広州商用車展 2014 取材レポート

JAC(江准)/四川現代の新型車や、IVECO DAILYの展示

2014/12/19

要 約


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冬めいた晩秋の日本から約3,000km、未だ連日27-28度の夏の暑さが残る中国広州市で、2014年11月20日から広州国際汽車(乗用車)展に併設し「第2回広州国際商用車展」が開催された。

中国の商用車(トラック)展は、隔年開催の上海・北京、 そして広州等各乗用車展に併設開催されている。そして、商用車単独では隔年開催の「武漢国際商用車展」が規模も大きく有名である(次回は2015年11月)。

広州商用車展は展示規模こそ小さいが、地元広州の物流や交通各産業団体/中国自工会/自技会の協力のもと、ハイエンド商用車の重要な市場で主導的な役割を持っている珠江デルタ周辺市場を背景としている国際展示会である。(大小メーカー31社出展、北京モーターショーは20社程度であった)


広州商用車展

広州商用車展

今回の出展車ポイント:

中国一汽(FAW)、東風商用車(子会社は出展)、中国重型の3大メーカーの出展はなく、また広汽日野は8月下旬に 広州交通フェアに出展したばかりであり展示は見送られた。出展車のポイントは、

・1) 新モデルは、JAC(江准)、四川現代の大中小型車、先のIAAで発表されたIVECO DAILY。

・2) 大型車では陝西省の陜汽重型のトラクタが軽量化新モデルを展示。 また東風特装の新型CNGトラクタ等。

・3) 石油、天然ガス輸送スチールローリーや各種リアボデーも展示。

(中国の小型トラックは日本車を参考とし、大型は欧州車を参考としている!)

中国市場近況:


中国市場近況

中国市場近況

上写真は広州市風浦中路 及び 展示場トラックヤードで

政府の経済政策や過剰なインフラ建設への抑制で2012年までトラック市場は低迷。2013年からは物流上向き需要と排ガス規制の駆け込み需要で回復の兆しが見えた。しかし、2014年は、1-11月のトラック(中型+大型)販売は前年同月比9.2%減の65.8万台となった。 2014年1-11月のトラック(同)の市場シェアは、
1位)24% 東風商用車、2位)18% 中国重汽、3位)13% 中国一汽、4位)9% 北京福田、5位)8% 陜汽重型である。

この10月に開かれた、武漢世界自動車フォーラムで業界1位の東風商用車トップの基調講演として、中国トラックメーカーが世界の舞台で活躍する為、長期的に改善すべき競争優位性確保の三つの開発動向が示唆された(参考:ChinaTrucks.com)。

「急成長の後、中国大型トラック市場の変化点が次の何年かのうちにおこるだろう。

中国大型トラック市場は将来的には欧州や北米よりも大きく成長し世界で30%のシェアを取るであろう。その為には中国メーカーは新たな開発動向を先取する為に以下の改革をする必要がある。」

1) 今後中国のメーカーは販売量に頼ることは出来なくなり、次第にトラックの開発要件を満たす為にますます品質に注意を払う必要がある。

2) 顧客がアップグレードを必要としたように、顧客は価格のみ注目するのではなく、信頼性と運用効率に関心を払うだろう。顧客ニーズが変化しており、トラックへの低価格要求ではなく、高効率的で重要な物流に対応する為、トラック全体の生涯コストに重点を置くようになるだろう。

3) トラックメーカーは単にユーザーの輸送ニーズ対応だけでなく自分の位置を変革する必要がある。トラック製品だけでなく、ユーザーにより多くの価値を与える為、製品の恒久的アドバイス、ドライバートレーニング、製品生涯にわたるサービス&メンテナンスを提供する必要が重要になる。

関連レポート ハノーバーショー 2014
(上):Daimlerの自動運転トラックとMANの新大型エンジンの展示

(下)Volvo、SCANIA、RenaultとZFの展示



JAC(安微江准汽車)中型トラックを初披露

JAC

大型系も持っているが小型-中型トラックを主とするJAC江准汽車は、商用車展会場で最大のブースを設け、小型-中型迄9車種を展示した。

初日には広州で初デビューとなる中型5-8t車のプレスカンファレンスを行い、開発-製造-販売の担当トップが赤いカバーを外し新型車を前に恒例の写真撮影に応じた。華南地域の経済統合と物流の拡大を背景に、効率化、物流品質の高さを要求するハイエンドトラックユーザへの需要に対応出来るよう、新中型車を主に数々のトラックを展示していた。

JAC Visda (4×2、カーゴボデー用キャブ付きシャシー車)

JAC

同じキャブの兄弟車は既に北京ショーで発表されているが、新しい「NAVISTAR」エンジン、新開発のフレームやパワートレーンを搭載した全くの新型車「Visda」(帥鈴W)。

「Visda」はJAC本部技術センター、イタリア、日本や中国のデザイン&設計センター、JACナビスターエンジン合弁会社との協業により開発された。 またボッシュ、リカルド等世界的なサプライヤーの部品や技術を搭載した欧州と日本のグローバルな基準を満たしている先進的トラックと説明している。


・車両形式HFC1121P70K1E1

・車両としてはカーゴ専用で、4×2、4,700mm-5,700mm迄のホイルベースを持つ。

・展示車は キャブ巾2,280mm、ホイルベース5,300mm、シャシ全長9,000mm。

・荷台巾2,467mm、積載量 5.5t-8t (日本の中間車型(中型と大型の間の大きさ車型)-大型にあたる)。

JAC
・ 安全性、耐荷重能力確保のスーパースチールフレーム
・ リベット接合を最小限にした軽量化ウェブフレーム
・ ハーネスやエアパイピングのレイアウトの最適化
・ ABS+2回路フルウエッジブレーキ。
・ 青色キャップのタンクは50L尿素水タンク
・新型車に標準搭載の 米NAVISTAR エンジン (Maxxforce)
・直4 4.8L、 165hp、コモンレール噴射、SCR処理 国Ⅳ規制対応
JAC
・積載量8t FRP保冷バン架装のVisda同型車、
全長9,815mm、全巾2,540mm、全高3,700mm
この車は東風カミンズ4.5L、160hp搭載
・標準キャブ、積載量2ー3tの平ボデー
(この小型、中型も含めて、限りなく「いすゞエルフ」のキャブに似ている)

JAC 新ハイエンドミニトラック Xシリーズ

JAC

JAC 新ハイエンドミニトラック Xシリーズ

北京ショーで試作としてプレビューしたが、この10月末にラインオフした量産車を展示。

都市内配送や短距離輸送専用の、愛嬌のあるモダンなデザインはイタリア、日本及び中国でデザイン&設計されたと説明。 積載量0.75-1tで、リア小径タイヤの低床長尺ボデーを有する。

米NAVISTAR協業の 2.8L、Max85hp デーゼルエンジンを搭載。

およそ144万円-163万円までの3つのグレードを設定。




四川現代 新小型車「瑞越」の発表

四川現代

2012年に、韓国現代と中国四川南駿汽車集団で合弁会社「四川現代」を設立。2014年5月に大型旗艦「TRAGO」を生産開始。続けて、四川現代生産のシリーズとなる新型小型トラック「瑞越」を発表。

今回の出展は、大型「TRAGO」6×2トラクタ、8×4キャブ付シャシ車、 そして会場で開発-生産-販売トップによる新型小型トラック「瑞越」のプレスカンファレンスを催し実車を公開した。

この春の「北京ショー」、秋のドイツ「IAA商業車ショー」と連続して四川現代として同一イメージのブースを設ており、また、中国各地で小規模な展示会を開催する等、現代トラックのブランド浸透&拡販の意気込みを感ずる。

新小型トラック「瑞越」

現代は数種類の小型トラックを生産しているが、いずれも型は古く、配送用の新型車の市場投入が待たれていた。四川新工場稼働を機に待望のハイエンド小型戦略車を企画-開発した。

生産発売済みの大型「TRAGO」と外観イメージを統一し、四川現代のトラックシリーズ化を図っている。

フロントロゴの「CHMC」は 'Sichuan Hyundai Motor Company' の略称したもの。

瑞越

瑞越

流行のウエッジタイプのベルトライン(側窓下端形状)、欧州風六面体のボクシースタイルと視認性の良い大きなヘッドランプ、車名ロゴとヘッドマーク、柔らかさと剛性感をもつスタイリッシュな外装、内装はシートやインパネ等使い易さと快適性を備えたハイエンド小型トラックと、訴求している。

キャブは後部に430mm 巾の簡易ベッドや空間を設けた中国特有のキングキャブ(上左写真)と3人掛けシートのみのシングルキャブ(下写真)の2種類。

瑞越

いずれも車両全長6m以内でキャブ外巾1,880mm, 荷台内法巾2,050mm×長さ3,830-4,180mm。

積載量2-3t、車両ベースは平ボデーカーゴだが、当然現地スチールバンも架装できる。

エンジンは中国Yuchai製 3.0L 115hp ないしはYunneidongli製145hpを選択可能。

旧型のフルモデルチェンジでフレームを含めた主要部位を一新。

プレスカンファレンスでは大きなスクリーンにデザインから性能迄、新型車のセールスポイントを訴求。その一部を下記に表する。

瑞越

瑞越

大型トラック「TRAGO」

2013年、韓国で生産開始、中国には北京ショーで発表された。

今回は上記の小型トラックが主役だが、新たにシリーズに加わった6×2(前輪2軸操舵)、及び8×4ロングシャシ車を展示し、人間工学に基づく快適で広い空間を持つキャブと併せ、中国大型車ハイエンドユーザの市場に必要な品揃えを完了した。

TRAGO
・8×4 トラニオンリーフサス 一般カーゴ用ロングシャシ
(ショートホイルベースはダンプ、ミキサーあり)
・6×2 軽量リーフサス トラクタ
両車とも前輪2軸電動油圧パワステ、
・エンジンは現代パワーテック、13L 410HP、12速マニュアルT/M
TRAGO
ハイルーフ仕様内装(2段ベッド可) 操作性考慮のラウンデッシュインパネ(現代自提供)




IVECO中国 新「Daily」 発表

IVECO

日本ではその市場性は小さいが、欧米 中国ではセミボンネット型のバンやワゴンが活躍している。

欧州で人気のIVECO「Daily」は以前から中国に投入され、公安や政府、物流業者に広く使用されている。本会場のIVECOブースは新型「Daily」を中央に置き、大型トラクタ「Stralis」や「Eurocargo」キャラバン車を両脇に添えた小規模な展示。

初日は先のIAA商業車ショーでフルモデルチェンジ公開された「新型Daily」のプレスカンファレンスが催された。

IVECO

「Daily」はIAA 2014で「Van of the Year 2015」を受賞。欧州では数種類の内寸と容量を持ち「Renault」や「Peugeot」に車両ベースを供給している人気車種である。

展示車はGVW 7t、ホイルベース4.1mで、18立方メートル容積の中型クラスの大きさ。エンジンは3L, 170hp、荷室は欧州仕様と同じで板金骨格むき出しの簡素で合理的なもの。

IVECO

IVECO

IVECOは既に中国資本と商用汽車会社を立ち上げ、大型車を提供しているが、展示会には、IAA2014に出展した大型トラクタ「STRALIS」を中国色(赤)に施して展示した。

6×4、後2軸エアサス、 GCW (Gross Combination Weight) 39t、13L, 500hp

SAIC(上海汽車)IVECO紅岩「GENLYON」

IVECO紅岩 2006年上海汽車とIVECOが合弁会社設立後、翌年、SAIC(上海汽車)IVECO紅岩商用車を設立。
北京、上海、武漢など各商用車展に毎回出展している。

車両は上記本家「IVECO」大型「STRALIS」がベース、今回は2軸近距離用と3軸長距離用ハイエンドトラクタの2車種を出展した。
IVECO紅岩
「GENLYON」2軸車
GCW 35t、エンジン 9L 280HP
「GENLYON」3軸リーフサス
GCW 40t、エンジン 13L 430HP
エンジンはともに
IVECO 「Corsor」搭載

(国Ⅳ-Ⅴ対応)




陜汽重型 新トラクタ「徳龍X3000」, ダンプ「M3000」 発表

陜汽重型

1968年に設立し、華中 陜西省西安に本社、工場を置き8×4、6×6、6×4等大型車の開発-生産を主とする、歴史ある中堅メーカー。カミンズやMANから技術供与を受けアクスルやエンジン等大物部品も製造している。中国有数のエンジンメーカー「Weichai社」も同グループ。

徳龍X3000トラクタ

物流市場の高効率化、高信頼性、快適性等の要求変化に対応出来るトラクタとして開発。軽量タイプと高速タイプがあり、本展示車は軽量化を図った長距離タイプ。

・ 6×4、軽量リーフサス、GCW40t、燃料タンク600L、エンジンは中国 Weichai製WP型11.6L, 375hp、12速マニュアルT/M、F/Rrアクスル等はMAN流用、キャブ内外装は新しく独自にデザイン開発、

・ 内装は欧州タイプ、人間工学に基づいたインパネ、GPS運行サービス可能な6.2インチモニタ。

陜汽重型

陜汽重型

陜汽重型ダンプ

徳龍M3000都市建設ダンプ 中国ダンプは内蒙古地方等で石炭運搬8×4ダンプ等あるが、本展示車は都市開発や建設用に開発された新ダンプ。 6×4、積載量12.5t、燃料タンク400L。

エンジンはWeichai製WP型10L, 270hp、10速マニュアルT/M、F/Rrアクスル等はMAN、キャブはMAN現行製(TGSシリーズ)を流用しバンパやフロント周りを新作化。




東風特種商用車

東風特装

中国最大の東風汽車によって2003年東風商用車の特装商用車部門として設立された。特装用のシャシやキャブをオリジナルとして製作している他、各種特種車体を製作、架装している。消防車, タンクローリ, 天然ガス車, 原木運搬車, 全輪駆動車など。

今展示会には小さなブースながら、新型天然ガストラクター、道路清掃車, 米ハマーに酷似した高機動軍用車を出展。

東風特装清掃都市部では清掃車が目立つ。
GVW16tの清掃洗浄車、 カミンズ180hp、

右はコマンド部隊用 4×4、60%登坂能力、1.5m深さの渡渉能力
・清掃洗浄車(東風天錦)最大洗浄巾3.7mm ・軍用「グラディエーター」

東風特種 新LNGトラクタ「港拖」

東風特装

新型車であるが控えめに展示されていた新LNG 4×2トラクタ、海上コンテナや近距離の配送用トラクタと説明。

中国ではとにかく大手や中堅、グループ問わずキャブ形状の種類が多く、この車種も東風特種のオリジナル形状で、近距離用だがベッド、リアスポイラー装着で見た目や品質も良い。

4×2でGCW30t、リーフサス、ホイルベースは3,950mm、エンジンは中国Yuchai製8.4L, 280hp LNGは450Lタンクを車両左側シャシー取付けに設置。




東風柳州汽車 トラクタ 「BalongM7」

東風汽車の子会社として1954年に華南地域の工業都市 柳州に設立後、1969年に自動車生産着手。小型乗用車から大型トラックまで生産、1981年中国初の中型ディーゼルトラックメーカーとなり、2003年大型トラックを開発、以後欧州技術を導入し数種類のトラックを開発-生産。

乗用車は東風マークを付けるが中型-大型トラックは柳州独自のマークを装着している。

会場には中型清掃車-大型トラクタまで5車種を展示。

東風柳州

東風柳州中型
・中型系4×2(日本では中間車型相当)
キャブ付シャシー車シングルフレーム

・ホイルベース5,100mm, 積載量8t、
エンジンは Yuchai 4.3L, 160hp、
安全、経済性を訴求、一般カーゴボデーを搭載。
東風柳州大型 ・ 大型系4×2
道路清掃車 大容量の水タンクとスイーパー洗浄装置を車両両側に備える。

・ ホイルベース5,100mm、GVW16t、水槽部5t
エンジンはDongKang 6.7L, 210hp、
最大洗浄巾3.7m-4m
東風柳州大型 ・大型系6×2
一般カーゴドライバンボデー車、
日本で走っている前2軸車相当

・ホイルベース+前2軸間距離:5,600mm+1,800mm
ボデー内法 9,600mm×2,480、 GVW 21t、エンジンはYuchai 310hp

旗艦 トラクタ「Balong M7」

2013年末に発表、翌年生産開始。華中-華南の拡大する物流市場に投入されたハイエンドトラクタ、6×4、GVW40t、リーフサス、エンジンは Yuchai 10.4L 400hp、東風Cumminsも選べる。

12速マニュアルT/M(アルミGボックス)、燃料タンク600L

東風柳州

東風柳州 ・欧州タイプのキャブベースは 'Renault Premium'を流用、

・フロント&バンパー周り、フェンダーやステップを固有に新作。

・4点エアサスキャブマウント支持の内装はフラットフロア、室内高1,900mm。

・操作性考慮のラウンディッシュなインパネ。

東風柳州




福田汽車

福田汽車 大手の福田汽車は小型トラック、ピックアップトラック等5台展示。

新型車はなくスチールバンや平ボデーのGVW4.25-4.5t(積載量2-3t)の現行車を展示。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>