Fordの中国事業 (1): 中期事業方針、開発・販売体制、モデル計画

2015~2020年までに年間150万台販売、市場シェア8%目指す

2011/10/28

要 約

 Ford の中国における 2011年の販売見通しは 40万台弱であるが、2020年までに 150万台の年間販売を目標としている。この目標を達成するために、2012年から2015年までに新型 15車種を投入する計画。

 また、現在、主要合弁会社である長安 Ford-Mazda を再編し、正式に認可が得られれば、2011年末までに長安汽車集団と折半出資で長安 Ford (Mazda は長安 Mazda) を設立する見通し。現在、生産能力拡張を進めている主力の重慶工場に加え、江鈴汽車股份の南昌小藍合弁新工場建設、天津/重慶が有力候補地とされる新たな乗用車工場建設など、Fordブランド車の生産能力増強を図る。

 以下は、Ford の中国における中期事業方針、開発体制、モデル計画および販売体制等に関する最新動向である。
 なお、Ford の中国における最新の完成車およびエンジン生産体制の拡張などについては、2011年 11月掲載の 「Ford の中国事業 (2): 完成車とエンジンの生産能力増強計画」 を参照方。

Ford の中国事業方針

概要
販売 ・2015~2020年に、中国での年間販売 150万台 (含む輸入販売、中国産車の輸出)、市場シェア 8% (2011年9月時点約 3%) を目標。
・2015年までに、主に大都市以外の地域において、販売を拡大していく。
(西部地域市場における2010年の販売は前年同期比 59%増。)
・長安汽車集団と海外市場の共同開拓など、グローバル事業提携を強化。
モデル ・高品質、グリーン、省エネ、安全、スマートをコンセプトとして、中国生産車種のラインアップ (各セグメントへの浸透) を強化し、中国市場シェアを拡大。
・2012~2015年末の 4年間で新たに新型合計15車種を中国市場に順次投入 (うち、約10車種は重慶工場に導入)。
・中国高級車市場に参入し、Lincoln ブランドモデルを投入 (現地生産に先立ち近々輸入販売を開始)。
・ローエンド車種の投入を加速。
環境対応:
・Ford が開発する HV/PHV/EV モデルを積極的に中国市場にも投入。
・2020年までに、全モデルの排気ガスを改善し、CO2排出量を2010年5月時点水準より30%改善。
  ・直噴ターボ付新型エンジン (EcoBoost GTDI) と PowerShift 変速機 (デュアルクラッチ) を組み合わせる等、高効率パワートレイン搭載の拡大。 *注
・2011年4月に中国複数の都市で、環境対応車 3車種 (Transit Connect (EV), Escape PHV, Fusion HV) のテスト運行を開始した。
・長安Fordで、電動乗用車 (EV/HV/PHV) を生産する計画。2020年までに一定の規模に。
生産 ・長安 Ford (重慶合弁生産基地) を、Ford のデトロイト生産基地に続く主力生産基地に構築。
・江鈴汽車股份 (南昌合弁生産基地) を、世界一流の商用車生産基地に育てる。Ford ブランドの乗用車生産も強化する。
・長安汽車集団と、山西省太原で合弁会社を設立、中型・重型商用車事業に参入予定。
 

・重慶における完成車、エンジン、変速機3工場、および南昌完成車工場、合計 4工場の建設に 16億米ドルを投資、2013年までに稼動 (2011年9月末時点、すべて着工済み)。

資料: Ford 中国 プレスリリース、各種報道
*注. Ford は2013年に、中国を含めて、グローバル販売車両全体の 90% を EcoBoost エンジン搭載仕様にするとの報道もある。

 補足:Ford は2011年11月21日、開催中の広州モーターショーで、長安 Ford のパワートレイン戦略を発表した。

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 5 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。