第5回 EV・HEV 駆動システム技術展 取材報告

日本電産がSRモーターを採用したEV駆動システム、スターター/ジェネレーターを展示

2014/01/31

要 約

オートモーティブ ワールド 2014
オートモーティブ ワールド 2014の開会式の様子

第5回 EV・HEV 駆動システム技術展が、2014年1月15日-17日にかけて東京ビッグサイトでオートモーティブ ワールド 2014の一環として開催された。その展示概要を報告する。

今回は永久磁石を使わないモーター、SRモーターを日本電産ミツバ、明和製作所の3社が展示しており、車載用に向けた技術を訴求していた。特に、日本電産はSRモーターを用いた、EV駆動システムに加え、スターター/ジェネレーター、電動アシストターボチャージャー、電動スーパーチャージャーも展示。
安川電機は軽量/小型化した、EV用モーターとインバーターを披露。明電舎はモーターとインバーターを一体化したモジュールを展示し、ニチコンは三菱i-MiEVに供給している小型化した充電器一体型DC-DCコンバーターを展示した。

 日本ケミコンは、マツダ/ホンダ向けに供給している、電気二重層キャパシター/モジュールを展示し、サンプル出荷が近い次世代キャパシターも披露した。

 その他に展示会場では、ホンダ Accord プラグインハイブリッドモデル等の展示もあったが、昨年のように電動車を集めた特別コーナーは設置されていなかった。

 なお、併催されていたクルマの軽量化技術展の取材レポートは2月に掲載予定です。

関連レポート
2013年のオートモーティブ ワールド 取材レポート

EV・HEV 駆動システム技術展:安川電機が脱レアアースモーターを開発、Magnaのマイクロハイブリッドシステム

クルマの軽量化技術展(1):3Dデータによる積層造形法/軽量金属の活用

クルマの軽量化技術展(2):炭素繊維強化樹脂やその他の樹脂化による軽量化



SRモーター:日本電産、ミツバ、明和製作所の展示

日本電産:SRモーターを使ったトラクションマシンとスターター/ジェネレーター等を展示

SRモーター
トラクション
マシン
 日本電産は、ローターに永久磁石を用いず鋼鉄を用いた、EV駆動用のSR(Switched Reluctance)モーター(注)とそのインバーターを開発中。永久磁石を用いないため、堅牢かつシンプルな構造を取ることができ、低コストを実現できる。また減磁が起きないため、高温下での運転環境にも強い。
SRモーターを使ったスターター/ジェネレーター  日本電産と英国の協力会社 Controlled Power Technologies(CPT)社は、SRモーターを使った48Vのスターター/ジェネレーターを展示。スターターとしての出力は4kW以上、ジェネレーターとしての出力は10 kW以上。市場投入は2016年頃になるとのこと。他に、SRモーターを採用した、電動スーパーチャージャー、電動アシストターボチャージャーも開発中。
(注)SRモーターのローターは永久磁石やコイルは持たないが、鋼鉄という強磁性体(磁界の中に置くと一時的に磁極を持つ物質)でつくられており、ステーターの磁界に引かれて回転する。

日本電産の駆動用SRモーター 日本電産のSRモーター用インバーター
日本電産の駆動用SRモーター 日本電産のSRモーター用インバーター
日本電産/SPT社のSRモーターを使ったスターター/ジェネレーター 日本電産/SPT社のSRモーターを使った電動アシストターボ
日本電産/CPT社のSRモーターを使ったスターター/ジェネレーター 日本電産/CPT社のSRモーターを使った電動アシストターボチャージャー
日本電産/SPT社のSRモーターを使った電動スーパーチャージャー
日本電産/CPT社のSRモーターを使った電動スーパーチャージャー

SRモーターを使ったトラクションマシンの主要諸元

SRモーター@150V インバーター
出力 定格19kW(最高44kW) 寸法 W 395×L 330×H 100 mm
最大トルク 86Nm 質量 13.0kg
最高回転速度 11000rpm
冷却 水と60%エチレングリコール
作動温度 -40度から105度
寸法 直径177mm×長さ234mm
質量 26.5kg

 

ミツバ:レーシングカート向けSRモーター

ミツバはレーシングカート向けに開発したSRモーターと、それを搭載したカートを展示。ドライバー(モーターを回すためのIC)に用いたパワー素子の数を12個から8個へ削減したことで、低コスト化を実現。カートなどの他に、電動アシストターボチャージャー用モーター、スターター、ジェネレーター等の用途を提案。
ミツバSRモーター@48V ドライバーの仕様
最高出力 4.3kW/5000rpm 寸法 301×173×137 mm
最大トルク 14Nm/1000rpm 質量 7kg
寸法 直径174mm×長さ158mm
質量 11kg
安川電機製インバーター
レーシングカートに搭載されたミツバ製のSRモーターとドライバー(座席後ろに搭載)。

 

明和製作所:小型EV向けSRモーター

小型EV用のSRモーターを展示。内蔵のファンで強制空冷することで体積を2/3にすることができた(自社製品比)。大手向けというよりEVベンチャー企業への販売を狙う。SRモーターを使った三輪スクーターを2014年中に発売する予定。
明和製作所SRモーター@96V 明和製作所小型EV用SRモーター
出力 定格3.5kW(最高7.2kW)
最大トルク 60Nm
最高回転速度 7500rpm

 



EV関連システム:安川電機、明電舎、ニチコン、DANAの展示

 

安川電機:EV用モーター/インバーターを小型/軽量化

YMEV 35kW
モーター
安川電機の軽自動車、小型車クラス向けの駆動用モーターシリーズYMEVの35kWモーターを小型/軽量化した。従来モデルと比べて約30%小型化(全長は266mmから215mmと短くなった)。 角線コイルを用いたことと磁石配置を最適化したことで、トルク密度を高めた。
サンプル提供は2014年12月にも可能となり、受注があれば2015年半ばからの量産も可能。50kWのサイズも用意しているとのこと。
インバーター EV用の120kW インバーターを、80kW インバーターと同サイズまで小型化し設置面積を24%削減。部品の共通化、内部構造・冷却構造の見直しを行った。
小型化された安川電機の35kWモーター 小型化された安川電機の120kWインバーター
小型化された安川電機の35kWモーター 小型化された安川電機の120kWインバーター(インバーターの下に描かれているのは従来型のインバーターを絵にしたもの)

 

モーターの代表諸元(35kW) インバーター代表諸元(120kW)
最大トルク 130Nm 主回路電圧 DC240V-DC400V
最高回転速度 10,000 min-1 最大出力電流 440Arms
最高出力 35kW 質量 約10.5kg
質量 約30kg 外形寸法 295mm×272mm×163mm
外形寸法 直径230mm×215mm  

 

明電舎:開発中のEV用ドライブユニットを展示

モーター・インバータの一体化モジュール 明電舎は駆動モーターとインバーターを一体化した製品を開発中。モーターとインバーターを一体構造とすることでケーブルをなくすことができ、小型化、低コスト、車載時のデッドスペースの低減、放射ノイズの低減を図る。
100kWモーター駆動用インバーター 出力密度を14.5kW/Lとして小型化を図ったモーター駆動用のインバーター。パワーケーブル、制御コネクター、冷却水を一方向に配置することでも搭載性を高めた。動作電圧範囲はDC240V-400V。試作品の外形寸法はW 298×D 230×H 154 mm。
100kwモーター・ギア一体型ユニット 駆動モーターと減速機を一体化した、小型/軽量のEV用ドライブユニットを昨年に続いて展示。最高出力を約55kWから100kWへ引き上げた。一体化することで接合部分を軽量化できる。また、減速機の潤滑油でモーターを冷やすことでオイルポンプを無くし、軽量化につなげた。
モーター・インバータの一体化モジュール 明電舎モーター・インバータの一体化モジュール
出力 最大 60kW
モータートルク 最大 160Nm
モーター最高回転数 12,000rpm
外径寸法 W 330×L 300×H 305 mm

 

  
明電舎 100kWモーター駆動用インバーター 明電舎 100kwモーター・ギア一体型ユニット
明電舎 100kWモーター駆動用インバーター 明電舎 100kwモーター・ギア一体型ユニット
日本電産/SPT社のSRモーターを使った電動スーパーチャージャー
明電舎製のEV・HEV用モーターとインバーターを搭載した、三菱自動車の Outlander PHEVのカットモデルも展示

 

ニチコン:二つの大きさ異なる充電器一体型DC-DCコンバーターを展示

EV用充電器一体型DC-DCコンバーター 従来型に比べて、スペックを保ったまま体積で20%小型化したEV用充電器一体型DC-DCコンバーターを展示。部品/レイアウトの見直しや、廃熱の方法を見直すことで実現。三菱自の現行のi-MiEV、Minicab MiEVに搭載されている。
超小型EV用充電器一体型DC-DCコンバーター 政府が検討している「超小型モビリティー」向けの充電器一体型DC-DCコンバーターを開発。空冷システムを採用し、リチウムイオン電池、鉛電池のどちらでも対応可能。容積は2.3L、重量は3.3kg。需要があれば生産していくとのこと。
ニチコンのEV用充電器一体型DC-DCコンバーター ニチコンの超小型EV用充電器一体型DC-DCコンバーター
EV用充電器一体型DC-DCコンバーター 超小型EV用充電器一体型DC-DCコンバーター

 

DANAのEV用減速機

減速比が10.86のEV用減速機。最大トルク容量は300Nm。ミニバンなどの中型EV向け。

DANAのEV用減速機

 



日本ケミコンのキャパシターの展示

 日本ケミコンは2013年12月に公募増資を行い最大約72億円を調達すると発表。調達した資金等を用いて、車載用電気二重層キャパシター「DLCAP」のセル生産設備の増設(完了予定2016年3月)に10.9億円、DLCAPモジュール生産設備の増設(同2017年3月)に11.2億円、ナノハイブリッドキャパシタの生産設備(同2017年3月)に46.9億円を投じる。

 

車載用電気二重層キャパシター DLCAP マツダとホンダ向けに供給している電気二重層キャパシターを展示。マツダには、AXELA、ATENZA、中国製CX-5に搭載される減速エネルギー回生システム i-ELOOP向けに供給。ホンダにはFitの1.3Lガソリンエンジンモデルに搭載されるアイドリングストップ向けに供給している。共に汎用製品であるDXEシリーズの派生商品。耐熱性を70度から85度に高めた製品も開発。
開発中の次世代キャパシタ ナノハイブリッドキャパシタ チタン酸リチウム(nc-Li4Ti5O12)とカーボンナノファイバーとの複合体を負極に用いたハイブリッドキャパシタ。従来の活性炭キャパシタの約3倍のエネルギー密度(30WhL-1級)と同程度の出力性能(6kWL-1級)を実現。生産設備を2017年3月完成に向けて新設する計画。
カーボンナノチューブキャパシタ 単層カーボンナノチューブを正極・負極に用いた電気二重層キャパシター。低抵抗で、キャパシターの寿命性能向上に寄与する、バインダー・接着剤を使わない電極を使用。通常のキャパシターに比べて約2倍のパワー密度(W/L)を実現。
マツダ向けに供給する、電気二重層キャパシターモジュール ホンダ向けに供給する、
電気二重層キャパシターモジュール
マツダ向けに供給する、
電気二重層キャパシターモジュール
ホンダ向けに供給する、
電気二重層キャパシターモジュール
電気二重層キャパシターモジュール DXE シリーズ
ナノハイブリッドキャパシタ カーボンナノチューブキャパシタ

 



展示された主な車両:ホンダ Accord プラグインハイブリッドモデルなど

ホンダ: Accord プラグインハイブリッドモデルと外部給電装置

ホンダ Accord Plug-in Hybrid ホンダは、上級セダンAccordのプラグインハイブリッドモデルを展示。まず、北米で2013年1月に販売を開始した。日本では同年6月に法人向け、12月には個人向けにリース販売を台数限定で開始した。法人向けには170台、個人向けには400台の販売を計画。台数を限定しているのはリチウムイオン電池の生産能力に限界があるためとのこと。
同社の2モーターハイブリッドシステム SPORT HYBRID i-MMDを搭載し、EV走行距離は37.6kmであり、PHV複合燃費は70.4km/L(JC08モード)。法人向けモデルには外部給電機能があるが、個人向けには省かれている。
外部給電インバーターボックス 車両のリチウムイオン電池からAC100Vの電気を取り出して外部給電する機器。AccordのPHVモデルでは定格出力3kVAで最大27時間の給電が可能。トランク内に収納が可能で、重さは約27kg。
ホンダ Accord PHV 外部給電インバーターボックス
ホンダ Accord PHV 外部給電インバーターボックス

 

PUES EV:OMV-01

全長2550mmの2人乗り超小型商用電気自動車。フランスのMEGA社のEVを日本の保安基準に合うように改造。鉛蓄電池もリチウムイオン電池へ入れ替えた(容量は2.2または4.4kWh) 。航続距離は35km(容量4.4kWh車でクーラー使用時の自社測定値)。日本政府の新カテゴリー車の規格の発表を待って、法人向けに販売する計画。改造は沖縄にある関連会社で行っている。

おかやま次世代自動車技術研究開発センター:OVEC-ONE

おかやま次世代自動車技術研究開発センターが参加企業16社と試験開発したコンバートEV。三菱ギャランフォルティスをベースに車両骨格、サスペンション取付け位置を維持したまま、リチウムイオン電池(容量32kWh)、アウトローター式インホイールモーター(最高出力45 kW、最大トルク450Nm)を4輪に取付けた。重量は1650kgとベース車に比べて300kgほど重い。
PUES EV:OMV-01 おかやま次世代自動車技術研究開発センター:OVEC-ONE
PUES EV:OMV-01 おかやま次世代自動車技術研究開発センター:OVEC-ONE

 

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