西欧の日系部品メーカー:電動化、自動運転など新たな需要に対応

欧州OEMヘの事業拡大、先端素材ほか生産能力増強やR&D強化

2017/12/25

要約

  西欧17カ国のライトビークルの販売台数は、LMC Automotiveによれば、2017年1-11月累計が前年比3.2%増の1,327万台と増加傾向が続いている。こうした中、日系自動車部品メーカーは、欧州自動車メーカー・部品メーカーからの受注拡大に加えて、欧州での環境・燃費規制強化や電動化・電気自動車、コネクテッドカー、自動運転などでの新しい需要を取り込むために、生産体制・開発・営業力の強化、M&A、資本参加、提携などを幅広く進めている。



関連レポート:
自動運転技術:日米欧OEMの取り組み状況 (2017年12月)
IAA 2017:ドイツメーカーはEVシフト強化を前面に (2017年10月)
欧州市場:乗用車販売は1,500万台超、ディーゼル車は5割以下に減少 (2017年8月)
Mercedes-Benz、BMW、AudiのADAS・自動運転装備 (2017年8月)
LMC Automotive 欧州自動車市場の展望 (2017年7月)

<日系部品メーカーの海外動向>
インド編 (2017年9月)
北米編 (2017年8月)
ASEAN編 (2017年8月)
メキシコ・ブラジル編 (2017年6月)
中国編 (2017年5月)
欧州編 (2017年4月)

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ドイツの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)
ドイツ以外の国・地域は完成車メーカー工場立地マップよりご参照ください

欧州全般

生産拠点新設 パナソニック:リチウムイオン電池の新工場を欧州で2020年以降に建設
三井化学:欧州にPPコンパウンドの自社工場建設計画
生産能力増強 ユーシン:西欧4カ国の工場でキーセット、ドアハンドルの生産設備一新へ
研究開発・
マーケティング強化
ユーシン:欧州で研究開発スタッフを増員、高付加価値製品の開発強化へ
古河電工:英国、ドイツでマーケティング機能を強化
新商品投入 クラリオン:欧州メーカーから車載カメラシステムを初受注
サンデン:DAF Trucksにエアコン用 HVACユニット・コントロールユニットを供給
横浜ゴム:価格競争力重視の第2ブランド「ALLIANCE TYRES」を本格展開

ドイツ

M&A・提携・
合弁会社設立
林テレンプ:防音材大手メーカーと次世代自動車向け開発で技術提携
日立化成:断熱部品メーカーの全株取得。低燃費、環境対応の部品開発でも協力
古河電工:耐高電圧巻線の合弁会社の開所式実施
三井物産:EV用電池利用のドイツ電力サービス企業に出資
三菱電機:高精度測位サービス配信の合弁会社立ち上げで合意
R&D・製品開発 旭化成:欧州R&Dセンターを開設、先端技術情報の収集と蓄積、新事業開発を推進
アルプス電気:ドイツメーカーと共同で車載用生体センサーモジュールを製品化
・垣堺精機:ドイツの研究所・企業とせん断技術を開発へ
住友理工:防振ゴムのR&Dセンター設置へ
東レ:自動車材料に特化した先端素材のR&D拠点開設
生産体制強化 東洋紡:合弁会社にエアバッグ基布の生産を移管へ。クッション材事業も譲渡
日清紡ブレーキ:乗用車用摩擦材の2工場を1カ所に集約
事業・営業体制強化 芦森工業:欧州事務所開設、市場ニーズ・開発トレンドを把握
ナブテスコ:欧州地域統括会社を設立
三菱ケミカル:自動車関連事業推進部署を設置。三菱グループ各社を営業支援

西欧 (ドイツを除く)

買収・合弁・提携 ダイキン:イタリアのフッ素樹脂コンパウンドメーカーを買収
日本電産:仏子会社がPSAとEVなどの駆動用モーター合弁会社を2018年に設立
パイオラックス:フランスのA.RAYMOND 社とグローバルな生産・販売協力契約
パナソニック:スペインの大手部品・システムサプライヤーに69%出資
ブリヂストン:フランスでタイヤ小売チェーンを買収、販売網を拡大
三菱ケミカル:イタリアの炭素繊維成形メーカーに44%出資、欧米メーカー開拓へ
三菱電機:オランダのデジタル地図大手HEREと高精度位置情報サービスで提携
三菱マテリアル:英企業傘下の銅加工品事業部門を買収
生産体制増強 カネカ:ベルギーで変成シリコンポリマーの生産能力増強
ジーテクト:英プレス工場を拡張、電動化に対応し、次世代アルミボディ部品の加工も
積水化学:オランダの中間膜工場でヘッドアップディスプレイ用に増産投資
帝人:オランダ子会社でタイヤ補強材向けアラミド繊維の増産を決定
東レ:イタリア子会社の高級人工皮革の生産能力倍増計画
日本精機:英国工場に組立ラインを設置し、新たにヘッドアップディスプレイを生産へ
ブリヂストン:スペインで乗用車用タイヤを段階的に増産
プレス工業:スウェーデン子会社で少量多品種生産に対応する設備更新
R&D・製品開発 旭硝子:ベルギーのテクノベーションセンターで約250の研究実施
ジェイテクト:ベルギーの工場を拡張し、欧州R&Dセンターを設置。電動化・EVに備える
積水化学:オランダに欧州研究センター新設。高機能中間膜を開発
・堀場製作所:英国子会社のエンジニアリング施設内に先進的排ガス試験設備を開設
その他 カルソニックカンセイ:フランスのITベンチャーとサイバーセキュリティ合同会社WHITE MOTION LLCを日本で設立


欧州全般: 新商品・新ブランド投入(クラリオン、横浜ゴム)、生産体制強化(三井化学、ユーシン)など

会社名 活動内容
クラリオン 欧州メーカーから車載カメラシステムを初受注

クラリオンは、欧州自動車メーカーから車載カメラシステム「サラウンドアイ」を初受注し、2018年から供給する。欧州メーカー用に画像処理と映像表示といった基本機能に絞ったエントリーモデルを開発し、標準モデルのコストを抑えた。また、2017年度内に日系自動車メーカーにも「サラウンドアイ」を応用した自動駐車システムの供給を開始する。
サンデン オランダのDAF Trucksにカーエアコン用HVACユニット・コントロールユニットを供給

サンデン・オートモーティブクライメイトシステムは、オランダのDAF Trucks NVに、2017年7月から新たにカーエアコン用HVACユニットおよびコントロールユニットの供給を開始。同製品は、コンプレッサーの稼働を必要最小限に抑え、最適な冷房温度制御により、車両の燃費改善につなげる。Sanden International (Europe) Ltd. German Branch (Bad Nauheim市)の研究開発拠点が製品開発を担当し、Sanden Manufacturing Poland sp. z o.o.(Polkowice市)で生産することにより、欧州で初めて開発から量産までの一貫体制を構築。
パナソニック 欧州にEVなど向け電池の新工場を2020年以降に建設

パナソニックは2017年5月、欧州で2020年以降に電気自動車(EV)など向けのリチウムイオン電池の新工場を建設する方針を明らかにした。カーメーカーの要望を聞いており、一定量の安定購入の確約を得たうえで投資を決める方針。(2017年5月報道)
古河電工 英国、ドイツでマーケティング機能を強化

古河電工は、2017年度内に海外でマーケティング拠点を整備し、販売促進・市場調査などを強化。光ファイバー製品の拡販を図る。2017年8月にシンガポールで、10月に英国で現地法人を設立した。自動車分野では、自動運転のインフラ技術として光ファイバー関連製品を訴求する。ドイツではEssex Magnet Wireと2017年3月に合弁で設立したEssex Furukawa Magnet Wire Europeを活用し、EVの最新情報を収集する。同合弁会社は、EVなどの高性能化を実現する高耐電圧巻線を生産・販売する。(2017年7月報道)
三井化学 欧州でPPコンパウンドの自社工場新設を計画、2019年に稼働予定

三井化学は、海外拠点での熱可塑性樹脂ポリプロピレン(PP)の生産能力増強を計画。2017年7月までに米国、メキシコ、インドで増産体制を整え、欧州についても増販の目途がたったことから従来の外部委託生産に替えて自社生産する計画。早期に新工場の拠点候補を絞り込む方針で、年産能力は3万トンを計画。稼働は2019年の予定。なお、欧州での年産能力は2016年度が1.5万トン。2017年度に2万トンへ引き上げた。
横浜ゴム 欧州で価格競争力重視の第2ブランドタイヤを2017年から本格展開

横浜ゴムは、乗用車用タイヤの第2ブランド「アライアンス・タイヤ」(ALLIANCE TYRES)を2017年春から欧州で本格展開。「ヨコハマタイヤ」とは性能が異なる価格競争力重視のタイヤを投入し、ラインナップを拡充。中国や韓国のタイヤメーカーが販売している低価格のコモディティーに対抗する。まず、スペイン、ベルギー、イタリア、フランス、デンマークで先行販売。続いて、他の欧州諸国にも投入するほか、アジアでの販売も検討する。欧州市場向け「アライアンス・タイヤ」は、日本の工場で生産する。
ユーシン 欧州を中心にキーセットなどの生産設備を2021年までに一新へ

ユーシンは、2021年をめどに欧州を中心とする工場の設備を入れ替え一新する。キーセットやドアハンドルなどの生産設備の老朽化が進み、高品質の製品作りが難しくなってきたためで、投資額は数十億円規模。対象となるのは仏Valeoから買収したアクセスメカニズム(ステアリングロックなど)の生産拠点で、ドイツ、ハンガリー、フランス、スペイン、イタリア、スロバキア、ロシア、ブラジルの8カ所。(2017年5月報道)

欧州で研究開発を拡充し、高付加価値製品の開発を強化

ユーシンは、欧州の研究開発スタッフを2017年の約120人から今後3年間で約150人に増やす。欧州メーカーのニーズの多様化に対応し、ドアに使われるハンドルやキーセット、リアゲートを自動開閉するパワークロージャーシステムなど高付加価値製品の開発体制を整える。開発拠点は、ドイツ、イタリア、フランス、スロバキアにあり、その多くが工場に併設。日本の研究拠点と共同で製品や技術の開発を手掛けている。(2017年5月報道)


ドイツ: M&A・合弁会社(日立化成、三菱電機など)、R&D・営業(アルプス電気、東レなど)、生産体制の強化など

会社名 活動内容
旭化成 欧州R&Dセンターを2017年10月に開設、先端技術情報の収集と蓄積、新事業開発を推進

旭化成は2017年10月、ドイツのドルマーゲン市(旭化成スパンデックスヨーロッパ内)に欧州R&Dセンターを開設した。欧州における自動車用途、環境・エネルギー関連等の先端技術情報の収集・蓄積と、旭化成グループの研究開発力を活用した新事業開発の加速を図る。2016年4月に営業を開始した旭化成ヨーロッパと連携し、研究開発・技術サービスの提供を促進するとともに、顧客ニーズへの迅速かつ効率的な対応を行っていく。
芦森工業 欧州事務所を2017年6月に開設、市場ニーズの把握、取引先との関係強化

芦森工業は、2017年6月に欧州事務所(Baden-Württemberg州Sindelfingen市)を開設。欧州の市場ニーズや開発トレンドなどの情報収集活動を行い、事業拡大につなげる。ドイツメーカーをはじめとする既存取引先との関係強化や新規顧客開拓での窓口なども担う。
アルプス電気 ドイツ完成車メーカーと共同で車載用生体センサーモジュールを製品化

アルプス電気は、ドイツの完成車メーカーと共同で、車載用生体センサーモジュールを製品化する計画。運転手の瞳孔の状態や脈波などをセンシングし、自動運転や先進運転システムに必要な情報を収集する。モジュールは加速度センサーやガスセンサー、音波センサーと組み合わせる。子会社化したアルパインの知見も活かす。2020年度以降に次世代自動車への搭載を目指す。(2017年7月報道)
垣堺精機 ドイツの研究所、企業とせん断技術を開発し、自動車等での活用を目指す

垣堺精機は、ドイツの研究所や企業と共同で炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やアモルファス合金のせん断技術開発を行う。CFRPは廃車後にリサイクルしにくいため、細かくせん断することで道路強化材などへのリサイクルを目指す。アモルファス合金では、EV用のモーターコアなどでの製造コスト低減を目指す。(2017年7月報道)
住友理工 ドイツの防振ゴムR&Dセンターが2018年に稼働

住友理工は、2013年に買収したドイツ子会社SumiRiko AVS Germany GmbH (Steinau an der Straße市)の敷地内に防振ゴムのR&Dセンターを設置する。新たに開発部門オフィスと試作・試験の2棟を建設し、2018年9月の業務開始を予定。従業員は150人を見込む。投資額は約700万ユーロ(約8.7億円)。非日系自動車メーカー向け販売を担当する「第2グローバル自動車営業本部」(2017年2月にFrankfurt市に新設)と連携し、欧州メーカー向け技術・サービス体制を拡充する。また、稼働後にはフランス、ポーランド、イタリアにある研究開発拠点との機能分担・統合も検討する。(2017年6月報道)
東洋紡 独合弁会社PHPをエアバッグ基布の生産拠点に、クッション材事業も譲渡

東洋紡は欧州向けエアバッグ事業で、合弁会社PHP Fibers GmbH (Obernburg市) が原糸、東洋紡が基布を生産しているが、PHPのブランド力が高いため、基布も2019年から同社で生産する。このため、織機47台を導入し生産体制を新設する。投資額は数億円と見られる。これにより東洋紡の基布生産は、日本、タイ、中国、米国、ドイツの世界5拠点体制となる。この他、TOYOBO Europe GmbH (TEG、Dusseldorf市)が、寝装用途中心に行ってきたクッション材「ブレスエアー」事業をPHPに譲渡。2017年9月から、自動車や鉄道の座席シートなどをTEGの設備で生産し、PHPの販路を使って販売。事業拡大を図る。
東レ ドイツに自動車用材料に特化したR&D拠点を2018年8月に開設

東レは、自動車用材料に特化した開発拠点のToray Automotive Center Europe (AMCEU)を、2018年8月にミュンヘン近郊に開設し、軽量化、電動化、EV化に適した新素材の採用で先行する欧州自動車メーカーに密着。炭素繊維複合材料、樹脂、フィルム等の先端中間基材の活用手法、成形、設計など、実験・評価・技術支援を組み合わせた総合的なソリューションを提供し、自動車関連事業の拡大を図る。AMCEUの延べ床面積は約3400平方メートル。顧客へのワンストップサービス拠点、欧州での中核的な技術開発拠点としての役割も担う。
ナブテスコ ドイツに欧州地域統括会社を2017年5月に設立

ナブテスコは、海外展開および新市場創出を強化する中期経営計画の一環として、ドイツに欧州地域統括会社のNabtesco Europe GmbH (Limburg/Lahn市)を2017年5月に設立。資本金は2.5万ユーロ。グループ全体の効率的な欧州進出の加速および欧州既出事業の統括管理を行い、オペレーション基盤の強化を図る。
日清紡ブレーキ ブレーキ用摩擦材の生産拠点2カ所の集約が2018年に完了へ

日清紡ブレーキは、2011年に買収したTMD Friction Group S.A. (Nordrhein-Westfalen州Leverkusen市)の持つ、2つの乗用車用摩擦材の生産拠点を1カ所に集約する。Leverkusen拠点をEssen拠点に統合するもので2014年から進めており、2018年に再編が完了する。投資額は5300万ユーロ。生産品目は、ディスクパッド、ブレーキライニングなど。需要動向を踏まえ段階的に追加投資を行い、最新の生産設備を拡充する。
林テレンプ ドイツの防音材大手メーカーと次世代自動車向け開発で2017年に技術提携

林テレンプは、ドイツのAdler Pelzer社と自動車内外装品に使用する防音材などの開発で2017年4月に技術提携。両社の車両音響技術(防音技術)を集結して材料、部品を開発し、次世代自動車向けに軽量かつ高性能なNVH (Noise=騒音、Vibration=振動、Harshness=不快)ソリューションを提供することを目指す。EVで課題となる500ヘルツ以下の個体伝播音対策でも協力する。
日立化成 ドイツの断熱部品メーカーの全株を2017年に取得し、低燃費・環境対応の部品開発でも協力

日立化成は2017年4月、自動車・航空機・産業用途の断熱部品メーカー、ISOLITE GmbH (Rheinland -Pfalz州)の株式を100%取得すると発表。取得額は非公表。ISOLITE社の断熱製品は、ターボチャージャーに接続する配管の断熱部品として、欧州自動車メーカーに採用されている。日立化成は、日本国内でISOLITE社の断熱部品を拡販し、欧州ではISOLITE社の販売網や製造拠点を活用して自社の自動車部材の事業展開を加速させる。今後、低燃費や環境対応等の断熱部品の開発で協力し、エンジン・排気系部品等の熱マネジメントに関するソリューション提案を進める。
古河電工 米Superior Essex 子会社との耐高電圧巻線の合弁会社が2017年11月に開所式を実施

古河電気工業は、米Superior Essexの子会社Essex Magnet Wire (Hessen州Bad Arolsen市)と耐高電圧巻線(HVWW)の合弁会社Essex Furukawa Magnet Wire Europe GmbH(同州Bad Arolsen市)を2017年3月に設立。出資の過半数はEssex Magnet Wireが持ち、同社敷地内で操業。同年11月に開所式を実施。HVWWは、電動自動車用モーターを飛躍的に改善し、高効率化と高出力を実現。
三井物産 EV用電池利用のドイツ電力サービス企業に出資

三井物産は2017年10月、Daimler と共に欧州でEV充電システムを提供し、EV用電池を利用した電力事業を展開するThe Mobility House AG (München市)に出資したと発表。出資比率は非公開だが役員を派遣し、同社の成長を支援する。今後EVの本格的普及が見込まれる一方で、不安定な電源である太陽光・風力発電の増加により、送配電系統への負荷増大が懸念される。そのため、蓄電システムの導入等の系統安定化や、電力需給バランスの状況に合わせたEV充電タイミングの自動調整が求められている。モビリティを成長分野の1つと定める三井物産は、先進的ビジネスモデルの事業化に取り組み、米国や日本等の他地域における事業拡大も目指す。
三菱ケミカル ドイツに自動車関連事業推進部署を2017年に設置、三菱グループ各社を営業支援

三菱ケミカルホールディングスは、本体にあるAMS=Automotive solutions (自動車関連事業推進センター)を日本、米国、中国、タイに続き、2017年6月にドイツに設け、担当者を置いた。三菱グループ各社が手掛ける炭素繊維複合素材、高機能樹脂、ガソリンタンクや内装品向け樹脂などの自動車向け材料の市場調査や営業支援を行い、手薄だった欧州メーカー向け販売をてこ入れする。まずは、ルノーやPSA向けにグループ各社の技術を一堂に集めた展示会を開く。(2017年5月報道)。
(注)AMSを設置したドイツの会社は不明だが、Mitsubishi Chemical Holdings Europe (Wiesbaden市)と思われる


三菱電機 独ベルリンに高精度測位サービス配信の合弁会社立ち上げで合意

三菱電機は2017年8月、Bosch、Geo++、u-blox との4 社で、高精度の全地球航法衛星システム (GNSS) 測位サービスを行う合弁会社Sapcorda Services 社を独Berlin市で立ち上げることで合意したと発表。4社の出資比率、事業開始時期は非公表。現在普及しているGNSS測位サービスは、高精度測位を必要とするシステムインテグレーター、自動車メーカー、受信端末メーカーなどの新興マーケットのニーズを十分に満たしていないとの考えから、グローバルで利用可能な新しい高精度測位サービスの実現を目指す。まず、自動車、農業用トラクターなどの自動運転および安全運行支援などに活用する。


西欧(ドイツ以外): 買収・合弁・提携(ダイキン、日本電産他)、生産体制増強(ジーテクト、日本精機他)、R&D(ジェイテクト、積水化学他)など

会社名 活動内容
旭硝子 ベルギーのテクノベーションセンターで約250テーマの研究を実施

旭硝子は、ベルギーで2014年に設立したAGC Technovation Centerで自動車や建築向けのガラスに関して約250テーマの研究を実施中。発光ダイオードを組み込んだガラスなどの開発に取り組む。(2017年5月報道)
カネカ ベルギーで変成シリコンポリマーの生産能力増強へ

カネカは2017年5月、ベルギーのKaneka Belgium N.V. (Westerlo市)で接着剤などに使う機能性原料の変成シリコンポリマーの生産設備増設を発表。年産能力を1万トン増強するもので、投資額は約40億円、2018年末の稼働を予定。これにより年産能力は3万トンになる。欧州では、環境規制の高まりから溶剤を使わない機能性原料の需要が自動車向けなどで伸びており、供給体制を強化することで事業拡大を目指す。
カルソニックカンセイ フランスのITベンチャーと自動車向けサイバーセキュリティの合同会社を日本で設立

カルソニックカンセイは2017年7月、フランスのQuarkslab社と自動車分野のサイバーセキュリティに本格的に取り組むため、折半出資の合同会社WHITE MOTION (WHITE MOTION LLC)を日本で設立したと発表。資本金は2000万円。新会社は、自動車全体のセキュリティ評価を行うほか、サイバーセキュリティと機能安全の双方から、コネクテッドカー時代に必要とされるセキュリティ対策を提供する。顧客企業の従業員へのセキュリティ教育、コンサルティングなども手掛ける。
ジェイテクト ベルギー工場を拡張し、欧州での駆動部品の開発機能を強化へ

ジェイテクトは、ベルギーのJTEKT TORSEN EUROPE S.A. (Strepy-Bracquegnies)が隣接の工場を取得し、工場の敷地面積を従来比25%増の6万5500万平方メートルに拡大。取得した工場は、駆動用ギアや工作機械の研究開発専用スペースとし、2017年5月に研究開発センター開所式を開催。2018年末までに順次稼働し、欧州車の電動化やEVの普及に備え、駆動用部品の提案力を高める。投資額は約2億円。(2017年5月報道)
ジーテクト 英国プレス工場の生産能力を増強へ、電動化に向けてアルミ加工にも対応

ジーテクトは2017年8月、日系、欧州系メーカーからの鉄製プレス部品の新規受注に対応するため、英国G-TEKT Europe Manufacturing Ltd. (Gloucester州)の生産能力を拡大すると発表。既存工場の隣接地に建屋を新設し、大型トランスファープレス機、大型ブランキングプレス機を2台導入する。2019年1月の操業予定で、投資額は約3000万ポンド(約42億円)。同設備は、欧州での電動化に伴い拡大が見込まれる次世代アルミボディ部品の加工にも対応できるものとする。
積水化学 オランダで欧州研究センターを2017年に新設、中間膜工場ではヘッドアップディスプレイ用に増産投資

積水化学工業は、オランダで合わせガラス用中間膜を製造・販売する子会社SEKISUI S-LEC B.V. (Roermond市)が、中間膜原料樹脂工場 (Sittard-Geleen市)の近隣にあるBrightlands Chemelot オープンイノベーション・キャンパスで、2017年6月に欧州研究センターを新設。同地での産官学の連携・融合を強化し、欧州から世界に向けて特殊な機能を付加した新たな高機能中間膜を開発する。
また、SEKISUI S-LEC B.V.には、高機能樹脂の生産設備やヘッドアップディスプレイ (HUD)向けの「くさび型中間膜」の生産ラインを増設し、電装化やコネクテッドカーでの需要増に対応する。投資額は200億円。
ダイキン イタリアのフッ素樹脂コンパウンドメーカーを2017年に買収

ダイキン工業は2017年8月、イタリアのフッ素樹脂コンパウンドメーカー、Heroflon S.p.A. (Lombardia 州Brescia県)の全株式取得を2017年10月末に完了予定と発表。買収額は非公開だが、数十億円規模と見られる。Heroflon社は、自動車、建機、電力、化学工業など幅広い分野向けに、高機能・高付加価値のフッ素樹脂ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を中心とした樹脂コンパウンドを供給。PTFEなどの材料製造を手掛けるダイキンは、Heroflon社を通じて欧州自動車メーカーとの関係を強化し、耐熱、耐摩耗などに優れたフッ素材料の拡販を図る。
帝人 オランダ子会社でタイヤ補強材向けアラミド繊維の増産を決定

帝人は、オランダの子会社Teijin Aramid B.V. (Arnhem市)でのアラミド繊維の増産を決定。2017年内に工場の生産設備を増強し、2019年春頃に稼働する予定。投資額は非公開だが数億円を投じて、生産能力を現状比10%程度高める模様。同工場には今後数年で約20億円を投資して、生産能力を最大20%引き上げる方針と報じられていたが、今回の増強はその一環と見られる。(2017年9月報道)
デンソー フィンランドのベンチャー企業に出資、人の移動関連の製品開発につなげる

デンソーは、フィンランドのベンチャー企業MaaS GLOBAL (Helsinki市)に出資。出資額は数億円とみられる。MaaSは、ヘルシンキでタクシーやレンタカー、バス、電車などを組み合わせた複数の移動ルートを提示するスマートフォン専用のアプリを提供する事業を展開。デンソーは、MaaSが2018年1月にヘルシンキとミュンヘンで開始するサテライトラボなどでの連携を図りながら、多様な移動手段を組み合わせた製品開発を進める計画。
東レ イタリアの高級人工皮革工場の生産能力を2倍に増強計画

東レは、イタリア子会社Alcantara S.p.A. (Milano市)が製造・販売する高級人工皮革素材「Alcantara」の生産設備を増強する。今後5年間で需要動向に応じて段階的に約3憶ユーロ(約350億円)を投じて、Nera Montoro工場 (Umbria州Terni県)の生産能力を2017年の約2倍に拡大する計画。高級車の内装材に留まらず、PCやヘッドホン等のコンシューマーエレクトロニクスのデバイスの素材として新たな需要も拡大しており、2019年には生産能力が不足すると判断した。
日本精機 英国で2018年からヘッドアップディスプレイを新たに生産へ

日本精機は、英国子会社のUK-NSI Co., Ltd. (Redditch市)にヘッドアップディスプレイ (HUD)の組立ラインを設置し、2018年から生産を開始する。日本、米国に続く、3カ所目のHUD生産拠点となる。画像をフロントガラスに映し出すために必要となる凹面鏡などの構成部品は日本から輸出する。欧州では、HUDを搭載する車種が増加しており、英国での生産開始は欧州にある自動車メーカーの工場から新規受注したため。今後、新規開拓にも取り組む方針。(2017年9月報道)
日本電産

仏子会社がPSAとEVなどの駆動用モーター合弁会社を2018年に設立

日本電産は2017年12月、フランス子会社のNidec Leroy-Somer Holding (ANGOULEME Cedex)が、PSAとEVなど向け駆動用モーターの合弁会社を2018年3~4月に設立すると発表。設立時の払込資本金は1500万ユーロ(約20億円)の予定で折半出資する。新型モーターの開発・生産のための総投資額は2億2000万ユーロで、折半で投資。フランスの工場で2022年にも生産開始。まずPSA 向けのハイブリッド車・EV・プラグインハイブリッド車向けに供給し、順次、他の自動車メーカーへの販売にも取り組む予定。

パイオラックス フランスのA.RAYMONDと生産・販売に関するグローバル協力契約を2017年に締結

パイオラックスは、自社と同種の締結部や駆動部向け小型部品を手掛けるフランスのA.RAYMOND et Cie SCS (Grenoble郡)とのグローバル生産・販売協力契約を2017年10月に発効。両社とも顧客の自動車メーカーの海外展開が進む中、進出先の国・地域において自社のリソースだけでカバーすることが困難となってきた。このため、主としてパイオラックスは欧州と南米で、A.RAYMONDは東南アジアでお互いの拠点を活用する。パイオラックスは提携により、売上高で100億円、営業利益で10億円以上の増加を目指す。
パナソニック スペインの大手部品・システムサプライヤーFicosaを2017年7月に子会社化

パナソニックは2017年7月、スペインの自動車部品・システムサプライヤーであるFicosa International S. A. (Barcelona市)の株式を20%追加取得して出資比率を69%に高め、連結子会社化したと発表。2015年6月にパナソニックがFicosaの株式49%を取得して以来、両社は新型電子ミラーの共同開発を行ってきた。今後、さらに次世代コックピットシステムや先進運転支援システム(ADAS)など成長分野での共同開発を進め、事業拡大を目指す。
ブリヂストン スペイン、ポーランドで2022年までにタイヤの増産を段階的に実施

ブリヂストンは2017年10月、スペインとポーランドの3つのタイヤ工場を増強すると発表。ベルギーにある子会社のBridgestone Europe NV/SA(Brussels市)が総額約2憶6600万ユーロ(約324億円)を投資して、3工場合わせて20%以上の生産能力増強を2022年までに段階的に実施する。スペインのBurgos工場(Castilla y León州)では、日産能力を2万7500本から3万3300本に拡張する。大口径タイヤのほか、燃費性能や静粛性に優れる高性能品を中心に供給能力を高める。

フランスのタイヤ小売チェーンを2017年に買収

ブリヂストンは2017年6月、仏大手タイヤ小売チェーンGroupe Aymeの株式を100%取得し、完全子会社化したと発表。これにより、仏国内のタイヤ小売店網にAyme社の運営する小売チェーンCôté Routeの104店舗が加わり、従来からのFirst StopとSpeedyの小売店と合わせて900カ所超となった。
プレス工業 スウェーデン子会社で少量多品種生産に対応する設備を2017年に更新

プレス工業は、スウェーデンの子会社PRESS KOGYO SWEDEN AB (Oskarshamn州)で少量多品種生産に対応するため、レーザー加工設備1台を2017年6月に更新。サスペンション部品、シャシーの小ロット受注でも利益を出せる体制とした。2018年に2台目の導入も計画。複数の商用車メーカーからの受注拡大を図る。加えて、鋼板や製品の搬送などの付帯作業を自動化することでコストを削減。また、従来外部に発注していた製品の一部を社内に取り込み委託費用を削減し、コスト競争力を高める。
堀場製作所 英国子会社のエンジニアリング施設内に先進的排ガス試験設備を2017年に開設

堀場製作所は2017年7月、英国子会社HORIBA MIRA, Ltd. (Warwickshire州Nuneaton市)社内のエンジニアリング施設に、先進的排ガス試験設備Advanced Emissions Test Centre (AETC)を開設したと発表。AETCは、堀場製作所の最新鋭の排ガス試験装置や各種シミュレーション装置とHORIBA MIRAの計測ノウハウを融合した初のコラボレーション施設。従来の排ガス規制に加え、各種環境条件下の路上走行中での排ガス測定試験を義務付けた新しい規制RDE (Real Driving Emissions)に対応したもの。これにより、欧州自動車メーカーの開発を支援し、ビジネスの拡大を図る。
三菱ケミカル イタリアの炭素繊維成形メーカーに44%出資、欧米量産車メーカーの開拓を目指す

三菱ケミカルは2017年10月、ドイツの100%子会社Mitsubishi Chemical Carbon Fiber and Composites GmbH (Düsseldorf市)が、炭素繊維強化プラスチック (CFRP) 成形に強いイタリアのC.P.C. SRL (Emilia-Romagna州Modena市)の株式44%を取得したと発表。投資額は80億円強とみられる。C.P.C.は、欧米の高級車向けにCFRP成形部品を供給しているが、三菱ケミカルとの連携により量産車メーカーでの採用促進を目指す。今後、5000トン級、3000トン級プレス機の設置も予定。
三菱電機

オランダの欧州デジタル地図大手HEREと高精度位置情報サービス利用拡大に向け提携

三菱電機は2017年10月、オランダの欧州デジタル地図大手HERE Technologies (Amsterdam市)と高精度位置情報サービスの利用拡大に向けた提携で合意したと発表。両社はHEREの高精度地図およびクラウド位置情報サービスと三菱電機の高精度測位技術を融合し、予防安全や自動運転分野でより利用しやすく、メリットのある新たなサービスの普及を目指す。2020年頃から、まず欧米で事業を展開する。HEREは2015年にBMWなどドイツメーカー3社に買収され、Intelの出資も受け入れている。

三菱マテリアル 英国企業傘下の銅加工品事業部門を2017年に買収

三菱マテリアルは、英国Luvata社傘下で銅加工品を製造・販売する事業部門Luvata Special Products (フィンランドPori市)の買収を2017年5月に完了。Luvata Special Productsは、欧州、米州、アジアなど世界7ヵ国に12の生産拠点を持ち、自動車製造で使用する溶接電極材や、MRIなど医療機器向け超電導線など高付加価値製品群を擁している。買収により三菱マテリアルは、銅加工事業の地域をこれまでの日本や東南アジア中心からグローバルに広げると共に、新たな成長分野での事業展開を図る。

(参考資料:各社広報資料, 各紙報道)


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欧州、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オランダ、ベルギー、英国、スウェーデン、日系、サプライヤー、部品メーカー

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