回復する米国のピックアップトラック市場

大型ピックアップは販売拡大、小型ピックアップは米メーカー撤退

2013/11/15

要 約

US Pickup Truck Sales and Market Share
資料: マークラインズ他

 米国のピックアップトラック市場は、最も販売が落ち込んだ2009年以降、ゆっくりではあるが着実に回復を続けている。この成長を支えているのは、回復傾向にある住宅市場で、建設業とその関連産業に従事する人々のピックアップ買い替え需要が拡大している。経済全般もピックアップの販売拡大を後押ししており、業務用車両の買い替えや追加を行う中小企業が増加している。しかし、自動車市場全体に占めるピックアップのシェアは、18.8%を占めた2005年の水準にはまだ戻っていない。その理由の一つは、ピックアップを自家用として購入する個人顧客が減少したことである。特に景気後退時には、個人顧客は高価格のピックアップの買い替えを先延ばしにするか、もっとコストパーフォーマンスが良い車を購入していた。だが、2013年1-9月には、ピックアップがライトビークル市場に占めるシェアが前年同期より若干拡大し、13.7%となっている。


関連レポート:
Ford: 北米市場の回復により堅調な業績を維持 2013年8月
米国市場:拡大基調で投資が活性化 2013年7月
GM:2013年も引き続き業績改善の見込み 2013年5月
デトロイトモーターショー 2013 (1) 米国と 欧州の自動車メーカー 2013年2月



景気好転に伴いピックアップ販売もゆるやかに回復

 2005年以降、米国におけるピックアップトラックの販売は、ライトビークル市場全体より大幅に減少した。2005~2012年にライトビークル全体の販売が14.5%減少したのに対し、ピックアップ販売は39.2%減少した。しかし、販売が最も落ち込んだ2009年以降は、ピックアップ販売はライトビークル市場全体とほぼ同率で増加している。
 2013年1-9月には、ピックアップ販売は前年同期より14.2%増加し、8.1%増にとどまったライトビークル市場全体の伸び率を上回った。

米国のピックアップトラック販売台数

Model 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2005
- 12
Jan-Sep
2012
Jan-Sep
2013
YoY
Jan-Sep
Full-Size Pickups
Ford F-Series 901,463 796,039 690,589 515,513 413,625 528,349 584,917 645,316 (28.4%) 463,733 559,506 20.7%
GM Chevrolet Silverado 705,980 636,069 618,257 465,065 316,544 370,135 415,130 418,312 (40.7%) 298,200 360,775 21.0%
Dodge/ Ram Pickup 400,948 364,177 358,295 245,840 177,268 199,652 244,763 293,363 (26.8%) 213,593 262,787 23.0%
GM GMC Sierra 229,488 210,736 208,243 168,544 111,842 129,794 149,170 157,185 (31.5%) 112,181 135,670 20.9%
Toyota Tundra 126,529 124,508 196,555 137,249 79,385 93,309 82,908 101,621 (19.7%) 74,972 81,821 9.1%
Nissan Titan 86,945 72,192 65,746 34,053 19,042 23,416 21,994 21,576 (75.2%) 16,406 12,243 (25.4%)
GM Chevrolet Avalanche 63,186 57,076 55,550 35,003 16,432 20,515 20,088 23,995 (62.0%) 17,149 15,618 (8.9%)
Total Full-Size Pickups 2,514,539 2,260,797 2,193,235 1,601,267 1,134,138 1,365,170 1,518,970 1,661,368 (33.9%) 1,196,234 1,428,420 19.4%
 
Compact Pickups
Toyota Tacoma 168,831 178,351 173,238 144,655 111,824 106,198 110,705 141,365 (16.3%) 102,872 121,772 18.4%
Nissan Frontier 72,838 77,510 64,397 44,997 28,415 40,427 51,700 55,435 (23.9%) 44,814 46,181 3.1%
Honda Ridgeline 42,593 50,193 42,795 33,875 16,464 16,142 9,759 14,068 (67.0%) 10,229 13,568 32.6%
GM Chevrolet Colorado 128,359 93,876 75,716 54,346 32,413 24,642 31,026 36,840 (71.3%) 32,608 3,375 (89.6%)
Ford Ranger 120,958 92,420 72,711 65,872 55,600 55,364 70,832 19,366 (84.0%) 19,146 - (100.0%)
GM GMC Canyon 34,845 23,979 20,888 14,974 10,107 7,992 9,590 8,735 (74.9%) 7,618 918 (87.9%)
Dodge Dakota 104,051 76,098 50,702 26,044 10,690 13,047 12,156 490 (99.5%) 488 - (100.0%)
Total Compact Pickups 672,475 592,427 500,447 384,763 265,513 263,812 295,768 276,299 (58.9%) 217,775 185,814 (14.7%)
 
All Pickups 3,187,014 2,853,224 2,693,682 1,986,030 1,399,651 1,628,982 1,814,738 1,937,667 (39.2%) 1,414,009 1,614,234 14.2%
All Cars / Light Trucks 16,958,945 16,526,430 16,105,177 13,202,832 10,408,312 11,559,156 12,734,443 14,494,798 (14.5%) 10,900,067 11,787,351 8.1%

資料:MarkLines他
(注) 販売台数は、生産が中止された少量のモデル (Chevrolet SSR, マツダ B-Series, 三菱 Raider, スズキ Equator等) を含まない。


 最近のピックアップの販売拡大は、大型ピックアップの販売増加に支えられている。2013年1-9月の大型ピックアップの販売は前年同期比19.4%増と大幅増加したのに対し、小型ピックアップは14.7%減少した。まず、好調な住宅市場と着実に回復する米国経済により、建設業とその関連事業が成長している。これが、購入を先延ばしにしていた従来のピックアップ利用者の堅調な需要を引き出している。

 

U.S. Retail Gasoline Prices
*Through October 28, 2013
Source: U.S. Energy Information Agency: Weekly U.S. Regular All Formulations Retail Gasoline Prices (Dollars per Gallon)

 また、個人顧客からの需要も大型ピックアップの販売拡大に寄与している。米国メーカーは、利幅の大きい大型ピックアップを重視し、大半の小型ピックアップの生産を中止した。このため、ピックアップの利便性を必要とし、しかも米国ブランドに忠実な個人顧客が、大型ピックアップの購入を検討し始めている。この需要を後押ししているのは、貸付機関が提示するローン金利が比較的低いことと、雇用が安定し、再び消費者に新車購入を考える余裕が出てきたことである。
 さらに、無鉛ガソリンの1ガロン当たりの価格は2011年以来あまり変動していない。ピックアップの利用者は特にガソリン価格の変動に敏感なため、最近のガソリン価格の安定化により、多くの利用者がショールームに戻ってきている。


 

 



Ford, GM, Chryslerの熾烈な競争が再燃

US: Share of Full-size Pickup Market by OEM
資料:マークラインズ他
(注)上表はFull-size Pickupのうちlight-vehicleに分類される車種のシェア。

 大型ピックアップの販売をめぐり、従来の中心的メーカーの競争がさらに激しくなっている。Ford, GM, Chrysler傘下の米国ブランドは、可能な限りシェアを伸ばすために一層努力している。ピックアップの利幅は大きく、アナリストによると通常1台当たり1万ドル以上の利益が得られるとされる。このため、旧来のライバルメーカーの競争は激化の一途を辿っている。2015年にGMがSierraとSilveradoのHeavy-Duty (HD) モデルの新型車を投入すると、競争は一段と激しくなるだろう。GMは、ピックアップの全販売台数のうち約4分の1がHDモデルになると予測している。

Ford

 Fordのピックアップの顧客は同ブランドに非常に忠実であり、F-Seriesの市場シェアは、2008年に新型車を投入後、着実に拡大している。2010年に大型ピックアップセグメントでGMを凌駕して以来、2013年9月末まで、Fordは他社からの脅威をかわし、市場シェア首位の座を守り続けている。しかし、GMは2013年春に2014年型Chevrolet Silveradoと GMC Sierraを投入したが、Fordのピックアップのモデルチェンジは2014年まで実施されない。この状況を考えると、Fordがモデル末期の商品の販売促進としてインセンティブを提供しないで、これまでの市場シェアを守れるかどうかは不明である。

Chrysler

 2005年から現在までにFordが大型ピックアップの市場シェアを3.3ポイント拡大したのに続き、RamブランドのピックアップもFiatの傘下で息を吹き返した。従来は"Dodge Ram"と呼ばれていたRamピックアップの市場シェアは、落ち込みの激しかった2010年の14.6%から、現在は18.4%に拡大している。モデルの改良と派生車の追加に加え、自動車専門のジャーナリスト達が毎年選ぶ"2013 North American Truck of the Year"を受賞したことも、Ramブランドのシェア拡大に寄与した。

GM

 FordとRamの成功と対照的に、GMは破産に陥るのと時を同じくして、安定していた大型ピックアップの市場シェアを減らし始めた。この間、GMに対する政府の「救済措置」に不満を持つ顧客の中には、Fordのピックアップに乗り換えた者もある。また、GMはChevrolet Avalancheの販売を中止し、Silveradoの販売に注力。Avalancheの販売は徐々に減少し、2013年に終了する見込みだが、GMの販売はさらに減少した。現在、GMの市場シェアは横ばい状態であるため、同社は最近投入した新型車効果で市場シェアを取り戻したいとしている。

日本メーカー

 ピックアップ販売の減少のもう一つの要因は、日本メーカーの販売不振である。トヨタのTundraと日産のTitanが大型ピックアップセグメントに占める合計シェアは、2005年から現在までに1.9ポイント低下した。トヨタと日産は、米国ブランドに忠実な米国の顧客の信頼を得るのに苦労している。また、日本メーカーのピックアップの多くは長期間モデルチェンジを行っていない。たとえば、Tundraが最後に全面改良を行ったのは2006年、Titanは2003年である。

 

 



日本メーカーは小型ピックアップの販売拡大、米国メーカーはセグメントから撤退

US: Compact Pickup Truck Sales
資料:マークラインズ他

 米国3大メーカーはいずれも、米国における小型ピックアップセグメントのモデルを漸次廃止している。小型ピックアップに対する需要が減少し、利幅が小さいことが、米国メーカーにこの決定を促した。日本メーカーは大型ピックアップセグメントでシェアを失ったが、小型ピックアップセグメントでは、米国メーカーの撤退により販売を拡大している。トヨタTacoma、日産Frontier、ホンダRidgelineは2012年に販売が拡大。2013年1-9月も引き続き前年同期より販売が増加している。


 GMは2013年8月に小型ピックアップのChevrolet ColoradoとGMC Canyonの販売を中止したが、最高財務責任者のDan Ammann氏は両モデルが2014年に米国市場に戻って来ると発表した。Ammann氏は、大型ピックアップを必要としない人々のニーズを満たすチャンスがあると語り、ニーズにかなったモデルがあれば、小型ピックアップ市場は拡大する可能性があると考えている。ただし、GMは新型車を旧モデルより一回り大きくし、中型ピックアップとして再投入する計画。Coloradoはスポーツ・トラックとして販売し、Canyonは同モデルの特色である「プロフェッショナル・グレード」を引き続き重視する。

 

 



多様なグレード設定により顧客の選択肢が拡大

 メーカー各社は、ピックアップトラックモデルに多様なグレードを設定している。これは、顧客の様々なニーズや運転スタイルに対応するためである。各グレードは、主に以下のような要素で構成されている。

  ・駆動方式:2輪駆動または4輪駆動
  ・エンジン・サイズ:V6またはV8エンジン
  ・キャブ・スタイル:レギュラーキャブ、クルーキャブ、その他
  ・荷台サイズ:ショートベッド、スタンダードベッド、ロングベッド
  ・装備:エントリーから最上級まで様々


 上記のすべての要素を組み合わせ、それぞれ異なるパッケージにして顧客に提供するため、その選択肢は驚くほど多くなる。たとえば、FordはF-150に70種近いバリエーションを設定し、メーカー希望小売価格(ベース車)も24,215ドルから53,595ドルまで幅広い。Ramのピックアップはさらに多い75種のバリエーションを提供する。GMのChevrolet SilveradoとGMC Sierraはそれぞれ25種以上のバリエーションを設定する。ホンダRidgelineには4輪駆動、クルーキャブ、V6エンジンのスタイルしかなく、提供するバリエーションは約6種と最も少ない。


 下表は、主なピックアップトラックのベースグレードと最上級グレードのスペックである。

ベースグレードのスペック
モデル名 Ford F-150 Chevrolet Silverado 1500 GMC Sierra 1500 Ram 1500 Toyota Tundra Nissan Titan
グレード 2WD Reg Cab 126" XL 2WD Reg Cab 119.0" Work Truck (1WT) 2WD Regular Cab 119.0" Sierra 2WD Reg Cab 120.5" Tradesman Reg Cab LB 4.0L V-6 SR (GS) 2WD King Cab SWB S
メーカー希望小売
価格 (ベース車)
USD 24,215 USD 25,575 USD 26,075 USD 24,385 USD 25,920 USD 29,270
駆動方式 Rear Wheel Drive Rear Wheel Drive Rear Wheel Drive Rear Wheel Drive Rear Wheel Drive Rear Wheel Drive
キャブ・スタイル Regular Cab Regular Cab Regular Cab Regular Cab Regular Cab Extended Cab
荷台スタイル Standard Bed Standard Bed Standard Bed Standard Bed Long Bed Standard Bed
エンジン V-6, 3.7 L/228 cu in. V-6, 4.3L/262 cu in. V-6, 4.3L/262 cu in. V-6, 3.6 L/220 cu in. V-6, 4.0 L/241 cu in. V-8, 5.6 L/339 cu in.
最高出力 302 @ 6500 RPM 285 @ 5300 RPM 285 @ 5300 RPM 305 @ 6350 RPM 270 @ 5600 RPM 317 @ 5200 RPM
最大トルク 278 @ 4000 RPM 305 @ 3900 RPM 305 @ 3900 RPM 269 @ 4800 RPM 278 @ 4400 RPM 385 @ 3400 RPM
トランスミッション 6-Speed Automatic 6-Speed Automatic 6-Speed Automatic 8-Speed Automatic 5-Speed Automatic 5-Speed Automatic
燃料消費率 (MPG)
City/Hwy/Com.
17 / 23 / 19 mpg 18 / 24 / 20 mpg 18 / 24 / 20 mpg 17 / 25 / 20 mpg 16 / 20 / 17 mpg 13 / 18 / 15 mpg
乗車定員/ドア数 3 / 2 3 / 2 3 / 2 3 / 2 3 / 2 6 / 4
車両総重量 (lbs) 6450 6500 6500 6025 6400 7000
全長x全幅x全高 (in) 213.2 x 79.2 x 74.8 205.6 x 80.0 x 74.0 205.6 x 80.0 x 74.0 N/A209.0 x 79.4 x 74.6 228.9 x 79.9 x 75.8 224.6 x 79.5 x 74.6
ホイールベース (in) 126.0 119.0 119.0 120.0 145.7 139.8
荷台寸法 長x幅 (in) 78.0 x 65.2 78.9 x 64.6 78.9 x 64.6 76.3 x 66.4 97.6 x 66.4 79.1 x 63.8
 
最上級グレードのスペック
モデル名 Ford F-150 Chevrolet Silverado 1500 GMC Sierra 1500 Ram 1500 Toyota Tundra Nissan Titan
グレード 4WD SuperCrew 157" Platinum 4WD Crew Cab 153.0" LTZ (w/1LZ) 4WD Crew Cab 153.0" Denali 4WD Crew Cab 149" Longhorn CrewMax 5.7L V-8 FFV Platinum 4WD Crew Cab SWB SL
メーカー希望小売
価格 (ベース車)
USD 50,815 USD 44,670 USD 50,265 USD 49,215 USD 47,320 USD 43,190
駆動方式 Four Wheel Drive Four Wheel Drive Four Wheel Drive Four Wheel Drive Four Wheel Drive Four Wheel Drive
キャブ・スタイル Crew Cab Crew Cab Crew Cab Crew Cab Crew Cab Crew Cab
荷台スタイル Standard Bed Standard Bed Standard Bed Standard Bed Short Bed Short Bed
エンジン V-8, 5.0 L/302 cu in. V-8, 5.3L/325 cu in. V-8, 5.3L/325 cu in. V-8, 5.7 L/345 cu in. V-8, 5.7 L/346 cu in. V-8, 5.6 L/339 cu in.
最高出力 360 @ 5500 RPM 355 @ 5600 RPM 355 @ 5600 RPM 395 @ 5600 RPM 381 @ 5600 RPM 317 @ 5200 RPM
最大トルク 380 @ 4250 RPM 383 @ 4100 RPM 383 @ 4100 RPM 410 @ 3950 RPM 401 @ 3600 RPM 385 @ 3400 RPM
トランスミッション 6-Speed Automatic 6-Speed Automatic 6-Speed Automatic 8-Speed Automatic 6-Speed Automatic 5-Speed Automatic
燃料消費率 (MPG)
City/Hwy/Com.
14 / 19 / 16 mpg 16 / 22 / 18 mpg 16 / 22 / 18 mpg 15 / 21 / 17 mpg 13 / 17 / 15 mpg 12 / 17 / 14 mpg
乗車定員/ドア数 5 / 4 6 / 4 6 / 4 5 / 4 5 / 4 5 / 4
車両総重量 (lbs) 7350 7200 7200 6800 7200 7200
全長x全幅x全高 (in) 231.9 x 79.2 x 75.6 239.6 x 80.0 x 73.8 239.0 x 80.0 x 73.8 N/A237.9 x 79.4 x 77.9 228.9 x 79.9 x 76.2 224.6 x 79.5 x 76.7
ホイールベース (in) 157.0 153.0 153.0 149.0 145.7 139.8
荷台寸法 長x幅 (in) 78.0 x 65.2 78.9 x 64.6 78.9 x 64.6 76.3 x 66.4 66.7 x 66.4 67.3 x 63.8

資料:The Car Connection, Edmunds.com, 各社ウェブサイト
(注) メーカー希望小売価格は運送料、税金、登録料を含まない。価格は各グレードのベース車のもので、オプション装備を含まない。数値は四捨五入しているため、各メーカーの公表値と若干異なる場合がある。

 

 



各社の新型車の概要と最近の動向

GMはChevrolet SilveradoとGMC Sierraの新型車を投入

 GMは2013年6月、大型ピックアップトラックの新型車、2014年型Chevrolet SilveradoとGMC Sierraを発売した。発売が待たれていた両モデルは、まず2012年12月に発表され、2013年1月に開催されたデトロイトモーターショーに出展された。SilveradoとSierraが全面改良されたのは、2006年以来のことである。

2014 Chevrolet Silverado
2014 Chevrolet Silverado
2014 GMC Sierra
2014 GMC Sierra


 両モデルには、直噴システム、気筒休止機能、連続可変バルブタイミング機構を備えた3種のエンジンが設定された。4.3L V6, 5.3L V8, 6.2L V8の3種で、いずれも低負荷走行の場合は燃費向上のために気筒を休止する機能を有する。

Chevrolet Silverado/GMC Sierra搭載エンジン

2014年型Chevrolet Silverado/GMC Sierra搭載エンジン
仕様 4.3L V-6 EcoTec3 (LV3) 5.3L V-8 EcoTec3 (L83) 6.2.L V-8 EcoTec3 (L86)
排気量 (立方インチ/cc) 262 / 4301 325 / 5328 376 / 6162
ボア&ストローク (mm) 99.6 x 92 96 x 92 103.25 x 92
シリンダーブロック/ヘッド Aluminum/Aluminum Aluminum/Aluminum Aluminum/Aluminum
圧縮比 11.0:1 11.0:1 11.5:1

出展: General Motors

 

Fordはコンセプト車Atlasで将来の技術とデザインを提示

 遅れをとるまいとFordも、2013年1月のデトロイトモーターショーにコンセプト車Atlasを出展した。同コンセプト車は、次期型F-150の技術やデザインを示すものとみなされている。次期F-150は新開発のP552プラットフォームをベースとし、2014年7月から生産される見通し。新型車の生産開始後6カ月間は、旧モデルの生産も継続する計画。

2015 Ford Atlas Concept
2015 Ford Atlas Concept
2015 Ford Atlas Concept
2015 Ford Atlas Concept


 Fordは、ピックアップやSUVの燃費改善策の研究を続けている。Atlasに採用された燃費対策には、フロントバンパーの下に設置された格納可能なスポイラー、フロントグリル内側でグリルを自動開閉する「アクティブグリルシャッター」、ホイールのスポーク間の開口部を自動開閉する「アクティブホイールシャッター」等がある。これらのシャッターは、高速走行時に燃費向上のために自動的に閉鎖する。また、車の両側には人の乗降の便を図るために電動ランニングボードが設置されているが、走行中は空力性能を向上させるために格納される。


 ピックアップ市場は、FordがEcoBoostエンジンを投入したことにより、大きく進歩した。Fordは、伝統的に大排気量エンジンが好まれるピックアップセグメントで、ガソリン価格に敏感な消費者向けに、燃費効率のよい小排気量エンジンを販売するという賭けに出た。Fordは高圧噴射による直噴システム、ターボチャージャー、パワートレインの先進的制御機能を利用して、従来のガソリンエンジンより燃費を20%改善し、CO2排出量を15%削減した。FordがGMを抜いて市場シェアで首位に立ったことは、Fordがこの賭けに勝ったことを示していると言えよう。

Ford F-150搭載エンジン

2014年型F-150搭載エンジン
仕様 3.7L V-6 5.0L V-8 6.2L V-8 3.5L EcoBoost
バルブトレイン Ti-VCT DOHC Ti-VCT DOHC iVCT SOHC Ti-VCT DOHC
シリンダーブロック/ヘッド Aluminum/Aluminum Aluminum/Aluminum Cast iron/Aluminum Aluminum/Aluminum
ボアxストローク 3.76 x 3.45 in. 3.63 x 3.65 in. 4.02 x 3.74 in. 3.64 x 3.45 in.
排気量 226 cu. in. 302 cu. in. 379 cu. in. 214 cu. in.
圧縮比 10.5:1 10.5:1 9.8:1 10.0:1
最高出力 302 @ 6,500 rpm 360 @ 5,500 rpm 411 @ 5,500 rpm 365 @ 5,000 rpm
最大トルク 278 lb.-ft. @ 4,000 rpm 380 lb.-ft. @ 4,250 rpm 434 lb.-ft. @ 4,500 rpm 420 lb.-ft. @ 2,500 rpm
推定燃費 17 city/23 highway 15 city/21 highway 13 city/18 highway 16 city/22 highway
トランスミッション 6-Speed automatic 6-Speed automatic 6-Speed automatic 6-Speed automatic

 

Ramは小型ピックアップに新型8速AT搭載のディーゼルモデルを設定

 Chryslerグループは2013年2月、Ramが2014モデルイヤーにハーフトンピックアップのディーゼルモデルを投入すると発表した。Chryslerが小型ピックアップにディーゼルエンジンを搭載するのは、1978年以来初めてのことである。イタリアのエンジンメーカー VM Motoriから3.0L V6 ターボディーゼルエンジンを調達し、自社製8速ATを組み合わせる。このEcoDieselエンジンは2013年末か2014年初頭から搭載される見込み。これにより、Ramは他社の製品にないエンジンの選択肢を提供することができる。


 2013年に搭載されるその他のエンジンは、3.6L V6, 4.7L V8, 5.7L V8のガソリンエンジンである。2013年モデルからは、ドイツのZF Friedrichshafenとの供給契約により、8速ATが設定されている。これに対抗するため、GMとFordは、9速/10速ATを共同開発すると発表した。

 

トヨタTundraは2014年モデルを一部改良

 トヨタは、北米市場専用の大型ピックアップトラックTundraの内外装を一新した最新型を、2013年2月開催のシカゴモーターショーで発表した。トヨタは、米国メーカーからシェアを奪い取るとする野心的な目標を立てていたが、景気の悪化により2014年モデルの販売目標を137,000台に抑えることを余儀なくされた。これは、2007年に立てた20万台という当時の楽観的な目標を、大幅に引き下げたものである。


 トヨタは新たな顧客を増やすよりも、トヨタブランドに忠実な顧客に現在販売している車について、販売価格を引き上げ、利幅を増やすことに注力しているように見える。新しい装備やオプションを追加する一方、パワートレインやプラットフォームは前年からほとんど変わっていない。Tundraの搭載エンジンも、引き続き4.0L V6, 4.6L V8, 5.7L V8の3種である。V6エンジンは依然として5速ATと組み合わせるが、V8エンジンには6速ATが用意される。

 

トヨタTacomaは小型ピックアップセグメントのトップモデル

 米国メーカーが撤退した後、小型ピックアップセグメントの勝者がトヨタのTacomaであることは明白である。2005~2012年に同セグメント全体の販売台数は58.9%減少したが、Tacomaの減少率は16.3%にとどまった。2013年1-9月には、Tacomaの販売は前年同期より18.4%増加したが、セグメント全体は14.7%減と引き続き減少している。


 Tundraと同様、テキサス州San Antonio工場で生産されているTacomaは、4Runnnerとプラットフォームを共用し、ピックアップのHiluxをベースとしている。搭載エンジンのうち、2.7L 4気筒エンジンは最高出力が159 hp、最大トルクが180 lb-ft、4.0L 6気筒エンジンは最高出力が236 hp、最大トルクが266 lb-ft。エントリー車であるレギュラーキャブバージョンの販売価格は17,875ドルから、最上級バージョンは28,285ドルからである。次世代モデルは2015年モデルとして、2014年秋に発売される予定。

 

日産はモデル末期のTitanで苦戦

 日産は、2003年に投入して以来、Titanに大幅な改良を施していない。長期にわたりモデルチェンジをしていないTitanの米国での販売は低迷しており、市場が最も落ち込んだ2009年以降、年間約2万台で推移している。同期間、他の大半のモデルは着実に販売を伸ばしている。2013年1-9月もTitanは販売不振に苦しみ、前年同期より25.4%減少した。


 日産は2013年2月6日、Titanに替わる大型ピックアップの新モデルを開発しており、2015年に投入すると発表した。新モデルでは、自家用として利用する顧客向けのラインアップを拡大する一方、業務用の利用者のニーズにも応えるとしている。日産は、TitanがV8エンジンとクルーキャブまたはキングキャブのオプションしか持たないのに対し、新モデルではV6エンジンとレギュラーキャブのオプションを追加する予定。また、新開発のCummins製5.0L V8ターボディーゼルエンジンも設定する。

 

日産Frontierの生産をミシシッピー州Canton工場に移管

 小型ピックアップセグメントから大半の競合モデルが消えて行ったため、日産Frontierは米国市場でようやく販売の足掛かりを得た。Frontierは、ピックアップの機能性を求めるが、大型ピックアップの牽引力や積載量は必要ないという人々に受け入れられている。以前はテネシー州Smyrna工場で生産されていたが、2012年末にミシシッピー州Canton工場に移管された。現在は2代目で、2004年に2005年モデルとして発売された。次回の改良は2015年モデルとなる予定。


 Frontierにはキングキャブとクルーキャブが設定される。エントリーレベル "S"の搭載エンジンのうち、2.5L 4気筒エンジンは最高出力が152 hp、最大トルクが171 lb-ft。5速MTが標準装備で、5速ATがオプション設定される。4.0L 6気筒エンジンは最高出力が261 hp、最大トルクが281 lb-ft。6速MTが標準装備で、大半のグレードにATがオプション設定される。

 

"スポーツユーティリティトラック"のホンダRidgelineの将来は不確実

 ホンダは2005年に投入してから、Ridgelineに多くの改良を施していない。投入時から現在まで、アラバマ州Lincolnのホンダ工場で生産されている。しかし、5万台を超えた2006年のピーク時以来、販売は減り続け、2012年には14,000台強にまで減少した。Ridgelineが発表された時には、革新的な荷台の積載能力により、"スポーツユーティリティトラック" (トラックとSUVが融合) と呼ばれた。Ridgelineには4輪駆動、クルーキャブ、V6エンジンのみが設定されている。


 ホンダはRidgelineが米国から姿を消すという噂を否定しているが、業界では、同モデルは2014年9月に生産を終了し、2016年上期には新モデルに切り替わるという推測が流れている。以前はこの推測とは異なり、現行モデルは2016年春に生産を終了し、その翌週には次世代モデルの生産が始まると予測されていた。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>