メキシコの日系部品メーカー:自動車メーカーの生産能力増強に対応する新規進出

愛三工業、旭硝子、NTN、KYB、ダイキョーニシカワ、日本電産トーソク、武蔵精密など

2014/10/08

要 約

Thailand Map
(地図をクリックすると拠点マップが開きます)。

メキシコの2014年1-9月の自動車生産台数(大型バス・トラックを除く)は240万台(前年同期比7.5%増)、輸出台数は195万台(同8.7%増)といずれも過去最高を更新した。新車販売台数は79万台(同4.5%増)と過去最高レベル。

 こうした中、日系自動車メーカーでは、日産が2013年11月に新工場を稼働。マツダは2014年1月から、ホンダが同年2月から新工場を稼働させた。今後、アウディ、日産とダイムラーの合弁、BMWなどの新工場が、2015年以降に建設される計画。

 日系部品メーカーでは、メキシコへの新規進出が引き続き多く、生産能力増強への動きも早い。以下は、メキシコにおける日系部品メーカーの新規進出の動向である(収録対象は、2014年9月中旬までの約10カ月間)。

 メキシコにおける生産能力向上などの動向、ブラジルにおける動向については、別途報告したします。

 日系部品メーカー動向関連レポート:
タイ編 (2014年9月)
インドネシア編 (2014年6月)、ベトナム/マレーシアなど編 (2014年6月)、欧州編 (2014年7月)、米国編 (2014年3月)
中国編(下):華南・華北・東北などでの動向 (2014年3月)、中国編(上):華東・華中地域の動向 (2014年3月)
中南米編(下) (2014年2月)、中南米編(上) (2014年2月)、
インド編 (2013年8月)



[メキシコでの新規工場設立]( )は生産品目

単独での新規進出  愛三工業(エンジン部品)、旭硝子(フロントガラス)、アスモ(小型モーター)、稲畑産業(樹脂コンパウンド)、NTN(ベアリング)、シナノケンシ(精密小型モーター)、セーレン(内装材)、住友電工焼結合金(焼結製品)、日本電産トーソク(コントロールバルブ)、マブチモーター(小型モーター)、村上開明堂(バックミラー)、リケン(バルブリフター)など
合弁での新規進出  神鋼商事・神戸製鋼など(冷間圧造用鋼線)、トピー工業(スチールホイール)、北川鉄工所・日鉄住金物産(鋳鉄鋳物加工)
販売拠点のみから
生産機能追加
 フコク(機能部品)
新規工場稼働、続けて
増産・新生産品目の
ための追加投資
 KYB(CVT用ベーンポンプに加えショックアブソーバー)、ダイキョーニシカワ(樹脂部品)、椿本チエイン(タイミングチェーン)、中央精機(アルミホイール)、東研サーモテック(熱処理加工の品目増)、西川ゴム(車体シール)、日信工業(ブレーキ)、武蔵精密(エンジン部品に加え変速機部品)など



Guanajuato州、Queretaro州への新規進出

 

会社名 活動内容
アスモ
小型モーターなどの生産拠点設立、工場の稼働は2016年4月予定
アスモは、2014年7月にASMO Mexico S.A.de C.V.(仮称)(Guanajuato州)を設立。工場は2016年4月稼働予定。投資額は5,240万ドル。自動車のシートやパワーウインドー用小型モーターのほかワイパーの構成部品を生産する。2020年の年産能力は、シート用モーターが45万台、パワーウインドー用が15万台。同年の売上高は9,000万ドルを計画。
稲畑産業
樹脂コンパウンド工場で2014年6月から量産開始
稲畑産業は、IK Plastic Compound Mexico, S.A. de C.V.(Guanajuato州)の工場で2014年6月から合成樹脂着色・コンパウンドの量産を開始。投資額は7億円。年産能力は10,200トン。日系自動車メーカーの進出加速に対応し、ミラーやドア回りの成型材料を日系部品メーカーに供給。2016年までに追加投資し3万トンへの能力増強を計画。
KYB
CVT用ベーンポンプ生産を2014年9月に開始、2015年からショックアブソーバー生産も
KYBは、KYB Mexico S.A. de C.V.(Guanajuato州)で2014年9月にCVT用ベーンポンプを生産開始。年産能力は120万台。また、同じ敷地内に約25億円を投じて新工場を建設し、2015年12月からショックアブソーバーを生産開始する。生産数量は、2016年に97万本。メキシコでのOEM、アフター市場での需要拡大を見込み、日米からの輸入を現地生産に切り替える。将来は、北中米向けの生産をメキシコに集約する。
神戸製鋼、 神鋼商事
冷間圧造用鋼線の合弁会社設立、2015年末に稼働予定
神鋼商事と神戸製鋼所は2014年9月、冷間圧造用鋼線を製造販売する合弁会社Kobelco CH Wire Mexicana, S.A.de C.V.(Guanajuato州)の設立で合意したと発表。資本金は約43億円。出資比率は、神鋼商事40%、メタルワン25%、神戸製鋼所、大阪精工、メキシコ企業のGrupo Simecが各10%、米国企業のO&k American Corporationが5%。2015年末に稼働予定で、ファスナーや冷間鍛造部品向けの冷間圧造用鋼線(CHワイヤー)を供給する。年産能力は4万トン。総投資額は約43億円。
シナノケンシ
精密小型モーター生産の新拠点設立
シナノケンシは2014年5月、精密小型モーターの生産拠点をGuanajuato州に設立すると発表。量産開始は2015年度下期を予定。投資額は生産設備などに3億円。土地や建屋は賃借する。米国の部品メーカー向けの空調ブロワー用モーターから生産し、受注に応じてハイブリッド車や電気自動車のバッテリー冷却用モーターを生産する計画。2018年度に約20億円の売上高を目指す。
セーレン
内装材の子会社設立、2015年11月に量産開始
セーレンは、内装材の生産販売子会社Viscotec Mexico S.A. de C.V.(Queretaro州)を2014年7月に設立。資本金は8000万円。ニットや織物を使ったシート材を2015年11月に量産開始予定。日系完成車メーカーのメキシコでの増産への対応や、北米向けの付加価値の高い商品の投入を図る。
ダイキョーニシカワ
樹脂部品の量産を2014年1月に開始
ダイキョーニシカワは、樹脂製オイルストレーナーの世界生産量を2018年に2013年比26%増の1000万個に引き上げる計画。その一環として、2014年1月に量産開始したDaikyoNishikawa Mexicana,S.A.de C.V.(Guanajuato州)でも生産拡大を図る。現在はマツダ向けが中心で、バンパー、インストルメントパネルなども納入。今後、メキシコでの他社への販売拡大、米州への販路拡大を図る。
椿本チエイン
タイミングチェーンの新工場が2014年4月稼働
椿本チエインは、Tsubakimoto Automotive Mexico S.A. de C.V. (Guanajuato州)の新工場が2014年4月に稼働。エンジン用タイミングチェーンシステムなどを生産。2014年度に設備をさらに導入し、生産供給体制を強化する。将来的には南米市場向けの生産拠点、グローバル部品調達基地としての機能も視野に入れている。
トピー工業
スチールホイールの合弁工場が2015年4月に稼働、順次生産規模を拡大
トピー工業は、2013年9月に合弁会社のTOPY MW MANUFACTURING MEXICO S.A. DE C.V.(Guanajuato州)を設立。資本金は1300万ドル。出資比率は、トピー工業75%、イタリアのMWG25%。2015年2月にスチールホイールを生産開始予定。生産量は、2015年は9カ月間で75万本、2016年には通年で175万本に倍増する計画。日産の新工場に約半分を納入し、それ以外は日米メーカーやMWGルートで欧州メーカーに販売する。
西川ゴム
車体シール工場を拡張へ
西川ゴム工業は、2013年10月に稼働したNISHIKAWA COOPER MEXICO S.A de C.V.(Guanajuato州Silao市)の新工場の2棟目の建屋を2016年までに増設し、車体シールの生産能力を拡充する。建屋毎に生産工程を集約して生産性を高め、人員を2倍にして日系メーカー各社からの受注増に対応。
日信工業
ブレーキの新工場が2014年1月稼働、生産能力増強を計画
日信工業は、2014年1月にNissin Brake de Mexico,S.A. de C.V.(Guanajuato州)の新工場がディスクブレーキ、ドラムブレーキの量産を開始。2014年度末までに粗材、加工ラインも立ち上げる。設備投資を順次実施し、年産能力を2016年度までに40~50万台分に段階的に引き上げる。
フコク
機能部品やブレーキ部品製造拠点設立、2015年7月に生産開始
フコクは、2014年1月に営業拠点として設立したFukoku Mexicana, S.A. de C.V.(Queretaro州)に増資して、製造機能を加えることを2014年6月に決定。機能部品やブレーキ部品を製造する工場を建設し、2016年7月に生産開始予定。増資後の資本金は約7億4千万円。2017年に約11億円の売上を見込む。
藤倉ゴム
3-5年内にメキシコ進出検討
藤倉ゴムは、3-5年内をめどにメキシコ進出を検討。米国子会社を通じて現地企業とパートナーを組むことによる進出を検討。(2014年5月報道)
不二越
ベアリングなどの工場新設、2016年に稼働予定
不二越は2014年7月、ベアリングなどの工場新設計画を発表。2016年に稼働させ、日系や米国自動車メーカーにトランスミッションや等速ジョイント用などのベアリングを供給する。投資額は25億~30億円を予定。進出地や売上高計画などの詳細は今後詰める。将来は、工具やロボットなどの生産も検討。

 

 



San Luis Potosi州への新規進出

 

会社名 活動内容
愛三工業
エンジン構成部品の新工場建設、2015年春稼働
愛三工業は、2013年2月設立のAisan Autoparts Mexico,S.A.de C.V.(San Luis Potosi州)の新工場を2015年春に稼働予定。投資額は約30億円。日産向けにスロットルボディを生産する。2016年度に年産50万個を計画。現在は米ケンタッキー工場から納入しているが、日産のメキシコ新工場稼働にも対応し、段階的にメキシコに生産を移管する。将来的には、追加投資により燃料ポンプモジュールなどのエンジン機能部品も生産品目に加える。
旭硝子
2016年1月から新工場でフロントガラス用の合わせガラス生産
旭硝子は、2013年11月設立のAGC Automotive Mexico S.A.de C.V.(San Luis Potosi州)の新工場の起工式を2014年6月に実施。量産開始は2016年1月を計画。フロントガラスに使う合わせガラスを生産し、当面の年産能力は76万台分。投資額は約60億円。将来的には年産150万台分まで増強。
中央精機
2015年8月にアルミホイール生産開始、中期的に生産能力拡充
中央精機は、2013年8月に設立したアルミホイールの生産会社Central Motor Wheel of Mexico Co., Ltd.(San Luis Potosi州)の工場を2015年8月に稼働予定。年産能力は50万個からスタートするが、北米での市場回復が続いているため、中期的に100万本まで増強することも視野に入れている。
日本電産トーソク
自動変速機用コントロールバルブ生産の新会社設立、2016年8月に生産開始
日本電産トーソクは、2014年5月に自動変速機用コントロールバルブを生産するNIDEC TOSOK de MEXICO, S.A. de C.V.(San Luis Potosi州)を設立。資本金は16億円。工場は2016年8月に稼働予定。第1期の投資額は45億円。3期までの総投資額は150億円。取引先のジヤトコやホンダのATやCVTなどの増産に対応し、現地での納入体制を整える。
武蔵精密
エンジン部品生産の新工場で、変速機部品用の新生産ラインを整備
武蔵精密は、Musashi Auto Parts Mexico, S.A. de C.V.(San Luis Potosi州)の新工場で2014年1月からエンジンやステアリングの部品生産を開始したが、これに加えてディファレンシャル、プラネタリーの変速機部品の生産ラインを整備し、2014年秋をめどに生産開始する。投資額は約40億円。ホンダにユニット部品を納入するのに加え、他の日米自動車メーカーへの取引拡大を目指す。

 

 



Aguascalientes州、Zacatecas州への新規進出

 

会社名 活動内容
NTN
新工場でハブベアリング、CVJの量産を2015年度に開始
NTNは、2013年4月にNTN MANUFACTURING DE MEXICO, S.A.DE C.V.(Aguascalientes州)を設立し、2014年5月に工場建設着工。2015年度から第3世代ハブベアリングおよび等速ジョイント(CVJ)を量産開始予定。設備投資額は約120億円。当面はメキシコ国内向けだが、将来的にはFTAなども活用し、北米地区全体への供給拠点とする。売上高は2018年度に約200億円を計画。
北川鉄工所
2014年5月から一貫生産体制による鋳鉄鋳物製品生産
北川鉄工所は、日鉄住金物産との合弁会社KITAGAWA MEXICO, S.A. de C.V (Aguascalientes州)の新工場が2013年7月に完成。同年9月から鋳鉄鋳物の加工の量産納品を開始。同年11月に鋳造工程が完成し、2014年5月から鋳造から加工までの一貫生産を開始。年産能力は6000トン。納入先のジヤトコに加え、新規取引先の開拓を進める。
住友電工 焼結合金
焼結製品の製造・販売子会社設立、2016年に生産開始
住友電工焼結合金は2014年8月、焼結製品の製造・販売拠点Sumitomo Electric Sintered Components Mexico, S.A. de C.V. (Aguascalientes州)を設立。2016年7月からエンジン部品やトランスミッション部品などの生産を予定。投資額は約30億円、年産能力は2000トン、2017年度の売上は約20億円を見込む。
東研サーモテック
熱処理加工の第1工場が2014年1月稼働、第2工場を2015年中に建設
東研サーモテックは、TOHKEN THERMO MEXICANA, S.A. DE C.V.(Aguascalientes州)の第1工場が2014年1月に稼働。変速機部品の熱処理受託加工を開始。今後、受注先拡大が見込めるため、第2工場を2015年10月までに完成し、新たに足回り部品などの熱処理加工の体制を築く。第1工場にも設備を追加する計画。第1、2工場への総投資額は約46億円。2017年の生産高は12億円を目指す。
長倉製作所
AT用部品の生産子会社設立
長倉製作所は、2014年1月に現地子会社(Zacatecas州)を設立。工場は2014年11月に完成し、2015年5月から日系、ドイツ系部品メーカーのほか、米自動車メーカーにAT用部品を供給する計画。投資額は約10億円。2017年9月期の売上高は30億円を見込む。
マブチモーター
小型モーターの生産会社設立、工場は2016年夏に稼働
マブチモーターは、MABUCHI MOTOR MEXICO, S.A. De.C.V(Aguascalientes州)を2014年7月に設立。約57億円を投じて工場建設し、2016年夏頃操業予定。電装用小型モーターを生産する。年産能力は2018年に1000万個の予定。
村上開明堂
バックミラーの生産子会社を2014年2月設立
村上開明堂は、2014年2月にバックミラー生産の子会社Murakami Manufacturing Mexico, S.A. de C.V.(Zacatecas州)を設立。資本金は約300万ドル。今後の工場建設、設備導入の進捗により増資も予定。生産開始は2016年を計画。
リケン
バルブリフターの工場が2014年7月に稼働
リケンは、現地子会社RIKEN MEXICO, S.A. DE C.V.(Aguascalientes州)の工場が2014年7月に稼働。当初はバルブリフターを生産し、日系OEMなどに供給する。北米、南米への輸出拠点としても活用。

 

 



米国との国境沿いの州、その他州への新規進出

 

会社名 活動内容
アルプス電気
販売子会社が2014年4月から本格稼働
アルプス電気は、2013年8月に設立した営業拠点のALPS DE MEXICO S. DE R.L. DE C.V.(Tamaulipas州、アルプス電気とアルパインの車載電装製品生産拠点Alcom Electronicos Mexicoの建屋内)が2014年4月に本格稼働。資本金は5万ペソ。メキシコ国内での車載用電子部品の仕入れ販売のほか、輸出入業務を担う。
蝶理
シート生産の協力工場確保へ
蝶理は、メキシコでシート生地の生産を開始する計画。販売先の日系メーカーの増産に対応するもので、協力工場を設置する。生産地域は、不明だが同工場を北米への輸出拠点とする。

  (参考資料:各社広報資料, 各紙報道)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>