CEATEC JAPAN 2018:つながる車の技術展示

5G、V2Xに対応するコネクテッドサービスやコンポーネント

2018/10/30

要約

 CEATEC JAPAN 2018(会期:2018年10月16~19日、会場:幕張メッセ)は、「つながる社会、共創する未来」をテーマに開催され、自動車関連の展示も「つながる車」を意識した内容が多く見られた。未来のクルマ社会を支えるコネクテッドシステム・サービスについて、ドライバー向けの内容にとどまらず、遠隔操作やインフラ協調など様々な取り組みが紹介されていた。

 各社とも今後導入される5G(第5世代移動通信システム)やV2X (vehicle to everything)ネットワークを活用するコネクテッドサービスや車載コンポーネントを紹介。トヨタはカーナビゲーションとスマートフォンを連携するサービス「SDL(Smart Device Link)」の一環として、LINEの自動車向けAIアシスタント「Clova Auto」を利用するデモンストレーションを行った。Valeoの「XtraVue」や沖電気の「フライングビュー」は複数カメラの映像をリアルタイムで合成し、5Gを活用して他車や路上のインフラなどとつながることで目視の範囲を超えるモニタリングを可能にする。また、クラリオンはドライブレコーダーから得られるデータを使った商用車の運行管理ソリューション、京セラは交差点などに設置される路側機を紹介。いずれも従来から手掛ける事業で培った通信技術を活かし、運行効率や安全性の向上に貢献するシステムを開発している。

入場口風景 トヨタ
CEATEC JAPAN 2018の会場 トヨタはスマートフォン連携サービス SDL(Smart Device Link)を紹介

 

関連レポート
トヨタのモビリティ戦略:DCM標準搭載車の投入を開始(2018年8月)
人とくるまのテクノロジー展 2018:HMI・カメラモニタリングシステムの展示取材(2018年6月)
人とくるまのテクノロジー展 2018:システムサプライヤーのCASE対応(2018年5月)
WCX18: SAE World Congress Experience - 自動運転テクノロジー(2018年5月)
CES 2018:自動運転とHMIの技術展示(2018年2月)
オートモーティブワールド2018:自動運転ソリューションの展示(2018年1月)

 



トヨタ:SDL (Smart Device Link) カーナビとスマートフォンの連携サービス

 トヨタはカーナビゲーションとスマートフォンを連携するサービス「SDL(Smart Device Link)」を紹介。トヨタ「プリウス」とダイハツ「ムーヴ キャンバス」を配置したブースでは、SDLサービスの一環として、運転中にカーナビの音声認識システムを使いながらLINEのメッセージを交換するデモンストレーションが行なわれた。

 LINEはAIアシスタント「Clova」と車載器を連携する「Clova Auto」を2018年6月に発表。両社はSDL対応カーナビを2018年12月に発売する予定で、当初は「LINE MUSIC」に対応、2019年から「Clova Auto」が利用可能になる。

 今回展示していた2台の車両にはそれぞれSDL対応カーナビを搭載。Bluetooth接続でカーナビとスマホを連携させ、「Clova Auto」を起動する。ドライバーは運転中でもカーナビ操作と同様に、ディスプレイや音声案内、マイク、ステアリングスイッチなどを使って、LINEメッセージの送受信といったスマホアプリを利用することができる。

入場口風景 トヨタ
Clova Autoを使ったSDLデモンストレーション スマートフォン連携サービス「SDL」
SDL提携企業一覧


Valeo:「XtraVue」コネクテッドコンピュータビジョンカメラ

 CEATEC初出展となるValeoは、障害物を視覚的になくすシステム「XtraVue」を披露した。2台のデモ車両を縦列展示して、後方車両のディスプレイでは視界の妨げとなる前方車両が透けて映し出され、ドライバーの視界に入らない前方の様子をリアルタイムで認識することができる。

 XtraVueはテレマティクスアンテナ、レーザースキャナー、カメラを組み合わせた画像認識システム。今後導入される5G(第5世代移動通信システム)とV2V (車車間)ネットワークを活用して、他車や沿道に設置されたカメラなど、複数のカメラからの情報をストリーミングして画像処理を行うことで、ドライバーの視野の範囲を超えた周囲の情報全てを提供することができる。

Valeo XtraVueのデモンストレーション
2台のデモ車両を縦列展示
XtraVue 概要システム図
後方車両のディスプレイ
前方車両が透けて視界に入らない部分が映し出されている
XtraVue 展示パネル

 

 Valeoの記者会見では、XtraVueシステムのほか、同社のレーザースキャナー「SCALA」を紹介。第1世代のSCALAは2017年に生産を開始、Audi A8に採用されている。第2世代のSCALA 2は2020年に生産開始予定で、今回もブースに展示していた。さらに2020年には複数のSCALAを組み合わせて360度の全周検知を行う「SCALA Cocoon」を導入する予定。自動運転システム「Cruise4U」の紹介では、SCALAレーザースキャナー(6台)、フロントカメラ、サラウンドビューカメラ(4台)、レーダー(4台)を搭載する車両で、日本でも高速道路での走行ツアーを行っていると述べた。

 このほか、NTTドコモとのコネクテッドカービジネスにおける協業に向けた取り組みについて紹介。両社は2018年4月に、コネクテッドカー向け通信サービスと車載機器の提供、5G/V2X (vehicle to everything)時代を見据えた次世代モビリティサービスの開発、スマートフォンを活用した車両向けデジタルサービスの提供、車載機器をコントロールするソリューションの開発・提供などのサービス領域に取り組むと発表していた。

SCALA Cocoonを2020年に導入予定
SCALAのプレゼン資料
SCALA 2の展示パネル
Cruise4U 高速道路での自動運転 NTTドコモとのコネクテッドカービジネスにおける協業に向けた取り組み


Bosch:コネクテッドサービス・コンポーネント・クラウド

 Boschは「Simply.Connected」をテーマに、モビリティ(交通)、インダストリー(産業)、リビング(生活)のIoTを支えるソリューションを展示。モビリティでは、デモンストレーション車両「コネクテッド デモンストレーター」の前に設置された移動式ディスプレイで、コネクテッドサービスと車両内部のコンポーネントとクラウドの関係を確認することができるように展示されていた。

展示テーマは「Simply.Connected」 コネクテッド デモンストレーター
インフォテインメントシステムのディスプレイ表示


クラリオン:スマートコックピットソリューション

 クラリオンは、豊かで安全なクルマ社会の未来に向けて生活空間と移動空間をシームレスにつなぐ「Smart Cockpit Solutions」を紹介。コネクテッド、セーフティ&インフォメーション、HMI (human machine interface)、サウンドの先行技術を融合し、車内でのサポートだけではなく、ドライバーの生活全体をサポートするという。

 商用車向けのソリューション「Smart Cockpit for Enterprise」では、同社が開発したクラウド活用型車両管理ソリューション「SAFE-DR (Smart Access for Enterprise - Drive Recorder)」を紹介。ドライブレコーダーから得られるカメラ映像などのデータをクラウドサービスに送信、運行管理者はクラウドサーバーにアクセスすることで複数の業務用車両から走行データやドライバーモニタリングなどの様々な情報を取得することができる。これにより、ドライバーの安全運行のサポート、運行中の事故回避支援、事故の組織的な防止といった様々なソリューションを提案、車両の管理作業をサポートし、運行効率や安全性の向上に貢献する。

 同社はこのほか、ドアスピーカーレスオーディオシステム(初公開)を搭載したデモ車両などを展示。ドア内部の配線を必要とする従来のドアスピーカーと異なり、振動スピーカーを活用することで、軽量・小型化や遮音性能の向上を可能にする。

Smart Cockpit for Enterprise
クラウド活用型車両管理ソリューション「SAFE-DR」のデモンストレーション
展示パネル
ドアスピーカーレスオーディオシステムを搭載したデモ車両
展示パネル


沖電気工業:5Gを活用した映像モニタリング「フライングビュー」

 沖電気は5Gを活用した映像モニタリング「フライングビュー」を紹介。フライングビューは複数カメラの映像をリアルタイムで俯瞰映像に合成し、360度あらゆる角度からの視点で自由にモニタリングすることができるシステム。従来の複数カメラ映像の切り替えによるモニタリングに比べて、見た目に自然で効率的かつ的確なモニタリングが可能になるとしている。

 同社は2018年10月、小松製作所(コマツ)が先行して実施している5Gによる建設機械の遠隔制御システムに「フライングビュー」を活用した実証実験を開始。今回の展示会では両社のブースでリアルタイムの遠隔操縦実演デモンストレーションを行っていた。両社は建設機械の遠隔操縦の早期実用化を目指している。

 また2018年5月にはNTTドコモと共同で、高速走行中の車両で広域エリアの映像モニタリングを行うフィールド実験に成功したと発表。この実験は2018年2月に富士スピードウェイで行われ、ドコモが車両と実験環境を用意、沖電気の「フライングビュー」システムを搭載した車両を時速約160kmで走行させ、映像の取得が可能なことを検証した。沖電気は5G時代には移動体からの大容量かつリアルタイムな映像配信が可能になるとし、用途の1つとしてモータースポーツの新しい観戦スタイルの実現を取り上げ、実験を行った。今後はフィールドでの実証実験を重ね、フライングビュー映像の遠隔地モニタリングの展開に幅広く取り組んでいくとしている。

 これらの実験で使用した「フライングビュー」は4台の車載カメラと映像合成部、送受信部で構成、映像処理能力の高いFPGA (field-programmable gate array) 上でカメラ映像の合成を行う。これにより、リアルタイムかつ小型省電力のシステムで大容量高画質の映像処理を実現、車両の全周囲で死角のないシームレスな広域エリア映像を得ることが可能となる。取得した映像は、周囲監視や操縦支援、景観鑑賞など多様な用途に適用できる。

フライングビュー実験
NTTドコモと富士スピードウェイで実施
フライングビュー
5Gを活用した映像モニタリング


京セラ:V2I路側機

 京セラは自動運転社会に欠かせない技術「V2I (vehicle to infrastructure)」において、通信で培った技術を活かし、交差点などに設置される「路側機」の開発に取り組んでいる。路側機は歩行者や自動車など交差点周辺の情報や信号情報を収集・配信する機能を備える。路側機から配信される情報によって、事前に周囲の危険を知ることができ、人とクルマとネットワークとが連動する協調型自動運転システムの実現に貢献するとしている。

 京セラの路側機は、同社が培ってきた無線基地局技術と携帯通信端末で使われる様々な通信技術を組み合わせられることが特長。京セラはPHSの基地局を手がけていたことから、無線信号の妨害除去や指向制御を行い、混信に強いアダプティブアレイ技術を保有している。これを路側機に搭載することで複数の電波が飛び交う交差点でも安定通信を実現するという。

V2I路側機の説明パネル
展示パネル: ミリ波レーダー / V2I路側機
コックピットデモ機
路側機が普及した世界の体験デモを実施
3D-AR HUDの展示パネル

 

------------------
キーワード
CEATEC、つながる車、コネクテッドカー、コネクテッド、5G、V2X、モビリティ、クラウド、テレマティクス、AI、画像認識、モニタリング、HMI、スマートフォン、カーナビ、カメラ、ディスプレイ、ミリ波レーダー、自動運転、トヨタ、LINE、SDL、Clova Auto、Valeo、XtraVue、SCALA、Bosch、ボッシュ、クラリオン、SAFE-DR、沖電気工業、フライングビュー、京セラ、V2I路側機

<自動車産業ポータル マークラインズ>