東京モーターショー2017:Bosch、デンソー、アイシン、三菱電機の展示
電動化・自動運転・コネクテッドの3分野に対応
2017/11/02
要約
東京モーターショー2017(会期:2017年10月25日~11月5日、会場:東京ビッグサイト)では、自動車メーカーおよび部品メーカーとも、電動化・自動運転・コネクテッドを重点分野に掲げている。
東京モーターショー2017 |
本レポートでは、この3分野を自社テーマに掲げた、Bosch、デンソー、アイシン、三菱電機の展示内容を取り上げる。電動化ではeAxleやモーター、インバーターなどEV向けの駆動系システム、自動運転では測位システムや車両制御システム、コネクテッドではOTAアップデートやV2Xを活用したサービス、次世代HMIなどに関する多様な製品・技術が披露されている。各社が今回発表した主な展示内容は下表のとおり。
欧州や中国を中心にEVシフトのグローバルな潮流が見られる中、ハイブリッド車でリードしている日系メーカーも、将来の様々な市場の変化に備え、EV対応を急いでいる様子が展示内容から伺える。
自動運転やコネクテッドの分野では、自社の製品・サービス開発だけでは実用化が難しいことから、異業種も含めた国内外での幅広い協業や、専門機関と連携するサービスの実証実験など、多角的な取り組み状況が紹介されている。
電動化・自動運転・コネクテッドに関する主な発表・展示内容
|
電動化 | 自動運転 | コネクテッド |
---|---|---|---|
Bosch |
EV駆動システム、 |
自車位置推定技術、高精度マップ |
OTAアップデート、予防診断、 |
デンソー |
SiCインバーター、 |
ステレオ画像センサー、 |
解析プラットフォーム、予防安全、 |
アイシン |
FF 1モーターハイブリッドトランスミッション、 |
車両運動統合制御、 |
おもてなしサービス、 |
三菱電機 |
48Vハイブリッド車向けISGシステム |
自動運転技術の実証実験車、 |
AI活用の次世代カーナビ、 |
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Bosch:未来のモビリティのための自動化/ネットワーク化/電動化ソリューション
Boschは、交通事故のない(Accident-free)、ストレスのない(Stress-free)、排出ガスのない(Emissions-free)、未来のモビリティを形作るための製品と技術を紹介。ソフトウェアの無線更新(OTAアップデート)やeCall緊急自動通報などを体験できるデモカーを置いているほか、eAxleやバッテリーなどEVに搭載するシステムを展示している。また、高度な自動運転向けの電動パワーステアリング (EPS) システムや次世代ヘッドユニットなどが日本初出展となった。
Bosch 未来のモビリティのためのソリューション
Accident-free 交通事故のないモビリティのための自動化ソリューション |
Bosch Road Signature(自車位置推定技術) |
---|---|
高度な自動運転向けのEPSシステム Servolectric - EPSapa (ラック軸平行タイプ) |
|
Stress-free |
コネクテッド デモンストレーター |
次世代ヘッドユニット Convergence neoSense(ハプティック・フィードバック・ディスプレイ) |
|
Emissions-free |
EVステーション eAxle |
EVステーション (電気自動車の駆動システム) |
|
Servolectric (モーター/ECU) |
Servolectric (ラック軸平行タイプEPS) |
デンソー:未来のモビリティ社会に向けたEfficient/Connected/Automated Driving技術
デンソーはCore Technologies for Future Mobilityと称し、よりよい未来のモビリティ社会を形作る、下表の3分野について、製品や技術をVR映像やモックカーなどで紹介している。
デンソー 3つの注力技術分野
Efficient Driving |
あらゆるモビリティに電動化技術を届ける。 |
---|---|
Connected Driving |
あらゆるものがクルマとつながることで、新たに生まれるサービスとクルマが連携し、移動に新しい価値をもたらす。 |
Automated Driving |
センシング技術やAI、情報通信技術を進化させ、安全性を高め、移動の自由をかなえていく。 |
TOKYO CONNECTED LABのデンソーブースでは、走行先での事故や異常を予め検知して回避する解析プラットフォームや、車両情報を診断して補修部品を予め用意する等のサービスプラットフォーム、サイバー攻撃に備えるソフトウェアOTA等のセキュリティ対策を紹介(展示パネル)。新型Lexus LSに搭載するステレオ画像センサーとミリ波レーダーも展示して、協業先との連携を示していた。
デンソーのモックカー |
ステレオ画像センサー/ミリ波レーダー |
デンソーの有馬社長はプレスブリーフィングで、「エコドライビング」と「自動運転」について語った。エコドライビングでは、2020年ごろにSiCインバーターの量産を開始するとし、熱マネジメントシステムや電池ECUなどのエネルギーマネジメント技術を紹介。自動運転では360度の認知を実現するため、多様なセンサーの開発、提供を行ってきたと述べた。同社は2020年までの3年間に、電動化と自動運転の2分野に約5,000億円を投資する計画。
今回の展示ブースでは、デンソーの多様な車載製品事業のうち、「パワートレイン」「サーマル」「電子システム」「インフォメーション&セーフティ」の4事業について紹介している。
Powertrain |
Thermal |
Electronics |
Information & Safety |
アイシン:重点開発領域はゼロエミッション/自動運転/コネクティッド
アイシングループは自動車業界を取り巻く構造変化に対応するため、次世代成長領域として下表の3分野に重点的に取り組んでいる。アイシン精機の井原社長はプレスブリーフィングで、これら3分野の技術について進捗状況を紹介した。
アイシングループ 重点開発領域3分野
ゼロエミッション |
FF 1モーターハイブリッドトランスミッション |
---|---|
電気式4WD駆動ユニット (eAxle) |
|
自動運転 |
車両運動統合制御 |
自動バレー駐車 |
|
コネクティッド |
おもてなしサービス |
位置情報活用サービス |
FF 1モーターハイブリッドトランスミッション |
電気式4WD駆動ユニット (eAxle) |
同社ブース前にはグループが取り扱う幅広い製品を搭載したデモカーを展示。「パワートレイン」「走行安全」「車体」「情報・電子」の4つの事業領域における代表的な製品について、色分けして分かりやすく展示している。
アイシングループのデモカー |
デモカーのフロント部分 |
三菱電機:スマートモビリティー時代に向けた電動化/自動運転/コネクテッドの先進技術
三菱電機は「Feel the EMIRAI ~未来はここにある~」をコンセプトに、「電動化」「自動運転」「コネクテッド」の各種先進技術と製品を紹介。ブース中央には、これら3分野を集約したコンセプトカー「EMIRAI4」が置かれ、AR対応ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ドライバーモニタリングシステム、路面ライティングなど、次世代の運転支援技術を体験することができる。また、実証実験を行っている自動運転技術搭載車「xAUTO」について、公道での走行映像や搭載製品を紹介している。
コンセプトカー EMIRAI4 |
自動運転技術搭載車 xAUTO |
三菱電機 スマートモビリティー時代の技術・製品
電動化 |
48Vハイブリッド車向けISGシステム |
---|---|
自動運転 |
自動運転技術搭載車 xAUTO 三菱電機は2016年5月から高速道路で300時間を超える実証走行を実施。様々な道路環境や、濃霧や雪道など視認性が悪い環境下においても、自動運転が実用可能なことを確認した。 |
センチメータ級測位補強サービス (CLAS: Centimeter Level Augmentation Service) |
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コネクテッド |
AI活用の次世代カーナビゲーションシステム 車載ゲートウェイシステム ドライバーモニタリングディスプレイ Knob-on-display |
モービルマッピングシステム (MMS) |
準天頂衛星みちびき |
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キーワード
EV、電動化、自動運転、ADAS、コネクテッド、48V、EPS、OTA、LiDAR、3次元地図、Bosch、ボッシュ、デンソー、アイシン、三菱電機
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