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自動車業界動向レポート

2002.07.01 09:00 No.087


スズキも資本参加見込みの、GMよる韓国・大宇自動車事業再建
韓国自動車産業の構造改革効果に大きな期待



 GMが韓国・大宇自動車の主要事業を継承する最終引き受け契約が2002年4月30日に締結された。99年8月にworkout(韓国政府と銀行主導による経営再建のための企業改善作業)対象となった韓国第2位自動車メーカーの大宇自動車は、優先交渉権を得たFordの降板を経て、2001年9月にGMと大宇自動車債権団が、大宇自動車引受けに関するMOU(memorandum of understanding:拘束力のない覚書)を締結していたものである。

 長期わたって経営再建の方途が模索されてきた大宇自動車は、2005年の黒字化を当面の目標に、GM Daewoo Auto & Technology Companyとして、近々新しいスタートを切る。韓国政府と産業界の反応は、肯定的であり、韓国自動車産業全体の構造改革が加速することへの期待に満ちている。


■GM大宇自動車最終引受契約の主要内容

 GM、大宇自動車、大宇自動車債権団が締結した最終契約書によると、GMグループが大株主として新会社を設立し、大宇自動車の特定資産と負債を引受する。新会社はGMとGMのパートナー会社が67%(4億ドル)、大宇自動車債権団が33%(1億9,700万ドル)をそれぞれ所有し、新設法人名は「GM Daewoo Auto & Technology Company」である。

 新会社が継承する大宇自動車の資産は、昌原工場、群山工場等の国内工場とベトナムのハノイ工場(VIDAMCO)等3生産工場を始め、オーストリア、ベネルックス、フランス、ドイツ、イタリア、プエルトリコ、スペイン、スイスなどの8販売法人及びオランダの欧州部品会社等である。これに対する代価として、新会社は債権団に年平均3.5%の金利条件で12億ドル相当の長期優先株を発行し、支給する。また新会社は大宇自動車の国内外債務5億7,300万ドルを引受し、債権団は20億の長期運営資金を新設法人に貸出する。

■Daewooの海外自動車生産法人(2001年6月末時点)

VIETNAMのVIDMCO社が、GM-Daewoo の新会社が継承する唯一の海外生産法人。
MOU締結時点では継承対象とされていたEGYPTのDMEは除外された。
 
進出年月
資本金
生産能力
金額
(1000 US$)
Daewoo出資比率%
品目
数量
(1000Units)
POLAND
DW-FSO
'96.03.14
701,884
84.2
乗用車
商用車
272
32
DMP
'95.10.31
153,500
89.6
商用車
32
ANDORIA
'96.11.21
36,668
80.5
エンジン
55
ROMANIA
DWAR
'94.11.15
306,120
51
乗用車
エンジン
T/A
100
240
160
CZECH
DW-AVIA
'95.01.13
28,260
50.2
商用車
20
UKRAINE
AvtoZAZ-DW
'98.04.15
300,000
50
乗用車
136
INDIA
DMIL
'94.10.14
146,620
91.6
乗用車
エンジン
T/A
72
240
240
IRAN
KMC
'95.02.22
25,540
49
乗用車
24
EGYPT
DME
'97.05.19
26,765
60
乗用車
24
VIETNAM
VIDMCO
'94.03.02
10,000
65
乗用車
商用車
20
0.5
CHINA
FDAE
'96.08.28
274,800
50
エンジン
T/A
300
300
SDAC
'96.07.30
100,660
75
操向装置
空調器
300
300
GUILIN-DW
'94.08.08
25,000
60
商用車
5
UZBEKISTAN
UZ-DW
'93.03.11
200,000
50
乗用車
160
LIBYA
SAJCO
'99.08.03
15,000
30
乗用車
20
 
15生産法人合計
乗用車
商用車
エンジン
T/A
828
89.5
835
700

■GMと大宇自動車債権団との主要争点妥結内容

 2001年9月、GMは大宇自動車引受に関するMOU(Mmemorandum of understanding:拘束力のない覚書)を締結した。以後本契約にいたるまで7カ月もかかった理由は、いくつかの案件が争点となったためである。

 MOUでは大宇自動車の22販売法人とエジプト、ベトナム生産法人2個等、合計24事業の引受を想定していた。しかし、GM側が偶発債務の可能性を理由にエジプト生産法人と13の販売法人を除外し、GMへの売却海外法人は10に減少した。

 最も大きな争点だった大宇自動車の核心工場である富平工場は、条件付きではあるが早期引受が義務化された。MOUでは、富平工場は当初6年間GMが委託経営した後、引受可否を決定するとしたが、最終合意では、@ 6ヶ月連続2交替体制維持、A 争議時間年平均5日以下、B 生産性年間4%向上、C 一定品質水準維持などの条件を満たす条件で、GMによる早期引受が義務化された。

 大宇自動車の偶発債務は、大宇自動車債権団が2億9,700万ドルをEscrow口座(特別管理口座)に預託して、GMに対して3年間保証する。ただし、3年内に5,000万ドル以上の偶発債務が発生した場合は保証期間を3年間追加延長するとされた。

 労使協約改正については、新会社が引受事業所の雇用をすべて承継し、人員拡充の際には整理解雇者をまず採用することを前提に、GMが要求した労働組合による経営権干渉条項を削除する等の団体協約改正案に大宇自動車の労組が同意した。また、韓国政府は新設法人の自動車特別消費税を3年間平均4〜5ヶ月猶予する租税支援をする。

■GMと大宇債権団の争点妥結内容

 
大宇自動車売却条件
・新設法人が12億ドル相当の優先株を新規発行し、債権団に支給。
・GMと債権団は新設法人にそれぞれ4億ドルと1億9,700万ドルを出資。
買入対象工場
・新設法人が群山工場・昌原工場と、A/S、研究開発組織を資産引受方式で買入。
・海外法人10カ所は持分引き受け方式で買入。
GMに提供する金融支援
・債権団は新設法人に、5年満期で7億5,000万ドルを、年利6%で貸出。
・債権団は新設法人に、10年満期で12億5,000万ドルを、実勢金利で貸出。金利は会社債信用等級BBB+の企業基準(貿易金融5億ドルを含む)。
政府の税金減免
・大宇引受後3年間、新設法人は自動車販売による特別消費税を4〜5ヶ月遅れて納付。
大宇自動車
偶発財務処理問題
・大宇債権団は2億9,700万ドルを委託口座に預置、偶発財務に責任。
・金額が最初3年間5,000万ドルを超えた場合には、偶発債務責任を追加で3年間延長。
富平工場追加引受
・GMが提示した条件(6ヶ月連続2交替完全稼動、GMの年平均損失時間以下に罷業時間を短縮、3年連続4%以上の生産性向上)を満たすと、6年内に新設法人が富平工場を引受。

■GMの大宇自動車引受が韓国の自動車産業におよぼす意味

 韓国の自動車産業の危機は97年の起亜自動車の不渡から始まったが、97年末のIMF経済危機の影響で全ての自動車メーカーが困難に直面することになった。三星自動車、双龍自動車、大宇自動車など、現代自動車を除いた全ての完成車メーカーが相次いで倒産した。

 大宇自動車のGM引受はGMが10年ぶりに韓国市場に再進出するという意味以外にも売却規模が一番大きく、交渉過程が事実上、4年もかかった点から、韓国自動車産業に与える意味は非常に大きい。起亜自動車の場合、98年11月に現代自動車グループが引受し、現代―起亜自動車グループを形成した。三星自動車は2000年4月にフランスのRenaultが引受し、2000年9月にRenault−三星自動車として再出発した。

 一方、92年にGMとの合弁関係を清算した大宇自動車は、98年までは「世界経営」を掲げて、国内外の生産能力を拡張し、国内100万台、海外100万台以上の生産能力を持つ大手メーカーとして量的拡大を図った。この過程で外部資金を過多に引き込んだ大宇は、IMF経済危機突破を目的に98年にGMとの資本提携を含む戦略的提携を図ったが、不調に終わった。資金難に耐えられず、99年8月workout処理された大宇自動車売却のための優先交渉対象にFordが選ばれたが、Fordは2000年9月、引受意向を突然撤回した。

 大宇自動車債権団は2000年10月から、実質的に最後の引き受け可能先とされたGMとの交渉に入り、01年9月債権団とGMがMOUを締結し、今回の最終合意に至るまで、韓国経済にも大きく影響した大宇自動車問題の処理には、4年2ヶ月の期間が所要された。

 GMが大宇自動車を最終引受することで、97年から始まった韓国国内自動車産業の構造調整は一段落し、国家経済は安定化する。大宇自動車は97年には76万台を韓国内生産したが、2001年には39万生産で、移動率は40%以下に低下している。韓国自動車産業だけでなく、主要生産拠点である仁川の経済にも大きな負担だった。

■大宇自動車の主要経営変遷史

 
1972年 6月: GM Korea 設立 (トヨタとの提携を解消した「新進自動車」とGMが折半出資)
1978年 7月: 大宇グループが経営参加 (石油危機後の経営支援で産業銀行が保有していた50%を引受)
1983年 1月: 「大宇自動車」に名称変更
1992年10月: GMと訣別、GM側の持分50%全量引受
1998年 2月: 大宇自動車、GM社と戦略的提携のための意向書交換
1998年 8月: 大宇自動車 workout (韓国政府と債権団による経営再建のための企業構造改善作業)決定
2000年 2月: 大宇構造調整協議会設置、大宇自動車を国際入札(GM、Ford、DC、Fiat、Hyundaiが参加)
2000年 6月: 大宇自動車売却優先交渉対象に Ford 選定
2000年 9月: Ford、大宇自動車引受意向を撤回宣言
2000年10月: GM-Fiat コンソーシアム、大宇自動車引受交渉開始意向書を締結
2000年11月: 大宇自動車が最終不渡(事実上の倒産)、法廷管理開始(会社更生法に相当)
2001年 2月: 大宇自動車整理解雇断行(1,750名)
2001年 5月: GM交渉団、大宇自動車引受提案書提出
2001年 9月: GM、Daewoo自動車引受MOU締結
2001年12月: GM、Daewoo自動車偶発債務問題提起
2002年 4月: GM、債務団本契約締結

 GMはグローバル戦略のレベルから大宇自動車を経営すると予想されている。低コスト―高品質の生産基地としての活用程度によっては、GMのアジア地域の市場シェア目標10%の早期達成と共に、欧州市場、中南米市場における製品戦略強化も可能になると評価されている。これは大宇自動車が軽車、小型、準中型、中型乗用車と小型ミニバン等の広い分野で、既に相当の製品力と価格競争力を持っており、GMとの過去の合弁経験で、技術標準も同じであるため比較的早く全ての部門から統合効果が期待されるからである。また、大宇自動車は、部品分野を中心に、中国とも広範な提携関係を有していることも、GMにとって小さくはない効果をもたらすであろう。

■大宇自動車の韓国内工場現況 (2001年)

 
工場
生産能力
生産
生産車種
人員
備考
ブピョン(富平)
500,000
116,852
ラノス、レガンツァ、マグナス
7,338
研究所、A/S含
クンサン(群山)
320,000
98,934
ヌビラ、レッツォ、大型トラック
2,434
 
チャンウォン(昌原)
240,000
167,046
マティス、ダマス、ラボー
3,208
小型商用車含
プサン(釜山)
6,000
4,239
中大型バス
 
 
合計
1,066,000
387,171
 
12,980
稼働率36.5%
(注) 1.
群山工場の大型トラック生産能力は、年産2万台。

■継承事業の2005年黒字化を計画するGM

 GMは、GMグループとのシナジー効果も織り込んで、継承する大宇事業の2005年の黒字転換を目標にしている。

 大宇の従来の事業枠組みのなかでの経営再建だけでなく、GMグループのなかで、大宇を活用する動きは、既に始まっている。大宇が浸透しきれなかった地域でのGMまたはGMグループのブランドによる新会社モデルの販売が計画され、大宇モデルのプラットフォームやエンジンが、GMモデルに導入される可能性も高まっている。

 また、GMのパートナー会社が引き受ける新会社の24.9%のうち、かなりの部分をスズキが引き受ける方向とされている。(注. スズキは02年6月27日、新会社の14.9%、8,900万ドルを出資することで正式合意したと発表)

■スズキ、大宇自動車事業を継承する新会社に出資検討

 
 スズキは韓国・大宇自動車事業を継承して米国GMが設立する新会社に資本参加する。スズキの出資額は100〜150億円程度、出資比率15%前後。小型車の共同開発や部品の相互供給、自動車販売での相乗効果が得られる見込み。
 スズキは88年に大宇グループだった旧「大宇造船」と技術提携、大宇造船は91〜96年までスズキの「アルト」など軽自動車をベースにした排気量800ccの小型車「Tico」を生産していた。新会社が大宇自動車から継承する昌原工場は、スズキの湖西工場をモデルとした旧大宇造船の工場。
(日本経済新聞 2002.6.19)

■新会社 GM Daewoo Auto & Technology Company の事業展開方向

 
基本戦略
・初期国内市場把握につとめる見通し
・輸出は西ヨーロッパ、オーストラリア等にはDaewooブランドを維持しながら、 その他の地域への輸出はGMブランドを使用して販売
・2005年黒字転換が目標
R&D部門
・GM-Daewoo自動車を、中小型乗用車及び小型RVの開発センターで育成
・GM本社からの技術移転、ブラットフォームの共有推進
製品計画
・小型、中小型および中型級で最少4種類以上のモデル維持。
・2002年上半期: Kalos 発売(5月)、マティス後継
            下半期:J200(ヌビラ後継)、L6マグナス・2000cc (2000ccは02年3月発売)
・2003年、SUV・D15発売
マーケティング
・当分、大宇自動車販売(株)を持続的に活用
・GMが Daewoo Capital を引受するか、直接割賦金融社を設立、金融支援する展望
・米国市場(西欧及びオーストラリアを除く海外市場)にはGMがGM-Daewoo車輌を OEM供給し、GMの販売網を通して販売すると予想される(Chevroletブランド有力)

■交渉合意後のGMをめぐる韓国内報道

 
■韓国から早期撤退できないGM
(韓国)産業銀行の李成根理事が、5月1日に締結された大宇自動車売却の本契約に関し「GMが買収代金12億ドルを15年間の分割で支払うという項目は、その期間内には新会社を売却できないことを意味する」と言明。GMは2017年まで韓国から撤退せず、大宇自動車のモデルを継続して生産することになり、一部で懸念されていた早期撤退や大宇を単純な下請工場として使う可能性は低くなった。李理事はまた、「大宇自の富平・群山・昌原工場にある合計5つの生産ラインのうち、1つだけ新規交代が可能という項目でもGMと合意した」とし、残る4ラインは当分の間、大宇自動車モデルの生産ラインとして維持されることを明らかにした。
■GM、大宇自動車の新型横置きアルミエンジン「L6」に高い評価
大宇自動車が02年3月発売した「L6 Magnus」に搭載した、新型の全アルミ直列6気筒2000cc横置きエンジンが、米国GMの中型車に搭載される可能性が高まっている(2500ccも追加される)。大宇自動車関係者によれば「GMは先月締結した本契約を通じ、L6エンジンに関するすべての権利も買収した」。John F. Smith, Jr. GM会長も、交渉合意の発表時に「新会社の製品には、Magnus Eagle と L6 Magnus が含まれる」ことを明言した。L6 Magnus とエンジンの生産工場は、交渉の争点となった富平工場である。
■GM、大宇自動車の新型モデル・プラットフォームを海外拠点に展開
GMは、02年10月から群山工場で生産予定の「ヌビラ」後継モデルの「J−200」を、GMの上海工場で共同生産する計画。また、「マティス」と「Kalos (大宇自動車が02年5月新発売した1500ccの、multipurpose, cross-functional モデル。1200ccモデルも追加予定)」の、ブラジル、メキシコ工場での生産を検討している。このほか、富平工場の「Magnus」のプラットフォームをベースに、西欧向けSUV新モデルの開発も検討中。
■GMAC、韓国での営業を02年後半に開始
GMの金融部門子会社で、世界最大の自動車ローン会社「GMAC (GM Acceptance Corporation)」が、韓国市場に進出、02年後半から営業を開始する見通し。既に02年2月から市場調査も開始していた。
■GM、韓国製車部品の米国輸入拡大へ
GMの購買担当役員が、6月3日ソウルでの記者会見で「この2週間で約60の部品メーカーを訪問し、26件・6億5,000万米ドルの見積もり依頼をした。韓国から米国の部品輸入は、今後ますます増加していくだろう」との見通しを明らかにした。GMの2001年の韓国での部品購入規模は約1億ドル。
資料:2002年5〜6月の「韓国経済新聞」、その他

■GM・大宇・大宇債権者による新会社設立の基本合意

 
2002年4月30日、GM、大宇自動車、大宇自動車債権者(creditors)委員会の代理である韓国開発銀行は、新自動車会社(名称未定)設立の最終的な合意を結んだ。 新会社は年商約50億ドル(約6兆5,000億ウォン、01年実績は4兆5,830億ウォン)と見込まれ、大宇自動車の事業から選ばれた韓国内外の資産・事業を所有・運営する。
・新会社はGMとその提携会社から4億ドル、債権者から1億9700万ドルの出資によって資本化され、株式所有はそれぞれ67%、33%とする。
・GMは新会社の42.1%にあたる2億5100万ドルを出資し、大宇債権者は33%の株式を保有する。いくつかのGMパートナー会社が残りの24.9%の株式を保有する。 (01年9月のMOUでは「GMが最大株主となるが、所有の割合は50%以下とし、GMのいくつかの提携会社との合計で、67%になるものとする」とされていた)
■最終合意の基本枠組みは以下。
・いくつかの大宇自動車事業の資産を新会社に提供する債権者に対し、見返りとして、額面12億ドル、年平均クーポン率3.5%の長期償還可能な優先株を発行する。
・新会社に寄付される資産は、韓国の昌原(Changwon)・群山(Kunsan)と、ベトナム・ハノイの3つの生産プラント。およびオーストリア、ベネルクス、フランス、ドイツ、イタリア、プエルトリコ、スペイン、スイスの販売子会社と、オランダにある大宇欧州部品事業からなる9つの海外子会社を含む。 (01年9月のMOUでは「Changwon、Kunsan の国内生産プラントと、22の海外販売子会社と、エジプト、ベトナムの生産施設も含まれる」とされていた)
・韓国・富平(Bupyong)工場は操業を続け、最低半年間は新会社に車両・エンジン・トランスミッション・部品の提供を続ける。合意は、新会社による今後6年以内の富平工場買収の可能性を認めている。
・新会社は韓国、子会社が買収された国、および独立ディーラーの存在する国では、これまで同様大宇ブランドの使用を継続する。それに加えて、新会社の製品はメキシコのような新たな市場へも進出し、既存のGMもしくはGM傘下ブランドを使用する。最終的なブランドや販売計画は現在調整中で、取引終了後に公表される。
・新会社は通常の事業債務(primarily operating liabilities)5億7300万ドルも継承する。
(01年9月のMOUによれば「退職金(severance)、保証書(warranty)、サプライヤー義務(supplier obligations)」等。MOUに明記されていた「海外子会社の既存の債務からなる約3億2000万ドルの負債の継承」は削除された)
・新会社はまた、買収資産に関連した3億8500万ドル相当の在庫(inventories)も継承する。
・長期につぎ込まれた20億ドルの working capital facilities が韓国債権者により新会社に提供される。
・新会社に含まれない大宇自動車の海外生産施設のいくつかには、暫くの間、新会社から部品や技術支援を続ける。
・西欧の多くの販売子会社は新会社に買収される。英国では、販売子会社は買収されず、新たな販売会社を設立する見込み。独立輸入元が管理してきた他の欧州市場における販売基盤は見直される。新会社は、欧州事業センターを設立し、欧州における事業を支持し、コーディネートすると予定されている。
・新会社の社長兼CEOには Nick Reilly が就任する。
・韓国における雇用率は現在のレベルが保たれると予測される。
・最終合意に含まれないその他の施設、子会社、ベンチャー、負債は大宇自動車が責任を持つ。

■韓国自動車産業の構造改革効果への期待

■早期回復が見込まれている国内市場シェア

 韓国乗用車市場で、大宇自動車と起亜自動車は2位の座を、激しく争ってきたが、97年には起亜の経営破綻と軽自動車ブームで大宇のシェアが30%を越えた。98年には33.2%と現代自動車の39.9%にも近付いた。しかし、99年8月の大宇自動車のworkout以後、シェアは急落、2000年は21.0%、01年14.29%、2002年1〜4月は11.2%に低下している。

 大宇のシェア急落は98年のworkout開始、00年末の不渡、従業員大量解雇等によって、イメージが低下し、生産と販売活動に蹉跌も生じたためである。経営体制が確立し、生産と販売が正常化されれば、過去の正常状態でのシェアである25%水準までは早期に回復すると予想されている。富平工場に代表される老朽設備の更新と、新モデル投入等積極性を見せれば、長期的にはそれ以上のシェア伸長も期待できる。

 また、GMは大宇自動車販売(株)と総販売契約を結んだが、独占権は与えていない。GMはディーラー体制構築や販売金融会社設立など、先進的販売体制を導入すると予想され、韓国の自動車販売体制にも一大変化が避けられない。

■韓国乗用車市場シェアの推移

(%、1000台)
 
92年
93年
94年
95年
96年
97年
98年
99年
00年
01年
02年
現代自動車
49.4
46.3
49.5
51.9
49.9
45.5
39.2
39.9
40.3
44.7
44.8
起亜自動車
26.5
27.9
22.6
25.4
25.4
21.0
16.6
26.7
28.8
25.7
24.4
大宇自動車
22.2
24.3
25.0
20.5
22.5
30.3
33.2
25.7
21.0
14.2
11.2
双龍自動車
1.9
1.5
2.9
2.2
2.2
3.1
3.7
6.9
7.4
8.8
11.2
Renault-三星
 
 
 
 
 
 
7.3
0.7
2.5
6.6
8.4
合計
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
販売台数
876
1,037
1,140
1,149
1,239
1,151
568
911
1,058
1,065
399
資料:韓国自動車工業会(KAMA)。.2002年は1〜4月。

■さらに促進される、部品産業の構造改革

 GMの大宇自動車引受で部品産業の構造調整もより早く進行されると予想されている。韓国自動車部品メーカーは完成車メーカー別に構造化され、従業員50名以下の中小企業が40%以上で、財務構造が脆弱のために研究開発投資できる部品メーカーが限られるという構造的問題点を持っている。

 既存の大宇自動車系列の部品メーカーの中で、性能と品質に優れた部品メーカーのGMへの納品機会はグローバルに拡大されるが、競争力のない企業の淘汰は避けられない。既に、大宇自動車に納品していた400社の1次部品メーカーの一部が、大宇自動車の不渡によって倒産したが、これを機に、韓国全体自動車部品産業の構造調整が一段と促進されるであろう。

 海外部品メーカーのM&Aによる韓国進出も増加が見込まれている。現在韓国国内にはDelphi、Visteon、Siemense、Valeo、TRW等の先進部品メーカーが進出しているが、海外部品メーカーの韓国進出は部品技術の水準向上、取引関係の変化、輸出増大等に大きな効果をもたらすだろう。

■時点別・海外部品メーカーの韓国進出件数

 
 
1970〜79年
1980〜90年
1990〜96年
1997〜01年
01年6月現在
日本企業
16
32
29
16
93 (47.0%)
米国企業
1
16
13
16
43 (21.7%)
ドイツ企業
0
6
11
6
23 (11.6%)
その他
1
3
8
27
39 (19.7%)
合計
18
54
61
65
198 (100%)

■主要海外部品メーカーの韓国投資

 
 
韓国内投資先企業
Delphi
米国
Daewoo機電、Daewoo精密、ソンウ、Delco、韓国電装
Visteon
米国
HCC、徳洋産業
Bosch
ドイツ
Doowon精工、ケピコ、モスト
Siemense
ドイツ
韓国EMS、Siemense Automotive
Valeo
フランス
マンド機械、キョンジュ工場、平和バレオー
TRW
米国
韓国TRW、信韓バルブ工業
ゼクセル
日本
大韓空調

■「価格」偏重の競争力からの脱皮

 これまでの韓国国内市場では、価格が最も大きな競争ポイントだった。これからは、製品の魅力と品質の競争の側面が増していくことになるだろう。

 IMF経済危機からの経済回復過程で、現代と起亜自動車は市場回復を独占的に享受して、過去最高の業績となるなかで、技術開発部門を統合し、技術開発投資を大幅に拡充してきた。その結果、米国市場での韓国の伸長に示されているように、韓国車の性能と品質が急速に向上していると評価されている。

 GMは大宇のR&Dセンターを継承し、これを強化する方針だ。現代と起亜も技術開発体制をさらに強化することになる。結果的に、積年の課題だった韓国自動車産業の技術向上がもたらされ、一段階上の自動車産業国家にステップアップする展望が開かれるだろう。

■GMが継承しない富平工場と、その他事業も正常化見込み

 GMによる継承対象から除外された大宇の関連部門と双龍自動車処理問題は比較的順調に解決される見込みである。富平工場は引受対象から抜けたが、今後6年間はGM―Gaewoo車を受託生産し、6ヶ月連続2交替体制維持、争議時間年平均5日以下、生産性年間4%向上、一定品質水準維持、の4条件を満たすと、6年以内に新会社が引受する。GMが富平工場を引受することになるとする見解が支配的だ。そうなれば、敵対的労使関係ではなく、先進化した労使関係に変化することでもあり、韓国労使関係の新しい改革にもつながる。

 釜山バス工場は黒字事業で,国内で引受見込みがあり、無難に正常化されるだろう。その他海外生産法人及び販売法人は大宇自動車の残存法人の傘下に入り、債権団の責任によって、できるだけ売却、または清算の手続きをする予定。このうち、インドの生産法人については、GMが優先買受権を持っており、実績がよくなれば、GMが追加引受すると見込まれている。

■大宇自動車バス事業は、「ヨンアン帽子(釜山)」が買収

 
  大宇自動車債権団によれば、帽子製造大手の「ヨンアン帽子」が大宇自動車のバス事業(韓国・釜山バス工場と中国・桂林バス工場の株式49%)を買収する見通し。02年6月中に、バス事業売却に関する覚書を締結し、9月までに新設法人が設立される予定。売却価格は1,400億ウォン程度と見込まれている。
  ヨンアン帽子は、世界の帽子市場で40%のシェアをち、94年に自動車事業に参入。コスタリカでベンツのバスを製造するMAUCO社を買収、自社ブランドのバスや冷凍トラックを生産、中南米6カ国に輸出している。99年には、韓国で中古車の大規模流通団地を開設している。
  大宇自動車の釜山バス工場は、年産能力6,000台で、韓国内シェアは約50%。中国のバス工場は、大宇自動車と中国桂林自動車グループが94年に合弁設立した桂林大宇客車有限公司で、95年から大型バスを生産・販売している。02年4月には、大宇自動車と大型トラックを共同生産する覚書に調印したことも発表されている。
資料:「韓国経済新聞」、その他

■国際入札対象だが、業績急回復のSUVメーカー双龍自動車

 
  韓国のIMF危機で経営困難に陥ったSUVメーカーの双龍自動車は、1998年、双龍グループから大宇グループに売却譲渡された。しかし、大宇グループの構造調整計画(韓国政府主導の5大財閥の構造調整計画の一環)等によって、2000年に、大宇グループから分離された。   2000年11月には、韓国政府によるworkout対象企業の処理方針のなかで、大宇自動車と同じく、売却対象企業に指定され(三星自動車は清算対象に指定)、現在、国際入札による売却作業が進行中である。なお、有力な買収候補とみられていたRenault-三星自動車は、02年4月に買収意思のないことを正式表明している。
  双龍自動車の業績は急回復中である。2001年8月、「コランドー」と「ムッソ」で培った4輪駆動SUVの本家再建を目指す、高級SUV「レクストン」を新発売した。年間で、国内販売6万台販売、輸出2万台の計画。双龍自動車の新モデルは、97年の高級リムジン「チェアマン(旧型EクラスのMercedes W124ベース)」以来、4年ぶり。
  2001年決算は売上高が31%増加して、10年ぶりの黒字決算となった(販売台数125,440台、売上高2兆3267億ウオン、純利益152億ウオン。00年純利益は9,723億ウオンの赤字)。2002年1〜3月も、販売台数38,263台、売上高7,933億ウオン、純利益418億ウオンで、過去最高の業績。2002年の業績目標は、売上高3兆ウオン、純利益1,350億ウオンである。
  また、02年5月には、11人乗りのクロスオーバー型MPVの開発(04年発売予定)、コモンレール式新型ディーゼルエンジン開発、中国合弁生産の検討、等を骨子とする中長期経営ビジョンを発表している。
資料:「韓国経済新聞」、その他

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