日産の北米事業:2017年をめどに北米新工場建設を検討

2015年に米国販売車の85%を北米で生産、米国生産車の輸出拡大も計画

2013/07/12

要 約

 日産は、2016年度までに米国販売シェア10%達成を目指している。

 2012年に、量販モデルであるAltima、Sentra、Pathfinderを更新した。しかし新型車の立ち上げが短期間に集中したため調達網のトラブルを起こし、米国販売は前年比9.5%拡大したものの全体需要の伸びに追いつかず、シェアは前年の8.2%から7.9%に下降した。2013年1~6月は8.0%に回復している。

 日産は、2015年に米国販売車の85%を北米生産車とする計画。2013年半ば時点で2012年秋までの超円高は修正されてきているが、日本からの生産移管を予定通り進めている。具体的には、新規モデルInfiniti QX60(旧JX)を2012年初めにSmyrna工場で生産開始、EV Leafを2013年初めからSmyrna工場で生産開始した。また、RogueとMuranoの生産を九州工場から移管し、それぞれSmyrna工場およびCanton工場で生産する計画。

 日産はさらに、米国からの輸出を増やす計画。現在の米国2工場、メキシコ2工場に加え、2013年末にはメキシコ第3工場が稼働開始するが、なお生産能力が不足すると見て、2017年の生産開始をめどに北米新工場の建設を検討している。

 日産はEVの普及を加速するとともに、ハイブリッド車を積極投入する計画。

 日産は、2013年初めからSmyrna工場で生産開始した2013 Nissan Leafに、価格28,800ドルのSグレードを設定した。連邦政府の補助金7,500ドル、州の補助金2,500ドル(地域により異なる)を適用すると18,800ドルとなり、同クラスの通常エンジン車と同等の価格を実現したとしている。Leafの1~6月米国販売台数は9,389台と前年同期比3倍増した。

 ハイブリッド車については、日産は2012年12月に、2016年度末までに新たに15車種に設定すると発表した。特定車種に設定するというよりも、ラインアップ全体に幅広く設定する方針。2013年夏に、Nissan Pathfinder/Infiniti QX60に、前輪駆動用「1モータ、2クラッチ」方式のハイブリッドシステムを設定する。プラグインハイブリッドも設定する計画。


関連レポート:日産の国内事業:生産を九州に集中し、日韓中を結ぶ部品相互供給網を構築 (2013年6月掲載)
                   :北米市場:拡大基調で投資が活性化(2013年7月掲載)

Resonanceコンセプト
前輪駆動車用ハイブリッドシステムを搭載するResonance
コンセプト(デザインは、次期型Muranoを示唆するとしている)
(2013年1月開催のDetroitオートショーから)
Versa Noteハッチバック
メキシコAguascalientes工場で生産し、2013年6月に
米国発売したVersa Noteハッチバック
(2013年1月開催のDetroitオートショーから)


米国販売:2012年は0.3%のシェアダウン、2013年度は11.6%増の127万台販売を計画

 日産は2012年に、多くの量販モデルを新規投入または更新した。2012年3月にInfiniti JX(Infiniti QX60にモデル名を変更)を投入、6月に新型Altima、秋に新型Pathfinderと新型Sentraを発売した。Altimaは、初めて年間30万台販売を達成した。

 しかし、集中した新型車発売と生産台数拡大が調達網の混乱を招き、2012年の日産車米国販売は9.5%拡大したが、米国Light vehicle市場の伸び率13.4%に届かず、シェアは前年の8.2%から7.9%に下降した。

 2013年1~6月期は、Altima、Pathfinder、Sentraなどが貢献し、日産の販売は8.1%拡大しシェアは7.9%から8.0%に上昇した。

 2013年には、NV200(2013年4月)、Versa Note(6月)、Infiniti Q50(夏)、Rogue(秋)の新型車4モデルを投入し、年度ベースで11.6%増の127万台、北米で9.8%増の161万台の販売を計画している。

日産の米国モデル別販売台数

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2012年
1~6月
2013年
1~6月
G
M
64,181
15,618
47,174
8,501
58,143
14,618
58,246
10,818
59,844
9,130
28,749
4,941
24,097
2,945
Infiniti car 79,799 55,675 72,761 69,064 68,974 33,690 27,042
EX
FX
JX
QX56
12,873
12,660

7,657
7,950
11,024

6,440
8,312
10,420

11,918
6,030
9,939
0
13,428
3,495
10,424
21,674
15,310
1,796
4,697
7,725
6,469
825
3,616
14,783
5,967
Infiniti truck 33,190 25,414 30,650 29,397 50,903 20,687 25,191
Total Infiniti 112,989 81,089 103,411 98,461 119,877 54,377 52,233
370Z
Altima
Cube
10,337
269,668
0
13,117
203,568
21,471
10,215
229,263
22,968
7,328
268,981
14,459
7,338
302,934
7,667
4,473
157,101
4,085
3,217
167,787
3,319
GT-R
Juke
Leaf
1,730 1,534
0
0
877
8,639
19
1,294
35,886
9,674
1,188
36,358
9,819
583
18,728
3,148
624
17,778
9,839
Maxima
Sentra
Versa
47,072
99,797
85,182
53,351
82,706
82,906
60,569
94,065
99,705
58,737
114,991
99,730
59,349
106,395
113,327
30,104
55,984
60,919
23,675
66,439
63,761
Nissan Div. car 513,786 458,653 526,320 611,080 644,375 335,125 356,439
Armada
Frontier
Murano
NV
15,685
44,997
71,401
9,903
28,415
52,546
19,344
40,427
53,999
0
18,331
51,700
53,626
6,444
18,072
55,435
51,675
10,179
9,474
29,385
27,179
4,885
7,381
29,316
20,587
6,173
NV200
Pathfinder
Quest

33,555
18,252

18,341
8,437

21,438
177

25,935
12,199

42,621
18,275
0
15,350
10,743
1,081
46,539
6,949
Rogue
Titan
Xterra
73,053
34,053
33,579
77,222
19,042
16,455
99,515
23,416
20,523
124,543
21,994
18,221
142,349
21,576
17,222
71,838
10,679
8,686
79,051
8,852
10,108
Nissan Div. truck 324,575 230,361 278,839 332,993 377,404 188,219 216,037
Total Nissan Div. 838,361 689,014 805,159 944,073 1,021,779 523,344 572,476
Nissan N.A. 951,350 770,103 908,570 1,042,534 1,141,656 577,721 624,709
日産のシェア
米国Light vehicles
7.2%
13,245,718
7.4%
10,431,509
7.8%
11,589,844
8.2%
12,779,007
7.9%
14,492,398
7.9%
7,272,541
8.0%
7,820,966
日産米国販売の北米生産車比率
北米生産車
輸入車
689,497
261,853
529,564
240,539
620,845
287,725
685,064
357,470
768,784
372,872
390,292
187,429
454,365
170,344
北米生産車比率
輸入車比率
72.5%
27.5%
68.8%
31.2%
68.3%
31.7%
65.7%
34.3%
67.3%
32.7%
67.6%
32.4%
72.7%
27.3%

資料:Automotive News

 



2012~2013年発売の主要な新型車

Infiniti Q50(2013年夏発売)に導入する新技術

Infiniti Q50 4気筒ターボエンジンとディーゼルエンジン  2013年夏に米国発売するInfiniti Q50は数多くの新技術を搭載する。エンジンは、発売当初は前モデルと同じV6 3700ccエンジンを搭載するが、2年くらいの間に、4気筒ターボエンジンとディーゼルエンジン(当初は欧州のみで販売)搭載車を投入する見込み。
 ターボエンジンとディーゼルエンジンは、現在ラグジュリーモデルに必須となっており、Q50拡販の大きな力になるとしている。また日産は、Renault-日産-Daimlerの提携を活用し、この二つの技術をDaimlerから導入する見込み。
Steer-by-wire  Q50は、"Infiniti Direct Adaptive Steering"の商品名で、Steer-by-wireをオプション設定する。BMWやAudiが開発を進めているが、量産モデルでの商品化は初。新しいステアリングシステムは、機械式のステアリングシステムより素早くドライバーの意図を車輪へと伝達し、タイヤの角度とステアリングの操舵をより高度に制御することを可能にした。
 Q50では、フェイルセーフのため、独立した3系列の電子制御システムを持ち、従来と同じ機械的な機構も備えて、非常時に作動させるシステムとしている。
1.2GPaの超高張力
鋼板を使用
 一般的に、ハイテン材の強度を向上させると延性が低下し複雑な形状の加工が困難で、適用可能な部品が限定されていた。日産は、複雑な形状にも加工可能な1.2GPa級高成形性超ハイテン材を開発し、世界で初めてInfiniti Q50に採用し、ボディーの重量を24ポンド(約11kg)軽量化した。

 

その他の主要新型車

モデル 発売 概要
Infiniti JX
(Infiniti QX60)
2012年3月  Pathfinderの姉妹車で、3列シート7人乗りSUV(モノコックボディー、FF車)。Smyrna工場で生産する( Infinitiブランド車の海外生産は初)。販売不振であったEX、FXを超え、近い将来年販7万台を期待する。モデル名をInfiniti QX60に変更した。
(注) 1. Infiniti車は、2014モデルイヤーから、乗用車は"Q"、SUV/Crossover車は"QX"で始まるモデル名に変更した。具体的には、Gセダン→Q50、Gクーペとコンバーティブル→Q60、M→Q70、EX→QX50、JX→QX60、FX→QX70、QX56→QX80となる。
2. モデル名の変更は、今後の積極的な新規モデル投入に備えるためとしている。
Nissan Altima 2012年6月  新型Altimaを2012年4月のニューヨークオートショーで初披露し、2012年6月末に発売した。直列4気筒2.5Lエンジン/V6 3.5Lエンジンと新世代のCVTを搭載。4気筒車のEPA燃費は 27 mpg city/38 mpg highway/31 mpg combined。
Nissan Pathfinder 2012年10月  新型Pathfinderは、body-on-frame構造からUnibody構造に変更した。エンジンはV6 4000ccからより燃費性能のよいV6 3500ccエンジンに変更、トランスミッションはATに替えてCVTを採用し、燃費は前モデルの15 city/22 highwayを20 city/26 highwayに向上させた。
Nissan Sentra 2012年10月  前モデルに比べサイズは多少大きくしながら、燃費を27 city/34 highway (CVT車)から30 city/39 highway(同)に改善した。室内や装備を上級化し、トヨタCorollaやホンダCivicに正面から対抗する。またデザインは、前代モデルとは異なり、中型セダンAltimaと共通するラインを採用した。
NV200 2013年4月  乗用車SentraとBプラットフォームを共有する小型商用バン。2000ccエンジンを搭載し、メキシコCuernavaca工場で生産する。この市場は、これまでFord Transit Connectがほぼ独占していた。Chryslerは、2013年秋に、Fiat DucatoバンベースのRam ProMaster(トルコ工場で生産)を米国発売する。
2013年  2013年後半から、タクシー仕様の乗用バンをニューヨーク市に独占供給予定。
2014年  2014年秋からGMにOEM供給し、GMはChevrolet City Expressのモデル名で米国とカナダで販売する。
Versa Note 2013年6月  Versa Hatchの後継モデルとなる2014 Versa Note(ハッチバック)を発売した。これまではBプラットフォームベースであったが、Versaセダンと同じVプラットフォームベースに変更、1600ccエンジンを搭載し、CVT車は31 mpg city/40 mpg highway/35 mpg combinedの低燃費を達成した。メキシコのAguascalientes工場で生産する。
 Versa Noteベース車(5MT搭載)の輸送費を除く価格は13,990ドルで、Versaセダンより2,000ドル高い。Versaセダンは経済性を訴求するが、Versa Noteは同時に運転の楽しさや快適性を訴求するとしている。
Nissan Rogue 2013年秋  Cプラットフォームベースの小型Crossover。北米ではRogue、欧州ではQashqai、日本ではDualisのモデル名で販売している。次期型Rogueは、次期型Qashqai、X-trailとともにCMF(Common Module Platform)が適用される。
 現行Rogueは日本の九州工場で生産しているが、新型車は米国Smyrna工場に生産を移す計画。また韓国のRenault Samsungの釜山工場でも生産し、米国に年間8万台規模輸出する。

 

店舗当たり販売台数を倍増し、2016年度シェア10%を目指す

 日産は、商品力とともに販売体制を強化し、米国シェア10%を目指す。販売台数でホンダを超えることを目指している。

 2016年度(2017年3月期)までに重点地域の店舗ごとの販売台数を、現状から2倍増する目標を掲げた。日産の米国市場での状況は、優位にある競合メーカーと比較するとまだ日産のポテンシャルを発揮していない面が多く、"Operational performance level"を引き上げることにより、中期目標である米国シェア10%は達成可能としている。

販売網を強化し、店舗当たり販売台数を倍増

 2012年に日産の米国ディーラーは平均959台を販売し、トヨタ・サイオンの1,491台、ホンダの1,220台に負けている。また日産のディーラー間にも地域により大きな差があり、西部地区(West)でのシェアは10%に達しているが、中西部地域(Mid-west)でのシェアは5%強にとどまっている。
 日産は、全米で、日産のシェアを拡大する可能性が高いと思われる40の重点地域を設定し、この地域での店舗ごとの販売台数を2017年3月期までに倍増させ、店舗数も増やす計画。地域の状況に細かく対応する販売マネジメントを展開し、日産の持つポテンシャルをフルに引き出せば、シェアアップが十分可能だとしている。
 また日産ディーラーの大半は、複数ブランドを取り扱っている。各ディーラーが日産車販売をより重視するよう、ディーラーとの関係を深め、"The dealer share of mind"を高めるよう働きかけ続けるとしている。

資料:Automotive News 2013.4.1/2013.5.6/2013.5.13/2013.6.10

 

7車種の価格(MSRP)を、580ドル~4,400ドル値下げ

 日産は2013年5月初めに、Nissanブランド7車種(Altima, Sentra, Maxima, Rogue, Juke, Murano, Armada)の米国小売価格(MSRP: Manufacturer's suggested retail price)を引き下げた。下げ幅は、580ドル(Altima)から4,400ドル(Armada)まで。
 MSRPと実売価格の差が大きいと、インターネットで車を探すユーザーにディスカウントブランドとして敬遠される傾向が強い。またリース残存価格(Residuals)率は、実売価格ではなくMSRPベースで計算するので、残存率も高く評価されることになる。
 なお、今回の価格改定は、最近の円安とは関係ないとしている。7車種のうち4車種は北米生産車であり、Rogue、Juke、Muranoの3車種は日本から輸入しているが、RogueとMuranoは近く生産を米国へ移管する計画である。

資料:Automotive News 2013.5.6

 

 



生産体制:2017年めどに北米新工場建設を検討

 日産の北米4工場(米国2工場とメキシコ2工場)は、相次ぐ新型車の生産、米国・メキシコ・ブラジルでの販売拡大に対応する増産、日本から移管する生産の準備など、多くの課題に取り組みながらフル生産を続けている。2012年秋にSmyrna工場は3交代制での勤務を開始した(Smyrna工場で初)。

 今後(2013年後半~)の計画としては、2013年秋にSmyrna工場でRogueの生産を開始(日本の九州工場から移管)、2013年末にメキシコ第3工場が稼働開始、2014年にCanton工場でMuranoの生産開始(九州工場から移管)を予定。

 日産は、米国販売車の北米生産比率を2015年までに85%に高める計画(2013年1~6月期は72.7%)。さらに米国からの輸出を拡大する方針で、2017年の生産開始をめどに北米新工場の建設を検討している。

日産の北米工場別生産台数

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2012年
1~5月
2013年
1~5月
Smyrna 乗用車
小型トラック
161,031
71,825
118,626
74,235
175,651
106,254
216,656
117,228
234,724
176,739
172,901 197,012
232,856 192,861 281,905 333,884 411,463
Canton 乗用車
小型トラック
212,851
103,037
140,467
40,970
171,216
57,748
168,453
60,878
172,058
61,418
102,338 127,855
315,888 181,437 228,964 229,331 233,476
米国合計 548,744 374,298 510,869 563,215 644,939 275,239 324,867
Aguascalientes 乗用車 286,521 227,965 334,252 360,796 384,196 169,818 188,785
Cuernavaca 乗用車
小型トラック
125,473
47,906
95,253
32,196
121,987
50,251
168,180
78,111
185,007
114,317
118,297 101,571
173,379 127,449 172,238 246,291 299,324
メキシコ合計 459,900 355,414 506,490 607,087 683,520 288,115 290,356
北米合計 1,008,644 729,712 1,017,359 1,170,302 1,328,459 563,354 615,223
資料:Ward's Automotive Reports
(注) 1. 日産は2012年秋に、米国2工場の生産分担を変更した。2012年第4四半期から、メキシコAguascalientes工場とともにCanton工場でも新型Sentraを生産開始、11月には、Frontier PickupとXterra SUVの生産を、Smyrma工場からCanton工場に移した。Body-on-frameモデルの生産は、全てCanton工場に集約した。
2. Smyrna工場では、2012年初めからInfiniti JX(QX60)の生産を開始。秋に新型Altima、Pathfinderの生産を開始し、2012年秋から3交代制で生産している(Smyrna工場で初めて)。日産は、2013年秋に、日産Rogueの生産を新型車への切り替えを機に日本の九州工場からSmyrna工場へ移すと発表した。
3-1. 日産は、九州工場で生産するSUV Muranoの生産を、2014年後半に予定する新型車から米国Canton工場で生産すると発表した(2013年1月発表)。
3-2. 日産は、Canton工場をMuranoの輸出拠点として整備し、世界116カ国に輸出する計画。工場近くのサプライヤーパークを拡充し、工場敷地内にも新工場棟を建設しサプライヤーを招いて、調達部品のコストダウンと品質管理の強化を進める。
4. 日産は北米生産車の輸出を拡大する計画。Altimaは既に45カ国・地域に輸出しているが、さらに供給を確保し輸出を拡大する計画。新型Sentraも輸出を拡大する可能性が高いとしている。
5. Infinitiブランドは、2017年までにQ50より小型の量販モデルを計画している。その生産のため、米国またはメキシコに新たに10万台の生産能力構築を検討中とされる(北米新工場構想の一部として報道されている)。

 

北米各工場の生産車種

年産能力 生産車種
Smyrna 550,000  Altima, Maxima, Pathfinder, Infiniti JX (QX60)(2012年初~)、 Leaf(2013年初~)、Rogue(2013年秋~),(2012年末から、リチウムイオン電池を生産)
Canton 400,000  Altima, Sentra(2012年第4四半期~), Titan, Armada, NV2500, Xterra(2012年11月にSmyrnaから移管)、Frontier(11月にSmyrnaから移管)、Murano(2014年後半~)
Aguascalientes 600,000  Sentra、Tiida、Versa、Versa Note、
Cuernavaca  Tsuru, Versa, NV200、NV200 taxi(2013年~)、Frontier、Chevrolet City Express(NV200ベース、2014年~)
メキシコ第3工場 175,000  Bプラットフォーム車(2013年末~)

(注)日産は、2012年7月、メキシコAguascalienntes州に20億ドルを投資して、メキシコ第3の工場建設を開始した(3工場のうちAguascalientes州に2工場となる)。2013年末から、年間17.5万台の「Bプラットフォームベースの小型車」を生産する(まずVersaを生産する予定)。メキシコの生産能力を、現在の60万台から、中期的に80万台以上に増強するとしている。

 

 



2013 Nissan LEAF:ベース車価格を6,400ドル値下げし、28,800ドルに設定

 日産は、最大で17億ドルを投資し(米国エネルギー省から最大14億ドルの低利融資を受ける)、Smyrna工場で2012年12月にリチウムイオン電池、2013年1月にその電池を搭載するEV Leafの生産を開始した。

 2013 Nissan Leafは、2012モデルのベース車であるSVグレード35,200ドルから6,400ドル大幅値下げしたSグレード(28,800ドル)を設定した(ただしSVグレードが持っていたカーナビゲ-ション・テレマティクスサービスの装備は省いた)。連邦政府補助金7,500ドルを差引くと21,300ドルとなり、地域によっては州の補助金2,500ドルを適用すると18,800ドルとなって、同クラスのガソリン車と競える価格を実現したとしている。

 2013年1~6月の米国Leaf販売は、前年同期の3,148台から9,839台に3倍増している。

 日産は、日本国内においても、2013年4月に約28万円値下げし、ベース仕様であるSグレードの政府補助金受給後の価格を約220万円とした。日産は、EVの普及を加速させるとしている。

LEAFの米国生産を開始、価格を下げ、電池の保証を強化

リチウムイオン
電池を現地生産
 日産は2012年12月、米国テネシー州Smyrna工場内に建設したリチウムイオン電池工場を稼働させた。日産のリチウムイオン電池工場として、日英に続く世界3番目の拠点。生産能力は最大でEV Leaf年間20万台分。日本から電極を輸出するが、電極以外の部品は現地調達して組立てる。米国最大の車載用リチオウムイオン電池工場としている。
 電池とLeaf車両生産設備をフル生産まで強化する場合、日産は総額17億ドルをSmyrna工場に投資する。なお米国エネルギー省から最大14億ドルの低利融資が提供される。
EV Leafの
米国生産を開始
 日産は2013年1月、Smyrna工場でEV Leafの生産を開始した。年間最大15万台のLeafを生産できるが、Altima、Maximaと同じラインで混流生産するので、需要に応じて柔軟に生産計画を変更できる。またモータはテネシー州Decherdパワートレイン工場で生産する。
28,800ドルの
Sグレードを
追加設定
 米国で生産する2013 Nissan Leafに、価格28,800ドルのSグレードを追加した。従来のベース車であるSVグレードの35,200ドル(輸送費を含まず)から6,400ドルの大幅値下げをした。なお、Sグレードは、"Navigation system with CARWINGS telematics"を装備から外した。(Sグレード以外では、SV(2012モデルから3,380ドル値下げし31,820ドル)とSL(2,140ドル値下げし34,840ドル)が設定されている。)
 連邦政府補助金7,500ドルを差引くと21,300ドルとなり、さらに州・市により独自の補助金制度があり、例えばカリフォリニ州では州の補助金2,500ドル適用後18,800ドルとなる。日産は、同サイズのガソリン車と競える価格を実現したとしている。
リチウムイオン
電池の品質保証
を強化
 EV Leafのリチウムイオン電池については、通常の日産車両としての保証に加え、5年間または6万マイルでの走行で、電池容量が70%以下に下がった場合の保証を行っている。また2012年に、電池材料または製造上の不具合についての8年間または10万マイルの保証を追加した。
新しい「電池交換
制度」を2014年
からスタート
 日産は世界規模でLeafユーザーおよび潜在ユーザーの調査を行い、新たな「電池交換制度」を2014年上半期から開始すると発表した。顧客は月額100ドルの負担で、いつでも新しいリチウムイオン電池パックに交換を請求することができる。
 リチウムイオン電池技術は日々進歩しており、何年か使用したLeafに新技術を取り込んだ新しい電池を搭載することも可能。
 日産は、大半のLeaf顧客はこのサービスを必要としないと考えるが、この制度により顧客の安心感を高めたいとしている。
充電器普及  日産は、EV充電器の設置を推進している。California, Seattle, Portland(Oregon州)、Washington D.C.などを重点地域として選定し、5人の専任者を任命して、充電器、特に30分でLeafを80%充電できる急速充電器の設置を進めている。
 2013年初め時点で、公共に使用できる急速充電器は全米で160基程度だが、2014年半ばまでに新規の急速充電器500カ所設置を目標に活動する。なお充電器の価格は、急速充電器が約18,000ドル、数時間で充電できる220Vの充電器が2,500ドル。
(注) 1. 日本国内で販売するLeafについては、(1)2012年11月にマイナーチェンジするとともに、価格を従来のベース仕様Xグレードから40万円強下げたSグレードを設定した。ついで、(2)2013年4月に、3仕様全て一律約28万円値下げした。Sグレードは、政府補助金78万円を受給すると約220万円で購入できる。
2. Renault-日産は、2013年初めに発売したEV Renault Zoeを6月末までに欧州で約6,000台販売し、6月末までにRenault-日産の世界EV販売台数累計が10万台に到達したとの推計を明らかにした。

 

 



ハイブリッド車を大幅拡充

 日産は、2013年夏に、米国で発売するNissan Pathfinder/Infiniti QX60に「前輪駆動用1モータ、2クラッチ」方式のハイブリッド車を設定する。次いでInfiniti Q50、Nissan Altimaなど、ほぼ全てのモデルに幅広く設定する方針。

ラインアップ全般にハイブリッド車を設定

 日産は2012年12月、環境戦略の一環として、2016年度末までに、グローバルに新たなハイブリッド車15モデルを投入すると発表した。通常エンジン車からすぐにEVに進むのは困難で、中間にハイブリッド車が必要だとしている。2015年以降の燃費規制に対応するため、特定車種に設定するというよりも、ラインアップ全般に幅広く設定する方針。
 日産のハイブリッドシステムには、「後輪駆動用1モータ、2クラッチ」方式、「前輪駆動用1モータ、2クラッチ」方式、およびミニバンSerenaが搭載する簡易型「スマートシンプルハイブリッド」の3方式がある。今後これらの3方式のHVシステムを、車のサイズや特徴に合わせて使い分けていく方針。Plug-in Hybrid車投入も計画している。
 2013年夏に発売するInfiniti Q50(Infiniti G後継モデル)にも設定する見込み。米国で販売するInfinitiブランド車の約70%はAWDであり、Q50 HVはAWDも設定するとしている。現在米国で販売している唯一のHVであるInfiniti M HVは、AWDが設定されていないこともあって、シリーズの5%の販売にとどまっている。
 日産は、EV Leaf 用 リチウムイオン電池を日米英で生産している。部分的に変更したうえでHVに搭載可能であり、日産がHV化を進めるうえで大きな力になるとしている。

資料:日産広報資料2013.3.28、Automotive News 2012.10.22/2012.12.17/2013.1.21

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