人とくるまのテクノロジー展2014:自動車メーカーの安全運転支援システムなど

日産のスマートルームミラー/富士重工の最新型アイサイト、商用車メーカーのパワートレイン技術など

2014/06/09

要 約

人とクルマのテクノロジー展2014の様子  2014年5月21日~23日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2014」(公益社団法人 自動車技術会主催)における、自動車メーカーによる出展の取材レポートの後編。
 本レポートでは、日産のスマートルームミラーや富士重工のアイサイト (ver.3) などの安全運転支援技術、軽自動車、商用車の最新パワートレイン技術、超小型EV、ヤマハの三輪バイクについてまとめた。


 

 

関連
レポート:
2014年 「人とくるまのテクノロジー展 」取材レポート
自動車メーカーの最新パワートレイン技術
EV/HV関連の最新技術の出展

 



安全運転支援システム:日産のスマートルームミラー、富士重工のアイサイト (ver.3)

日産 スマートルームミラー
日産 スマートルームミラー
液晶画面にリアビューカメラの映像を映した様子

日産 スマートルームミラー
日産 スマートルームミラーの、ミラーに映っている様子。
背の高い観葉植物と後部席のヘッドレスト、
Cピラーなどが後方の視野を狭めている。液晶画面に切替えると、左写真のように見える。

狭角カメラ
リアウインドウ上部に取付けられた、新開発の130万画素の狭角リアビューカメラ(スマートルームミラー用)。

日産 ダイレクトアダプティブステアリング
日産 ダイレクトアダプティブステアリング

 

日産スマートルームミラー ルームミラーと液晶画面を任意に切替えることができるシステム。液晶画面には、リアウインドウ上部に取付けられたリアビューカメラによる映像を表示する。表示方法の変更は、ルームミラーの上下角を切替えることで行う。
近年、車体の空力特性を向上したり、トランク・スペースを大きく取るために、リアウインドウが小さくなる傾向があり、ルームミラーで後方の状況を把握することが困難になりつつあった。そこで、運転手の後方確認を支援するために開発された。
実用化にあたってのポイントの一つは、ミラーが液晶画面を透過するハーフミラーであるので、液晶表示時の映り込みを減らすことにあった。液晶画面表示時のルームミラーの角度の最適化を図り、映り込みの少ない暗い部分を反射させることで対応した。
2014年6月から日本で、エクストレイル、エルグランドにオプション設定される予定。日本以外での設定については検討中。
ダイレクトアダプティブステアリング(ステアバイワイヤ) ハンドルの動きをステアリングシャフトを介さず操向輪に伝えるステアバイワイヤの機能を、量産車としては世界で初めて新型スカイラインに搭載して発売(日本では2014年2月)。運転手が操作したハンドルの動きを、角度センサーと3つのECUを介して、ステアリングアクチュエーターに伝えて操舵する。ステアリングシャフトを用いた操舵より、応答性に優れるという。また、走行時の外乱による修正舵も自動的に行われるため、運転手の疲労軽減につながる。
3つのECUは、1つがハンドルの回転を検知するステアリングフォースアクチュエーター及びセンサーを動かし、残りの2つが操舵輪を動かす2つのアクチュエーターをそれぞれ動かす。同時に、相互監視も行っている。ダイレクトアダプティブステアリング機能が停止したときは、クラッチを結合することで、ステアリングシャフトを介した通常の操舵を可能とする。今後の課題は、コストの削減にあるとしている。
富士重工アイサイト (ver.3) 2014年6月発売のレヴォーグより搭載される、先進運転支援システムの3代目。ステレオカメラをカラー化した上、視野角を25度から40度へ、視認距離を約40%拡大した。また、プリクラッシュブレーキによる衝突回避条件も速度差約30km/hから約50km/hに拡大した。
 カラー化によって、先行車のブレーキランプの認識が可能となり、クルーズコントロール時などに早めの減速が可能となった。赤信号も認識が可能で、クルーズコントロール機能が誤って一般道で使われた場合に(注)、一定の条件下で前方に赤信号を認識したときに警告を出す。 また、操舵制御機能も追加し、車線中央維持/逸脱防止機能を持たせた。

(注) 富士重工は、同社の「(全車速追従機能付)クルーズコントロール」を高速道路や自動車専用道路で利用することを推奨している。

ホンダ フィットなどに搭載されている1モーターハイブリッドシステム i-DCD
富士重工 アイサイト (ver.3)のステレオカメラ
レンズを先代よりフロントガラスへ近づけた。このことで、ガラスをきれいに保つ必要がある範囲を狭くすることができる。



軽自動車の技術:ダイハツ タントとスズキ ハスラー

ダイハツ タント
ダイハツ タント
ダイハツ タントの樹脂製のボンネット
ダイハツ タントの樹脂製のバックドア
ダイハツ タントの樹脂製のバックドア
ダイハツ タントの樹脂製のボンネット
スズキ ハスラー
スズキ ハスラー

 

ダイハツ
タント
2013年10月にフルモデルチェンジして発売した、スーパーハイトワゴン。運転席側のリアドアにもスライドドアを採用し、前席ヘッドクリアランスを2cm大きくするなど車室空間を広げる改良を行った。燃費性能も、クールドi-EGRの採用などで、先代の25.0km/Lから28.0km/L(共にJC08モード)へ引き上げた。2014年4、5月と2カ月連続で、日本市場でモデル別販売台数トップとなっている。
外装には、樹脂材料をバックドア、ボンネット、フロントフェンダーなどへ新たに採用。鉄製に比べて約10kg軽量化できる上、歩行者保護にも貢献する。従来はフロントとリアのバンパーにだけ採用していた。
スズキ
ハスラー
2014年1月に発売した、軽自動車としては初となるクロスオーバー。オフロード走行性能を向上させるために、4WDモデルには、急な下り坂を7km/hの一定速度で下ることを可能にするヒルディセントコントロールと、雪道等の滑りやすい路面での発進を助けるグリップコントロールを採用した。
月販目標は5千台であるが、受注が好調で月産1万台以上の増産体制を取っているとされている。

 



商用車メーカー4社のパワートレイン技術

 いすゞの10Lエンジン6UZ1-TCH
いすゞの10Lエンジン6UZ1-TCH
いすゞのCNGトラック ELF CNG-MPI
いすゞのCNGトラック ELF CNG-MPI
 日野 尿素水を必要としないNox、PM同時低減システム
日野 尿素水を必要としないNOx、PM同時低減システム
 日野の12段AMT Pro Shift 12
日野の12段AMT Pro Shift 12

 

いすゞ6UZ1-TCH 排気量9839ccの直列6気筒ディーゼルエンジン。超高圧コモンレール/インジェクター、クールドEGR、電子制御式無段階可変容量型ターボを採用。後処理装置として尿素SCRを追加。
ELF CNG-MPI 販売中の、CNG(圧縮天然ガス)を燃料とする小型トラック。排気量4.6Lエンジンを搭載し、最大出力は96kw/3200rmp(ネット値)。最大積載量は3t。
日野尿素水を必要としないNOx、PM同時低減システム 中小型車用のNOx、PM同時低減システム。大型商用車では排気ガス後処理装置として、DPFと尿素SCRシステムが実用化されている。しかし、尿素水のインフラが必要となるが、整備は不十分とされる。そこで、同一の触媒内で、軽油を反応促進剤として用いてNOxを低減し、PMも同時に処理するシステムを開発。日本のポスト新長期規制に対応しており、2010年から販売している。
Pro Shift 12 大型車用12段AMT。微速走行を容易にする「SLOWスイッチ」、慣性走行距離を伸ばすことのできる「E-COASTスイッチ」を装備して、イージードライブを実現。AMTは、近年、新興国でも需要が伸びているとのこと。人手不足のため、女性ドライバーが増えていることが背景にあるとしている。
三菱ふそうCanter Eco Hybrid Canna 三菱ふそうの小型ハイブリッドトラック(2012年5月に発売)。6速デュアルクラッチトランスミッション内にモーターを組み入れたシステムを採用している。展示されていたのは、同社内のプロジェクトで、女性向けのトラックとして内外装に特別なデザインがされたコンセプトモデル Canna。
6R10 Daimlerのトラック部門と共同開発された、12,808ccの直列6気筒ディーゼルエンジン。新しいX-Pulseと呼ぶ増圧コモンレールシステムを搭載。大型トラック Super Great、大型バスAero Queenに搭載されている。
UDトラックスGH11TC 総排気量10,836ccのディーゼルエンジン。VGT(Variable Geometry Turbocharger)を採用して、13,000ccクラスの出力/トルクが発揮できるとしている。
ESCOT-V 12速の電子制御式トランスミッションと呼ばれるAMTの一種。6速分のギアに加えて、副変速機(High/Low)がついて12速となる。

 

 三菱ふそうのCanter Eco Hybrid Canna
三菱ふそうのCanter Eco Hybrid Canna
三菱ふそうの6R10 エンジン
三菱ふそうの6R10 エンジン
 UDトラックスのGH11TC エンジン
UDトラックスのGH11TC エンジン

 UDトラックスの12速AMT
UDトラックスの12速AMT

 



超小型EVとヤマハの三輪バイク

トヨタ i-ROADトヨタ車体 COMS
トヨタ i-ROAD
前輪2輪、後輪1輪の超小型EV。豊田市で2014年3月より実証実験中。
トヨタ車体 COMS
1人乗りの小型EV。販売価格は82.1万円(消費税込み: 個人向け)。
日産 New Mobility Conceptホンダ MC-β
日産 New Mobility Concept
前後2人乗りの小型EV。欧州で発売されているルノーTwizyの外装を変更したモデル。
ホンダ MC-β
前後2人乗りの小型EV。さいたま市などで実証実験中。

ヤマハの三輪バイク TRICITY

2014年4月にタイで発売した、三輪バイク(タイ製)。現地での価格は7.95万バーツ(約25万円)。日本では2014年中に発売予定で、価格は40万円以下としている。欧州でも2014年に発売を計画。125ccの単気筒エンジンを搭載しているが、より大きなエンジンを搭載することも想定している。
ヤマハの三輪バイク TRICITY
ヤマハの三輪バイク TRICITY (前面から)
ヤマハの三輪バイク TRICITY
ヤマハの三輪バイク TRICITY (側面から)

 

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>