日産セレナ車両分解調査(II)使いやすい装備類

創意工夫をシンプルな構造で実現

2017/04/07

要約

セレナのシートアレンジはスマートマルチシートが特徴
上半分だけ開閉可能なバックドア

 前報の日産セレナ車両分解調査(Ⅰ)自動運転技術プロパイロットに続き、2017年1月にひろしま産業振興機構のベンチマーク活動で行われた5代目セレナ(C27型:2016年発売)の車両分解調査の内容を報告する。

 日産セレナには、ミニバンユーザーが実際に使用するシーンをよく考えた、便利な工夫が装備されている。今回のレポートでは、そうしたセレナの使う立場でよく考えられた装備類について解説する。

 2列目のシートアレンジは使いやすくて豊富なバリエーションがある。中央席を前に大きくスライドさせることで、3人乗車がゆったり空間の2人乗車になる。2列目左側シートは、前後だけでなく横方向にもスライド可能であり、シーンにあった使いやすいレイアウトを選べる。例えば、2列目にチャイルドシートを装着してシートバックが倒れない状態でも、スライドドアから3列目シートに乗りこむことスペースを作れるなど工夫がたくさんある。

 バックドアには、狭い駐車スペースで大きなバックドアが開けられない時に、上半分だけ開閉可能な、ハーフバックドアを備えている。

 後席用のクーラー配管は、低圧パイプの内側に同軸の高圧パイプを内蔵する構造になっている。こうすることで、コンプレッサーから後席用クーラーユニットまでの長い配管でも、冷媒温度を逃さないような工夫が織り込まれている。

 また、給油口にはキャップを手で回して外さなくても、給油口の蓋を開けるだけで、給油ができるキャップレス給油口が備わっている。このように、使うと便利な数々のブレークスルーが、決して複雑で高価なものではなく、とてもシンプルな構造で作られている。これらの構造がどのようなものなのか、以下に紹介する。



過去の分解レポート
日産セレナ
(Ⅰ)自動運転技術プロパイロット(2017年2月)
VWパサート
(Ⅰ)1.4Lガソリンターボエンジン(2016年10月)
トヨタクラウン
(Ⅰ)直噴V6 2.5Lエンジン「4GR-FSEエンジン」(2016年5月)
(Ⅱ)レクサス車と共通のFR高級車用シャシー技術(2016年5月)
(Ⅲ)車体構造と遮音吸音材 (2016年8月)
(Ⅳ)トヨタクラウン車両分解調査:写真集 (2016年9月)
トヨタ 4代目プリウス
(上)燃費40km/Lのために高効率化と軽量化されたパワートレーンユニットの進化(2016年2月)
(中)TNGA/シャシー・空力性能技術の進化(2016年3月)
(下)新プラットフォームTNGAの車体構造と遮音吸音材・制振材の技術(2016年3月)
132部品の写真集:TNGAのコンポーネント/部品の詳細写真と主要部品サプライヤー一覧(2016年4月)
ダイハツムーブ (2015年2/3月掲載)
(上) サプライヤーリストとシャシー/シート/電装関係部品
(中) 軽量化・小型化を追求したターボエンジンと3軸ギヤトレーンのCVT
(下) 直線的骨格で合理性を追求した車体構造
ホンダ フィットハイブリッド (2013年12月掲載)
(1) 電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
(2) エンジンとモーター内蔵7速デュアルクラッチトランスミッション
VW Polo (2014年11/12月掲載)
(上):サプライヤーリストとエンジンルーム、運転席周りの分解
(下):1.2TDIターボディーゼルエンジン、サスペンションの構造
トヨタ アクア (2012年11月掲載)
(1) 主要部品サプライヤーと電池関連部品
(2) 燃費35.4km/Lを達成したハイブリッドシステム
日産 ノート (2014年9月掲載)
(上):主要安全技術と先進運転支援システム
(下):スーパーチャージャーを採用したドライブユニット
日産 リーフ
(1) 分解調査(2012年2月掲載)
(2) 主要部品の分解展示報告 (2012年9月掲載)
(3) カットボディーの展示取材報告(2012年11月掲載)
ホンダ アコードハイブリッド (2014年2月掲載)
(上):PCUとシャシ関連部品
(中):電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
(下):ドライブユニット
トヨタ プリウス (2010年3月掲載)
プリウスの分解実験
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