CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2014年11月

2014年10月はEVバスの大幅減により新エネルギー車生産も減少

2014/12/09

中国国内生産 (概要)

このレポートは北京CATARC科学技術センター*1のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。



図1  電動車の車種別生産台数 (2014年1~10月)

  2014年10月の中国における電動車生産台数は前月比21.2%減の9,076台に減少したが、年間を通してみると過去最高の9月に次ぐ生産規模となった。内訳はEVとPHVが8,415台(うち、鉛蓄電池搭載の乗用EVは864台、同特殊車両は40台、リチウムイオン電池搭載車は7,511台)、HVが661台である。10月の電動車生産を車種別に見ると、乗用車は7,387台(うち乗用EV・PHVは6,756台、乗用HVは631台)で81.4%、バスは1,456台(うちEV・PHVバスは1,426台、HVバスは30台)で16.0%、特殊車両は233台で2.6%を占めた。10月の生産で前年同月比、前月比ともに拡大したのは乗用EVとEV特殊車両で、乗用EVが前月比2.5%増、前年同月比6.6倍増の4,575台、EV特殊車両が前月比43.0%増、前年同月比3.1倍増の233台であった。一方、EVバス、乗用PHV、PHVバスの生産は先月比で減少した。乗用HVの月間生産台数は600台前後で推移している。



中国国内生産

乗用EV

  2014年10月末時点で、30以上の都市(地域)政府が新エネルギー車普及支援政策を発表した。これにより、個人利用の需要が増加し、新エネルギー車市場は更なる成長が見込まれる。10月生産の上位5モデルは北京汽車 E150、衆泰(Zotye) E20、江淮汽車(JAC) IEV4、啓辰(Venucia) 晨風(e30)、BYD E6である。康迪(Kandi) K10(小電?)は2014年1月から9月まで乗用EV生産1位を維持していたが、10月は6位に転落した。K10は近距離公共交通機関「微公交」としての車両需要が飽和状態になりつつあるため生産が伸び悩んでおり、今後はカーシェアリング「団租」としての需要次第である。北京汽車は北京地区の継続的な需要拡大に応えるために、10月はE150の生産を拡大した。2014年9月に発売された啓辰(Venucia) 晨風(e30)は10月に458台を生産した。今後、晨風(e30)の販売拡大が続けば、低価格なEVだけでなく、利用者の需要に応えたEVの生産が拡大すると考えられる。

  航続距離別に乗用EV生産を見ると、航続距離80~100kmと150~200kmの生産が最も多い。その要因としては中国政府による新エネルギー車購入支援策があり、航続距離80~150kmの新エネルギー車に対しては3.5万元、同150~250kmには5万元の購入補助金が支給される。そのため、10月は航続距離80~100kmと150~200kmの比率が9割超を占めている。

航続距離 
(km)
7月生産台数
(台)
比率
(%)
8月月生産台数
(台)
比率
(%)
9月月生産台数
(台)
比率
(%)
10月月生産台数
(台)
比率
(%)
主要用途
300超 79 2.0 29 1.1 188 4.2 256 5.6 タクシー
200~300 1 0.0 0 0 74 1.7 3 0.1 個人利用
150~200 2,670 66.2 2,041 74.9 1,912 42.8 2,067 45.2 タクシー
個人利用
レンタカー
100~150 104 2.6 13 0.5 220 4.9 161 3.5 個人利用
80~100 1,181 29.3 643 23.6 2,071 46.4 2,088 45.6 個人利用
合計 4,035   2,726   4,465   4,575    

表1. 乗用EVの航続距離別生産台数と比率 (2014年7~10月)

 

ブランド車型モデル種類電池セル容量(Ah)電池容量(kWh)航続距離(km)電費 (km/kWh)
衆泰汽車 (Zotye) JNJ7000EVZ2 E20 マンガン酸リチウム 10 19.2 250 13
江淮汽車 (JAC) HFC7000AEV 和悦iev リン酸鉄
リチウム
12.5 19 152 8
啓辰
(Venucia)
DFL7000B2BEV 晨風E30 リン酸鉄
リチウム
33 24 175 7.29
賽欧(Sail) SGM7001EV 賽欧 リン酸鉄
リチウム
20 21.4 152 7.1
康迪 (Kandi) SMA7000BEV K10(小電?) リン酸鉄
リチウム
66 21.12 150 7.1

表2. 電費性能の高い上位5モデル

乗用PHV

  2014年10月の乗用PHV生産はBYD秦(Qin)が引き続き首位を維持。BYDは中国の新エネルギー乗用車市場のリーダー企業となっており、その主力モデルが秦(Qin)である。BYDは新エネルギー車事業を推進する会社を設立しており、充電施設をさらに整備していく方針である。秦(Qin)以外のPHVは、上海汽車 栄威(Roewe)550、広州汽車 伝?(Trumpchi)等があるが、10月の生産台数は前月比で横ばいとなっている。

HVバス

  HVバスは6月から8月まで生産されていなかったが、2014年9月に27台、10月には30台が生産された。

EVバス

  2014年10月のEVバス生産台数は467台で、前月の2,073台から大幅に減少した。10月に生産されたEVバスは航続距離150~200kmが最も多い。10月に生産されたEVバスの全長は6~12mである。搭載しているモーターは、7割が永久磁石式同期モーター、3割が交流誘導モーター。EVバスに搭載されている電池はリン酸鉄リチウムイオン電池が76%を占めている。

PHVバス

  2014年10月のPHVバス生産台数は959台で、前月比で48.5%減少した。PHVバスを生産する上位3社は鄭州宇通(Yutong)、南車時代(CSR Times)、廈門金龍(King Long)である。10月にPHVバスを生産したメーカーは11社で、22モデルある。うち、8モデルがマンガン酸リチウムイオン電池、12モデルがリン酸鉄リチウムイオン電池と大容量キャパシタ、1モデルが三元系リチウムイオン電池、1モデルがリン酸鉄リチウムイオン電池を採用している。急速充電に適したチタン酸リチウムイオン電池を搭載したPHVバスはここ数カ月生産されていない。

電動車輸入

  2014年10月の乗用EV輸入台数は132台となり、9月の1,000台超から大きく落ち込んだ。輸入された乗用EVはTesla MotorsのModel SとBMW i3の2モデル。一方、乗用HVの輸入台数は3,165台となった。中国では、燃費規制を背景に平均燃費の引き下げに注力している。そのため、海外の自動車メーカーは燃費の良いHVを輸入する傾向にあり、この傾向は長期的に続く見通しである。



国内動向

江蘇省政府、2014年EVバス及び乗用EVの普及支援政策を発表

  江蘇省政府は2014年9月22日、「2014年EVバス及び乗用EVの普及支援策」を発表した。1台当たりの補助金は以下の通り:
・EVバス 全長10m以上:20万元、全長8~10m:16万元、全長6~8m:12万元
・乗用EV 航続距離250km以上:2.5万元、航続距離150~250km:2万元、航続距離80~150km:1.5万元。

浙江省杭州市政府、新エネルギー車普及支援政策を発表

  浙江省の杭州市政府は2014年10月15日、新エネルギー車普及支援策を発表した。新エネルギー車を購入する際は、国からの補助金に加え、杭州市政府からも補助金を受けられる。補助金の内容は以下の通り:

1. EVバス、PHVバス、EV特殊車両(配達車両、輸送車、ごみ収集車など)、燃料電池車(FCV)を対象に、中国政府と同額の補助金を支給。
2. 乗用EVに3万元、乗用PHVに2万元の補助金を支給。
3. 充電インフラの建設に対し、投資額の最大20%を補助金として支給。

広汽乗用車、レンジエクステンダー式EV 伝祺GA5を発売

  広州汽車集団傘下の自主ブランドメーカー広汽乗用車は2014年10月13日に、レンジエクステンダー式乗用EVの伝祺GA5を発売した。伝祺GA5は高いエネルギー密度のリチウムイオン電池、永久磁石式同期モーター、インテグレーテッドコントロール技術を採用することにより、燃費は2.4L/100km、航続距離は680km超を達成した。

奇瑞(Chery)のEV eQを発売

  奇瑞(Chery) は2014年11月5日にEVのeQを上海で発売した。グレードは「舒適型」(Comfort)と「豪華型」(Luxury)の2グレード。 eQは永久磁石式同期モーターと22.3kWhの三元系リチウムイオン電池を搭載。充電口はガソリン車QQの給油口と同じ位置にある。220Vの家庭用電源からの充電時間は8~10時間。1回の充電で最大200km超の走行が可能。また、ブレーキペダルデカップリング回生システムの搭載により、回生エネルギーを回収できる。0-50km/h加速は5.9秒。

上汽GM五菱、広西自治区で20万台の新エネルギー車を生産

  上汽GM五菱は2014年10月、広西省柳州市に新工場を建設することで、広西省政府と合意した。新工場では宝駿(Baojun)ブランドの乗用車とエンジンを生産する。上汽GM五菱は同工場の建設に80億元(約13億米ドル)を投資する。新工場の生産能力は、自動車が年間60万台(うち20万台がEV・PHV)、ガソリンエンジンが40万基。

科力遠、吉利汽車(Geely)とハイブリッドシステムを共同開発

  湖南科力遠新能源股?有限公司(Hunan Corun New Energy)(以下、科力遠)は2014年10月22日、HVのパワートレインを開発・生産する合弁会社 科力遠混合動力系統有限公司を設立することで、吉利汽車(Geely)と合意したと発表した。科力遠は同合弁会社に51%出資し、3.36億元を投資する。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。