SAE 2013 World Congress (2) : 部品メーカーの展示取材

パワートレインシステム・部品やシミュレーターの出展

2013/05/10

要 約

 以下は米国デトロイトで開催されたSAE 2013 World Congress (2013年4月16日~18日)において、自動車部品サプライヤーや素材メーカーが出展した概要である。

 今年は、"Achieving Efficiency"をテーマに、クルマの軽量化やパワートレーンの効率向上、クルマの電動化による燃料消費量削減に関する技術や部品が展示された。今年の自動車メーカーの展示ブースの数は昨年、一昨年と同じ6社であり、今年の入場者数は昨年の9,000人から約10,000人へとやや増加し、部品や素材メーカーの出展ブース数も昨年よりやや増えて170となった。

 しかし、リーマンショックから順調に生産・販売台数が回復している米国自動車産業を背景に、今年1月に同じCobo Hallで開催されたデトロイト・オートショーが大きな活気を見せたのとは対照的に、SAE会場は静かな雰囲気で、6~7年前のSAE World Congressのように多くの人や展示車両、展示部品であふれた会場の活気からもほど遠い印象を受けた。

 
関連レポート: SAE 2013 World Congress(1): 自動車メーカーの出展

          デトロイトモーターショー 2013: 米国の自動車メーカーの展示取材日韓中の自動車メーカー展示取材



ZFは樹脂コンポジット製ブレーキペダルや樹脂とアルミを使ったストラットを展示

 今年のSAE World Congressの幹事会社を務めたクライスラーの隣の広いブースで、共同幹事会社のZFグループは樹脂やアルミを使った軽量化部品の展示を行った。

軽量ストラットモジュール

 ZFは軽量ストラット・ホイール・キャリアー・モジュールの試作品を展示した。現在、鉄とアルミで製造されているストラットを、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)や、アルミ、高張力鋼に置き換えて約半分の重量まで軽量化を図り、バネ下荷重を減らすことで、燃費と運転性能の向上を目指すとしている。ストラットマウントとコイルスプリングはGFRPで成形し、ストラット部はアルミの一体品として鋳造した。

 現在、別々に自動車メーカーに納入されている部品を一つに組立てた状態で納入できるよう設計しているとのこと。

軽量ストラット・ホイール・キャリアー・モジュール
軽量ストラット・ホイール・キャリアー・モジュール
軽量ストラット・ホイール・キャリアー・モジュールの樹脂製スプリング部
軽量ストラット・ホイール・キャリアー・
モジュールの樹脂製スプリング部

 

樹脂製ブレーキペダル

 ZFはガラス繊維とポリアミド繊維シートで補強したポリアミド樹脂製のブレーキペダルを、材料メーカーと開発し出展した。鉄製ペダルと比べ重量は約50%で、また1回の射出成形で部品製造が可能でありコストも安いとのこと。

樹脂製ブレーキペダル
樹脂製ブレーキペダル

 

8速ATと9速AT

 ZFはこの他、FR用8速ATと横置きエンジン用9速ATを展示した。FR用8速ATは現在、ZFとライセンス契約を交わしているクライスラーの米国工場で生産され、Chrysler 300やDodge Charger、Jeep Grand Cherokeeに搭載される予定。従来の6速ATと比べCO2排出量は6%~11%低下したとしている。

 また、9速ATはZFのサウスカロライナ工場で生産予定で、2014年型 Jeep Cherokeeなどに搭載される予定。横置きエンジン用に開発されたこの9速ATはFF、4WDのいずれの車にも搭載が可能で、ロックアップ付きのトルコンを使用する。このZFの9速ATは2013年SAE World Congressのトップ10技術賞を受賞した。

ZF製FR用8速AT
ZF製FR用8速AT
ZF製9速AT
ZF製9速AT

 

 



日立金属アメリカはレアアースの使用量を削減したモーター部材などを展示

省レアアースのモーター用ネオジム磁石

 HVやEV、電動パワーステアリングなどに使われるモーターには磁力の強いネオジム磁石が使われており、耐熱性向上のため高価なレアアースのジスプロシウムが添加されている。日立金属はでジスプロシウムを磁石の微細な結晶の境界に効率よく蒸着拡散できるDDMagicと名づけた技術を自動車メーカーと共同開発し、レアアースの添加量を減らすことに成功した。

 また自動車のスターターモーターや、家電用モーターのネオジム粉末磁石の代替材として、NMF12と呼ぶ粉末フェライト磁石を開発し、1989年から米国でも生産されており、更に次世代のフェライト磁石を開発中とのこと。現在日本だけで生産しているジスプロシウムの添加量を減らしたネオジム磁石は2013年から米国でも生産を開始し、モーター製造メーカーなどに納入されるとのこと。日立金属は明らかにしていないが、REMIや東芝などが北米で自動車用のモーターを生産している。

 ジスプロシウムを蒸着拡散させ添加量を減らす日立金属の技術は、2013年SAE World Congressのトップ10技術賞を受賞した。

レアアースのジスプロシウム添加量削減技術の説明パネル
レアアースのジスプロシウム添加量削減技術の説明パネル
レアアースのジスプロシウムが使われているネオジム磁石
レアアースのジスプロシウムが使われているネオジム磁石

 

ターボチャージャーハウジングやエキマニ用耐熱鋳鋼

 日立金属ではこの他、1050℃までの高温のエンジンの排気ガスに耐えられる耐熱鋳鋼の説明パネルを展示。燃費向上対応として自動車メーカー各社が進めているエンジンのダウンサイジング化でターボチャージャーの生産が増加している。高温化するターボエンジンのエキマニやターボハウジング、ターボのウェイストゲートに、この耐熱鋳鋼(オーステナイト系ステンレス鋳鋼)が使われている。

 日立金属によると、世界で生産される自動車用エンジン(ディーゼルエンジンを含む)のターボ装着率は2012年の22%から2015年には50%近くまで増加するとの予測があり、今後耐熱鋳鋼の需要が大きく増えると見込んでいる。(マークラインズ注:2012MYの北米生産車のターボ付きエンジンの割合は11.3%)

アルミホイールや耐熱鋳鋼の説明パネル
アルミホイールや耐熱鋳鋼の説明パネル
ピストンリング、CVTベルト用材料の説明パネル
ピストンリング、CVTベルト用材料の説明パネル
ターボチャージャーのタービン翼などの説明パネル
ターボチャージャーのタービン翼などの説明パネル

 

 

 



SLはAround View Monitoringシステムを展示

 SL Corporationはヘッドランプ、ATシフトレバー、ブレーキペダルなどを生産し、韓国や中国、米国、インド、スロバキアに工場を持つグローバル企業である。現代自動車のトラックQZは、左右後ろの3箇所にカメラを搭載し、インパネ上のモニターの画面でクルマの周囲の歩行者や障害物を確認できるSL社のAround View Monitoringシステムを採用している。

 SL社では現在、米国自動車メーカーの乗用車向けに、前後左右をモニターできる4個のカメラからなるAround View Monitoringシステムを開発中であり、高画質のHDモニターの採用を検討している。このシステムはクルマの周囲の画像を確認するだけでなく、縦列・幅寄せ駐車の際の運転者へのサポートやブラインドスポットを走る車両の検知、前方視界を録画記録する機能も持つとのこと。

Around View Monitoringシステムの説明パネル
Around View Monitoringシステムの説明パネル

 

 



ジヤトコは2機種のCVTを展示

 ジヤトコは副変速機付のCVT7と、2.0L~3.5Lエンジン搭載FF車用のCVT8の2機種のCVTを展示した。いずれのCVTも日産との共同開発で、2段の副変速機を持つCVT7は変速比幅を広げることでエンジンの回転を下げ燃費向上を達成した。CVT7は日本と中国で生産されるほか、2012年後半からメキシコでも生産を開始。またタイに建設中の新工場でも2013年から生産を予定しており、タイで生産されている日産マーチに搭載予定。

副変速機の付いた小型車用のCVT7
副変速機の付いた小型車用のCVT7
CVT7の概要
CVT7の概要

 

 CVT8は2.0Lから3.5Lエンジンに対応し、米国日産が生産するAltimaに搭載されているとのこと。CVT8は日本のほかJatcoのメキシコ工場で、また2013年から中国でも生産される。CVT7とCVT8の主な特徴は下記の通り。

2.0Lから3.5Lエンジン搭載FF車用CVT8
2.0Lから3.5Lエンジン搭載FF車用CVT8
CVT8の概要
CVT8の概要

 

特徴 搭載車種 生産国
CVT7 ・ 副変速機の追加により変速比幅を拡大し、発進時のレスポンス向上と高速走行の静粛性を両立
・ 従来タイプより全長10%、重量13%の小型化オイル面とベルトとプーリーの距離を確保することでオイル攪拌による抵抗を30%低減
日産、三菱、スズキの日本生産の軽と小型車、タイ生産の日産マーチ 日本
中国
メキシコ
タイ(2013~)
CVT8 (2.0~2.5 Lエンジンクラスで)
・ 変速比幅を6.0→7.0に17%拡大
・ CVTのフリクションを約40%低減(CVT8全体で)
・ ロックアップ領域の拡大(低剛性ロックアップダンパー採用)
・ オイルポンプ小型化によるプーリー受圧面積の拡大とオイル漏れ量低減
・ バッフルプレートを設けオイル攪拌抵抗を低減
・ 低粘度オイルの採用以上により燃費を10%以上向上
2.0~3.5Lエンジン搭載のFF車米国日産生産のALTIMA他 日本
メキシコ
中国(2013~)

 

 



Delphiは携帯電話の車載ワイアレス充電システムなどを出展

携帯電話の車載ワイアレス充電システム

 Delphiは携帯電話機メーカーSamsungなどと共同で、携帯電話などへの車載のワイアレス充電システムを開発している。コードやアダプターが不要で車室内のどこにデバイスを置いても安全に充電ができ、複数のデバイスを同時に充電可能。電磁場の共鳴技術を応用したこのワイアレス充電システムには標準規格の策定などの課題は残るが、2015年型車への搭載を目指して開発中とのこと。

Wireless Consumer Device Chargingの概要
Wireless Consumer Device Chargingの概要
センターコンソールなどに置くだけで充電可能なシステム
センターコンソールなどに置くだけで充電可能なシステム
写真上側の携帯電話がワイアレス充電対応。市販の携帯電話(下)よりもやや厚い。
写真上側の携帯電話がワイアレス充電対応。
市販の携帯電話(下)よりもやや厚い。

 

大型トラック用ディーゼルエンジン搭載の超高圧コモンレールシステム

 Delphiは大型トラック用のディーゼルエンジン向けに開発されたF2eと呼ぶ超高圧コモンレールシステムを展示。従来の"Non-pumping" Injectorと、カムシャフトで駆動するPumping Injectorの2種類のインジェクターがあり、使い分けている。燃圧は最大で2,500から3,000気圧。エンジン排気量9Lから16Lクラスの大型ディーゼルエンジン(1気筒当りの排気量は1.5Lから2.6L)に搭載され、2012年から生産しているとのこと。欧米の排気規制Euro VIなどをターゲットとしているとのこと。

F2e超高圧コモンレールシステム
F2e超高圧コモンレールシステム
F2e超高圧コモンレールシステムの高圧燃料ポンプ
F2e超高圧コモンレールシステムの高圧燃料ポンプ
F2e超高圧コモンレールシステムのNon-pumping Injector
F2e超高圧コモンレールシステムのNon-pumping Injector

 

Delphi Multec Diesel Common Rail System

 Delphiはこの他、VWの小型乗用車搭載の1.2L、3気筒ディーゼルエンジンに2010年から採用されているMultecと呼ぶコモンレールを展示。2000気圧まで加圧するプランジャー式燃料ポンプは2.2Lのエンジンまでカバーできる。Multecコモンレールシステムを搭載するVW PoloのCO2エミッションは87g/km。

Multecコモンレールシステム
Multecコモンレールシステム
Multecコモンレールシステムのプランジャー式燃料ポンプ
Multecコモンレールシステムのプランジャー式燃料ポンプ
Multecコモンレールシステムのインジェクター
Multecコモンレールシステムのインジェクター

 

 



Parker Hannifinは永久磁石AC(Permanent Magnet AC)モーター兼発電機と高電圧車載インバーターを出展

 Parker Hannifinは永久磁石AC(Permanent Magnet AC)モーター兼発電機と高電圧車載インバーター展示した。いずれも建設用の大型トラックや配送用バン、F1レースカー、燃料電池車、PHV(Terex社)などに使われているとのこと。

DCモーター
永久磁石AC(Permanent Magnet AC)モーター兼発電機
DC-DCコンバーター
高電圧車載インバーター

 

 



Pyung Hwa Industrialは制振システムを展示

 Pyung HwaとPavcoはグループ会社で、フィーラーホースやガスの蒸発を防止するホース類はPyung Hwaで、エンジンマウントなどの制振部品はPavcoで生産・販売している。韓国と中国、インドに生産拠点を、また米国ジョージア州に倉庫を持ち、現代・起亜、GMに納入する他、VWとBMW向けに欧州に輸出している。米国の現代・起亜向けには主に韓国とインドから輸出している。Pavcoの売上げ(約200億円)に占める割合は、現代・起亜61%、GM19%、欧州輸出20%であるとのこと。

エンジンマウント
エンジンマウント
ダンパープーリー
ダンパープーリー
ホース類
ホース類

 

 Pyung Hwaは現在、Active Dynamic Mount Systemと呼ぶ電子制御による車体の制振システムを開発中。これは、エンジン振動と逆の位相を作り出す電制エンジンマウントを介してエンジンを車体に搭載することで、エンジン振動の伝播をカットするシステムで、今年もしくは来年に、現代自動車の上級4ドアモデルに搭載される予定とのこと。

Active Dynamic Mount Systemの概要
Active Dynamic Mount Systemの概要
Active Mount の断面
Active Mount の断面

 

 



Core Molding Technologiesはコンポジット樹脂フェンダーの更なる軽量化

 大型や中型トラックの車体外板などを成形しているCoreは、開発中のフロントフェンダーを出展した。GFRP(ガラス繊維強化樹脂)の一つでSheet Molding Compound(SMC)というガラス繊維を補強材に用いた熱硬化性樹脂を圧縮成形した部品は、PPや汎用エンプラなどの熱可塑性樹脂と比べて剛性や引張り強度が高く、かつ鉄板よりも軽量であるため、車体外板や小型ピックアップトラックの荷台などに使われ軽量化に大きく寄与している。

 CoreではUltra Low Density SMCという低比重1.18 のSMC材を開発し、中型トラックのフロントフェンダーを成形、比重1.9のSMCで成形している現行量産部品との比較展示を行った。低比重のSMC材を使った部品の重量は10Lbsと、従来品と比べ6Lbs(約3kg)の軽量化を達成した。外観品質はほとんど変わらない。


 米国では燃費規制強化に対応するため、自動車メーカーやトラックメーカーではアルミ材の適用拡大と共に車体外板の樹脂化やコンポジットの採用を車体軽量化のアイテムとして検討している。Coreによれば、Ultra Low Density SMCの物性は従来のSMCとほぼ同等であり、フロントフェンダーはCoreで圧縮成形されプライマー(下地塗料)を塗布し、トラックメーカーに納入されるとのこと。軽量化したフェンダーは、品質確認が終われば今年中にも量産を開始する予定とのこと。

左は従来の比重1.9のSMCで、右が新開発の低比重1.18の新SMC材で成形したフロントフェンダー。
左は従来の比重1.9のSMCで、右が新開発の低比重1.18の
新SMC材で成形したフロントフェンダー。

 

 



コンポジット材メーカーBMCIはオーバーモールドしたセンサーを展示

 Bulk Molding Compounds, Inc. (BMCI) は、ガラス繊維で強化した熱硬化性樹脂のコンポジット材でオーバーモールドしたセンサーを展示した。トランスミッションに使われるローターポジションセンサーは、高温のオイルの過酷な雰囲気中で使用される。BMCI社では耐熱性や寸法安定性、耐薬品性などに優れる熱硬化性樹脂コンポジット材(この材料も同社名と同じBMCと呼ばれる)を使い、射出成形によりセンサーをオーバーモールド(Capsulate)した。

 BMC材で部品成形をする際にセンサー本体や電子回路へのダメージはなく、またBMC材は低温から150℃を超える高温まで寸法変化が小さいためオイルや水分がセンサー内部に浸入することはないとのこと。BMCI社ではエンジンやトランスミッションなどに使われる予定のBMC材を使ったセンサー類を、現在10社程度と共同で開発中とのこと。センサーなどの電子部品をBMC材でオーバーモールドした部品は現在、HVやEVのモーターにも使われている。

T/Mに使うローターポジションセンサーをオーバーモールドした部品
T/Mに使うローターポジションセンサーを
オーバーモールドした部品

 

 



FEVはEURO6対応の開発エンジンなどを展示

EURO6対応のディーゼルエンジン

 FEVは欧州のEURO6および米国のTIER2BIN5と呼ばれる排気ガス規制に対応し、かつCO2排出量の少ない開発中のディーゼルエンジンを出展した。2,000気圧のコモンレールシステム、4.8mmと8.0mmにリフト量が切替わる2-STEP可変吸気バルブリフト機構(VVL)、水冷式の低圧EGRと高圧EGR、インタークーラー付き2ステージターボ、排気側可変バルブタイミング(VVT)などを装備する。最高出力は220hpもしくは排気量1.0L当り100kWで、燃料消費量はFEVが以前に試作したエンジンと比べ17%低下したとのこと。2ステージターボは量産エンジンにも使われているが、ディーゼルエンジンの吸気側VVLや排気側VVTは比較的新しい技術であるとのこと。

 FEVでは同様の新機構を装着した1.8Lのガソリンエンジン(2ステージターボ)も開発しており、120kW/Lと更に高出力が得られているという。

EURO6対応のクリーンディーゼルエンジン
EURO6対応のクリーンディーゼルエンジン
EURO6対応のクリーンディーゼルエンジン
EURO6対応のクリーンディーゼルエンジン

 

排気エミッションのオフラインキャリブレーション装置 MicroHiL

 FEVは実車を使わずに、コンピューター上にモデル化したエンジンと車載のECUとを使い、高地や冷寒地など様々な環境下での走行モードや実車走行をシミュレーションしながら、ECUデータの最適化マッチング作業が可能なMicroHiLという装置を開発した。元来、OBD(Onboard Diagnostics:車載自己診断)システム開発用として開発したシステムを排気エミッションのキャリブレーション用に改良したとのこと。

 現在は環境試験室や実車走行で取得したベースデータに基づき、ECUの詳細なパラメターを環境試験室や実車走行により様々なマッチング作業を行ない、実車による最終確認を行っている。MicroHiLを使った場合、コンピューター上で仮想エンジンを動かしながら、様々なエンジン回転、燃料噴射量、センサー類などの仮想入力信号からエンジンの最適状態のマッチングや排気エミッションの適合作業を半自動で行うことや、ECUのデータ入力ミスの修正作業(デバッグ)が可能となり、最大で40%の工数の削減を達成できたとのこと。

 この持ち運び可能なMicroHiLは重さが30~40Lbsで、2013年SAEのトップ10技術として表彰された。

排気エミッションのオフラインキャリブレーション装置 MicroHiL
排気エミッションのオフラインキャリブレーション装置 MicroHiL

 

 



AVLはバッテリーテストやパワートレーンのシミュレーターを展示

バッテリーテストのシミュレーター

 AVLは実車を使わずに台上でバッテリー本体の環境試験ができるシミュレーション装置を展示した。バッテリーの試験設備は現在、AVLの欧州と米国の施設内にあり、熱環境がバッテリー性能などに与える影響などを評価できるとのこと。今後、クルマの実際の走行状態をシミュレートできるよう車種や道路条件、ドライバーのクセなど様々なパラメータを加味しながら、低温から高温まで温度変化が可能な試験室内で、車体のねじれも考慮に入れた試験装置を開発し、装置とソフトウェアーを含む一体システムとして販売する予定であるとのこと。


 AVLはメルセデスベンツのEV、Coup-e 800用にLiイオンバッテリーパックを開発した実績を持つとのこと。

バッテリーテストの台上試験装置
バッテリーテストの台上試験装置
シミュレーションの状態を表示するモニター画面
シミュレーションの状態を表示するモニター画面

 

パワートレーンのシミュレーター

 AVLはシャシーダイナモメーターを使わず、車両の車軸にモーターを直結してエンジンの駆動力を吸収しながら排気エミッションや燃費などを測定できるシミュレーターを展示した。シャシーダイナモメーターが駆動輪を床下に設置したローラー上に載せて車を運転するのに対し、このシミュレーターは4個のモーターを前後の車軸に直結させ、コンピューターでアクセルを操作する。ダイナモメーターと異なり、外付けファンによるエンジン冷却が不要とのこと。


 このシミュレーターを使い、排気エミッションや燃費測定のほかに、実際にテストコースを走行し記録したエンジン回転や車速などの条件を、コンピューター操作により再現することも可能で、欧州の自動車メーカーでは既に使われているとのこと。

シャシーダイナモを使わないパワートレーンのシミュレーター
シャシーダイナモを使わないパワートレーンのシミュレーター

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>