自工会 豊田会長、抜本的な税制改正に取り組む意向を表明

・日本自動車工業会の豊田章男会長は9月20日の定例会長記者会見で、「日本の(自動車)ユーザーは世界一高い税金を負担していることを踏まえた上で、今年こそは抜本的な税制改正に取り組んでいく」ことを表明した。背景にはCASE (電動化や自動運転、コネクテッドカー、シェアリングサービス)といった新技術の登場、米国を中心とする保護主義などの変化の中で、従来の延長線上で自動車税制を議論していては日本の自動車産業の競争力と雇用の維持が困難になるためとしている。会長会見の前に開かれた石井常任委員長による事前説明では税制と通商について説明があった。
・日本の自動車販売は1997年に消費税が3%から5%へ引き上げられた際に101万台、5%から8%に引き上げられた際には75万台が減少し、増税前の販売水準には回復していないことを会見で説明した。自工会は2019年度に消費税が8%から10%へ引き上げられると、約30万台の販売が減少し、マイナス2兆円の経済効果、9万人の雇用減少に繋がると予測している。
・自工会は2019年度の税制改正に対し、自動車ユーザーの税負担を軽減するために「自動車税を国際水準である現行の軽自動車税の水準にまで引き下げること」、「消費増税による自動車ユーザーのさらなる税負担増を回避すること」を要望している。具体的には保有課税・取得時課税の簡素化・負担軽減、エコカー減税やグリーン化特例の延長などがある。
・通商関連では北米での原産地規則の厳格化について、「日系自動車メーカーの北米生産はカナダを含めたNAFTAの枠組みを前提としている」とし、「半世紀以上に渡って米国に投資し、雇用を創出している。米国自動車産業の一員になったと自負している」と述べた。
・会見では2020年7月6日~12日に羽田空港や臨海副都心で自動運転レベル2~4の実証・デモを公開すると発表。自工会に加盟している10社が参画し、2020年東京五輪の前に「先進モビリティ社会、日本」の一端を紹介するとしている。