中国の日系部品メーカー:華南・華中・西南での動向

既存工場の生産能力増強、新生産工場建設、現地開発強化

2015/11/05

要 約

 本レポートは、中国における日系部品メーカーの、華南・華中・西南での動向をまとめた。(2015年1月から2015年10月上旬までの約9ヵ月間を収録)

 日系部品メーカーは、広東省では既存工場の生産能力増強、新会社設立、技術開発拠点の強化がみられる。また、同省では、円安や中国での人件費高騰に対応した一部商品の日本への生産移管の動きもある。
 湖北省・重慶市では内陸での需要拡大をにらんだ設備増強と新会社設立がみられる。

華南周辺
華南周辺
(クリックすると拠点マップが開きます)
華中・西南周辺
華中・西南周辺
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生産能力増強
(*は新品目も生産)
生産ライン・設備
等の増設など
【広東省】旭テック、臼井国際産業、エイチワン、JSP、日鍛バルブ
【湖北省】エイチワン*、寿屋フロンテ(大連市には新工場)、ファルテック
【地域不明】西川ゴム
建屋拡張 【湖北省】ヨロズ
新会社設立・工場建設/稼働 【広東省】昭和電工(第2拠点、合弁)
【湖北省】NTN(第3拠点、合弁)、カルソニックカンセイ
             JSP(吉林省にも新工場)、タチエス、友成機工
【重慶市】ニフコ日立AMS
技術開発拠点の強化 (*は新品目開発も) 【広東省】河西工業*、ジーテクト
国外に生産移管 【広東省】クラリオン


日系部品メーカー動向関連レポート:
中国編:華東・華北・東北地域・中国全体での動向 (2015年10月)
タイ編 (2015年9月)
欧州編 (2015年8月)
メキシコへの新規進出 (2015年6月)、メキシコでの増強とブラジルでの動向 (2015年7月)
東南アジア編 (2015年4月)、米国編(2015年3月)
インド編 (2014年11月)
 



華南 広東省での動向:エイチワン、河西工業、ジーテクト、ヨロズ

旭テック
アルミホイールの生産能力増強
旭テックは、広州東凌実業集団との合弁会社の広州馭風旭鋁鋳件有限公司(Guangzhou Wheelhorse Asahi Aluminium Co.,)で四輪車向けアルミホイールの年産能力を2015年の400万本から2017年3月末までに500万本に増強する。投資額は数十億円。製品の半分を日本に輸出し、残りを中国の日系自動車メーカーや現地メーカーに供給。将来的には、日系メーカーの欧米拠点にも販路を拡大する計画。(2015年7月報道)
臼井国際産業
自動車向け配管の生産能力増強、配管材料も現地生産へ
臼井国際産業は、臼井汽車零部件(佛山)有限公司の車体向け集中配管の生産能力を2019年度に2014年度比3倍に拡大させる。また、2015年内に安徽省合肥市の工場で集中配管向け管材の生産を本格化させ、日本からの輸出に替えて、佛山などの最終加工工場に供給。中国で材料調達から加工までの一貫生産体制を整える。この他、完成車メーカーの工場近くで配管の曲げ加工などを行う集中配管のサテライト工場を2ヵ所新設し、中国全体で6カ所に拡充する。2018年度に、同事業の中国全体での売上高を2014年度比約2倍に引き上げる計画。(2015年7月報道)
エイチワン
清遠工場のプレス能力を増強
エイチワンは、清遠愛機汽車配件有限公司(QH Auto Parts Industries Inc.)に1500トンプレス機2台と800トンプレス機1台を導入し、2015年4月に稼働。主要取引先の増産計画に対応。投資額は約27億円。広州地域でのプレス負荷の平準化も図る。広州地域では、広州愛機汽車配件でも、車体骨格部品を生産している。
河西工業
広州の開発センターを強化
河西工業は、広州河西汽車内飾有限公司(Guangzhou S.K. Automotive Interior Co., Ltd.)内に設置している中国開発センターでの恒温恒湿槽やエージング槽等の実験設備を増強。2015年秋の稼動予定。開発担当者も2015年半ばの約30人から将来は50人程度に増員する計画。これにより中国開発センター主導で、中国向け製品の設計機能と実験機能の強化を図る。
クラリオン
東莞工場で生産する一部製品を日本に移管
クラリオンは、東莞歌楽東方電子有限公司(Dongguan Clarion Orient Electronics Co., Ltd.)で生産するカーナビ、ディスプレーオーディオ、一部のカメラなどを日本に移管し、2015年5月から生産開始。年産、数十万台の見通し。円安や中国での人件費高騰に対応したもの。今後、円安が更に進行した場合、移管する機種を増加させる計画。(2015年7月報道)
ジーテクト
広州での開発体制を強化し、現地専用機種の部品を開発
ジーテクトは、複数の拠点を持つ広州での開発体制強化に本格的に取り組む。中国では、現地企業に価格優位性があるため、既存モデルがモデルチェンジを迎えるたびに受注ができなくなっている。このため、最初から開発する車の部品なら同社に優位性があるため、現地専用機種での受注活動を強化する。ホンダの現地開発の方針を踏まえ、開発体制を強化し、駐在員数を増加するほか、現地技術者を日本で教育する。(2015年2月報道)
JSP
広州工場の設備増強などで発泡ポリプロピレンビーズの生産能力引上げ
JSPは、広東省東莞工場で設備更新などにより2015-2016年に発泡ポリプロピレンビーズの生産能力を高める。中国全体でも生産能力を増強し、2016年1月には無錫の現地子会社の長春分公司(仮称)の新工場が、2017年1月には武漢の新工場が稼働予定。
昭和電工
熱硬化性成形材料(BMC:Bulk molding compound)の中国第2製造拠点を設立
昭和電工は、台湾の長興材料工業股份有限公司との合弁で昭和電工新材料(珠海)有限公司を2015年7月に設立。資本金は約11.9億円。出資比率は、昭和電工70%、長興材料工業30%。操業開始は2016年12月(予定)。中国でのBMC販売が年平均2ケタの高い伸びにあり、第1製造拠点の上海工場がフル操業状態にあるため、供給体制を強化する。
日鍛バルブ
広州工場のエンジンバルブ生産能力拡張へ、中期的には新工場建設を検討
日鍛バルブは、広州日鍛汽門有限公司(GUANGZHOU NITTAN VALVE CO.,LTD.)で主要取引先のホンダや現代自動車からの受注増に対応し、エンジンバルブの生産ラインを2015年央の13本から2017年度までに15本に増設する。2019~2020年には更に3ラインの増設を想定しているが、現工場にはスペースが無いため、新工場の建設を検討する。立地は、広州工場の周辺と内陸部が候補にあがっている。(2015年8月報道)
ファルテック
広州市、湖北省の工場で生産品目を拡大、売上高増を計画
ファルテックは、外装部品の生産品目を拡大する。広東発爾特克汽車用品有限公司(佛山ファルテック)では、一般的な乗用車用ウインドモールを生産しているが、新たに大型SUV用のステンレス製ウインドモールを受注したため、大型プレス機などを増設し新ラインを設置。また、湖北省の工場でも新品目を生産するなど、中国全体での売上高を、2014年度の約70億円から2017年度に150億円へ引き上げる。
ヨロズ
広州の工場に大型プレス機導入、第3生産拠点建設も検討
ヨロズは、2015年に広州萬宝井汽車部件(G-YBM)の工場建屋を拡張し、3000トンプレス機を1基導入する。超ハイテン材の採用がサスペンション部品でも広がることに対応し、生産能力を1.5倍に増強する。また、同社の新中期経営計画(2015~2017年度)では、中国第3生産拠点の建設を検討。

 

 



華中 湖北省での動向:NTN、カルソニックカンセイ、タチエス、ファルテック

エイチワン
武漢工場に3000トンサーボプレス機を追加投入
エイチワンは、武漢愛機汽車配件有限公司(WH Auto Parts Industries Inc)のプレス工場に3000トンサーボトランスファープレス機を設置し、2016年8月に稼働予定。投資額は約17億円。これにより、多種多様な製品を高ハイテン材で量産する体制を整え、製品の差別化を進めると共に、主要取引先の増産計画に対応する。
NTN
湖北省襄陽の等速ジョイント新工場が2015年4月に量産開始
NTNは、合弁会社の襄陽恩梯恩裕隆傳動系統有限公司(襄陽NTN)を2014年に設立。資本金は3400万ドル。出資比率は、NTN60%、台湾の裕隆グループ40%。新工場は、中国での等速ジョイント生産の第3拠点で2015年4月に量産開始。日米欧系メーカーからの新規受注の増加により、広州、北京の工場でフル生産が続き、拡大のスペースもないため新会社を設立。2017年度の売上高は約140億円を計画。
カルソニック カンセイ
武漢の東風ルノー工場内に排気系部品の組立工場を新設
カルソニックカンセイは、2016年に稼働する東風ルノー汽車(武漢市)の新工場内に、排気系部品などの組立工場を新設。投資額は10億円前後の見通し。日産との共通部品を多く使用するルノーブランドのSUV向けに供給する。東風ルノー汽車の年産能力は15万台。
寿屋フロンテ
武漢の工場を拡張、内装部品の生産能力拡大
寿屋フロンテは、中国でのフロアカーペットなどの内装部品事業を拡大させ、2016年度の売上高を2014年度比約55%増の約110億円に引き上げる計画。武漢寿屋汽車内飾件有限公司では、工場建屋を約2倍に拡大し、内装部品の生産ラインを増強し、2016年から東風ルノー汽車に納入を開始する。
JSP
武漢に新工場建設、発泡ポリプロピレンビーズの生産能力引上げ
JSPは、中国で発泡ポリプロピレンビーズの生産能力を増強する。杰斯比塑料(武漢)有限公司(JSP Plastics (Wuhan) Co., Ltd.)の新工場が2017年1月に稼働予定。年産能力は3000トン。総投資額は約12億円。このほか、2016年1月には無錫の現地子会社の長春分公司(仮称)の新工場が生産開始予定。広東省東莞工場でも設備更新などで生産能力を高める。これらにより、2017年には中国全体での年産能力を2万4000トンに引き上げる。
タチエス
湖北省襄陽市で新工場が稼働、中国事業拡大へ
タチエスは、襄陽東風李爾泰極愛思汽車座椅有限公司の新工場がシートの生産を2014年10月に開始。年産規模は2016年度に約11万台を予定。同時期に、大連の新工場も生産開始し、シート関連の中国拠点は12カ所となった。今後、2017年度までに約70億円を投じて各地の生産設備や開発センターを増強し、中国での売上高を2014年度の約250億円から約600億円に引き上げる計画。現状では日系メーカーへの納入が多いが、中国メーカーへの拡販も強化する。
友成機工
湖北省孝感市のランプやエアバッグ用部品の新工場稼働へ
友成機工は、ランプやエアバッグの部品を生産する湖北友成塑料模具有限公司(湖北省孝感市)を2014年9月に設立。中国で9カ所目の拠点で、取引先の内陸進出に対応。資本金は1000万ドル。工場は2016年9月に稼働する計画。これにより中国全体での生産能力を約15%高める。工場稼働後も順次設備を整え、2018年のフル稼働を目指す。
ファルテック
湖北省の拠点でルーフレールを新たに生産、部品加工も内製化
ファルテックは、湖北発爾特克汽車零部件有限公司(湖北ファルテック、襄陽市)に、新たな生産設備を導入し、2015年秋からルーフレールを量産開始。部品加工も内製し、付加価値を高める。
ヨロズ
武漢の工場に大型プレス機導入、第3生産拠点設立も検討
ヨロズは、2015年に武漢萬宝井汽車部件(W-YBM)の工場建屋を拡張し、3000トンプレス機を1基導入。超ハイテン材の採用がサスペンション部品でも広がることに対応し、生産能力を1.5倍に増強する。

 

 



西南 重慶市での動向:ニフコ、日立オートモティブシステムズ

ニフコ
重慶市に韓国子会社が生産拠点設置
ニフコは、韓国子会社が利富高(重慶)精密樹脂制品有限公司を2015年10月に設立。資本金は1900万元(約3.8億円)。出資比率は、Nifco Korea Inc. 75%、Nifco (HK) Limited. 25%。稼働は、2016年第4四半期(予定)で、内外装の組立部品、ファスナー類を生産。取引先の北京現代汽車の重慶市の新工場(2017年に完工予定、年産能力30万台)および関連部品メーカーに納入する。
日立AMS
重慶市にシャシー部品などの生産拠点を2016年に設立
日立オートモティブシステムズは、中国内陸部での供給体制を整備するため日立汽車系統(重慶)有限公司(予定)を2016年に設立する。資本金は3億元(2017年予定)。プロペラシャフトやステアリングを2018年に量産開始予定。設備投資額や事業規模は未定。将来は、エンジンマネジメントシステムの生産も目指す。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>