VWグループ(下): 新経営戦略「Together – Strategy 2025」を実施

2025年までにEVを30車種投入、年間200‐300万台販売へ

2017/06/07

要約

Audi e-tron Sportback concept(4ドアグランツーリスモのEV)
Audi e-tron Sportback concept(4ドアグランツーリスモのEV)

 VW Groupが2016年6月に発表した新経営戦略「Together ‐Strategy 2025」は、同Groupが将来、持続可能なモビリティの提供において世界的リーダーとなるための戦略を示した。具体的には、自動車メーカーとしてのコアビジネスの変革に加え、配車サービスやカーシェアリングなど新たなモビリティサービス事業の構築、デジタル化や人工知能技術などイノベーションパワーの強化、さらにはこれらに必要な資金の確保について、今後の課題と目標を明らかにしている。

 新型車投入計画では、世界的に需要が高まっているSUVのラインアップ拡大・更新を行う。VWブランドは2017年にTiguanのロングホイールベース車、GolfベースのコンパクトSUV T-Roc、最上級SUVの新型Touaregを投入。Audiブランドは2018年に最上級SUVのQ8、2019年に小型スポーツ多目的車(CUV)のQ4を投入する。

 環境規制の対応では、排出ガス不正問題を経てディーゼルから電動化に大きくシフト。2018年までにEVとPHVを計10車種投入、2025年までにバッテリーのみで駆動するEVを30車種投入する。様々なセグメントでグループ傘下のすべてのブランドから電動車を投入し、2025年までにEVを年間200-300万台販売する計画。

 VW Groupの最大市場である中国では、SUVのラインアップ拡大、EVとPHVを含む新エネルギー車の投入で、今後も販売拡大を図る。VW Groupは、全世界で販売するEVのうち、3分の2は中国市場で販売するとしている。

 ディーゼル問題が一段落した米国市場では、VWブランドが2017年にSUVのAtlasとTiguanのロングホイールベース車を投入し、競争力を取り戻す構え。米国販売を6年連続増やしているAudiブランドは、2017年に中型クーペ/コンバーチブルのA5/S5、中型SUVのQ5/SQ5を投入。Q5は、Audiが2016年9月にメキシコに開設した北米初の工場で生産されている。

 なお、VW Groupの2016年および2017年第1四半期の販売台数と業績、ディーゼル排出ガス不正問題の和解交渉状況については、先に掲載した「VWグループ(上)」で報告した。

関連レポート
VWグループ(上):2017年に売上高最大4%増、営業利益率6-7%を見込む (2017年5月)



VW Groupの新経営戦略「Together – Strategy 2025」を発表

 VW Groupは、2016年6月に新経営戦略「Together – Strategy 2025」を発表した。VWがディーゼル排出ガス不正問題以後、初めて発表した経営戦略であり、同社の今後10年間の方針を指し示すものである。

 同戦略は、コアビジネスの変革、モビリティサービスの構築、イノベーションパワーの強化、資金の確保、という4つの分野で、取り組むべき課題と目標を明らかにしている。自動車の生産・販売というコアビジネスでは、ラインアップの穴を埋めるべくSUV攻勢をかけ、環境規制強化に対応するために電動化を推進する。排出ガス不正問題により、ディーゼルから電動化へシフトしたVWは、2025年までにバッテリーで駆動する電気自動車(BEV)を30車種以上投入する計画。バッテリー技術の自社開発にも注力する。また、中国や他の新興国では、他社と提携して低価格のエコノミーセグメントに参入する。

 モビリティサービス事業の構築では、オンデマンド配車アプリ会社との提携やモビリティサービス会社を新設して対応する。イノベーションパワーの強化では、デジタル化や人工知能(AI)の活用を拡大。資金の確保では、設備投資比率と開発コスト比率を売上高比6%以下に抑え、2025年の営業利益率を7-8%、資本利益率(ROI)を15%以上とする計画。



VW Group:新経営戦略 Together - Strategy 2025 (2016年6月17日発表)

コアビジネスの変革 ・SUV攻勢:2017年にSUVの新型車7車種を投入
・電動化:2018年までに電動車を10車種投入、2025年までにBEVを30車種以上投入し、年間200-300万台(全体の20-25%)販売する
・バッテリー技術の開発:リチウムイオン電池からソリッドステート電池へ、2020年に試験生産
・エコノミーセグメント車:2018年までに安徽江淮汽車(JAC)と低価格EVを、2019年までにTataとエコノミー車を共同開発する
・自動運転システムの開発:2021年までに自社開発の自動運転車を投入
・部品ビジネスの再編
モビリティサービスの構築 ・オンデマンド配車サービスを拡大 - 2016年12月に設立した新モビリティサービス会社 MOIAと2016年5月に提携したオンデマンド配車サービス会社 Gettを通じて、カーシェアリングおよび輸送サービス事業を拡大。2025年までに数十億ドル規模の売上達成を目指す。
イノベーションパワーの強化 他社との提携等を通じて
・製造から顧客との接点に至るまで、各分野・各ブランドのデジタル化を推進
・人工知能(AI)の利用
資金の確保 ・2025年までの設備投資比率を6%以下、開発コスト比率を6%以下に削減し、新しい分野へ進出する資金を捻出する
・2025年の目標:営業利益率は7-8%、自動車部門の資本利益率(ROI)は15%以上
資料:Presentation of Annual Media Conference and Investor Conference 2017



VW Group:モビリティサービス分野での動き

Gettと提携 VW Groupは2016年5月、オンデマンド配車サービスのベンチャー企業Gettと提携し、カーシェアリングおよび輸送サービス等のモビリティサービス部門を新設。2025年までに数十億ドル規模の売り上げを達成する計画。
新会社 MOIAを設立 VW Groupは2016年12月、新モビリティサービス会社 MOIA を設立。誰もが自動車を所有する社会ではなくなるであろう将来に向け、個人向けにモビリティサービスを提供する。まず、配車アプリの提供サービスから開始する。最初の試験プロジェクトは2017年に開始する計画。



VW Group:コネクテッドカー、半導体、ナビゲーション分野で提携

LG電子
(コネクテッドカープラットフォーム)
VW Groupは2016年7月、次世代のコネクテッドカーサービスプラットフォームの共同開発について、韓国のLG電子と提携すると発表した。両社は協力して、ドライバーに直感的で安全な方法で情報を伝える通知センター、コネクテッドカーとスマートホームを結ぶ技術、次世代インフォテインメントを開発する計画。
Infineon
(半導体)
VWは2017年2月、ドイツの半導体大手Infineon Technologiesを戦略的半導体プログラムの最初のパートナーとすると発表した。同プログラムは、次世代の車両の技術ソリューションを開発することを目指す。最近の車両は100個ものネットワークECUを装備し、何千にも上る電子部品を使用しているため、半導体メーカーと協力して革新的な半導体を開発する。
Mobileye
(次世代ナビゲーションシステム)
VWとMobileyeは2017年2月、次世代自動運転用ナビゲーションシステムに関する提携について合意した。Mobileyeは、リアルタイム道路情報マッピングシステム Road Experience Management (REM)を、2018年からVWモデルに提供する。VW車はMobileyeのセンサーシステムから取得した道路情報を、圧縮データでクラウドに送信することにより、次世代インテリジェントマッピング用データを収集する。将来は他の自動車メーカーもデータ収集に参加し、業界標準の形成を目指す。



VW Group:人員削減計画と新事業強化

VW Groupは2016年11月、2025年までにドイツで23,000名の人員削減を行うことで労働組合と合意した。人員削減は、自然減と早期自主退職で行う。この再編計画により、2020年以降、年間37億ユーロのコスト削減を見込んでいる。一方、EV事業とデジタル化強化のため、35億ユーロを投資し、9,000名を新規雇用する予定。


新型車投入計画:引き続きSUVラインアップを拡大・更新

新型中型セダンVW Arteon
新型中型セダン VW Arteon(ジュネーブモーターショー)

 新型車の投入では、VW ブランドは引き続きSUVラインアップを拡大・更新する計画。2017年にはTiguanのロングホイールベース車を投入するほか、Golfベースの小型SUV T-Roc、7年ぶりにモデルチェンジする最上級SUVの新型Touaregを発売する。また、上級モデルのファストバックArteon、8年ぶりにモデルチェンジする新型Poloも投入する。

 Audiは2017年にフラッグシップセダンの新型A8を投入する。また、2018年には最上級SUVのQ8、2019年には小型スポーツ多目的車(CUV)のQ4を投入する予定。



VW Groupの新型車投入計画

VWブランド

Arteon 大型リアハッチのクーペスタイルのファストバック。5人乗り。2017年3月のジュネーブモーターショーで初公開。2017年6月からドイツで販売開始予定。Passatの上に位置するモデル。MQBプラットフォームを採用。エンジンは6種の4気筒ターボエンジン(ガソリンとディーゼルが3種ずつ)から選択。ドイツ・Emden工場で生産する。
Tiguan Allspace コンパクトSUV Tiguan の7人乗りバージョン。通常のTiguanよりホイールベースが11cm長い。2017年に中国、北米、欧州に投入する。ロングホイールベースのTiguanは、欧州ではTiguan Allspaceと称するが、北米・中国ではTiguanと称する。
新型 Polo 8年ぶりにモデルチェンジするコンパクトカー。2017年6月に生産開始予定。MQB A0プラットフォームを採用。現行車より全長・全幅とも拡大する。
T-Roc 新型GolfをベースとするコンパクトクロスオーバーSUVの新モデル。MQBプラットフォームを採用。2017年後半に発売予定。
新型Touareg 7年ぶりにモデルチェンジする最上級SUV。2017年11月に生産開始予定。新型Audi Q7と同じMLBプラットフォームを採用。



Audiブランド

新型A8 Audiのフラッグシップセダン。2017年7月に発表予定。レベル3の自動運転技術を採用したTraffic Jam Pilotを搭載。車線が明確な自動車専用道路においては、時速35マイルまで運転操作をシステムに委ねることができる。
Q8 クーペスタイルの最上級SUV。2017年1月のデトロイトモーターショーにQ8コンセプト、同年3月のジュネーブモーターショーにQ8 Sportコンセプトを出展。2018年よりスロバキア・Bratislava工場で生産する。
Q4 Audiブランド初の小型スポーツ多目的車(CUV)。2019年よりハンガリーのGyor工場で生産する。Q4はQ3とQ5の間に位置づけられ、クーペスタイル。


電動車両投入計画:2020年からMEBプラットフォームを採用

VWのEVミニバス I.D. Buzz
EVのミニバス VW I.D. BUZZ(ジュネーブモーターショー)

 新経営戦略「Together – Strategy 2025」によると、VW Groupは2018年までに電動車を10車種投入する計画。これには、e-GolfやGolf GTEなど、現行モデルやその更新モデルである電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド(PHV)が含まれる。2018-2019年にはAudi初およびPorsche初の100%電動EV、Audi e-tronとPorsche Mission Eを投入する。

 2020年からはEV用に開発されたMEBプラットフォームの採用を開始。2025年までにMEBプラットフォームを使用し、バッテリーで駆動するEVを30車種投入する。車型はコンパクトカーからセダン、クロスオーバー、SUV、ミニバンなど多様なスタイル・サイズにわたり、各ブランドから販売される。2025年には年間200-300万台の電動車を販売する計画。



電動車両投入計画

VWブランド:2025年にEVを100万台販売へ

改良型 e-Golf GolfのEVモデル。2017年4月に生産開始。リチウムイオン電池の容量を24.2kWhから35.8kWhに拡大。航続距離はNEDCモードで190kmから300kmに拡大。モーターの最高出力は旧型より15kW大きい100kW。ドイツのWolfsburg工場とTransparent工場(Dresden)で生産する。
I.D. VWの新しいEVシリーズの最初のモデル。小型ハッチバックのEV。2016年9月開催のパリモーターショーにコンセプト車を出展。電動車両用のMEBプラットフォームを初めて採用。最高出力 125kWのモーターを搭載。航続距離は400-600km。2020年に生産開始予定。2025年以降、完全自動運転モードを備える予定。
I.D. BUZZ I.D.の派生車でEVのミニバス。2017年1月開催のデトロイトモーターショーにコンセプト車を出展。MEBプラットフォームを採用。システム最高出力は275kW。航続距離は600km。2020年に生産開始予定。完全自動運転モードを備える。
I.D. CROZZ I.D.の派生車でEVのクロスオーバーCUV。2017年4月開催の上海モーターショーにコンセプト車を出展。MEBプラットフォームを採用。全輪駆動でシステム最高出力225kW、最高時速180km/h、航続距離 500km。2020年に生産開始予定。完全自動運転モードを備える。



Audiブランド:2025年に生産台数の3分の1を電動車両へ

Audi e-tron Audiブランド初のEV。2018年投入予定の電動SUV。サイズはQ5とQ7の間に位置する。2015年のフランクフルトモーターショーに出展したAudi e-tron quattro conceptの量販バージョン(呼称からquattroを外した)。最高出力は320kW。航続距離は500km。0-100km/h加速は4.6秒。
Audi e-tron Sportback concept クーペスタイルの4ドアグランツーリスモのEV。2017年の上海モーターショーに出展。量販バージョンを2019年に投入予定。最高出力は320kW。航続距離は500km。0-100km/h加速は4.5秒。
h-tron 燃料電池車。量産車を2025年に投入予定。



Porscheブランド:2019年にスポーツカーのEVを投入

Mission E 2019年に発売予定。4人乗りスポーツカーのEV。2015年のフランクフルトモーターショーにコンセプト車を出展。航続距離500km。0-100km/h加速3.5秒。競合車はTesla Model S と想定される。


中国市場:Tiguanロングホイールベース、TeramontなどSUV拡充

中国専用車VW PhideonのPHV
中国専用車VW PhideonのPHV

 VW Groupにとって最大市場である中国市場では、2016年の乗用車販売台数(工場出荷台数で、輸入車販売は含まない)が前年比12.1%増の378万台となったが、2017年1-4月は2.1%減の125万台。ブランド別では、VWブランドが0.4%減と微減であるのに対し、Audiブランドは11.6%減と大幅に減少。VW Groupは、中国でのAudi車の生産・販売をめぐる上海汽車との新たな提携について、既存の第一汽車系のディーラーが反発し、一時入荷を拒否したことが販売減につながったと説明している。上海汽車との提携は2020年以降に延期される模様。

 中国市場全体の車型別構成を見ると、2012年に市場の69.3%を占めていたセダン・ハッチバックが2016年に49.8%に減少する一方、SUVは12.9%から37.1%に拡大した。しかし、SUVのラインアップが少ないVW Groupは、2016年のセダン・ハッチバックが総販売台数の86.2%を占めたのに対し、SUVは12.6%にとどまっている。この状況に対応し、VW Groupは2017年にVWブランドのコンパクトSUV Tiguanのロングホイールベース車、大型SUVのTeramont、Audiブランドの中型SUVのQ5、Skodaブランド初の大型SUV Kodiaq等を投入している。

 また、中国市場では環境規制が強化されており、自動車メーカーは2020年までに平均燃費を5L/100km(2016年は6.7L/100km)に低減しなければならない。2017年夏にはCO2排出量取引制度を導入し、2018年からは自動車メーカーに新エネルギー車(EV、PHV、燃料電池車)の生産を義務付ける計画をしている(2017年6月現在、中国政府は同計画の約1年延期を検討中)。市場全体では、2016年に31万台だった新エネルギー車の販売を、2020年には200万台、2025年には700万台に拡大することを目標としている。VW Groupは2025年までに200-300万台のEVを販売する計画だが、その3分の2を中国市場で販売するとしている。2017年5月には、中国で3社目となる合弁相手、安徽江淮汽車と合弁会社を設立し、中国で低価格のEVを共同生産すると発表した。さらにAudiブランドは、中国のITサービス大手のAlibaba、Baidu、Tencentと提携し、将来のコネクテッドカーを支えるシステムを構築。VW GroupはMobvoiと合弁会社を設立して車載AI技術を開発する。

中国乗用車市場の車型別構成 VW Group乗用車の車型別構成



VW Group:中国で投入する主な新型車(2017年)

SUV

VW Tiguan L コンパクトSUV Tiguanのロングホイールベース車。2017年1月に発売。1.8L/2.0L ターボエンジンを搭載、7速DSGを組み合わせる。上汽VWの上海・安亭工場で生産。
VW Teramont 2017年3月に投入された新モデルの大型SUV。米国ではVW Atlasとして販売。7人/6人乗りを選択でき、低トルク・高トルクの2.0L ターボまたは2.5L V6ターボエンジンを搭載する。上汽VWの浙江省寧波工場で生産。
新型Audi Q5 中型SUV。2017年に投入。2.0L 4気筒ターボエンジンを搭載。四輪駆動のみの設定。一汽VWの長春工場で生産。3.0L V6ターボエンジン搭載車は輸入販売。
Skoda Kodiaq Skoda初の大型SUV。2017年4月に投入。5人/7人乗りを設定する。1.8L TSI エンジンまたは2.0L TSI エンジンを搭載、7速DSGを組み合わせる。生産は上汽VW で行われる。Skodaは今後数年間に多くのSUVを投入し、同セグメントのラインアップを充実させる計画。



その他の車型

VW Phideon
(PHV)
中国専用車のVWフラッグシップセダン Phideon のPHV版。2017年8月に発売予定。2017年上海モーターショーに量産モデルを出展。2.0L 4気筒直噴ターボガソリンエンジンとモーターを搭載。システム最高出力は180kW。EV航続距離は50km、トータルの航続距離は850km。
新型 VW Lavida 中国専用車のコンパクトセダン。2017年に新型車を投入予定。



VW Group:安徽江淮汽車と提携し、EVを共同生産へ

VW Groupと安徽江淮汽車は2017年6月、新エネルギー車の共同研究開発と製造に関する契約書に署名した。総投資額は60億元。両社は折半出資の合弁会社を設立し、新たなブランドで低価格のEVを2018年に生産開始する計画。年産能力は最大36万台。VWは既に上海汽車と第一汽車の2社と提携しているが、例外的に3社目との提携を中国政府が承認した。



中国での電動車両投入計画

VW Group 2025年までに世界で年間200-300万台販売するEVのうち、3分の2を中国で販売する計画。
VWブランド 上記のうち、VWブランドは年間100万台のEVを世界で販売。そのうち60万台を中国で生産・販売する計画。
Audiブランド ・2021年までにAudi e-tronシリーズの5車種(航続距離500km超のEVを含む)を中国で生産する(第1号は2016年11月に発売したPHVのA6L e-tron)。
・2025年までに全量販セグメント(6セグメント)において、SUVとセダンのEVを少なくとも1車種ずつ現地生産する。



Audi:中国のAlibaba、Baidu、Tencentと提携

Audi Chinaと一汽VWは2016年9月、Alibaba、Baidu、Tencentとの三者間の提携に関する覚書に署名した。データ分析、インターネット・車両間プラットフォーム構築、都市型インテリジェント交通の分野で協力する。具体的には、Alibabaとの協力のもと、リアルタイム交通情報をAudi MMIに組み込み、高解像度3Dマップを提供する。また、スマートフォンと車をシームレスにつなぐBaiduのシステムを、2017年以降のモデルに採用。Tencentの位置・音楽情報共有サービスも随時新モデルに組み込む計画。



VW Group: Mobvoiとの合弁会社で車載AI技術を開発

VW Group Chinaと中国で人工知能(AI)技術を手掛けるMobvoiは、2017年3月、折半出資で合弁会社を設立し、自動車産業におけるAI技術の研究開発・応用を進めると発表した。VWの総投資額は1.8億ドル。両社の合弁会社は、Mobvoiの音声認識技術や自然言語処理技術を利用し、将来のスマート・モビリティのソリューションを探求・提供する。


米国市場:VW Atlas、Audi A5/S5などを投入、2021年にEVを現地生産

 米国市場におけるVW Groupの2016年light vehicle販売台数は、前年比2.6%減の59.1万台。VWブランドは7.6%減、Audiブランドは4.0%増。米国市場全体は0.5%増加していたが、VW Groupの販売はディーゼル問題の影響等で減少し、市場シェアも3.5%から3.4%に縮小した。モデル別では、VW Tiguan、Audi A4、Q3、Q7の販売は増加した。2017年1-4月にはVW Groupの販売が回復し、前年同期比7.5%増の18.7万台。VWブランドは7.9%増、Audiブランドも7.7%増となった。

 車型別で見ると、最近の米国市場では、低いガソリン価格を反映してSUVなど小型トラックの比率が増えている。2016年の米国light vehicle市場では小型トラックが59.7%を占めたが、小型トラックに含まれる車種としてSUVのTiguanとTouaregしか持たないVWブランドは14.8%にとどまった。同ブランドは今後の戦略として、米国での競争力を取り戻すため、同国のコアセグメント(SUVとセダン)のラインアップ拡大に注力する。2017年にはSUVのAtlasとTiguan(ロングホイールベース車)、セダンの新型Jettaを投入する。また、米国市場の電動化を見据え、2021年には米国でMEBプラットフォームをベースとするEVを生産する計画。

 Audiブランドは米国市場で順調に販売を伸ばし、販売台数は6年連続増加している。ただ、2016年には小型トラックは17.7%増加したが、乗用車は6.4%減少。2017年1-4月も乗用車は2.6%減少した。2017年には中型クーペ/コンバーチブルのA5/S5、中型SUVのQ5/SQ5を投入し、高級車市場でのシェア拡大を図る。また、電動車両では、2020年までにバッテリーで駆動するEVを3車種投入する計画。

 生産拠点構築では、2016年9月にAudiが北米初の工場をメキシコに開設。新型Q5の生産を開始した。

中型SUVのVW Atlas R-Line
新型中型SUVのVW Atlas R-Line
VW Group乗用車のブランド別販売



VW Group:米国で投入する主な新型車

VWブランド

 Atlas 7人乗りミッドサイズSUV。2017年5月に発売。MQBプラットフォームを採用し、米国のVWのラインアップでは最大サイズ。2.0L ターボ TSI または3.6L V6 エンジンを搭載し、8速ATを組み合わせる。V6モデルは四輪駆動の選択が可能。テネシー州Chattanooga工場に9億ドルを投資し、Atlasを生産する。同モデルは2017年末からロシアと中東市場でも販売される。
Tiguan
(ロングホイールベース車)
コンパクトSUV Tiguanのロングホイールベース車。2017年夏に投入予定。MQBプラットフォームを採用。ホイールベースは欧州Tiguanより11cm長い。これにより、2列目シートの前後スライドや3列目シートのオプション設定が可能。メキシコ・Puebla工場で生産。
新型Jetta コンパクトセダン。2017年に投入予定。



Audiブランド

 A5/S5 A4/S4ベースの中型クーペ/コンバーチブル。2017年春に発売。ハッチバッククーペのスポーツバックが追加された。四輪駆動のみの設定。A5は2.0L 4気筒ターボエンジン、S5は3.0L V6ターボエンジンを搭載。
新型
Q5/SQ5
5人乗りの中型クロスオーバーSUV。2017年春に発売。2016年9月に稼働したメキシコSan Jose Chiapa工場で生産。Q5は2.0L 4気筒ターボエンジン、SQ5は3.0L V6ターボエンジンを搭載。



Audi:北米初の工場をメキシコに開設

Audiは2016年9月、メキシコ・プエブラ州のSan Jose Chiapaに北米初の工場を開設した。10億ユーロ超を投資し、年産能力は15万台。まず、新型SUVのQ5を生産する。敷地内にはプレス、車体、塗装、組立の各工場があり、隣接するサプライヤーパークには7社のサプライヤーが稼働を開始。生産開始時点で北米地域からの調達率は70%超となっており、今後長期的に増やしていくとしている。



VW:新型Tiguan(ロングホイールベース車)をメキシコ工場で生産

VWは2017年初頭よりメキシコ・Puebla工場で新型SUV Tiguan(ロングホイールベース車)を生産している。同モデルの生産のため、同工場へ10億ドルを投資し、新たに1,900名の従業員を採用した。Puebla工場で生産されたTiguanは、メキシコ、北米、南米で販売される。

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キーワード

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