中国の技術ロードマップ:2030年に向けた省エネルギー/新エネルギー車の数値目標と方向性

EV/PHVを販売台数の最大50%、FCVを100万台、軽量素材の開発に注力

2016/12/28

要約

 2016年10月に中国における「省エネルギー車と新エネルギー車の技術ロードマップ」が中国汽車工程学会(以下、SAE China)から発表された。本ロードマップは、SAE Chinaに所属する500名余りの専門家が、1年間かけて研究立案し、2030年までの中国自動車産業における省エネルギー車及び新エネルギー車の方向性を示したものである。

 現段階ではこの技術ロードマップは、省エネルギー車及び新エネルギー車に関する総合的な最新の指針となり、中国が製造強国となるための政策「中国製造2025」を鑑みて作成されている。ロードマップは「国家製造強国建設戦略諮問委員会」(以下戦略諮問委員会)と工業情報化部(部は日本の省にあたる)がSAE China組織メンバーの専門家に作成を委託したものである。

 「戦略諮問委員会」は、中国が製造大国から製造強国に転換するための、全体像、戦略、専門性を決定する役割を担う。なお、同委員会の具体的な政策や施策を展開する「国家製造強国建設指導グループ」のトップは国務院副総理の馬凱 氏である。

    ロードマップの主な構成は、下記7つの領域からなる。
  1. 省エネルギー車(HVや内燃機関車)
  2. EV及びPHV
  3. 燃料電池車(FCV)
  4. インテリジェント・コネクティッドカー
  5. 駆動用バッテリー技術
  6. 軽量化技術
  7. 自動車製造技術

本レポートは、SAE China資料「省能与新能源汽車技術路線図」に基づいて作成。

2030年までの省エネ車/新エネルギー車/インテリジェント・コネクティッドカーの台数普及及びロードマップ

  2015年(実績) 2020年 2025年 2030年
中国生産販売(台/年) 2,460万(販売) 3,000万 3,500万 3,800万
省エネルギー車の割合 - 30% 40% 50%
新エネルギー車の割合 1.35% 7%-10% 15%-20% 40%-50%
燃料電池車(台) - 5千 5万 100万
インテリジェント・コネクティッドカー
(導入される自動化技術と新車装備率)
- 運転支援、
部分自動運転が50%
高度自動運転が
10%-20%
完全自動運転が10%
(資料:SAE Chinaの省能与新能源汽車技術路線図及び各種報道、MarkLinesデータより作成)

 

 省エネルギー車(乗用):内燃機関を主な動力システムとし、総合燃費が次期燃費基準を超えた自動車。HV、代替燃料(天然ガス等)の低炭素燃料車を含む。
 新エネルギー車:EV、PHV、FCV。鉛酸電池搭載車は含まない。



関連レポート:

米国NHTSA:自動運転車へのガイダンスを発表(2016年11月)
2050年に向けた自動車技術の方向性(2016年10月)

このレポートは有料会員限定です。 残り 8 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。