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新モデル投入で多様化が進むインドの自動車市場 |
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2001年度のインド経済は、2000年度からの景気低迷によって資本財・中間財の生産が落ち込んでおり、回復の兆しが見えない。最近になって国家中央統計局は2000年度の実質経済成長率を5.2%から4%に下方修正し、景気低迷が深刻であったことも明るみに出た。 この景気低迷によって自動車需要も減退し、販売が伸び悩んでいる。乗用車市場(多目的車を含む)の2000年度の販売台数は前年度比7.5%減の59万台であったが、2001年4月〜2002年1月の乗用車販売も45万台と前年同期比1.8%減であった。 市場が拡大しないなかで、小型のAセグメントを独占し、インド自動車産業のマーケットリーダーでもあるMaruti Udyogは、成長しているBセグメントへアルト、Toyota Kirloskarが新需要を発掘した多目的車セグメントにヴァーサを投入するなどして、6割のシェアを維持している。 これに対し、他メーカーは、FiatがBセグメントにパリオ、GMがCセグメントにスィングを投入したほか、インドではほとんど皆無だったDセグメントにHondaがアコード、Hyundaiがソナタ、Fordがモンデオを投入するなど、積極的な新車投入を行っている。 しかし、景気低迷による市場の冷え込みのため、各メーカーとも販売が伸び悩み、自動車金利の引き下げやプレゼントなどによって販売促進をはかる一方、国産化率の向上、事業再編によるコスト削減などを行っている。また、Ford Indiaは低迷する国内販売を相殺すべく、メキシコ向けを中心にアイコンの輸出を強化して対応している。
■インドの主要乗用車メーカーの最近動向
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■市場の6割超から30%にウェイト低下した小型Aセグメント インドの自動車産業は、1980年代前半に設立されたMaruti Udyog(スズキとインド政府の合弁会社)によって、国民車として投入されたマルチ800(800cc)が代表するAセグメントが長い間主流であった。 しかし、99年にHyundaiサントロ(1000cc)、テルコインディカ(1400cc)、Daewooマチス、さらに2001年末にはFiatパリオ(1200cc/1600cc)がBセグメント(30万〜45万ルピー)に投入された。これにより、Bセグメントが全体に占める割合は96年の9%から2001年(4−11月)には43%となり(推定)、Aセグメントを抜いて最大市場となった。 Aセグメントはエントリーレベルとして現在でも大きな市場であるが、Bセグメントの拡大は、自由化以降参入した外資系メーカーがマーケットリーダーのMaruti Udyogとの競合を避けつつ、同じく小型でエントリーレベルのBセグメントを狙った戦略の結果であると言えよう。これに対し、Maruti Udyogは今後の生産の車台を1,000cc、1,300cc、および1,600ccの3種に絞っていくことで対応する構えである。 ■急速に変化するインド乗用車市場のセグメント構成(1996・1998・2001年度)![]() ■2000年はCセグメント、2001年はDセグメント中心に、活発化した高級車投入 2000年になると、各社のモデル投入はCセグメント (45万〜100万ルピー)に移った。2000年はFordアイコン、Hyundaiアクセント、Hondaシティ、Mitsubishiランサーなどが投入され、Cセグメントは前年度比60%拡大した。しかし、このCセグメント、特に上級車種(65万〜100万ルピー。Opelアストラ、Mitsubishiランサー、Hondaシティ、マルチバレノなど)のシェアは、2001年度に相次いで投入されたDセグメント(100万〜200万ルピー)のモデルによって早くも侵食されている。 2001年にDセグメントに投入されたのは、Benz Cクラス、Hyundaiソナタ、Hondaアコード、Fordモンデオなど。自動車販売低迷にもかかわらずDセグメントへの新車投入が相次いだのは、市場として未開拓の高級車部門が新たな成長分野として注目されているためだ。しかし、高級車市場の規模そのものは小さく、多くの利益を見込めないため、各メーカーは投資の少ないCBU輸入を中心に行っている。 高関税にも関わらず、これらモデルをCBUで輸入しようとするのは、2001年度に適用範囲が拡大された減価償却の恩典(企業は購入した乗用車を毎年20%ずつ減価償却できる)が影響している。これらのこともあって、メーカーは、現在のDセグメントの市場規模については大きな期待をもっておらず、長期的な効果を狙って、ブランドイメージをアップさせる手段とみているようだ。 このように新モデル投入の中心は、BからC、CからDセグメントに移ってきたが、2002年はSUVの新モデル投入が活発化すると見込まれている。 ■2001年度に高級Dセグメントへ投入された主なモデルと各社の販売目標
Dセグメントへの高級車投入が一段落したところで、2002年度に向け、各メーカーの関心はSUVの投入に向いている。各メーカーが予定しているモデルは以下の通り。
■インド乗用車市場の主要モデルの分布状況 (2001年4〜12月) ![]()
■2005年からEuroU、2010年までにEuroV規制を、インド全土に導入方針 自動車関係の最近の政策動向では、自動車燃料政策案が閣議了承され、政府方針となった。同案は、@現在デリー、コルカタ、チェンナイ、ムンバイの4都市で実施されているバーラットU(EuroUと同基準)を2003年末以前にバンガロール、ハイデラバード、アーメダバードの3都市にも導入する、A2005年4月1日からはインド全国で実施する、BEuroU先行実施の上記7都市については、2005年4月1日からEuroVと同レベル規制を導入、C2010年までにはインド全域にユーロVを実施する、ことを骨子としている。 さらに、同案の実施において必要な石油精製の施設改善などに約3500億ルピー、自動車産業の技術改良のために2,500億ルピー、合計約6,000億ルピーの投資を行い、それに伴う財政優遇措置を検討することになった。新燃料政策を実施し、ヨーロッパなみの環境規制が導入されれば、基準に準拠したインド製自動車のヨーロッパ輸出が容易になることも意味する。 問題は実施の方法である。現在、最高裁の決定により、デリー首都圏の公共輸送を2002年1月31日までにすべてCNGに変換することが義務付けられているが、CNG供給体制の不備によって給油に長い行列ができ、社会問題となったことは記憶に新しい(期限は延期された)。燃料政策においては、インフラ整備を伴わずしてうまく軌道には乗らない。また、CNG供給における安全性も疑問視されている。インド政府は、CNG単一の燃料使用ではなく、複数の燃料を認めるよう最高裁に再考を求める方針である。 ■インド新自動車政策も閣議承認待ち国産化と輸出の義務を定めたインドのMOU制度はWTOの紛争処理委員会(パネル)によってWTO協定違反と裁定されている。インド側は上訴をしないで、WTO提訴した米国/EUと、パネル裁定を実行する時間的枠組み設定の協議に入る見込みである。 WTO提訴は、2000年に遡る。欧米がインドとの2国間協議では解決されなかったことから、WTOに提訴し、同年11月にパネルが設置された。インド政府は、問題の投資条件は2001年4月1日付けで量的規制の撤廃と同時に廃止したとしているが、欧米政府はパネルを通しMOUに署名しているメーカーに対しては、政府は残存している義務の遂行を強要しているとして、その撤回を求めていた。 紛争はインド政府が課す以下4つの義務に係わっている。 以上の条件は部品の輸入を事前許可条件とし、そのための政府との覚書(MOU)の中に明記されているが、これはガット第3条、第11条および貿易関連投資協定(TRIMS)に違反している。ただし、ガット第18条Bで国際収支上問題ある国には適用されないことになっている。 今回の報告書はパネルの最終的な意見であり、インド側が同内容について上訴しなければ、この決定はWTOで1月に正式採用され、インドは要求に応じなければならなくなるが、これまで政府としては市場が低迷していることもあり、輸出義務未達の部分については、柔軟な対応を取ってきていた。一時は200億ルピーあった輸出義務も、すでに120億ルピーが消化されており、残りはホンダ・シエル・カーズ・インディアなど僅かな企業に輸出義務が残っているが、これらも設定された期限内には輸出が完了するとしている。中には現代インディアのように最初から高度の国産化を達成している企業はMOUを結んでいない例もある。このような状況に鑑み、また中国のWTO加盟ともあいまって、インド政府は上訴なしの決定をしたものと思われる。 こうした背景もあって、2002年の早い時点で、一層の自由化を骨子とする新自動車政策が発表される見込みであり、原案は既に閣議了承待ちとされている。同案については、盛り込まれる内容について紆余曲折経て、このたび閣僚承認までこぎつけた。新たな項目としては、結局、すでに排ガス規制、中古車輸入については実施済みであることから、自動車燃料政策、廃車制度、輸出促進機構の設置などが盛り込まれると見込まれている。 インド政府は現在策定中の第10次五ヵ年計画でも、自動車の排ガス、安全装置などのR&Dとテスト機関の近代化に75億ルピーの投資を行う計画。また、VAT税の導入や労働法の改正なども早急に実行すべく検討中である。 ただし、インドの自動車産業界には自由化推進の背後に産業保護の観点から意見不一致も残っている。2月末発表予定のインドの2002年度予算案に向けたインド自動車工業会SIAMの要望は、@乗用車とMUV車の物品税を現行の32%から16%へ引き下げ、A商用車の新車と中古車の関税を他の自動車の水準に引き上げ(それぞれ105%、60%へ。しかし、WTOの規定では商用車の最高関税率は40%となっている)、BCBU以外の自動車部品の関税を現行の35%から30%へ引き下げ、等を求めている。また、自動車関連政策については、インド国内での付加価値の拡大、R&Dの奨励、税の累積効果の是正、その他諸手続きの問題点の改善を指摘。VAT税制の導入についても、原案のままでの導入では自動車産業の重層構造、州間の取引に支障がでるとして反対の意思表示をした。この他に車体製造に対する統一物品税の導入、救急車の物品税の引き下げ、電気自動車およびCNG変換装置用原材料の関税の引き下げを提案している。 一方、インド部品工業会ACMAは、自動車部品に対する輸入関税を現行のまま3年間据え置くことを要望した。これは引き下げを求めるSIAMの要望とは相反するものだ。現行の部品に対する関税率は基礎関税35%、追加関税を含めると40%に上る。WTOの規定した関税率幅では、部品に関しては40%まで課税できることになっている。数量規制撤廃後は、国内の付加価値を向上させるインセンティブは唯一関税率のみとなる。関税据え置きによって外国部品の輸入を抑制し、国内生産向上を図りたいというのがACMAの狙いである。
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