CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2015年5月

2015年4月の生産は小幅に減少 EVバスは前年同月比で過去最高の伸び率

2015/06/05

中国国内生産 (概要)

このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。



図1 電動車の生産台数 (2015年1月~4月)

 2015年4月の中国における電動車生産台数は前月比で27.7%減、前年同月比で121.4%増の10,418台 (鉛蓄電池搭載車803台を含む) となった。単月の生産台数では前月に及ばなかったものの、2ヶ月連続で1万台を超えた。鉛電池を搭載していない新エネルギー車(EVおよびPHV)の生産台数は9,060台。EVバスは前年同月比の伸び率が過去最高を記録。新エネルギー乗用車の生産台数は前月から減少したが、乗用HVは大幅に拡大した。








中国国内生産

表1 電動車の車種別生産台数 (2014年4月/2015年1月~4月)

車種
2014年4月
2015年1月
2015年2月
2015年3月
2015年4月
PHV乗用車
784
2,281
1,661
3,315
1,523
PHVバス
480
871
694
802
956
EV乗用車
2,562
2,797
2,207
7,828
5,437
EVバス
143
1,154
659
1,981
1,457
EV特殊車両
70
273
156
457
480
HV乗用車
444
800
525
34
555
HVバス
223
1
1
0
0
FCV乗用車
0
0
0
0
10
合計
4,706
8,177
5,903
14,417
10,418


表2 電動車の車種別生産台数 (2015年4月)

 
HV
PHV
EV
FCV
合計
乗用車
555
1,523
5,437
10
7,525
バス
0
956
1,457
0
2,413
特殊車両
0
0
480
0
480
合計
555
2,479
7,374
10
10,418


図2 電動車の車種別生産比率 (2015年4月)

PHV

 2015年4月のPHV生産台数は2,479台となった。なかでも、乗用PHVは1,523台で、全体の61.4%を占めた。PHVバスの生産台数は956台で、全体に占める割合は前月を上回る38.6%となった。乗用PHVを生産しているメーカーはBYD、上海汽車(SAIC)、華晨BMW、広汽乗用車(GAC Motor)の4社である。BYDは前月に続き首位を維持し、乗用PHVにおける比率は前月比5.6ポイント減の67.4%となった。上海汽車がこれに続き、25.6%を占めている。乗用PHVメーカーの生産シェアは前月から大きな変動はない。

 PHVバスを生産しているメーカーは13社あり、前月に比べ2社減少した。主要メーカーは蘇州金龍(Suzhou King Long Bus)、鄭州宇通 (Yutong)、上海万象 (Shanghai Wanxiang Automobile)、廈門金旅 (Xiamen Golden Dragon Bus)、北汽福田 (Beiqi Foton)の5社で、PHVバス全体の90%近くを占めた。

EV

 2015年4月の乗用EV生産は5,437台(鉛蓄電池を搭載した乗用EV647台を含む)となった。乗用EVを生産しているメーカーは14社で、前月に比べ4社減少した。上位5社は、湖南江南汽車製造(Hunan Jiangnan Automobile Manufacturing)、北京汽車(BAIC)、BYD、吉利汽車(Geely)、奇瑞汽車(Chery)で、この上位5社が乗用EV生産の69%を占めている(鉛蓄電池搭載車を生産しているメーカーは含まない)。

 EVバスの生産台数は1,457台で、生産しているメーカーは22社ある。上位5社は鄭州宇通(Yutong)、蘇州金龍 (King Long Suzhou)、珠海広通(Zhuhai Guangtong)、東風汽車(Dongfeng Motor)、南京金龍(Nanjing King Long Bus)で、EVバス生産の60%超を占めた。珠海広通(Zhuhai Guangtong)は5月に初めて4位となった。

 EV特殊車両を生産しているメーカーは19社あり、上位5社は重慶瑞馳汽車(Chongqing Ruichi Automobile)、北京汽車(BAIC)、江西江鈴(Jiangxi Jiangling)、江西特種車(Jiangxi Special Purpose Vehicle)、蕪湖宝騏(Wuhu Baoqi)である(鉛蓄電池搭載車を生産しているメーカーは含まない)。EV特殊車両は鉛蓄電池を搭載している車両が多く、4月はEV特殊車両の32.5%が鉛蓄電池搭載車である。

電動車輸入

 2015年4月の電動車輸入は全て乗用車で、台数は前月比70.3%増の1,834台となった。トヨタのHV輸入が増えたことが主な要因である。内訳はEVが519台、HVが1,253台、PHVが62台である。EV輸入車は依然としてTesla MotorsのModel Sが首位で91.3%を占めている。2位のBMW i3は39台で、うち30台はレンジエクステンダー車であった。PHV輸入はBMW i8のみ。HV輸入車の主力はトヨタで、台数は1,130台に達した。トヨタに次ぐのはPorscheのHVであった。



国内動向

工業情報化部、「車両購入税が免除される新エネルギー車の対象リスト(第4弾)」を発表

 2015年5月8日、中国の行政部門である工業情報化部は車両購入税が免除される新エネルギー車リストの第4弾を発表した。今回対象となったモデルは330あり、なかでもEVは乗用車が26モデル、バスが191モデル、特殊車両が77モデル、トラックが1モデルある。2015年4月の上海モーターショーで注目を集めたVolvo S60L PHV、中華EV、韓国EVSの知豆D2等の新モデルもリストに入っている。

「2016~2020年の新エネルギー車普及に対する財政支援策の規定」を発表、補助金に新たな基準

 2015年4月29日、中国財政部、国家発展改革委員会、工業情報化部、科学技術部は共同で「2016~2020年の新エネルギー車普及に対する財政支援策の規定」を発表した。新たな新エネルギー車に対する支援策は、今後5年間で補助金が大幅に削減される。政府は市場の力により新エネルギー車の普及を促したい意向である。

 2013~2020年の新エネルギー車に対する国家補助金は以下の通り:

2013~2020年の新エネルギー車補助金 (万元)
車種 航続距離(km)
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
乗用EV 80?R<150
3.5
3.325
3.15
--
--
--
--
--
100?R<150
--
--
--
2.5
2
2
1.5
1.5
150?R<250
5
4.75
4.5
4.5
3.6
3.6
2.7
2.7
R?250
6
5.7
5.4
5.5
4.4
4.4
3.3
3.3
乗用PHV(レンジエクステンダーを含む) R?50
3.5
3.325
3.15
3
2.4
2.4
1.8
1.8
乗用FCV --
20
19
18
20
20
20
20
20

北京市が「EV特殊車両の購入政策に関する規定」を発表

 北京市では2015年4月1日から2017年12月31日までの期間、郵便、物流などで使用するEV特殊車両のナンバープレートを取得した後に補助金を申請することができる。対象となるEV特殊車両は、中国政府が発表した「省エネルギー及び新エネルギー車の推薦モデル」と「車両購入税が免除される新エネルギー車」の対象車両で、且つ北京市が求めている技術、安全、アフターサービスなどを満たした車両となっている。

 補助金は中国政府の補助金と同額である。補助金の額は電池の総容量で計算され、2015年は1kWhあたり1,800元が支給される。補助金の総額は1台あたり13.5万元が上限となる。2016年と2017年は2015年と同様の算出方法で、中国政府と北京市からの補助金の総額は車両販売価格の60%が上限となっている。

武漢:新エネルギー車を多方面で普及、50%を公務用に

 2015年5月4日、武漢市政府の常務委員会によると、武漢市は公共交通機関やタクシー、公務、物流など多方面で新エネルギー車の普及に努め、2015年末までに武漢市の保有台数を1.05万台とする計画である。また、公務車両の50%を新エネルギー車とする考えである。2015年4月現在、武漢市の新エネルギー車保有台数は2,289台で、うち228台が都市バス、202台がシティコミューターカー、1,855台が一般車となっている。

上海:臨港地区でEVのカーシェアリングを試験運営

 2015年4月29日、上海の臨港地区でEVカーシェアリングの試験運営を開始し、30台の栄威E50が投入された。計画では2015年6月までに臨港地区にモバイルインターネットを利用したカーシェアリングのオンラインシステムを構築する。2015年末までにカーシェアリングのEVを50台に増やし、営業所を5か所に増やすとしている。

山東:新エネルギーの都市バスに補助金 最高20万元

 2015年4月17日、山東省政府は「山東省における省エネルギー及び新エネルギー都市バスの普及方針」を発表した。この方針の有効期間は2年間。山東省の財政部は新エネルギー都市バスを購入した企業に対して、国の補助金に上乗せして国の補助金の60%までを支給する。補助金の上限は新エネルギー都市バス1台あたり20万元。

安徽:「新エネルギー車産業の発展と普及に関する政策」を発表

 2015年4月7日、安徽省政府は「新エネルギー車産業の発展と普及に関する政策」を発表した。同政策によると、充電施設の建設を加速させ、2017年までに充電施設を50ヶ所前後、充電スタンドを3.5万台前後設置する。2020年までには安徽省全体をカバーし、先進的な設備を備えた充電施設網を建設するとしている。

 2014年末現在、安徽省では累計1万台超の新エネルギー車が生産、保有されていた。まだ初期段階ではあるが、江淮汽車と奇瑞汽車を中核企業として合肥市と蕪湖市を中心に研究開発、実証実験、産業化を主体とした新エネルギー車産業を形成しつつある。

北京: 6月より電動車の充電サービス料の上限を設定

 北京市は2015年6月1日より、充電サービス料に上限を設定する。充電サービス料は充電した電力量に基づいて徴収される。1kWhあたりの価格の上限は当日の92号ガソリン1リットルあたりの最も高い小売価格の15%となる。

吉利 「帝豪(Emgrand)」EVを2015年末に投入 航続距離は260Km

 吉利汽車は帝豪 (Emgrand) のEVを発表した。新帝豪EVはVolvoのEV技術を採用しており、130kWのモーター1基を搭載している。時速100kmまでの加速時間は10秒以下。最高速度は時速150km。航続距離260kmを可能にする長距離用電池を搭載している。

 充電は普通充電と急速充電に対応しており、充電時間は普通充電が12時間、急速充電が30分(80%の充電)である。購入者は4年間または10万kmの車両保証、5年間または10万kmの駆動システムと電池の保証がある他、国と地方政府から補助金が受けられる。

Tesla Motors、充電サービスを多元的に展開

 Tesla Motorsは家庭用充電、急速充電スタンド、公衆充電、移動型充電の4つの充電方式を中国で展開している。同社は家庭用充電器の設置が最も重要と考えており、初めてEVを購入したユーザーには家庭用充電設備一式を提供している。しかし、設備的な問題などにより設置が難しく、家庭用での充電はまだ推奨できていない状態である。一方、公衆充電は最も便利な充電方法で、使用する充電器は家庭用と同じである。公衆充電はあらゆる公共の場所に設置されているため、充実した充電サービスを提供することができる。

 Tesla Motorsで充電設備を担当するエンジニアによると、Tesla Motorsは2015年第3四半期までに大出力の充電施設を設置する計画である。1時間の充電で100kmの走行が可能なため、充電時間は従来のほぼ半分となる。事務所や公共の場所に設置し、より便利で早い充電サービスを提供していく方針である。

上海汽車集団、 「芯動戦略」 を発表

 2015年4月21日、上海汽車集団は栄威(Roewe)と名爵(MG)の2ブランドの全モデルを上海モーターショーに出展し、今後の製品計画の柱となる「芯動戦略」を発表した。「芯動戦略」は伝統的なパワートレインを指す「NetBlue 藍芯」と新エネルギー技術を指す「NetGreen 緑芯」の2つの技術で構成されている。「芯動戦略」は、パワートレイン技術の革新を通して走行性能と燃費の向上を実現し、CO2排出量を削減していく戦略である。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。