欧州自動車メーカーの自動運転戦略:自動運転車のコンセプトカー、モデル計画

自動運転技術のメリットと開発競争

2017/01/06

概要

Volkswagen I.D. Concept at the 2016 Paris Motor Show. Source: Volkswagen
パリモーターショー2016で公開されたフォルクスワーゲンI.D.コンセプト。
出典:フォルクスワーゲン

  自動運転技術の到来は、自動車業界に大きな影響を与えている。自動運転車は安全性の向上、個々のモビリティの増加、混雑緩和、生産性の向上を実現する可能性を秘めている一方、配車サービスやライドシェアリングなどの新しいビジネスモデルにチャンスを与えるものになる。車両の機能としての自動運転技術の潜在的な市場性および同セグメント内での競争こそが、欧州の自動車メーカーが自動運転技術の開発への投資を拡大している要因である。

  2016年、ドイツの主要自動車メーカー3社すべてが、彼らの将来に不可欠なものとなる自動運転技術に重点を置いた事業戦略を発表した。自動車メーカーは、自動運転技術の開発が進むにつれて、他の機関と提携しながらパイロットプログラムおよび試験プログラムを継続してきた。欧州の自動車メーカーも、引き続きさまざまな先進運転支援システムを搭載した新モデルを予告し、開発し、発売した。

 本レポートでは、自動運転技術の急速な発展に寄与している背景を挙げ、自動運転技術に関する欧州自動車メーカーの最近の動向をまとめる。その中では、現行モデルおよび将来のモデル、ならびに、その考え方と、自動運転システム、戦略、目標などを紹介する。




SAEによる自動運転レベルの概要

自動化レベル 定義
レベル1 - 運転補助 システムが環境情報に基づいて走行中の運転操作のハンドル操作、あるいは加減速補助を行うとともに、ドライバーはシステムによって補助されないすべての運転操作を行う。
レベル2 - 部分的な自動運転 システムが環境情報に基づいて走行中の運転操作のハンドル操作と加減速補助を行うとともに、ドライバーはシステムによって補助されないすべての車両の制御を行う。
レベル3 - 条件付き自動運転 自動システムからの要請にドライバーが適切に対処するという条件のもと、走行中のすべての運転操作を自動システムが行う。
レベル4 - 高度な自動運転 自動システムからの要請にドライバーが適切に対処できなかった場合でも、走行中のすべての運転操作を自動システムが行う。
レベル5 - 完全自動運転 ドライバーが対応可能ないかなる条件のもとでも、自動システムが走行中のすべての運転操作を実行する。



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