、司会者。
清華大学、国汽(北京)智能網聯汽車研究院有限公司、中国智能網聯汽車産業創新聯盟 中国トップクラスの大学。中国智能網聯汽車産業創新聯盟が発起人となり、中国汽車工業協会と中国汽車工程学会が牽引する研究所。中国汽車工程学会、中国汽車工業協会が自動車、通信、交通、ITなどの関連企業、大学、研究機関と共同で立ち上げたアライアンスで、工業情報化部の指導組織。 李克強 教授(以下、略称克)

教授、首席科学家、専門化委員会主任

東風汽車集団有限公司、東風商用車有限公司 自主ブランドカーメーカー大手。その傘下の商用車メーカー。 蒋学峰(以下、略称学) 副チーフエンジニア、副総経理
Society of Automotive Engineers 略称SAE、米国及び世界の自動車工業に大きな影響力を持つ学術団体 Dr. Mircea Gradu(以下、略称M) SAEのトップ
中国移動政企分公司、中移智行網絡科技有限公司 中国移動通信集団公司(China Mobile)傘下の顧客サービス専門会社。中国移動の交通業界向けIoV専門会社。 厳茂勝(以下、略称厳) 副総経理
Bosch Automotive Products (Suzhou) Co., Ltd 独資本の大手自動車部品サプライヤー 蒋京芳(以下、略称京) シャシーシステム中国エリア副社長
Qualcomm 米国の大手通信技術開発会社 李維興(以下、略称維) 技術副社長

 

インテリジェント・コネクテッドカーの発展段階、難しい点、チャンス

主持人和嘉宾们在进行讨论
司会者と来賓によるディスカッション

趙:現在、我々のインテリジェント・コネクテッドカーはどの段階にあるか。問題はどこにあるのか。チャンスはどこにあるか。発展の方向性はどこにあるのか。

克:インテリジェント・コネクテッドカー業界は現在ヒートアップしており混乱した状態ではあるが、やはり大変有望である。それは他分野のハイテクと伝統的な自動車との結合の代表であり、我々はこれらの技術を利用することで、これまで伝統的な自動車が解決できなかった問題を解決することが可能である。それゆえ需要は非常に高い。難しい点は、ハイテク、混沌としている状況及び社会における新しいポジショニングにある。

学:商用車の観点で理想的な状況は、人はなるべく少なく、貨物はなるべく多く、且つ使用場面と緊密につながっていることであるため、自動運転と無人運転がいち早く実現する可能性が非常に高い。ADASにおいては、自動制御はすでに完成しており、来年には自動化及び商品化が完成する。完全無人運転では、まず実現する可能性が高いのは封鎖エリアの工事現場である。これは安全と作業効率の観点からみて最も可能性が高い。次に可能性が高いのは、港湾、埠頭、物流センターなど半封鎖の限定エリアである。次はさらに複雑になるが、都市の低速運転用の固定されたルート、例えば環境衛生車などで実現する可能性がある。様々な異なる活用シーンに基づいて、段階的に進めていくことが必要である。難しい点は、実験基準、測定基準、異なるシーンでの活用にある。

M:統一された測定方法の制定、検証などの標準化はとても重要である。各企業は競争に影響されずに、できるだけ多くのデータとリソースを共有する多くの方法をすでに用意した。例えば測定方法、インターフェイスなどで、これらはインテリジェント・コネクテッドカーが将来ブレークスルーを遂げて、真に根付くことができるかの決め手となる。

厳:インテリジェント・コネクテッドカーは一つの偉大な実験である。中国移動(China Mobile)であろうと中国移動を含む5Gアライアンスであろうと、みなこの業界を有望視し、積極的にその定着を推進している。2017年は大部分の技術はまだ形のないプレゼンテーション段階にあったが、今年はすでに多くの製品が路上実験を始めた。しかし、業界の統一基準がない、各地で別々に進めているなど、まだ多くの問題が存在している。例えば公道での実証実験用ナンバープレートは国内各都市で管理方法が異なり、ナンバープレートが通用しない。この様な問題は関連企業にコスト増をもたらし、自動運転発展の敷居を高くしている。我々は、実験基準は引き上げるが、実験資格は全国各地共通のものとするよう訴えたい。

京:Boschは自動運転をいくつかの主要技術ロードマップに分けており、「三色世界」と名付けている。4G/5Gをベースとしたシェアリングモビリティを「緑色世界」と呼び、高速道路での走行に用いる3Gをベースとした技術を「青色世界」と呼ぶ。駐車またはその他低速の限られたシーンでの技術を「紫色世界」と呼んでいる。私自身がこれまで長期に開発してきたのは高速道路上の自動運転である。単一車線でのレベル2自動運転はすでに実現しており、現在、吉利汽車、長安汽車、長城汽車、上海汽車、広州汽車がすでに一部のモデルに搭載している。次の段階である車線変更支援機能を持ったレベル2.5も大きな問題はない。レベル3については、技術プランはすでにできているが、関係法規の後押しを待たねばならず、2021年の実現を期待している。レベル4以上に至っては、Boschは現在ダイムラーと提携し、2022年のローンチを目指している。しかし、中国ではこのプランをそのまま使用するとは限らない。なぜなら中国は路車協調を模索しており、特化したプランがあるはずで、現在は不確定だからである。

維:通信業界のここ30年の発展から見れば、人と車の連携や路車協調の発展は自然な過程である。各種の異なる通信技術を通して、それぞれの異なる使用場面を結び付ける。コンピューティング能力は、クラウドにせよモバイル端末にせよ向上し続けている。この2点は多くのこれまで解決が難しかった問題を解決可能にしている。Qualcommは、移動データがスマホを通して新たな局面を開く巨大な能力を目の当たりにし、それに関わってきた。技術面では「水が流れてくれば用水路はできる」という例えのように、将来の突破口は近いうちに現れると信じている。

 

インテリジェント・コネクテッドカーの多様性と量産前段階

趙:現在、インテリジェント・コネクテッドカーの商用車を量産するにあたっての難しい点はどこか。いつ解決するのか。

学:OEMにとって、インテリジェント・コネクテッドの発展のパターンは多様化しており、さらに多くの異なる提携パートナーを必要としている。インテリジェント・コネクテッド商用車の発展は、様々なシーン、様々なルートでの計画が必要である。ADASを活用するのに適した場面もあれば、場所によってはレベル3よりも直接レベル4に移行した方がよい場面もある。現在、東風を含めた多くのOEMはレベル4のプロトタイプを完成させ、様々なシーンでのテストを行っており、来年にはデモンストレーション運用段階に入れる状態にある。自動運転における中国の発展は欧州に並んでいると言ってよく、それ故に我々は自身の基準を制定することが必要だ。

趙:インテリジェント・コネクテッドカー業界はどのように分業するのが理想か。

学:やはり相互に協力する関係を築くべきだ。センシング技術の分野では、さらに多くのサプライヤーと提携する必要がある。路車協調の面では、Huawei、中国移動の様なパートナーとの提携が必要である。OEMができるのは主に車の製造であり、道路などのインフラ整備にはさらに多くの政府の後押しが必要である。基準の制定では、多くの業界の力を結集して共同であたる必要がある。

 

技術と標準規格

趙:インテリジェント・コネクテッドカーの真のコア技術は何か。OEMと他の通信技術会社のコア技術は何か。

京:TJP(Traffic Jam Pilot)について討論するなら、次に発展が必要なのは5レーダー1カメラ+1プリコントローラー及びブレーキとステアリングの冗長性である。もし車線変更支援機能を引き続き発展させるなら15以上のセンサーが必要で、OEMにとって大幅なコスト増になる。本当に高度自動運転を実現するなら、路車協調は必須であり、それにより車両のコストを下げることが可能になる。V2X技術の発展にはHuawei、中国移動などの通信会社や通信設備会社との検討を継続する必要がある。Boschの将来のコア技術はシステム上のコアサポートである。主にプリセンシングとアクチュエータの分野である。AI、高精度地図、V2Xの分野では国内のパートナーと提携を進める。

趙:インテリジェント・コネクテッドカーの基準制定はどのように進めるか。政府と業界組織は何をするか。

M:従来の自動車は特定の国や地域で発売される地域性の強い製品であるが、将来のインテリジェント・コネクテッドカーはそうではなく、全世界で走行できることを目指すべきである。関連するインフラのさらなる研究開発と投入、且つ世界的な標準化も必要である。国際協力を強化し、開発の重複を避ける一方、製品が世界で通用することを保証する必要がある。インテリジェント・コネクテッドカーの統一基準の制定には様々な方面が関係し、非常に複雑である。OEMとの付き合いやインフラ設備サプライヤーとの付き合いなど各方面との連携が必要である。インフラ整備から始めることはV2Xの事業化を早く産業化するうえで非常に有利になる。なぜなら、社会環境の整備無くしては、路車協調は実現できないからである。関連する企業が現地政府と連携すれば、地域的な政策がグローバルな政策に発展することも可能である。

 

インテリジェント・コネクテッドカーと5G通信

趙:5G通信速度はもとより重要であるが、自動運転の発展にはあらゆる車両部品の通信速度をそれほど速くする必要はなく、一部を車側に、一部を道路側に備えればよい。安全性と経済性のバランスをどう取ればよいか。

厳:2018年から、業界には路車協調を発展させるという共通認識が生まれた。自動運転は有人運転に比べ、より慎重にならなければならない。なぜなら有人運転中に路上の他の車両を検知しても、減速の判断をするにはより長い時間がかかるからである。この様な状況では誰もが路車協調を考え、道路側に多くのセンサーを配置することになる。但し問題は、現時点において道路側の設備は、検知された人或いは車の動きを予測できないことである。極端に短い時間内で判断する必要があることを考えると、最低でも0.01秒内が求められる。ここで5G通信速度が必要になってくるわけだ。将来、5G設備を含めた道路のソフト環境整備がインフラの一部分になる必要がある。

趙:インテリジェント・コネクテッドカーを早く定着させるための難しい点は。

克:まず業界内で共通認識を持つこと、これは混沌とする新領域であり、どのように発展するべきか、各方面の意見がまとまっていない状態故、まず意見を統一することが必須である。インテリジェント・コネクテッドカーは社会の全体の問題であり、我々は自身の強みを発揮しなければならない。

 

中国のインテリジェント・コネクテッドカー

趙:中国のインテリジェント・コネクテッドカーは世界でどのポジションにあるか。将来的に人類への貢献度はどのくらいか。

克:中国は現在センサー、アクチュエータなど基礎技術において国外とはまだ差がある。しかし、中国のインテリジェント・コネクテッドカー業界は非常に有望である。なぜならそれは交錯した、新興業界であり、将来この業界のアーキテクチャー、システム統合を摺合せする必要がある。中国の交通環境は独特で、複雑で交通量が多く、需要も大きい。これらの状況はその発展に有益である。

趙:簡単に言えば、インテリジェント・コネクテッドカーが解決すべき問題は何か。

克:まず、交通の本質的な問題、つまり安全、省エネ、環境保護である。次に中国自動車産業にとっては「追い越し」のチャンスであること。最後に国家戦略の面で新興産業の良い媒体となることである。



インテリジェント・コネクテッドカー技術の発展動向

組織名 組織概要 講演者 部門と職位
華東師範大学、中国科学院 中国の著名な大学。中国自然科学の最高学術機関、科学技術の最高諮問機関、自然科学とハイテクの総合研究発展センター、国務院直属機関。 何積豊 教授 教授、中国科学院会員

 

何积丰院士在进行演讲
何積豊 教授によるプレゼンテーション

 1900年代に自動車が誕生して以来、自動車の性能技術は絶えず向上し、自動車産業は幾たびかの重大な変革を迎えて来た。メカニカル時代、エレクトロニクス時代、ソフトウェア時代を経て、今まさにインテリジェント・コネクテッドカー時代を迎えている。その代表的要素はクラウドコンピューティング、ビッグデータ、新ビジネスモデルである。自動運転車を代表とするインテリジェント化、コネクテッドカーを代表とするIoV(Internet of Vehicle)化、その二つの融合、スマートシティの発展は不可欠であり、これは国家の競争力を体現する重要なものである。

 

インテリジェント・コネクテッドカーの戦略的意義と関連システム

 インテリジェント・コネクテッドカーは重要な戦略的意義を持っている。産業と経済にとっては、中国自動車産業が「大から強」となるチャンスであり、通信、交通、電子などの関連産業の発展を後押しするものとなる。なお且つAI、ビッグデータ、ロボット、製造業のインターネット(IoT)、スマートシティなど将来数兆元レベルとなる産業の構築に有益である。社会にとっては、自動車がもたらすエネルギー、環境保護、安全、交通渋滞などの社会問題が改善される。新しい社会交通システムと新しいスマートシティを構築する。グリーンなシェアリング型自動車社会を構築する。国家戦略にとっては、AIなどの新しいIT技術が国家の総合的な競争力を引き上げる。国家情報セキュリティを保証する。

 現在、コネクテッドカーの国際的動向は、日米欧を例にとると、米国は2016年に「連邦自動運転車政策(Federal Automated Vehicles Policy)」を発表し、各州政府は自動運転車の発展を奨励する政策を打ち出した。Tesla、GMなどの企業はすでにレベル2自動運転車の量産を実現している。日本では2017年に部分的な自動運転システムの市場化を実現し、2020年の東京オリンピックに向けて自動運転のサービス車両を投入し、2020年代には自動運転システムの市場化を実現する計画である。EUは詳細なインテリジェント・コネクテッドカー発展ロードマップを制定し、2025年には最高レベルの自動運転車を量産する計画だ。ドイツは自動運転車の公道走行を許可する法律を打ち出す。

 インテリジェント・コネクテッドカーの発展と付属システムの構築は「サイバーフィジカルシステム」(Cyber-physical System, CPS)と「交通サイバーフィジカルシステム」(Transportation Cyber-physical System, T-CPS)の2つの概念に関わる。後者は交通サイバーフィジカル対象とシステム状態を情報システムに伝達することを意味し、確率計算、通信、コントロールの3C技術により、交通情報の構成要素と交通の物理的要素を融合し、情報システムと物理的システムの間の相互作用とフィードバックを通して、交通システムの状態検知、情報疎通、システム協調、意思決定最適化を実現する。

 

利点

①安全性:路車協調、車車協調を実現。車載インテリジェントシステムによる環境のモニタリングで、交通事故応急処理の減少や車両のライフサイクルの安全を保てる。

②低コスト:マンパワーコストの削減。自動化レベルの向上。車両にかかる維持管理コストを削減し、車両保険の評価と事故損害査定を正確に行う。

③経済活性化:新しいデータ業界の発展を促進し、従来の業界の発展も促進。また、ハイエンドサービス業界の発展に刺激を与える。

④交通対策サポート:交通の調整を実現し、渋滞緩和、省エネ、環境保護の実現、車の流れをの効率化向上。また、個人のモビリティスタイルを変える。

 

技術的挑戦

状態検知:モバイル端末、交通センサー、車載ハードウェア端末など多くの端末に関連。また、継続的な取得能力と通信能力の実現。そして、収集範囲の広さに対する高い要求。

データシェアリング:クラウドストレージと分散型データセンターを多用し膨大なスループット。また、データのタイプが多く、リアルタイム処理が必要。データセキュリティと個人情報保護に対する要求が非常に高い。

③協調制御:広域、多次元な交通システムの協調最適化と制御を求める。リソースの統合調整、フィジカルシステムの有効的なコントロールが必須。

インテリジェント分析:データに対する意思決定と可視化の実現。データの大規模最適化の実現。また、クラウドコンピューティング、AI、ビッグデータ分析など多くの技術課題に及ぶ。

 

キーとなる技術

車両関連重要技術:環境検知、意思決定、実行制御、マンマシンインタラクション、電子アーキテクチャーを含む。

情報インタラクション技術:V2X、データプラットフォーム、情報セキュリティを含む。

③基盤となる技術:高精度地図と位置情報、標準法規、IoV技術を含む。この3つの技術により公道、限定エリア、シェアリングの3つの領域で自動運転車を活用する。

 インテリジェント・コネクテッドカーには複雑なシステムアーキテクチャー、信頼性が高く時間差の少ない車載ネットワーク、工業用チップと工業用ソフトウェア、エレクトロニクス組み込み技術、AIサポート技術、マンマシンインタラクションと共同運転の基礎技術、自動運転テストシーンのライブラリとテスト技術など、多くの共通の技術が用いられる。また、インテリジェント・コネクテッドカーは従来の車と異なるため、情報セキュリティは重要な要件となっている。 安全効率を改善し、リスクを合理的にコントロールするために、情報セキュリティ評価や自動車メーカーの情報セキュリティ基準などの対策を実施し、最終的に統合管理、監査、早期警報および追跡システムを確立する必要がある。

 

インテリジェント・コネクテッドカーのチップ

 このほか、インテリジェント・コネクテッドカーのチップは産業の転換、アップグレードのカギとなるものだ。2020年にはセンサー、通信、ナビゲーション、コンピューティング、コントロール、電源などの用途で車1台あたりに2,000個のチップが使われると予測される。世界のチップ産業の10%が自動車用チップであり、現在成長の最も速い分野となっているにも関わらず、中国では自動車用チップは主に輸入に頼っている状態だ。自動車用チップ産業は、上流下流間の結合程度が高いことが特徴で、垂直統合型デバイスメーカーを中心に発展していること、汎用チップに比べ回収サイクルが長いこと(少なくとも5年)、安全性への要求が高いことである。カギとなるのは、センサー、通信、ナビゲーション、プロセッサー、コントローラー、電源管理などのチップと電源デバイスのチップである。

 自動車産業の電動化、安全化、コネクテッド化、インテリジェント化はすでに業界の共通認識となった。具体的には、省エネルギー、新エネルギーを目指す方向とし、安全機能と情報セキュリティをコアとし、インタラクティブとインターコネクションを代表とし、人と車の環境情報シェアリングと運転支援及び自動運転を象徴としている。こうした傾向はインテリジェント・コネクテッドカー産業チェーンが上流、中流、下流でそれぞれ基礎技術の難関を突破し、基準を制定し、完全なシステム技術と研究開発、試験的運用の成功を求めている。



ホンダの情報化社会に向けたセキュリティ対策

社名 会社概要 講演者 部門と職位
本田技研工業株式会社、本田技術研究所 著名な日系のグローバル企業、事業範囲は自動車二輪車、汎用製品、輸送用機械器具の製造/販売までに及ぶ。分社化した日本資本の技術開発会社。 三部敏宏 常務執行役員

 

ホンダが認識する自動車業界の変化及びそのコネクテッド化の目標

三部敏宏在进行演讲
三部敏宏 氏によるプレゼンテーション

 三部敏宏氏はまずホンダが目指すのは「世界中の人々に生活の可能性が拡がる喜びを提供する」ことであると述べた。三部氏は現在の自動車業界には3つの変化が表れていると考える。先ず、自動車の価値が多元化していること。カーシェアリングや自動運転車がその代表である。第2に、都市化の進行に伴う高齢化、地球温暖化とその他の環境問題による脅威などに伴う問題の激増である。第3に、産業構造の変化である。それにはAIや物のインターネット(IoT)技術が含まれる。これらの技術の革新は、伝統的な自動車メーカー以外の勢力、例えばGoogle、Tesla、百度(Baidu)、Alibabaなどの自動車業界への参入を促した。

 コネクテッド化とコネクテッドカーについては、ホンダが目指すのはコネクテッドカーにより、一つのより安全で便利なモビリティ社会を建設することである。ここには主に2つの側面が含まれている。一つは安全性である。盗難車追跡、車両モニタリング、V2X技術による車車間通信と路車間通信が含まれる。もう一つは利便性である。リモートコントロール、車内での支払い、使用状況に基づく保険などが含まれる。また、新しい機能の開発を通して、車に新たな価値を生み出し、「物」から「体験」への転換を実現するよう期待している。その方法にはスマートフォンとの連携、IVIシステムの使用、5Gとブルートゥースなどの通信設備の搭載、アプリによるサービスなどが含まれる。

 

コネクテッド化と安全性への取り組み

 ホンダはコネクテッド化に関して、多くの中国企業と提携関係を結んでいる。現行の“Honda CONNECT 1.0”システムは高徳地図との提携により、ナビゲーション、ニュース、天気予報、緊急道路状況に関する情報などを無償で提供する機能を実現した。その他の有償提供の機能には最初の1年を無償、10年のインターネット費用免除のサービスを付けた。将来の2.0システムでは、WeChatへの加入、音声認識、駐車料金の車内支払い、支付宝(Alipay)、車内Wi-Fiなどの機能を搭載する計画である。

 安全性の面では、ホンダはV2X技術、交通信号予測システム技術、CMC技術について紹介した。そのうち、CMCは“Connected Motorcycle Consortium”を指しており、車両、歩行者、オートバイの相互接続を実現する。交通信号予測技術はすでにAccordに搭載されている。三部氏は続いてビデオによるプレゼンテーションを行った。ビデオでは道路上の死角となっている曲がり角を歩行者或いは車両が通り過ぎている。車両、歩行者、オートバイはそれぞれが警告を出し交通事故を防いでいる。ホンダは最終的には無人センサー技術と通信技術の融合による協調安全環境を創造し、この環境の中で高速道路での安全な車線変更、交通渋滞防止、事故予告警報を実現したいとしている。

 

米国でテストプログラムに参加、日中でその他の提携

 ホンダは米オハイオ州北部のコロンバス、クリーブランド、トレドの三都市を結ぶエリアで “SMART COLUMBUS”と“U.S. 33 Smart Mobility Corridor”と銘打ったデモンストレーションに参加した。前者は米国運輸省と提携パートナーから1.4億米ドルの資金を受け、EV、コネクテッド自動運転車、インフラ施設、データ分析などの要素をテストするものである。後者は全長35マイルの高速道路のインフラ施設でコネクテッドカーとV2X技術を応用したもので、米国連邦政府、州政府とその他の企業から最高2,000万ドルが投入された。

 また、ホンダは高精度動態地図を対象とする協調機能を開発するとともに、それをデジタル化したインフラ施設と位置付けている。ホンダは百度とも提携し、百度のインテリジェント・コネクテッドカー・プラットフォームアポロ(Apollo)に参画した。重要な技術であるV2Xの取り組みにおいて、三部氏は通信規格の統一が必要であると強調した。特に5G時代の到来にあたっては、通信速度を向上するだけでは足りず、グローバルな統一規格が必須となってくるとしている。ホンダはすでに日本で通信会社との5G技術共同開発を呼びかけている。

 

情報セキュリティに対する考え

 情報セキュリティの面では、現在多くの問題が車内でのインターネットと関係しており、世界の主要各国と地域はすでに相応の法規と機関を定め、情報セキュリティの強化に乗り出している。自動車業界にとっては、その相互運用と共同利用を広く開拓することではじめて良好な発展がなされる。ISO/SAE国際標準の構築から始まり、情報セキュリティに対する要求は非常に高くなっている。

 将来のコネクテッドカー社会において、AIによるインテリジェント化、安全支援システムによる安全性、DSRC(Dedicated Short Range Communications)と5G技術によるリアルタイム化、高精度動態地図による正確性、自動運転による利便性が実現する。


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キーワード:SAE、インテリジェント化、コネクテッド、安全性、セキュリティ、東風汽車、Bosch、Qualcomm、ホンダ

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