CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2015年7月

2015年6月生産は新エネルギー乗用車が牽引し、過去最高を記録

2015/07/31

中国国内生産 (概要)



このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。

 2015年6月の中国における電動車生産台数は前月比で32.6%増、前年同月比で3.8倍の27,894台 (鉛酸電池搭載のEV654台を含む) となり、過去最高を記録した。車種別では、乗用車の比率が前月比8ポイント減の70%。動力別では、EVが同比2ポイント増の68%となった。HVの比率は2ヵ月連続で減少しており、6月は2%であった。
 新エネルギー乗用車 (EVとPHVの乗用車、鉛酸電池搭載の乗用EVは含まない)の生産は18,450台で、6月の中国における乗用車生産の1.16%を占めた。乗用PHVは前年同月比、EV特殊車両は前月比で最も高い伸び率を記録した。


図1 電動車の生産台数 (2015年1月~6月)



中国国内生産

表1 電動車の車種別生産台数 (2014年6月/2015年1月~6月)

車種 2014年
6月
2015年
1月
2015年
2月
2015年
3月
2015年
4月
2015年
5月
2015年
6月
前年同月比(%) 前月比(%)
PHV乗用車 853 2,281 1,661 3,315 1,523 4,932 6,674 682.4 35.3
PHVバス 664 871 694 802 956 1,512 1,656 149.4 9.5
EV乗用車 3,777 2,797 2,207 7,828 5,437 10,992 12,272 224.9 11.6
EVバス 1,005 1,154 659 1,981 1,457 2,369 5,543 451.5 134.0
EV特殊車両 185 273 156 457 480 689 1,165 529.7 69.1
HV乗用車 815 800 525 34 555 520 584 -28.3 12.3
HVバス 0 1 1 0 0 18 0 - -100
FCV乗用車 0 0 0 0 10 0 0 - -
合計 7,299 8,177 5,903 14,417 10,418 21,032 27,894 282.2 32.6


表2 電動車の車種別生産台数 (2015年6月)

 
HV
PHV
EV
合計
乗用車
584
6,674
12,272
19,530
バス
0
1,656
5,543
7,199
特殊車両
0
0
1,165
1,165
合計
584
8,330
18,980
27,894


図2 電動車の車種別生産比率 (2015年6月)

PHV

 2015年6月のPHV生産台数は8,330台となった。そのうち、乗用PHVは6,674台で、PHV全体の80.1%を占めた。乗用PHVを生産している5社のうち、BYDは乗用PHVの秦を増産しており、秦の生産は前月比20%増となった。BYDの乗用EV e6の生産が1,000台に達していないこと、新型EVの投入計画がないことを考慮すると、BYDの新エネルギー乗用車生産はPHVに注力している。上海汽車の栄威550PHVの生産は大幅に増え、1,600台を超えた。吉利グループのVolvoのPHV生産は前月に続き、3位であった。

 PHVバスの生産台数は1,656台で、PHV全体の19.9%を占めた。PHVバスを生産する15社のうち、上位5社は蘇州金龍、安徽安凱、鄭州宇通、北汽福田、廈門金龍である。北汽福田はPHVバス生産で初めて上位5社に入った。PHVバスのうち、天然ガスを使用するPHVバスは61%を占めている。

EV

 2015年6月のEV生産台数は18,980台(鉛酸電池を搭載した乗用EV 496台、同EV特殊車両 100台を含む)となった。乗用EVは12,272台で、前月に続き過去最高を記録した。乗用EVを生産しているメーカーは15社あり、上位5社(鉛酸電池搭載車は除く)は吉利汽車、北京汽車、湖南江南汽車、江淮汽車、BYDであった。

 EVバスの生産台数は前月の2倍超となる5,543台となった。生産メーカーは33社で前月から5社増加。生産台数が多い上位5社は鄭州宇通、中通客車、蘇州金龍、江蘇九龍、南京金龍で、EVバス生産の67.8%を占めた。上位5社のうち、上位2社が1,000台前後、3~5位は500台弱を生産した。

 EV特殊車両の生産台数は前月比69.1%増の1,165台となった。生産メーカーは26社と前月より増加。6月は蘇州金龍、南京金龍、廈門金旅などがEV特殊車両の生産を開始した。上位3社は蕪湖宝琪、重慶瑞馳、蘇州金龍であった (鉛酸電池搭載車は含まない)。

電動車輸入

 2015年6月の電動車輸入は全て乗用車で、台数は1,925台となった。電動車輸入の主力はHVで、台数は1,685台と、全体の87.5%を占めた。乗用EVの輸入台数は前月からわずかに増え221台 (レンジエクステンダー車38台を含む) 、PHVは19台であった。



国内動向

2014年度の企業平均燃費は7.22L/100km、国産車および輸入車とも小幅に向上

 2015年6月23日、工業情報化部は「2014年度中国乗用車関連企業の平均燃費統計」を発表した。それによると、2014年度の国内116社の乗用車関連企業が生産、輸入した乗用車は2,030.33万台(新エネルギー乗用車と輸出乗用車は含まない。以下同様) で、平均車両重量が1,371kg、企業平均燃費が7.22L/100kmとなった。内訳は、国産メーカー88社の乗用車生産が1,901.30万台、平均車両重量が1,340kg、企業平均燃費が7.12L/100km。輸入代理店28社の乗用車輸入台数が129.03万台、平均車両重量が1,828kg、企業平均燃費が8.76L/100km。

 乗用車メーカー88社のうち、燃費基準に達した企業61社の生産台数は18,056,499台で、全体の94.97%を占めた。基準に達していない企業27社の生産台数は956,466台。輸入代理店28社のうち、燃費基準に達した企業17社の輸入台数は1,074,329台で、全体の83.26%。基準に達していない企業11社の輸入台数は215,965台となった。

 2014年度の国産乗用車の企業平均燃費は7.12L/100kmで、2013年の7.33Lから0.21L向上。輸入乗用車の企業平均燃費は8.76L/100kmで、2013年の9.06Lから0.30L向上した。2014年度の平均車両重量は2013年度の1,355kgから16kg増加し、1,371kgとなった。中国政府は2015年度の燃費目標を6.9L/100kmとしており、車両重量の増加が同目標の達成を困難にさせるとも考えられる。

北京:SINOPEC北京と北京新能源汽車が提携 バッテリー充電および交換施設を展開

 2015年7月3日、中国石油化工股?有限公司北京石油分公司 [SINOPEC Beijing Oil Products Company] と北京新能源汽車は戦略的提携を締結した。北京石油は北京市の主要幹線道路に580超のガソリンスタンドを保有し、1日30万台超の車両が利用している。両社は北京石油のガソリンスタンドに一般のEVユーザー向けの充電施設とEVタクシー向けのバッテリー交換施設を設置していく計画である。

上海:充電施設の電気料金は1kWh あたり1.6元 2020年まで基本料は免除

 上海市は2015年7月1日より「上海市電動車充電施設の建設に関する暫定的管理規定」を正式に実施する。同規定によると、新たに建設する居住区や駐車場にはスペース全体の10%以上に充電設備を設置するスペースを残さなければならない。充電料金は暫定的に1kWhあたり1.6元とし、2020年までは基本料が免除される。充電施設の資金補助については、条件に適った充電施設に対し2013年公布の「上海市電動車充電交換施設の発展に関する暫定規定」に基づき補助金が支給される。充電施設を設置する場合は設置費用の30%を上限に補助金が支給され、同時に用地確保の支援も受けられる。

遼寧:2020年までに新エネルギー車普及台数を20,000台に

 2015年7月1日、遼寧省政府は「新エネルギー車の普及計画」を打ち出した。それによると、遼寧省は都市部での新エネルギー車普及台数を10,000台以上とし、物流のトラックや都市バス、ごみ収集車、公務用車両の30%以上を新エネルギー車とする。2020年までには公共用車両に新エネルギー車を採用することで、全省で20,000台以上を普及させる。同時に、充電施設の発展計画の策定、充電施設の運営および管理体制の構築、充電施設の建設などを推進する。

広西:現地開発を支援 推薦モデルに奨励金50万元

 2015年6月17日、広西チワン族自治区政府は「新エネルギー車の普及計画」を発表した。同計画によると、都市バス、タクシー、公務、郵便などで新エネルギー車の使用を推進し、2015年は自治区または市の政府機関・公共機関が購入または買い換える車両の30%以上を新エネルギー車とする。台数は500台で、内訳は乗用EV 200台、乗用PHV 150台、EVバス 50台、PHVバス 50台、EV特殊車両 50台。また、国の「省エネルギー・新エネルギー車推薦モデル目録」に登録されたモデルを開発した広西の新エネルギー車メーカーは1モデル50万元の奨励金が支給される。

安徽:新エネルギー車に新たな政策 充電施設用地を優先的に確保

 2015年6月25日、安徽省の国土庁は各県や市が提出する国有建設用地の年度計画に対して、充電施設が建設・拡張できる用地を確保するよう要求した。新たに建設する建物の駐車場や公共駐車場には充電施設を配備するよう明記し、充電施設の用地を確保するよう求めている。

湖北:2020年まで電動車用の電気基本料金を免除

 2015年6月9日、湖北省の物価局は国家発展計画委員会が発表した電動車用電気料金に関する通知を配布した。それによると、電力会社から直接電気を購入する商業目的の充電施設は、2020年まで基本料金が免除される。また、工業用電気料金と、時間帯別の料金が設定される。

南昌:「都市物流企業の新エネルギー車購入に関する通知」を発表

 2015年6月2日、南昌市は「都市物流企業の新エネルギー車購入に関する通知」を発表した。それによると、2014~2015年は物流用新エネルギー車の保有台数を80台とする。EV特殊車両に対しては駆動電池の容量に基づき補助金を設定し、1kWhあたり1,400元を補助する(鉛酸電池は対象外)。

長安PSA、逸動純電動 (Eado EV) を深?工場でラインオフ

 2015年7月9日、長安PSAは深?工場で長安汽車の「逸動純電動 (Eado EV)」をラインオフした。逸動 EVには「精英型」と「尊貴型」の2グレードがあり、補助金適用前の価格はそれぞれ23.49万元と24.99万元。最高出力122hp、最大トルク280Nmのモーターを搭載。最高速度は150km/h、航続距離は200km。

長安汽車 2016年に新型EVを投入 航続距離は250km

 2015年7月、重慶長安新能源汽車有限公司は2016年初めに航続距離250kmの新型EVを投入すると発表した。2015年7月現在、販売しているEVは逸動EVのみ。重慶長安新能源汽車は「518戦略」に基づき、2020年までに新エネルギー車の累計販売台数を40万台に引き上げる。2025年までには180億元を投じて新エネルギー車34モデルを投入し、累計販売台数を200万台超、販売全体の新エネルギー車比率を10%にする。

知豆 D2 EV が発売 補助金適用後の販売価格は4.98万元

 2015年6月23日、吉利汽車と新大洋集団が折半出資するEVブランド 知豆 D2 EVが発売された。メーカー販売価格は15.88万元。補助金適用後の価格は4.98万元からとなる。知豆 D2の電池は三元系リチウムイオン電池で、容量はD1の11.52kWhから15.12kWhに、45km/h走行時の航続距離はD1の160kmから210kmに拡大している。最高速度は80km/h。

北汽新能源が「衛藍衆享A計画」を発表 3分野で関係各社と連携

 2015年6月5日、北汽新能源汽車は「衛藍衆享A計画」を発表した。カーシェアリング、充電施設、EV物流の3分野で関係各社と連携し、新エネルギー車の新たな環境整備を進める。

 カーシェアリングは、北汽新能源汽車と中国進口汽車貿易[China Automobile Trading Co., Ltd.]、宝駕租車[Baojia Car Rental]、一度用車[Beijing Yidu Yongche Information Technology]、建元資本[Jianyuan Financing Lease Co.] などと共同で、新エネルギー車のカーシェアリングに対する認知度の向上、短期間での収益化などに取り組む。

 充電施設は、北汽新能源汽車と金地集団[Gemdale Corporation]、藍景麗家[Lanjing Lija] (家具店)、北京停車行業協会[Beijing Parking Industry Association]などと共同で充電施設の建設を進める。

 EV物流は、北汽新能源汽車と?大汽貿[Pang Da Automobile Trade]、一度用車[Beijing Yidu Yongche Information Technology]、第一電動網[D1ev.com]、北京市快遞協会[Beijing Express Association]などと共同で、商用EVを都市の物流に組み入れたEV物流のカーシェアリングシステムを確立する。

「新薩博 (New Saab)」EV 、2017年に生産開始

 2015年6月28日、国能新能源汽車有限公司[Guoneng New Energy Co., Ltd.]は、天津で工場の建設を開始した。同社はSaab 9-3のプラットフォームをベースにEVおよびレンジエクステンダーEVを生産する。新工場は2016年に完成し、2017年に生産を開始する予定。EVは従来の高級車ではなく、大衆向けの中型車とする計画である。

 国能新能源汽車有限公司は、2012年にSaabを買収したNEVSと国研信息科技有限公司(SRIT)、北京華勝天成科技股?有限公司(Teamsun) (投資実施者は子会社) の3社が設立した合弁会社で、資本金は24億元。総投資額は30億元。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。
CATARCが提供する新エネルギー自動車産業向けの情報サービス「省エネ・新エネルギー車ネットワーク (Energy-saving and new energy vehicle network)」は中国の省エネ・新エネルギー車関連の情報をタイムリーに提供する情報サービスで、マーケティングおよび技術コンサルティングや調査・研究、予測等も行います。