FordはPSAと提携、GMはいすゞ事業を掌握、トヨタは現地生産体制強化 |
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欧州18カ国の乗用車販売で、ディーゼルエンジン搭載車の販売比率が急速に高まっている。1997年の22.3%が、2001年には35.8%となり、02年は40%程度に達したと見込まれている。2005〜07年頃には50%超に達するとの見方も有力である。 2001年の主要市場別では、ドイツが34.5%、フランスが56.2%、イタリアが36.0%、英国が17.8%、スペインが52.5%、であった。ディーゼル乗用車比率が比較的小さいドイツ、英国でも比率は上昇傾向である。 ディーゼル乗用車投入で先行しているのはVW、DaimlerChrysler、BMW、PSAであるが、FordはPSAとの提携で新しい小型ディーゼルエンジンを開発、GMはいすゞの海外関連ディーゼルエンジン事業の主導権を掌握、トヨタは現地生産体制を構築するなど、ディーゼル車投入では後発の各社の動きも活発化している。 また、PSA/トヨタの小型車合弁生産では、PSAがディーゼルエンジン、トヨタがガソリンエンジンを供給、BMWのMiniではトヨタがディーゼルエンジン、PSAがガソリンエンジン(次期型Mini用・開発はBMW)を供給するという複雑な関係も生じている。 ■欧州 18ヵ国でのディーゼル乗用車販売比率の推移
![]() ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも熱効率が高いため燃費が良く、CO2排出量が少ない。欧州ではすでに、100kmを3リットルの燃料で走るVW Lupo 3L / SEAT Arosa 3L、Audi A2 TDI、Smart CDIなどの3リットルカーが市場投入されている。更に、高性能ターボディーゼルエンジンがMercedes-Benz S400 CDIやBMW 740dなどの高級乗用車に搭載されており、パフォーマンス面でのネガティブなイメージはない。 ■欧州、日本のディーゼル乗用車への規制
■ FordとPSAは、4種類のDEファミリーを共同開発・生産 PSAはディーゼルエンジン事業強化に投資してきた欧州メーカーのひとつで、2001年には販売台数の約5割、150万台のディーゼル車を販売した。 欧州市場シェアの低迷が続き、事業再編の必要に迫られていたFordは、そのPSAとの提携で新型ディーゼルエンジンを入手する戦略を採用、1998年9月にディーゼルエンジンの共同開発で合意した。99年10月には、提携プロジェクトを拡大して、@1.4/1.6Lエンジン、A次世代型2.0Lエンジン、B2.7L V6エンジン、C小型商用車用エンジンの、4種類のコモンレール式直噴ディーゼルエンジン・ファミリーの共同開発・生産で合意した。 Ford/PSAは、プロジェクトに関わる開発およびプロセス・エンジニアリングへ総額12億2,000万Euroの投資を計画している。生産はPSAが小型・中型乗用車用、Fordが高級車・小型商用車用を担当して相互供給する。総生産規模は05年に9,000基/日を計画している。 2001年4月、両社は最初の共同開発エンジン1.4L HDi(DV4 TD型)を発表した。初期開発費用は4億7,000万Euroで、うち設計費用が1億5,500万Euro。PSAはHDi 1.4としてPeugeot 206、307、Citroen C3に搭載、FordはDuratorq TDCi 1.4としてFord Fiesta、Fusionに搭載している(HDi = High Pressure Direct Injection、TDCi = Turbo Diesel Common-Rail Injection)。 1.4L HDi エンジンの燃費は、MVEG(Motor Vehicle Emission Group)欧州市街地・高速走行で、小型車搭載の場合100km走行あたり平均燃費3.4L(29.4km/L)〜4.1L(24.3km/L)、中型車搭載の場合同4.5L(22.2km/L)である。また、排出ガスレベルはEURO V に適合、DPFなしでEURO Wへの適合が可能である。03年には1.6Lエンジンを追加する。 当初、1.4L HDi エンジンはPSA/Renaultの合弁会社La Francaise de Mecanique(FM)のDouvrin 工場(フランス)で生産、生産能力は2,500基/日であったが、02年11月にPSAのディーゼルエンジン生産拠点であるTremery工場(フランス)の新ラインが完成して生産能力が5,000基/日へ倍増した。Tremery工場新ラインへの投資額は3億1,500万Euroであった。 PSAは1998年に2.2L の HDiエンジンを開発して607へ搭載、その後2.0Lを追加して、現在2.0 / 2.2 L のHDi エンジンファミリーを406、307、206、Citroen C5、Xantia、Xsaraなどに搭載している。新型の1.4L のHDiエンジンは、コモンレールシステムが第2世代型へ更新された点と、PSA/Fordそれぞれの複数の量販車プラットフォームへの搭載を可能にするため車両とのインターフェースの設計を工夫した点が異なっている。 1.4L HDiエンジンの場合、PSAはプラットフォーム1と2、Fordは小型・中型車に搭載するため、導入から18ヶ月で23のアプリケーションを開発する計画であった。このため、PSA/Ford共同開発チームは、エア/冷却水/燃料の供給部分や、電子制御部品、接続部品などについて、エンジンファミリーごとに仕様を統一し、本体車両との組み合わせに左右されないデザインを採用した。また、シリンダーブロック、クランクケース、コネクティングロッド、ベアリング、オイルポンプ、ウォーターポンプ等のコア部品もすべて共通化された。エンジンファミリー内の部品の共通化率は60%以上である。 また、エンジン組立の効率化を図るため、モジュール設計されている。例えば、吸引システムは、エアクリーナー、エアフローメーター、ターボチャージャーマフラー、エアインテークマニホールド、排ガス処理システム、シリンダーヘッドカバー、ディーゼル燃料フィルターなどが単一ユニットになっている。ほかに冷却水・燃料供給部分、電子制御部品、接続部品が同様なモジュールとして設計されている。 Fordは共同開発エンジンのうち、高級車用V6と小型商用車用ディーゼルエンジンを英国Dagenham の新エンジン工場で生産する計画である。新エンジン工場は2002年2月に閉鎖した組立工場跡地に建設中で、生産能力は04年で年間25万基の計画。 なお、Dagenhamには年間生産能力65万基の既存ディーゼルエンジン工場があり、Fordのディーゼルエンジンを全量生産している。Fordは欧州事業再編の一環として、2000年5月に、Dagenham組立工場を閉鎖し、新ディーゼルエンジン工場を新設してディーゼルエンジンの開発・生産センターへ転換する計画を公表した。Dagenhamのディーゼルエンジン事業に対しては、2000〜04年に総額6億ドルを投資する計画である。建設中の新工場はClean Room Assembly Hallと呼ばれ、欧州で最も近代的な工場のひとつとなる見込みである。 マツダは2003年2月に、FordのスペインValencia工場でMazda 2(Fiesta ベース、日本名デミオ)の生産を開始する。年間4万台の計画のうち、ディーゼルエンジン車を8,000台と見込んでおり、ディーゼルエンジンはPSA/Ford共同開発のDuratorq TDCi 1.4を搭載する。マツダは02年9月のパリ・オート・ショーでは、2.0Lの新型コモンレール式直噴ディーゼルエンジンMZR-CDを搭載したMazda6(日本名アテンザ)を出品した。MZR-CDはEURO V に適合しており、02年秋から欧州輸出車に搭載されているマツダ専用エンジンである。 同じFordグループのVolvo Carsも、2001年に2.4L の5気筒のディーゼルエンジンD5を発表、S60、S80、V70に搭載している。D5以前、これらの製品にはAudi製ディーゼルエンジンを搭載していた。D5はVolvo製ガソリンエンジンをベースに開発したVolvo Cars初の内製ディーゼルエンジンで、第2世代のBosch製コモンレールを採用、100km走行あたり平均燃費はS60が6.0L、S80が6.1L、V70が6.4Lで(Volvo社内調査値)、排出ガスレベルはEURO V に適合した、Volvo Cars専用エンジンである。 D5は1997年末にNeon projectとして開発が開始され、FordがVolvo Carsを買収する2ヵ月前の98年12月、量産化が決定された。Volvo Carsは開発に20億SEKを投資したが、Skovdeエンジン工場へのディーゼルエンジン生産ライン追加用資金が不足、ガソリンエンジン用ラインの効率化でスペースを確保するとともに、既存設備・機械を転用するなど生産工程を工夫して2.5億SEKに投資を圧縮した。このため、新設のシリンダーヘッド生産システムは工場内にあるが、ディーゼルエンジン用コネクティングロッドの工場は約50km離れたFloby工場で製造するなど、非効率的な側面も残している。Skovdeエンジン工場のガソリンエンジン(4/5/6気筒)生産能力は年間40万基、ディーゼルエンジンは同5万基である。 ■PSA/Ford のディーゼルエンジンに関する主な提携
■GM はFiatといすゞのエンジン事業を掌握して、DE体制を強化 GMは2000年12月にFiatと欧州/南米のパワートレイン事業を統合し、合弁会社Fiat-GM Powertrainを設立した。同社の傘下にはOpelのエンジン工場でディーゼルエンジン生産拠点でもあるドイツのKaiserslautern工場が組み込まれた。同工場の生産能力は年間30万基、96年からECOTEC直噴ターボディーゼルエンジンを生産開始し、2.0LエンジンをAstra、Vectra、Omega、2.2LエンジンをSaab 9-3、Fronteraに供給している。 2002年9月には、Fiatのターボディーゼルエンジン技術をベースに開発した新型の1.3L 4気筒JTD/ECOTEC CDTiを発表した。FiatはJTDエンジンをAlfa 156、147、Fiat Puntoに、GMはECOTEC CDTiエンジンをEco-Speedsterに搭載する。同エンジンは03年にポーランドのBielsko Biala新エンジン工場で生産開始する。新工場は総額3億Euroを投資、年間生産能力は55万基。 2002年12月には、Astra 1.7 CDTiを発表した(市場投入は03年2月)。同車の新型1.7L CDTi ECOTEC エンジンはBoschの第2世代コモンレールを採用、EURO Wをクリアしている。
いすゞは、北海道工場とISPOLからOpel向けに1.7L ディーゼルエンジンを供給しているほか、藤沢工場製3.0L V6ディーゼルエンジンをSaab 9-5に供給している。GMグループ以外では、01年からISPOL製1.7Lディーゼルエンジンをホンダの英国HUMへ、年間1.5万台規模で供給している。また01年に、03年末にホンダが欧州市場向けアコードに搭載予定の2.0Lディーゼルエンジンの開発への協力で合意した。 ■GM/いすゞのディーゼルエンジンに関する主な提携
■トヨタは欧州生産体制を強化、03年からはBMWのMini向けにもDE供給 トヨタは欧州向け乗用車のディーゼルエンジンをPSAから調達していたが、2001年までで打ち切り、自社のディーゼルエンジン事業強化を開始、03年からは英国のTMUKとフランスのTMMFでディーゼルエンジン組立を開始する。 2002年3月、トヨタとPSAはチェコの小型車合弁生産会社TPCA(Toyota Peugeot Citroen Automobile Czech)を設立し、PSAとの提携関係を拡充した。TPCAは05年から1.0Lガソリンエンジン車と1.4Lディーゼルエンジン車を年間30万台規模で生産する計画。トヨタがポーランドのTMMPで04年末から生産開始する1.0Lガソリンエンジン、PSAがFordと共同開発した1.4L HDiディーゼルエンジンを供給する。 2002年10月にはポーランドに豊田自動織機とのディーゼルエンジン合弁生産会社TMIP(Toyota Motor Industries Poland)を設立した。TMIPは、当初は年間12万基規模で、05年初から2.0L クラスのディーゼルエンジンを生産、英国TMUKのCorolla、Avensis、トルコTMMTのCorollaへ供給する計画である。
BMWはMiniに搭載可能な小型エンジンを生産しておらず、現行MiniのガソリンエンジンはBMWと旧Chryslerが共同設計し、BMWとDaimlerChryslerのブラジル合弁生産会社Tritecが生産している。 次期型Miniのガソリンエンジンは、PSAから調達する計画である。BMWとPSAは02年7月、小型ガソリンエンジンを共同開発・生産することで合意した。BMWがエンジンを設計、PSAが生産技術開発・調達・生産を担当する。共同開発エンジンはMiniのほか、Peugeot/Citroen車に搭載する計画で、年産能力は100万基を見込んでいる。生産開始時期等は公表されていない。 BMWはオーストリアSteyr市にエンジン生産拠点BMW Motoren があり、そのDiesel Competence Centreがディーゼルエンジン技術を開発している。02年、7-Seriesに搭載した3.0L 直6と3.9L V8の第2世代コモンレール式直噴ターボディーゼルエンジンも同センターが開発した。BMWはBMW Motorenに対して、01〜05年の5年間で約5億Euroの投資を計画、エンジン組立、環境保全、機械加工とディーゼルエンジン開発分野の拡充を図っている。BMW Motorenの年産能力は60万基で4気筒/6気筒のディーゼルエンジンと6気筒のガソリンエンジンを生産している。 ■トヨタのディーゼルエンジンに関する主な提携
■エンジン共通化を進めるRenault /日産、DEも相互供給 Renaultと日産は、事業提携の一環としてエンジン共通化を進めている。2002年11月、日産は英国NMUKで新型Micraの生産を開始したが、ディーゼルエンジンはRenaultから調達している。また、02年初から日産がRenault の上級車 Vel Satis向けにVQ型の3.5L V6エンジンの供給を開始、Renaultからは日産Almera、Primera向けに1.5L/1.9Lディーゼルエンジンを供給している。なお、Renault Vel Satisには、いすゞも6DE1型の3.0L V6ディーゼルエンジンを供給している。 2000年11月、Renault/日産/日産ディーゼルの3社は、日産ディーゼルがRenault/Renault VIへ03年春から年間3万基規模でディーゼルエンジン(呼称ZD)を供給することで合意した。ZDエンジンは日産のテラノ、サファリ(輸出名Patrol)、エルグラントなどに搭載されているが、Renaultに供給するZDエンジンはコモンレール式となる。同合意により、日産ディーゼルのZDエンジンの生産規模は倍増する見込み。(なお、Renault VIは、現在はVolvo傘下となっている) ■Renault/日産のディーゼルエンジンに関する主な提携
■DCXは三菱自動車の欧州販売車へDEを供給、米国でもDE小型トラックを検討 DaimlerChrysler(DCX)のMercedesブランド乗用車はディーゼルエンジン比率が高く、2001年のドイツ市場での販売の44%がディーゼル車であった。97年にコモンレールをディーゼルエンジンに初めて使用、現在のMercedesのディーゼルエンジン乗用車はA-Classの1.6L CDI(Common-Rail Direct Injection)からS-Classの4.0L V8 CDIまでラインアップされている。99年12月には3リットルカーとして燃費が100km走行あたり3.4LのSmart CDIを市場投入している。搭載エンジンは0.8L 3気筒ディーゼルエンジンである。 DCXは米国での小型トラック燃費のCAFE規制強化の動きを受けて、04年初からJeep Libertyにディーゼルエンジンを搭載してテスト販売する計画である。搭載予定の2.8L コモンレール式ターボディーゼルエンジンはLibertyガソリン車と比較して30%燃費を改善する。
2002年11月には、DCX/DCXが00年に買収したDetroit Diesel/三菱自の3社でトラック・バス用ディーゼルエンジンの低公害化技術を共同開発することで合意している。 ■DaimlerChrysler/三菱自のディーゼルエンジンに関する主な提携
■中欧拠点を中心にDE量産体制を拡充するVW VWは、3/4/5/6気筒とV10のディーゼルエンジンを生産している。VWが初めての乗用車用1.5L 自然吸気ディーゼルエンジンをGolfに搭載して発表したのは1976年で、82年にターボチャージャーを組み合わせた1.6L TDを発表、91年には4気筒の直噴ターボディーゼルエンジン(TDI)を発表した。99年には3リットルカーLupo 3L 1.2 TDIを発表、02年4月には0.3L 単気筒の1リットルカー(試作車)を発表している。また、VWのディーゼルエンジン25周年記念として、2001年には5.0L V10 TDIエンジンを発表、02年のジュネーブ・オート・ショーで同エンジンを搭載したTouareg SUVと高級スポーツセダンPhaetonを発表、02年秋にTouaregを販売開始した。 VWは主力の1.9L TDI 4気筒ディーゼルエンジン生産の中欧拠点への移管・増産を進めている。99年8月からは、ポーランドの新拠点VMP(Volkswagen Motor Polska)で1.9L TDI エンジンの生産を開始した。エンジン部品ではcamshafts、cylinder headsを生産していたが、02年初からはcrankshafts、connecting rods、engine blocksの生産も追加した。VMPのエンジン生産能力は年間58万基(02年)で、VWPによればポーランドでの生産規模は年間100万基まで拡張される可能性がある。 ハンガリーのAHM(Audi Hungaria Motor)では94年からガソリンエンジンの組立を開始、00年からはポーランドVMPと同じ1.9L TDI エンジンの生産も開始した。01年のAHMのエンジン生産規模は4/6気筒とV8合計で約120万基、うち約30万基がディーゼルエンジンであった。 ■欧州を中心としたディーゼルエンジン関連の提携(大型商用車分を除く)
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