CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2016年2月

2016年初の新エネルギー車生産は大幅減 EV特殊車両の落ち込みが顕著

2016/03/09

中国国内生産 (概要)

このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。

 2016年1月の新エネルギー車(EV、PHV、FCV。鉛酸電池搭載車は含まない)生産台数は前年同月比で1.5倍の16,307台となった。車種別に見ると、新エネルギー車生産の65%がEV、EV生産の76%が乗用車となっている。前月と比べると、1月は全車種で50%超減少しており、中でもEV特殊車両は前月の2万台超から409台にまで減少した。

図1 新エネルギー車の生産台数 (2015年8月~2016年1月)



中国国内生産

表1 新エネルギー車の車種別生産台数 (2016年1月)

 
PHV
EV
合計
乗用車
4,903
8,025
12,928
バス
835
2,135
2,970
特殊車両
0
409
409
合計
5,738
10,569
16,307


図2 新エネルギー車の車種別生産比率 (2016年1月)

PHV

 2016年1月のPHV生産台数は前月の36.1%となる5,738台で、うちPHV乗用車は4,903台となった。PHV乗用車を生産しているメーカーはBYD、上海汽車、広州汽車、浙江豪情、華晨BMW、奇瑞の6社である。BYDの唐は前月に続きPHV乗用車生産で1位となり、秦を合わせるとPHV乗用車生産の83%を占めた。上海汽車の栄威550PHEVは400台超を生産したが、2015年第4四半期に月間1,000台超を生産していたことを考慮すると大幅な減少である。広州汽車伝祺PHVの生産は3位となった。

 2016年1月のPHVバス生産は全てが全長10m以上の中・大型車であった。生産台数は前年同月と同等の835台であったが、前月比では84.4%減となった。PHVバスを生産するメーカーの上位5社は福田汽車、中通客車、湖南南車、鄭州宇通、廈門金旅である。

EV

 2016年1月のEV生産台数は10,569台となった。EV乗用車生産は8,025台となり、2015年8月ぶりに1万台を下回った。EV乗用車を生産しているメーカーは17社あり、うち上位5社は北京汽車、江淮汽車、湖南江南、BYD、奇瑞である。1月生産をメーカー別に見ると、北京汽車と江淮汽車がそれぞれ1位、2位となった。BYDは個人やタクシー向けに人気がある新型e6の好調により4位になった。奇瑞は新型eQの生産が1,000台に達したため5位に入った。EV乗用車は政府の奨励策により市場が形成されつつある。そのため、購入補助金が減額されたとしても、EV乗用車市場は拡大すると予想されている。

 2016年1月のEVバス生産は前年同月比2倍の2,135台となったが、前月の生産規模の8%に留まった。1月にEVバスを生産したメーカーは前月比半減の23社で、上位5社は宇通客車、安凱汽車、上汽商用車、中通客車、北汽福田であった。1月に生産されたEVバスの78.8%は全長6~8mの小型バスが占めている。

 EV特殊車両の1月の生産台数は409台となった。1月生産は前年同月比で2.32倍となったが、前月生産の1.7%にまで縮小した。1月にEV特殊車両を生産したメーカーは22社あり、山東凱馬(Shandong KAMA Automobile)、東営蒙徳金馬(Monde Golden Horse)、陝西通家汽車(Shaanxi Tongjia Auto)が新たに上位5社に入った。



国内動向

新エネルギー車に対する自動車ローンの頭金比率を引き下げ

 2016年2月16日、人民銀行、発展改革委員会、工業情報化部など8部門は共同で「工業の安定成長、構造調整、効率化に向けた金融支援に関する方針」を発表した。同方針では以下の三点が奨励されている。

・ 銀行などの金融機関は新エネルギー車および中古車ローンの頭金比率を引き下げ、自動車ローンの普及、新エネルギー車関連産業の発展を促す。現在、自動車ローンの頭金の最低比率は国産車が30%、輸入車が50%となっている。
・ 自動車ローンの証券化を加速し、工業関連企業への直接融資を拡大する。新興産業分野に合致する企業や同分野への起業を支援することで、中国政府が打ち立てた製造業の発展計画「中国製造2025」を推進する。
・ 新エネルギー車に特化した保険を設定し、工業保険サービスを向上させる。設備保険制度を試験的に実施することで、新材料や主要部品を保険補償の範囲に組み入れることを検討する。

「第十三次五ヶ年計画」における充電施設奨励政策及び新エネルギー車普及強化政策が確定

 2016年1月18日、財政部、科学技術部、工業情報化部、国家発展改革委員会、国家能源局は「第十三次五ヶ年計画における新エネルギー車充電施設奨励政策および新エネルギー車普及強化に関する通知」を正式に発表した。奨励政策は充電インフラの整備および新エネルギー車の普及が進んでいる省(区、市)政府に対して奨励金を出すとしている。この奨励金を受けるためには一定の条件を満たす必要がある。省(区、市)は以下3つの地区に区分けされ、それぞれの普及台数に応じて奨励金を交付する。奨励金は各省(区、市)の新エネルギー車普及台数に応じて金額が確定されるが、その使用目的は限定される。

 第1類:大気汚染対策に重点を置く省市(北京、上海、天津、河北、山西、江蘇、浙江、山東、広東、海南)では、2016~2020年の新エネルギー車普及台数を2016年が3.0万台、2017年が3.5万台、2018年が4.3万台、2019年が5.5万台、2020年までが7万台以上とする。なお、当該地区における車両の新規購入及び買い替え台数の新エネルギー車比率は2016年が2%、2017年が3%、2018年が4%、2019年が5%、2020年が6%以上とする。

 第2類:中部地区の省(安徽、江西、河南、湖北、湖南)と福建省では、2016~2020年の新エネルギー車普及台数を2016年が1.8万台、2017年が2.2万台、2018年が2.8万台、2019年が3.8万台、2020年が5万台以上とする。なお、当該地区における車両の新規購入及び買い替え台数の新エネルギー車比率は2016年が1.5%、2017年が2%、2018年が3%、2019年が4%、2020年が5%以上とする。

 第3類:その他の省(区、市)では、2016~2020年の新エネルギー車普及台数を2016年が1.0万台、2017年が1.2万台、2018年が1.5万台、2019年が2万台、2020年が3万台以上とする。なお、当該地区における車両の新規購入及び買い替え台数の新エネルギー車比率は2016年が1%、2017年が1.5%、2018年が2%、2019年が2.5%、2020年が3%以上とする。

 各地区が奨励金を得るためには、もう一つ条件がある。その条件は、各省(区、市)が2016年4月までに新エネルギー車普及実施案及び充電インフラの建設運営方法を財政部、科学技術部、工業情報化部、国家発展改革委員会、能源局の5部門に届け出ることである。要求に沿った案が制定されていない地区は中央政府の奨励金を受けることができない。

工業情報化部:三元系リチウムイオン電池搭載バスの新エネルギー車リスト入りを停止

 2016年1月24日、「2016中国電動汽車百人会“動力電池の発展と突破”フォーラム」において、工業情報化部装備工業司の張相木司長は、動力電池の安全性の観点から、三元系リチウムイオン電池を搭載したバスの新エネルギー車推薦モデルリスト入りを一時的に停止すると発表した。

 リチウムイオン電池にはリン酸鉄リチウム、三元系リチウム、炭酸リチウム、チタン酸リチウムなど多くの種類がある。三元系リチウムイオン電池は比エネルギーが高く、循環性能が良い特性があるが、中国では三元系材料の研究開発が進んでおらず、バスへの搭載についてはその安全性の検証がまだ十分でない。

 中国政府は新エネルギー車の安全性に関する技術要求を引き上げようとしている。三元系リチウムイオン電池を搭載したバスなどに対しては現行安全基準下での評価を行い、評価が終わるまでは新エネルギー車推薦モデルリストに入れることを停止する。

杭州:新エネルギー車の優遇に追加措置

 杭州市は新エネルギー車の個人購入を促すため、補助金の支給やナンバープレート取得などの優遇政策に加え、通行規制の免除や駐車スペースの優遇など具体的な措置を打ち出した。公共駐車場、展示会場、体育館、物流センター、タクシー乗り場などに充電設備を建設し、2020年までに充電が給油のように手軽に行えるよう整備する。

 杭州市は2016年の新エネルギー車普及台数に対して7,500台を必達目標、10,000台を努力目標としている。目標の内訳はリース販売する6,000台、G20サミットで使用する新エネルギー車500台、ゴミ収集や郵便、物流などには1,000台の新エネルギー車を採用する。

北汽新能源が新エネルギー車の製品計画を発表

 2016年2月1日、北汽新能源汽車公司は新エネルギー車の製品計画を発表した。同計画ではA00、A0、Aセグメントの乗用車、AセグメントのSUVをカバーする新型5モデルを投入する。2016年4月には新ブランド「衆創 (Zhongchuang)」を正式発表する。

北汽新能源の投入予定モデル
モデル
セグメント
投入時期
EU260
A
2016年2-3月
EX200
A0 SUV
2016年3-4月
“国民”
A00
2016年9-10月
“衆創”
2016年末
新型Dセグメント乗用車
D
2017年

「奔騰 (Besturn)」、 年内にEVを2モデル投入

 一汽轎車マーケティング部の何鉄?部長は、「奔騰(Besturn)」ブランドの全モデルに新エネルギー車を設定する方針を発表した。長春市発展改革委員会によると、一汽集団新能源汽車公司は2016年に奔騰B30EV と X80EV の2モデルを発売する計画である。

長安汽車、2016年に欧力威(Eulove) EVを投入

 長安汽車はEVとHVの技術開発に180億元を投じ、2025年までに34の新エネルギー車を投入する戦略を打ち出した。34の新エネルギー車のうち、6モデルはミニバンのEVとなる。長安汽車股?有限公司の朱華栄総裁によると、長安汽車は2016年に新エネルギー車9モデルを投入する。年内に発売される欧力威(Eulove) EVは航続距離が200kmになる。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。