欧州NCAP:2014年から自動緊急ブレーキを評価項目に追加

歩行者保護評価の厳格化を2012年に完了

2012/12/28

要 約

Euro NCAPの各分野の重み付け係数 欧州で自動車安全アセスメントを実施しているEuro NCAPは、2012年6月、2013年以降の評価項目の変更点を明らかにした。2014年には、車両の安全性向上に寄与するとされた「車両に対する自動緊急ブレーキシステム」と「車線維持支援システム」を評価項目に追加。それに伴い、先進安全装置の搭載有無を評価する安全支援分野の重み付けを10%から20%に拡大した。2015年には6歳と10歳の子供のダミーを後席に置いた補助シートに座らせ、後席シートベルトを着用させるテストを導入することにより、後席の安全性の向上を図る。2016年には「歩行者に対する自動緊急ブレーキシステム」を評価項目に追加する予定。

 Euro NCAPは新評価システムを2009年に導入し、2012年まで段階的に厳格化してきた。成人乗員保護、乳幼児保護、歩行者保護、安全支援の4分野でバランス良く得点しないと高い総合評価が得られないシステムだが、最高評価の5つ星を得るために必要な総合評価の得点と各分野の最低得点を段階的に引き上げた。特に歩行者保護分野については25%から60%に大幅に厳格化した。2012年の衝突試験結果では、歩行者保護分野で60%以上を得るモデルが大幅増加し、OEM各社が歩行者保護の強化に努めてきたことが窺える。

 Euro NCAPは衝突試験の実施に加え、各メーカーに先進装備の採用を促し、消費者に自動車の安全技術を分かりやすく伝えるために、優れた先進安全システムを "Advanced賞" として表彰している。2012年には、自動緊急ブレーキシステム、車線維持支援システム、二次衝突回避システム、プリクラッシュシートベルトシステム、自動緊急通報などが表彰された。自動緊急ブレーキや車線維持支援システムのように、この中から今後の評価項目に追加される例も多い。

関連レポート車載カメラ応用システム (2012年12月)、欧州の新型車装備 (1) (2012年9月)、(2) (2012年10月)



Euro NCAPの2013年以降の変更点

 Euro NCAPは2012年6月に、2013年以降の評価内容の変更点を明らかにした。各分野の重み付けについては、先進安全装置の搭載有無を評価する安全支援分野の重要性の増大を反映するため、2014年には成人乗員保護を50%から40%に減らし、安全支援を10%から20%に引き上げる。

 5つ星評価に必要な最低得点も、安全支援分野に関しては2012年の60%から2013年に65%、2015年に70%と引き上げる予定。

 追加される評価内容は、2014年に安全支援分野で、「車両に対する自動緊急ブレーキシステム」と「車線維持支援システム」の搭載有無を追加。2015年には成人乗員保護分野で、乗員の広範な体型を考慮した新基準を導入し、小柄な体型のダミーを使用したテストを追加。乳幼児保護分野では、6歳と10歳の子供のダミーを後席に置いた補助シートに座らせ、後席シートベルトを着用させるテストを導入。従来はチャイルドシートを使用し、後席シートベルトをテストしていなかったため、テスト方法変更により、後部座席の安全性の向上を図る。2016年には歩行者保護分野で、「歩行者に対する自動緊急ブレーキシステム」を評価項目に追加する。

 Daimlerは2012年11月、2013年に発売するMercedes-Benz S-Classの新型車の安全技術を発表。後席シートベルトの装着を容易にするベルトのバックルや、歩行者検知機能を含む自動緊急ブレーキなど、Euro NCAPの変更に対応する装備を搭載している。

Euro NCAP の 5つ星評価に必要な、各分野と総合評価の最低得点 (2012~2017年)

満点評価に対して、必要最低限の得点を % 表示で示している。
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
(参考)
2017年
(参考)
成人乗員保護 80% 80% 80% 80% 80% 80%
乳幼児保護 75% 60% (注1) 75% 75% 75% 75%
歩行者保護 60% 60% 60% 65% (注3) 65% 65%
安全支援 60% 65% 65% 70% 70% 70%
総合評価 80% 80% 75% (注2) 75% 75% 75%
資料:Euro NCAP Rating Review 2012.6
(注) 1.  2013年に乳幼児保護の最低得点を60%に下げるのは、乳幼児拘束システムを含む評価内容の変更により、設計変更が必要となる車両に1年間の猶予を与えるため。
2.  2014年に5つ星評価に必要な総合評価の最低得点が75%に低下しているが、これは各分野の評価項目が増加したため。
3.  2015年に歩行者保護の最低得点を60%から65%に高めることが提案されているが、評価の詳細とその影響が明らかになる2013年に最終決定する。従って、2016年と2017年は参考値。

 

2013年以降に追加される評価内容 (AEB:自動緊急ブレーキの詳細については別表に記載)

2013年 乳幼児保護 ・乳幼児拘束システムの評価内容を変更。
安全支援 ・SLD (Speed Limitation Devices) に替えて、SAS (Speed Assistance Systems) の搭載有無を評価 (注1)。
・ESCの全新車への搭載が義務化。
2014年 成人乗員保護 ・むち打ち症評価に関し、前席の静的・動的評価に加え、後席の静的評価を追加 (注2) 。
・AEB City (低速時)評価を追加。
安全支援 ・LDW/LKD (車線逸脱警報/車線維持支援システム) の搭載有無を追加。
・AEB Interurban (中・高速時)評価を追加。
2015年 成人乗員保護 ・乗員の広範な体型を考慮した安全性能を評価する新基準を導入。低身長・低体重の乗員(small female dummies) を対象としたテストも実施する。
乳幼児保護 ・6歳と10歳の子供のダミー(Q6/Q10+ child dummies) を使用したテストを実施 (注3)。
2016年 歩行者保護 ・AEB Pedestrian (歩行者検知機能を含む) 評価を追加。
(注) 1. SAS (速度支援システム) は従来のSLD (速度制限装置) より範囲が広く、ドライバーが制限速度を設定する機能( Manual Speed Assistance)、車両の搭載システムが走行地点における制限速度を認識し、ドライバーに知らせる機能 (Speed Limit Information Function)、この2つの機能を組み合わせてシステムが制限速度を設定する機能 (Intelligent Speed Assistance) が含まれる。
2. むち打ち症評価の動的評価とは、後面衝突試験におけるシートとヘッドレストの動的性能に基づく評価。静的評価とは、シートの幾何学的形状、ヘッドレストの大きさ・形状・乗員頭部との距離等に基づく評価。
3. 従来は18カ月と3歳の子供のダミーをISOFIX固定タイプのチャイルドシートに座らせた状態でテストしていたので、後席のシートベルトはテストしていなかった。2015年からはこれに代えて、6歳と10歳の子供のダミーを後席に置いた補助シート (booster seat) に座らせ、後席シートベルトを着用させてテストする。これにより、各メーカーが、前席シートベルトにあるプリテンショナーのような先進技術を後席シートベルトにも採用することを奨励する。

AEB (Autonomous Emergency Braking system: 自動緊急ブレーキ) を評価項目に追加
AEBの搭載率の現状  AEBに関する実際のデータでは、装着により事故の発生が最大27%低減されるという結果が出ている。しかし、搭載率はまだ低く、2012年6月にEuro NCAPが発表した調査結果によると、欧州で販売している車種のうち79%にはAEBの設定がなく、自動車メーカーの66%は自社のどの車種にもAEBを設定していない。
2020年の目標は
死亡事故半減
 欧州では、現在も年間3万人余が交通事故で死亡しており、EUは2020年までに死亡事故を半減させることを目標としている。そのため、Euro NCAPは2014年からAEBを評価項目に追加することを決定、将来はEU当局がAEB搭載を義務付けることを望んでいる。
2014年に車に
対するAEBを追加
 AEB City は交差点やロータリーなど低速時での追突事故 (全衝突事故の約26%) を防ぐシステム。Euro NCAPが例示する典型的なシステムでは、時速20kmまでの走行時に、フロントガラス上部に設置したレーザーレーダーにより車両前方 6-8m をモニターし、障害物を検知するとブレーキをプレチャージし、ドライバーが対応しないと自動ブレーキをかける。
 AEB Interurban は、高速道路など高速時での追突事故を防ぐシステム。典型的なシステムでは、時速50-80kmの走行時に、長距離レーダーが車両前方200mをモニターし、衝突の危険があると判断した場合は、警報を発してドライバーに警告する。ドライバーが対応しないと、2回目の警報を発し(軽いブレーキやシートベルトの引き締めなど)、ブレーキをプレチャージする。それでもドライバーが対応しないと、自動ブレーキをかける。
2016年に歩行者に
対するAEBを追加
 AEB Pedestrian は歩行者や自転車など路上の弱者を検知するシステム。典型的なシステムはカメラとレーダーを組み合わせ、前方の障害物が歩行者かどうかを認識し、衝突の危険性を判断する。衝突の危険がある場合は自動的にフルブレーキをかけ、同時に警報を発する。新開発のシステムには、赤外線を使用し、暗い場所でも作動するものもある。

資料:Euro NCAP Press Release 2012.6.13, Euro NCAP Rating Review 2012.6

 

2013年発売予定の新型M-Benz S-ClassはEuro NCAPの追加項目に対応

後部座席の
安全性を向上
Active seat-belt buckle  後部ドアを開けると、シートベルトのバックルが自動的に70mm上方に移動して差込口が光り、ベルトの装着を容易にする。装着後はバックルが元の位置に戻り、腰や胸周りのベルトの緩みを低減する。PRE-SAFE機能とも連動し、衝突の危険を検知すると、バックルが40mm下がり、従来のプリテンショナーと合わせてベルトを最大80mm巻き上げる。TRW製。
歩行者検知機能を含む自動緊急ブレーキ BAS PLUS and
PRE-SAFE Brake
 ステレオカメラとレーダーセンサーが前方を監視し、歩行者を含む障害物を検知する。衝突の危険がある場合、ドライバーに音と光で警報を出し、緊急ブレーキを促す。ドライバーが反応できない場合、自動的にブレーキがかかる。時速72kmまで歩行者の検知が可能。衝突の回避は時速50kmまでの速度で作動。Continental製。

 

 



Euro NCAP:2012年までに歩行者保護分野を大幅に厳格化

 Euro NCAP:5つ星に必要な各分野の最低得点Euro NCAPは2009年に導入した新評価システムの段階的な強化を2012年に完了した。新評価システムは、1モデルについて成人乗員保護、乳幼児保護、歩行者保護、安全支援の4分野の評価を加重平均し、1つの総合評価を星の数で発表する。すべての保護性能をバランス良く向上させないと、最高評価が得られない仕組みとなっている。

 新評価システムは、最高評価の5つ星を得るために必要な総合評価の得点を、2009~2012年に段階的に引き上げた (満点評価に対する%表示で70%→75%→80%)。また、5つ星を得るために必要な各分野の最低得点も引き上げ、特に歩行者保護分野については、2009年の25%から2010年に40%、2012年に60%と大幅に引き上げた。

 その結果、2011年の衝突試験結果では、歩行者保護で60%以上を得たモデルは53車種中12車種 (23%) にとどまっていたが、2012年では36車種中24車種 (67%) に増加。OEM各社が歩行者保護の強化に努めてきたことが窺える。

Euro NCAP による 26車種の衝突試験結果 (2012年8-12月発表)

総合評価 成人乗員
保護
乳幼児保護 歩行者保護 安全支援
Supermini Toyota Aygo/Peugeot 107/
Citroen C1
★★★☆☆ 68% 73% 53% 71%
Renault Clio ★★★★★ 88% 89% 66% 99%
Fiat 500L ★★★★★ 94% 78% 65% 71%
Ford Fiesta ★★★★★ 91% 86% 65% 71%
Small Family Car Audi A3 ★★★★★ 95% 87% 74% 86%
Kia cee'd ★★★★★ 89% 88% 61% 86%
Volvo V40 ★★★★★ 98% 75% 88% 100%
Mercedes-Benz A Class ★★★★★ 93% 81% 67% 86%
Opel/Vauxhall Mokka ★★★★★ 96% 90% 67% 100%
Seat Leon ★★★★★ 94% 92% 70% 71%
Seat Toledo ★★★★★ 94% 80% 69% 71%
Skoda Rapid ★★★★★ 94% 80% 69% 71%
VW Golf ★★★★★ 94% 89% 65% 71%
Large Family Car Volvo V60 Plug-In-Hybrid ★★★★★ 93% 83% 65% 100%
Small MPV Ford B-Max ★★★★★ 92% 84% 67% 71%
Dacia Lodgy ★★★☆☆ 72% 77% 44% 29%
Small Off-Road 4x4 Ford Kuga ★★★★★ 94% 86% 70% 100%
Mitsubishi Outlander ★★★★★ 94% 83% 64% 100%
Subaru Forester ★★★★★ 91% 91% 73% 86%
Large Off-Road 4x4 Hyundai Santa Fe ★★★★★ 96% 89% 71% 86%
Land Rover Range Rover ★★★★★ 91% 84% 63% 86%
Pick up Isuzu D-Max ★★★★ 83% 67% 51% 71%
Business and
Family Vans
Renault Trafic ★★☆☆☆ 58% 79% 28% 14%
Fiat Scudo/Citroen Jumpy/
Peugeot Expert
★★★☆☆ 59% 86% 26% 26%
Ford Transit Custom ★★★★★ 84% 90% 48% 71%
Hyundai H-1 ★★★☆☆ 55% 75% 34% 43%

資料:Euro NCAP Press Release 2012.8.29/11.28/12.12/12.19

 

2012年8-12月の衝突試験結果の概要
乗用車の83%が5つ星  2012年8-12月に衝突試験を受けた30車種のうち、バンとピックアップを除く乗用車23車種では、約83%の19車種が5つ星を獲得した。
5つ星を獲得でき
なかったモデル
 3つ星にとどまったのは、Toyota Aygoと姉妹車のCitroen C1, Peugeot 107で、ベース車は2005年の衝突試験で4つ星を得ていたが、サイドエアバッグやESCが標準装備でないなど、2012年の基準では4つ星に届かなかった。各社は2013年7月までに、サイドエアバッグ、ESC、助手席シートベルトリマインダー等を装着すると約束し、評価結果にはその旨が記載されている。
 3つ星を得たもう1車種はDacia Lodgyで、すべての分野で平均点を下回った。特に歩行者保護では44%しか得ておらず、大半の乗用車が60%以上を得ている中では対応の遅れが目立つ。ESCは2013年には新型車への搭載が義務化されるが、DaciaはLodgyに搭載しないことを決定した。
Volvo V40が
最高得点
 2012年8月に衝突試験結果が発表されたVolvo V40は、Small Family Carセグメントにおいて過去最高の得点を獲得した。特に歩行者保護分野では、同分野で史上最高の88%を得た。これに大きく寄与したのが、世界初の歩行者用エアバッグである。
 歩行者用エアバッグは時速20-50kmで作動する。7つのセンサーにより、車体が人間の脚と接触したことを感知すると、ボンネットのヒンジ部分が外れ、中から歩行者用エアバッグが膨張を開始する。エアバッグがボンネットと固い部品との間に隙間を作ると共に、フロントガラスの下部とAピラーをカバーして、歩行者と衝突した際の衝撃を和らげる。起動から完全に膨らむまで200-300分の1秒。

 

 



Euro NCAPがAdvanced賞として表彰した先進安全システム

 Euro NCAPは2010年から "Advanced 賞"という制度により、各モデルが搭載する装備のうち、優れた先進安全システムを審査し、表彰している。各メーカーに優れたシステムの標準装備化を促し、消費者に自動車の安全技術やメリットを分かりやすく伝えることを目的に導入したが、安全向上に大きな効果があると判断された装備は、Euro NCAPの評価項目に追加される場合もある。

 2012年にはVW Groupの自動緊急ブレーキシステム、車線維持支援システム、二次衝突回避システム、プリクラッシュシートベルトシステム、Fordの車線維持支援システム、自動緊急通報、設定変更可能なキーシステムなどを表彰した。これまでにVolvo、Mercedes-Benz、Fordも受賞した自動緊急ブレーキシステムと、OpelやInfinitiも受賞した車線維持支援システムは、2014年からEuro NCAPの評価項目に追加されることになった。

Euro NCAPが2012年に "Advanced賞" で表彰した先進安全システム

先進安全システム 搭載モデル 概要
プリクラッシュシートベルト
VW Proactive Occupant Protection/
Audi Pre-Sense Basic
VW Golf/Audi A3
(欧州の一部の
国で標準装備、
大半の国で
オプション設定)
【機能】時速30km以上で走行中、急加速・急ブレーキなど衝突を予測させる操作を検知すると、運転席・助手席シートベルトを巻き取り、緩みを取る。危険性の高い場合と低い場合に応じ、2つのレベルで巻き取りの強さを調整する。横向きの加速を検知した場合は、側面衝突の可能性があるとして、サイドウィンドウとサンルーフを閉じる。
【効果】同様のシステムが欧州の全車両に搭載されると、死亡者は約4,000人、重傷者は約2万人減少すると見込まれる。
【問題点】時速30km以上でしか作動しない。また、危険性の低いレベルについては、ドライバーの判断でシステムをオフにできるため、完全な保護ができない (危険性の高いレベルは常に作動する)。
自動緊急ブレーキシステム
VW Front Assist/
Audi Pre Sense Front
VW Golf/Audi A3
(欧州の一部の
国で標準装備、
大半の国で
オプション設定)
【機能】追突防止・被害軽減システム。車両前部に設置されたレーダーが前方80mまでモニターし、追突の危険を段階的に警告する。オプションにより、フロントガラスに設置されたカメラのデータも組み合わせて危険性を算定する。 
(1) 追突の危険を検知すると、光と音で警報を発し、ブレーキをプレチャージする。
(2) ドライバーが対応しないと、軽くブレーキをかけ、触覚型の警報を発する。同時にブレーキの準備をし、ドライバーがブレーキを踏んだ場合、その強さにかかわらず、十分な制動がかかるようにする。
(3) それでもドライバーが対応しないと、自動ブレーキをかける。 時速30kmまでは移動物・静止物を検知し、フルブレーキをかける。
時速30-80kmでは、静止物の場合、自動ブレーキはかからず、警報のみを発する。移動物の場合は、時速30-200kmで警報を発した後、自動的にパーシャルブレーキをかける。
【効果】欧州における交通事故の負傷者のうち、19%が追突事故による。追突事故の主な原因は、ドライバーの不注意と判断ミスとされる。同様のシステムが欧州の全車両に搭載されると、死亡者は約130人、重傷者は約2,000人減少すると見込まれる。
【問題点】ドライバーがシステムをオフにでき、一度オフにするとキーに記憶され、解除するまでオフ状態が続く。レーダーが前方の物体を検知するには、十分な反射が必要。また、雪、霧、泥などで視界がよくないと、検知効率が低下する。
Audi Pre Sense Front Plus Audi A6
(オプション設定)
【機能】上記 Audi Pre Sense Front と同様のシステムだが、機能はより高度になっている。車両前部に設置された2つのレーダーが前方をモニターし、フロントガラスに設置されたカメラのデータを組み合わせて、衝突の危険性を算定する。 
作動の仕方は(1)(2)は Audi Pre Sense Front と同じ。
(3)ドライバーが反応しないとパーシャルブレーキをかける。
(4)衝突が回避できないと判断すると自動的に最大限のブレーキをかけ、被害を軽減する。
時速 200kmまで作動する。時速200km以上でも音、光、触覚型警報は作動する。
【効果】同様のシステムが欧州の全車両に搭載されると、死亡者・重傷者が計5,000人減少すると見込まれる。
【問題点】上記 Audi Pre Sense Front と同様。
二次衝突回避システム
VW/SEAT Multi Collision Brake,
Audi Secondary Collision Brake Assist
VW Golf/SEAT Leon/Audi A3
(全車に標準装備)
【機能】最初の衝突でエアバッグが作動すると、情報がESCに伝えられ、自動的にブレーキが作動して、二次衝突を回避・被害軽減する。最初の衝突でドライバーがパニック状態になり、車両を制御できない場合に二次被害を防止・軽減できる。
【効果】欧州における交通事故の25%は複数回の衝突を含んでいると推定される。同様のシステムが全車両に搭載されると、死亡者が約8%、重傷者が約4%減少すると見込まれる。
【問題点】ブレーキシステムが最初の衝突で大きく破損していると、このシステムは作動しない。
車線維持支援システム
Audi Active Lane Assist/
SEAT Lane Assist
Audi A3/
SEAT Leon
(オプション設定)
【機能】 時速65km以上で走行中、フロントガラス上部に設置されたカメラが車両前方の車線をモニターする。カメラの情報と走行速度や方向のデータを組み合わせ、車線逸脱の可能性を検知すると、電動パワーステアリングを利用してステアリングを軽く押し戻す。それでも車線逸脱を修正できない場合は、ステアリングを振動させてドライバーに警告する。方向指示器を出すなど、意図的な車線逸脱の場合、このシステムは作動しない。
【効果】 同様のシステムが欧州の全車両に搭載されると、死亡者は約5,000人、重傷者は約4万人減少すると見込まれる。
【問題点】 ドライバーがシステムをオフにでき、一度オフにすると、解除するまでオフ状態が続く。カメラに依存するシステムのため、車線が明瞭でないと検知できない。ステアリングを押し戻す力は、ドライバーの制御力を上回ってはならないため、限界がある。
Ford Lane Keeping Alert Ford Transit Custom
(オプション設定)
【機能】 フロントガラス上部に設置したカメラで車両前方をモニターし、画像処理して車線両側の白線を認識する。時速65km以上で走行中、車両が車線から逸脱しそうになると、ステアリングを振動させてドライバーに警告する。方向指示器を出している場合、システムは作動しない。
【効果】 同様のシステムが欧州におけるすべてのバン/ミニバスに搭載されると、重傷者は約100人、軽傷者は約750人減少すると見込まれる。
【問題点】 白線が鮮明でない場合、泥、雪、霧等で白線が見えない場合は正確に作動しない。
その他
Ford MyKey Ford Fiesta
(一部仕様に
標準装備)
【機能】設定変更が可能なキーシステム。免許取りたての子供と車を共用するような場合、親は'Admin' keyという他のキーの設定を変更できるキーを、子供は予め親が設定した'MyKey'を使用する。車はMyKeyの使用を検知すると常に、シートベルトを着用するまで警報音を鳴らし続け、オーディオの音を出さない、駐車支援システムをオフにさせない、等の設定を実行する。さらに、速度の制限、速度超過の場合の警報、Active City StopやTraction Controlをオフにさせない、等の設定も可能。
【効果】欧州における交通事故で死亡したドライバーおよび助手席乗員の18%は、18-24歳の男性である。同様のシステムが全車両に搭載されると、事故は約4,000件、死亡者は約150人減少すると見込まれる。
【問題点】同システムで設定できる制限速度は1種類しかなく、それは大半の国の高速道路における制限速度を少し上回る速度である。車両が走行している道路の種類を検知する機能はない。また、このシステムを使用するかどうかは、親の判断に任される。
Ford SYNC Emergency Assistance Ford B-MAX
(オプション設定)
【機能】Ford のインフォテインメントシステム SYNC の機能の一つ。ドライバーが携帯電話を Bluetooth で SYNC システムに接続しておくと、車両が重大な事故に巻き込まれ、エアバッグが作動した際に、このシステムが自動的に携帯電話を使って緊急通報を行う。通報では、Ford 車が事故に遭ったことと GPS による車両の位置を伝える。
【効果】同様のシステムが欧州の全車両に搭載されると、死亡者は約200人減少すると見込まれる。
【問題点】ドライバーがシステムをオフにでき、一度オフにするとオフ状態が続く。携帯電話がBluetoothで接続されていないと、システムは作動しない。

 

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>