VW:2018年に1,000万台販売を目指し、中国/米国で攻勢

モジュラー戦略MQBを採用したAudi A3, VW Golfを2012年に投入

2012/08/15

要 約

VW Groupの地域別販売台数(2012年上期) VW Groupは、事業計画Strategy 2018で、2018年までに1,000万台販売という中期目標を掲げており、2012年1-6月は過去最高の455万台と着実に販売を伸ばしている。しかし地域別では、債務危機の影響で西欧での上期販売は1%減少。これまで順調だったドイツ市場も下期は縮小が見込まれる中、VWは2011年に20年ぶりに生産を再開した米国、VW最大の市場に成長した中国での事業拡大をさらに積極的に進める方針。

 また、価格競争の激化や低価格小型車の需要増加により、今後は利益率の低下が予想される。VWは、車両クラスやブランドを超えて部品を共通化するモジュラー戦略を採用し、開発の効率化やコスト低減、フレキシブルな生産を進める計画。2012年には、販売台数の半数を占める横置きエンジン搭載車向けにモジュラー戦略MQBの採用を開始し、Audi A3とVW Golfの新型車に導入する。

 電動車両計画では、2012年にVW Jetta, Audi A6, A8のハイブリッド車、EVのAudi R8 e-tronを発売。2013年には、モジュラー戦略MQBを採用したGolfのEVのほか、超小型車up!のEV, 商用バン CaddyのEVを投入する計画。

 VW Groupの2012年1-6月の売上高は、前年同期比22.6%増の954億Euro、営業利益は6.7%増の65億Euro。2012年通年では、下期に主力モデルの新型Golfなど多数の新型車を発売するため、販売台数と売上高は2011年を上回る見通し。営業利益は前年と同水準を見込んでいる。

関連レポート:VW (2011年7月), VWの中国事業 (1)(2011年8月)/(2)(2011年9月)



2012年上期販売は10.3%増の455万台、通年は前年の827万台を上回る見通し

 VW Groupの2012年上期の販売台数は、前年同期比10.3%増で過去最高の455.2万台。乗用車の世界市場シェアは前年同期の12.3%から12.4%に拡大した。

 地域別では、西欧が0.9%減少して164.7万台となったが、それ以外の地域ではすべて増加。特に中東欧は29.3%増の33.6万台、北米は22.4%増の39.1万台、中国は17.5%増の130.2万台へと大幅に増加した。西欧では、債務危機の影響でイタリア、スペイン等南欧諸国での販売が減少した。

 2012年上期決算発表時にVWが発表した見通しによると、2012年通年の販売台数は2011年の827万台を上回り、売上高も前年を超えるが、営業利益は前年の水準にとどまる見込み。

VW Group の地域別販売台数(小売り販売台数、大型商用車を含む)

(1,000台)
2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-6月
2012年
1-6月
西欧 2,989 2,918 2,903 3,168 1,662 1,647
中東欧 560 385 430 563 260 336
北米 503 468 550 668 319 391
南米 803 826 908 963 465 505
アジア/大洋州 148 150 221 316 152 182
中国 1,024 1,401 1,925 2,260 1,107 1,302
その他地域 228 189 268 327 162 190
世界販売 6,257 6,336 7,203 8,265 4,128 4,552

西欧市場におけるVW Groupの国別販売台数(小売り販売台数、大型商用車を含まない)

(1,000台)
2010年 2011年 2011年
1-6月
2012年
1-6月
2,882 3,130 1,648 1,612
西欧市場 ドイツ 1,035 1,153 581 606
英国 377 409 217 225
フランス 268 299 161 152
イタリア 241 245 139 113
スペイン 245 213 120 104

 

VW:2012年通年の見通し

 VWは、同社の乗用車と小型商用車に対する需要は、2012年下期も増加すると予想するが、増加率は上期より低下すると見込む。西欧での販売台数は減少(ドイツは前年水準並み)、中東欧の販売増加率は低下、戦略的に重要な市場である中国とインドは成長するが、その勢いは低下する。北米・南米の販売は伸びる見通し。
 一方、大型商用車の2012年通年での需要は伸び悩み、市場規模は前年の水準を下回る可能性もある。
 2012年通年の販売台数は、下期に主力モデルの新型Golfなど多数の新型車を発売することから、前年を超える見通し。売上高も、2011年11月からMANが連結子会社になったこともあり、前年を上回る見込み。しかし、営業利益は2011年と同水準の見込み。需要が低迷する欧州市場での競争激化による利益の低下などが原因。また、MANに加え、2012年8月1日からはPorscheの業績も連結されるが、買収に伴う初期費用が差し引かれるため、貢献度は限定的となる見込み。

(注) ドイツ自動車工業会(VDA)は、2012年のドイツの市場規模を310万台(2011年は317万台)と予測しており、2012年下期はドイツ市場も需要が減少し、値引き競争が激しくなると見込んでいる。(Automotive News Europe 2012.7.26)

 

 



Strategy 2018の進捗状況

VW:Strategy 2018 の目標と進捗状況

 VW は、2007年発表の事業戦略 Strategy 2018 で、世界の自動車業界で経済面・環境面のリーダーになるという目標を設定した。2011年の決算発表時には、VW Groupが2018年の目標に着実に近づいているとし、今後もコスト管理、投資管理、生産工程の最適化を進める方針。
2010年実績 2011年実績 2018年目標
VW Group 販売台数 720万台 827万台 1,000万台以上
VW Group 税引き前売上高利益率 7.1% 11.9% (注1) 8.0%以上
自動車部門の設備投資対売上高比率 5.0% 5.6% 6.0%
自動車部門の投資収益率 13.5% 17.7% 16%以上
VW Group 新車の平均 CO2排出量 (EU27)(注2) 144g/km 137g/km 120g/km以下

(注) 1. 2011年のVW Group 税引き前売上高利益率は、Porsche の株式に関するプット/コール・オプションの再評価による臨時損益
     を除外すると 7.8%。
   2. EU 27カ国において当該年に新規登録されたVW Groupの乗用車の平均CO2排出量。

 



米国市場: 2018年にVW Groupで100万台販売へ

米国市場:2018年にVWブランド車を80万台、Audiブランド車を20万台販売へ

 米国では、2011年5月にテネシー州・Chattanooga工場を稼働させ、約20年ぶりに現地生産を再開した。米国向けのモデル投入、現地調達、現地生産により米国市場での利益を拡大している。2012年上期の販売台数は、2011年秋に発売した米国仕様の新型Passat(欧州仕様より一回り大きい)と新型Beetleが好調で、22.1%増の39万台。2018年にVWブランド車の販売台数を80万台(2011年32.4万台)、Audiブランド車を20万台(同11.8万台)とし、市場シェアを6%とすることが目標。

2013年にChattanooga工場の年産能力を3万台増の18万台へ

 VWはChattanooga工場で生産している北米向け Passat の販売が好調なため、2012年に入ってから約1,000人を増員し、増産を図っている。従業員数は合計3,300人となり、同年7月からは3チーム体制として、週6日間稼動。2013年には、同工場の年産能力を現行の15万台から18万台に引き上げる計画。

米国向けのモデル投入

 VWブランドは、米国市場に適したモデルを増やすことを検討中(2012年7月報道)。投入を検討しているのが、既に投入しているTiguanより小型のSUVと、TiguanとTouaregの中間に位置するSUV。米国かメキシコでの生産を想定している。
 また、今後、米国ではディーゼル車が増加すると見込み、Tiguanのディーゼルモデル投入を検討。現在、VWの米国販売のうち、ディーゼル車の比率は20%だが、Tiguanのディーゼルモデルを投入すれば、30%に拡大できると見込んでいる。
 ハイエンドの高級車をラインアップに加えることも検討中。2010年に欧州で発売された2代目のPhaetonが候補にあがっているが、米国では初代が失敗に終わり、2006年に販売を中止したため、慎重に検討している。

 

 



中国市場: 2013/14年までに年産能力を300万台へ

VW:2015年に中国でのラインアップを75車種へ

 VW Groupの中国での販売台数は、2011年に初めて200万台超の226万台。2012年1-6月は前年同期比17.5%増の130.2万台。2012年1-5月の市場シェアは20%でトップ。2015年には、中国でのラインアップを75車種 (輸入車43車種を含む) に拡大する計画。

VW:中国での年産能力を2013/14年までに300万台、2018年までに400万台へ

 VWは中国での年産能力を、2013/14年までに300万台、2018年までに400万台に引き上げる計画。現在、一汽VWと上海VWは、中国でVW, Audi, Skodaブランドのモデルを20車種以上生産している。
 VWは2012-2016年に、中国における新型車の開発と生産能力拡充に140億Euroを投資する計画。中国西部への進出計画 Go West Strategy ではウルムチ工場の建設、南部への拡大計画 Go South Strategyでは江蘇省儀征工場、浙江省寧波工場、佛山工場を建設する。

上海VW:儀征工場を稼働、寧波/ウルムチ工場を建設中

江蘇省儀征工場
(完成車第5工場)
 上海VWは2012年7月26日、5番目となる新工場の稼動式を江蘇省儀征市で開催した。年産能力は30万台。最初の投入モデルはVWの新型Poloで、将来はSkodaブランドのモデルも生産する計画。投資総額は約100億元。技術試験センター、研修施設、エネルギーセンターなどを併設する。同工場の稼働により、3,700名の雇用が創出される見込み。
浙江省寧波工場
(完成車第6工場)
 上海VWは2012年1月7日に、6番目となる新工場の建設を浙江省寧波市で開始した。総工費は117.59億元で、乗用車30万台の年産能力を整備し、2014年に稼動する。2015年の従業員数は数千人となる見込み。
ウルムチ工場
(完成車第7工場)
 VWとSAICは2012年4月23日に、中国西部に位置する新疆ウイグル自治区のウルムチ市に新工場を建設することで合意した。新工場への投資額は1.7億Euro。2014年末から年産5万台規模で乗用車を生産する計画。VWは中国西部を中心とする農村地帯を、今後需要が拡大する地域として重視している。
  上海VWは既に完成車工場を上海に3工場(年産能力は計80万台)、南京に1工場(同30万台)有する。上記の3工場が稼動すると、2014年末の年産能力は175万台となる見込み。

一汽VW:成都工場を稼動、佛山工場を建設中

合弁契約延長  VWとFAWは2012年4月23日に、一汽VW (1991年設立) の合弁契約期間を25年間延長することで合意した。
四川省成都工場
(完成車第3工場)
 2011年10月に稼働開始。生産モデルの第1号は新型Sagitar(速騰)。年産能力は35万台で、2012年末には45万台に拡大する予定。
広東省佛山工場
(完成車第4工場)
 一汽VWの華南地区における初の生産拠点として、133億元を投じて建設する。2011年4月に着工し、2013年8月に稼働予定。当初の年産能力は30万台で、2015年には60万台に拡大する計画。生産モデルの第1号は、MQBを採用する新型Golf、その後はAudi A3 Sedan/ Sportbackを投入すると推測されている。
 一汽VWは既に完成車工場を吉林省長春市に2工場(年産能力は計66万台)有する。上記の2工場が稼動すると、2015年の年産能力は171万台となる見込み。

VW:天津にトランスミッション工場を建設

 VWは中国で3ヵ所目のトランスミッション工場を天津市に建設する計画。VWは既に上海と大連の 2ヵ所にトランスミッション工場を保有しており、天津工場では大連工場に続き、デュアルクラッチトランスミッション DSG (Direct-Shift Gearbox) を生産する。当初の年産能力は90万基だが、最終的には計135万基まで拡大する計画。Audi Q3, VW Golf GTI, Tiguan等に搭載するとしている。

 

 



VW Groupのモジュラー戦略

VWのモジュラー戦略:2012年に横置きエンジン車向けMQBを導入

モジュラー戦略とは  車両クラスやブランドを超えてコンポーネントを共通化し、車両を設計・生産する手法。開発の効率化・コスト低減・混流生産を可能にする。
 従来のプラットフォーム戦略では、クラスを超えたコンポーネントの共通化には限界があった。VWのモジュラー戦略では、車両のあらゆるコンポーネントを標準化し、それを組み合わせて車両を設計する。そのため、アクセルペダルから前車軸までの距離は固定だが、ホイールベースやオーバーハング、車幅などを変更でき、異なる車両クラスをカバーできる。地域や顧客のニーズに合わせてモデルのバリエーションを増やしても、部品の種類は最低限に抑えているので、コスト低減が可能になる。
MQBの導入  VWは2011年にモジュラー戦略の概略を発表し、2012年に実際に導入を開始。まず、MQB (横置きエンジン搭載車向けモジュラー戦略) を、VW, Audi, Skoda, SEATの各ブランドに導入する。横置きエンジン搭載車はVW Group のモデルの中で最も数が多く、生産台数は年間400万台規模。MQBを採用する最初のモデルは、2012年5月発売の新型 Audi A3と、9月発表予定の新型 Golf。
 2017年までに主力車約40車種でMQBを採用し、部品の70%を共通化する計画。開発費で20%削減、車両組み立て時間で30%削減を目標とする。
パワートレイン  VWはMQB用のガソリンエンジンを新開発し、従来の排気前/吸気後ろのレイアウトを、ディーゼルエンジンと同じ吸気前/排気後ろとした。これにより、すべての種類のエンジンを同じ位置に搭載できるようになり、トランスミッションの取り付け位置も共通になる。その結果、エンジンとトランスミッションのバリエーションを約90%削減した。
 ガソリンエンジンは気筒休止機能付きエンジンを含む新開発のEA211シリーズ (40kW-110kW)、ディーゼルエンジンも新開発のEA288シリーズ(66kW-140kW)を採用。また、天然ガス車、HV、EVも駆動システムを同じ位置に搭載できる。2013年にはMQBを採用したEVのGolf Blue-e-Motionを発売する計画。
軽量化と上級車向け装備  VWは、最初のMQBシリーズ導入時に、高張力鋼板の採用などで車両重量を大幅削減する(従来比40-60kg削減)。また、現在は上級車にのみ採用されている革新的な安全/インフォテインメント装備を20種以上採用する。その1つが multicollision brakeで、初期衝突の後に自動ブレーキを作動させ、二次衝突の被害を軽減する。新型A3と新型Golfに標準装備する。

4つのモジュラー戦略を開発:各戦略の開発は各ブランドが担当

開発担当 概要
MQB VW  MQB (Modularen Querbaukasten/Modular Transverse Matrix) は横置きエンジン搭載車向け。広範囲のセグメントに採用可能で、VWブランドでは、Polo, Beetle, Golf, Scirocco, Jetta, Tiguan, Touran, Sharan, Passat, Volkswagen CCが対象。
MLB Audi  MLB (Modularen Langsbaukasten/Modular Longitudinal System) は縦置きエンジン搭載車向け。
MSB Porsche  MSB (Modular Standard System) は Porsche Panamera 等が対象。
NSF VW  NSF (New Small Family) は VW up!, Skoda Citigo, SEAT Mii 等の小型車が対象。

 

 



VW Groupの主要モデル計画 (2012年)

ブランド モデル 概要
VW up!  New Small Family と称する数種の派生車で構成するサブコンパクトカー。2011年末に欧州で3ドアハッチバックを発売。価格は、対抗車とする Kia Rio より50Euro安い9,850Euroに設定。2012年には5ドアモデルを発売。
 2013年以降、新興国に展開する計画。ブラジルではup! をベースにした現地仕様の小型車を発売して、年間販売15万台を見込む。中国・インドでも、現地生産の部品を使用し、欧州仕様車より価格を大幅に引き下げたup!の発売を検討。
新型 Golf  モジュラー戦略MQB を採用。Audi A3とは約70%の部品を共通化。
新型
Beetle Cabrio
 初代モデル同様、非収納式(車体後部に載せる形で折りたたまれる)のソフトトップを採用。
Passat Alltrack  Passatをベースとするクロスオーバー車。VWではこれまで本格的なSUVにしか搭載していない、オフロード走行モード選択機能を搭載。
Audi 新型 A3  モジュラー戦略 MQB を採用する最初のモデル。まず3ドアハッチバックを投入し、後に5ドアモデルを投入する見込み。エンジンフードをアルミ製にするなど、旧モデル比で80kg 軽量化。CNG車やハイブリッド車も開発中。
A1 Sportback  プレミアム小型ハッチバック。Audiの最小モデル A1 の5ドアバージョン。
Skoda Citigo  VW up! の姉妹車。
新型 Rapid  VW Polo のプラットフォームを伸長して採用。Fabia と Octavia の中間に位置する5人乗りハッチバック。2013年からは中国でも生産・販売する計画。
SEAT 新型 Leon  モジュラー戦略 MQB を採用する5ドア/3ドアハッチバック。
Mii  VW up! の姉妹車。
新型 Toledo  Skoda Rapidの姉妹車。
VW China 新型 Sagitar  Cセグメントの4ドアセダン。6代目 Jetta を新型Sagitar(新速騰)として3月に投入。中国仕様に改良され、旧モデルよりワイドボディ。
新型 Lavida  4年前に中国に投入され、中国市場で主要セグメントであるAセグメントの最量販セダン。新型車は、VWの現行のデザイン言語を反映したシャープなラインのボディを持ち、スタンダードモデルはABS, ESP, 前席エアバッグ等を装備。2012年春のAuto China in Beijing で発表した。

 

VW Group の電動車両計画

2010/11年 2012年 2013年 2014/15年
HV ・VW Touareg
・Porsche Cayenne S
・Audi Q5
・Porsche Panamera S
・VW Jetta
・Audi A6
・Audi A8
・VW XL1
・ Porsche 918 Spyder
・VW Passat
・Audi A4
・Audi Q7
EV ・Audi R8 e-tron ・VW up! blue-e-motion
・VW Golf blue-e-motion
・VW Caddy blue-e-motion
(注) 1. VWは、電気駆動システムにもモジュラー戦略を適用する。モーター等の駆動部品は3種類、電子システムは4種類、充電器は1種類に標準化し、組み合わせを変えることで多様なモデルに対応する。
2. VWは、2018年にGroup販売台数の3% (30万台) をEVとする計画。
3. VW Jetta Hybridは2012年秋に北米で発売、2013年に欧州で発売する予定。

 

 



MANを2011年11月から、Porscheを2012年8月から子会社化

VW:2011年11月からMANを連結子会社化

 VWは2011年11月9日、ドイツの大手商用車メーカー MANの株式の53.71%、議決権の55.90%を買収し、同社を連結子会社とした。この買収に伴い、MANが保有していたScania株をVWが取得し、Scaniaへの出資比率を62.6%、議決権比率で89.2%に引き上げた。VWは、MANとScaniaとの統合により、年間2億Euroのコスト低減が可能と見込んでいる。まず調達分野で連携し、次に生産・研究開発分野でも協力する計画。
 VWは2012年6月6日、MANへの出資比率を議決権ベースで75.03%に引き上げた。これを機に、VWはMAN、Scania、VW Commercial Vehiclesを統合した商用車部門を創設する。VWは今後1年以内に、市場の状況に応じてMANへの出資比率をさらに引き上げる計画。

MAN:南米で自社ブランドのトラック生産開始、VW ブランド商用車にエンジンを提供

 MANが2008年にVWのブラジル大型商用車部門を買収して設立したMAN Latin America は、2012年にMANブランドの super-heavy truck シリーズ TGX を投入した。同モデルは、MANブランドとして初めてブラジルで生産し、中南米市場で販売するトラック。MAN Latin Americaは、これまでVWブランド車を生産していた。
 南米では、VWとMANのパワートレインでの提携も進んでおり、南米で販売するVW の大型トラックシリーズ Constellation ADVANTECHの多くは、ブラジルで生産するMAN D08 エンジンを搭載している。

資料:VW Annual Report 2011, Financial Report H1 2012

VWとPorsche:2012年8月1日に経営統合を完了

 VWとPorscheは、2012年8月1日付けで両社の経営統合を完了した。当初、VWは持株会社 Porsche SE と経営統合する予定だったが、Porscheの訴訟問題や両社の税金負担などが障害となり、延期していた。今回、事業会社 Porsche AG の買収に方針を切り替え、実質的な統合を行うこととした。
 VWは、PorscheAG の残りの 50.1% の株式を、Porsche SE から 44.6億Euro + VW の普通株1株で買い取り、出資比率を 49.9% から 100% に引き上げる。Porsche AG の業績は、8月1日からVW Groupに連結される。両社は統合により、高級車セグメントでの提携を強化し、部品の共有化などで連携を加速させる計画。

Porsche:2018年の販売台数目標は20万台

 Porsche AG は2018年に年間販売台数を2011年実績比70%増の20万台に増やす計画。2013年には、Porscheとして5車種目の小型SUV Macan (インドネシア語で"虎"の意) を発売する予定。生産するドイツ・ライプチヒ工場に5億Euroを投資し、組立ラインと塗装ラインを新設する。Audiの小型SUV Q5 とモジュール部品を共通化する。
 Porsche AGは大型SUV Cayenneが好調で、2011年の売上高は前年比18%増の109億Euro、営業利益は22%増の20億Euroとなった。

 

 



2012年上期の売上高は22.6%増の954億Euro、営業利益は6.7%増の65億Euro

 VW Group の2012年上期の売上高は、販売台数の増加とMANの連結効果(2011年11月以降)等により前年同期比22.6%増の954億Euro。営業利益は6.7%増の65億Euroとなった。

 ブランド別の業績では、VWブランドがTiguan, Touaregのほか新型車のup!, Beetleが好調で、9.5%増の242万台を販売。売上高も12.5%増加したが、営業利益はMQB導入費用が影響し、3.8%増にとどまった。Audiブランドは、Q5, A6, A7 Sportbackや新型車のA1 Sportback, Q3 が好調で67.8万台を販売 (このほかに中国合弁会社が16.6万台のAudi車を販売)。売上高は16.2%、営業利益は13.2%増加した。

VW Group の連結業績概況

(100万Euro)
2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-6月
2012年
1-6月
生産台数 (1,000台) 6,347 6,055 7,358 8,494 4,184 4,681
売上高
営業利益
113,808
6,333
105,187
1,855
126,875
7,141
159,337
11,271
77,767
6,086
95,378
6,492
税引き前利益
税引き後利益
6,608
4,688
1,261
911
8,994
7,226
18,926
15,799
8,233
6,496
10,056
8,827
従業員数 (1,000人) 357 367 389 454 502 519

資料:VW Annual Report 2011, Financial Report H1 2012
(注) 中国合弁事業は、生産台数は上記に含むが、持分法による連結のため売上高・営業利益 には含まない。

 

VW Group:自動車部門の Brand 別実績

(1,000台、100万Euro)
VW Audi Skoda SEAT Bentley CV Scania MAN China その他 合計
販売台数 2008年 3,648 1,275 626 375 8 439 31 989 (1,119) 6,272
2009年 3,459 1,183 552 319 4 275 43 1,397 (923) 6,310
2010年 3,863 1,321 585 349 5 349 64 1,871 (1,128) 7,278
2011年 4,450 1,543 690 362 7 441 80 25 2,201 (1,438) 8,361
11年1-6月 2,207 762 362 188 3 218 40 1,053 (699) 4,133
12年1-6月 2,416 678 408 218 5 228 32 68 1,255 (664) 4,644
売上高 2008年 72,928 34,196 8,039 5,196 1,084 9,607 3,865 (32,036) 102,879
2009年 65,368 29,840 7,100 4,561 571 5,294 6,385 (25,592) 93,527
2010年 80,251 35,441 8,692 5,038 721 7,392 8,462 (32,709) 113,288
2011年 94,690 44,096 10,266 5,393 1,119 8,985 10,064 2,652 (33,768) 143,497
11年1-6月 46,874 21,526 5,363 2,760 486 4,416 5,034 (16,480) 69,979
12年1-6月 52,746 25,022 5,715 3,349 757 4,848 4,606 7,810 (18,333) 86,520
営業利益 2008年 2,715 2,772 565 (78) 10 375 417 (1,336) 5,440
2009年 561 1,604 203 (339) (194) 313 236 (1,135) 1,249
2010年 2,173 3,340 447 (311) (245) 232 1,342 (769) 6,209
2011年 3,796 5,348 743 (225) 8 449 1,372 193 (1,617) 10,067
11年1-6月 2,131 2,540 412 (48) (17) 235 743 (465) 5,531
12年1-6月 2,212 2,876 449 (42) 57 242 477 354 (798) 5,827
資料:VW Annual Report 2011, Financial Report H1 2012
(注) 1. 販売台数は卸売り販売台数。VW は VW passenger car。CV は VW Commercial Vehicles。China は中国事業。その他欄 は、主にグループ内会社間取引を調整した数値。
2. MAN欄は、 2011年11月以降の実績。
3. VW Group には、上記自動車部門の他に Financial Service 部門がある。
4. 中国の合弁 2社の 持分利益合計は、2008年は 395百万Euro、2009年は 981百万Euro、2010年は 1,907百万Euro、2011年は 2,616百万Euro、2012年 1-6月は 1,778百万Euro (2011年 1-6月は 1,162百万Euro)。

 

資料:VWの決算発表資料/広報資料、各種報道

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>