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ブラジルの自動車産業は、1998〜99年の急激な市場縮小から回復しつつある。1997年には194万台に達した国内市場の成長可能性と、南米各国への供給拠点としての、従来からある重要性に加えて、より広い地域への低コスト小型車の供給拠点としの可能性も高まりつつある。自動車メーカー、部品メーカーともに、1990年代後半に欧米系の浸透が急進展したが、日本の自動車産業も対応を強化しつつある。 しかし、ブラジル通貨安に加えて、メルコスールの新自動車協定では自動車部品の域外輸入関税の引き上げが予定されており、競争力確保には、部品の現地生産化が欠かせない状況となってきている。 ■生産能力は300万台、2000年生産は167万台 ブラジルの2000年の自動車生産は167万台であった。生産能力は300万台に達しているため、稼働率は低いが、なお、自動車メーカーの生産能力拡張が計画され、部品メーカーの拠点展開の動きも引き続いている。計画規模は小さいが、日本の自動車各社も新たな生産展開計画を発表している。 2000年のブラジルの新車市場は148万台だったが、1997年には194万台を記録していることに示される市場の成長可能性と、アルゼンチンの経済状況悪化による自動車産業の弱体化によって南米への供給拠点としての役割が更に強まっていること、これまでアルゼンチンを中心とする南米が中心だった自動車輸出が、メキシコや欧州向けにも増加し始め、より広範な地域への供給拠点としての可能性も高まっていること、長期的には、米州自由貿易構想が動き始めていることなどが背景である。 供給拠点としての可能性を高めている要因のひとつには、政策誘導によって、ブラジル市場の7割が、欧州市場における環境規制対応に不可欠とされている1000c.c.エンジン車で構成されていることも挙げられる。また、自動車部品メーカーの新拠点展開が続いていることには、欧米自動車メーカーの最近年の新工場(計画)のほとんどが、工場敷地内あるいは隣接地にサプライヤーパークを有するモジュール工場であることも背景となっている。 |
| ■ブラジルの生産・国内販売・輸出・輸入台数 | ||||||||||||||||||||
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| 資料:ブラジル自動車工業会(ANFAVEA) | |||
| (注) | 1. | 輸入は輸入車販売台数。 | |
| ■ブラジルの仕向地別輸出台数 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(台) |
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| 資料:ブラジル自動車工業会(ANFAVEA) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ■国別輸入車販売 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 資料:ブラジル自動車工業会(ANFAVEA) |
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| ■1999年1月のレアル大幅切り下げ 自動車部品メーカーのブラジル拠点展開が続いている背景として、ブラジル通貨の大幅切り下げにより、競争力確保には現地生産が必要となっていることも挙げられる。ちなみに、トヨタ、ホンダが生産能力拡充と併せて計画している部品の現地調達率8割への引き上げは、南米市場のBig4であるGM、Ford、VW、Fiatの現地生産と同水準の現地調達率を意味する(Renaul工場での生産を開始する日産も生産開始当初から65%程度の高い調達率を計画している)。 |
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| ■レアル引き下げの経緯と現況 1960年代末から70年代前半にかけての、「ブラジルの奇跡」と称された経済成長に続いて、石油危機後の70年代も安定成長を続けたブラジルも、80年代は累積債務危機と物価上昇によって「失われた時代」となった。1993年のレアル・(経済改革)プラン発表に至って、財政赤字削減と米ドルにペッグした新通貨レアルが導入され、インフレが鎮静化、行財政改革、国営企業の民営化、外資企業の新規参入容認等の経済開放が推進され、ブラジルの自動車産業も生産、国内販売が急拡大した。 しかし、1998年のロシア危機を契機にブラジルからの資本流出が急増、レアル危機に陥り、1999年初に変動相場制に移行、実質的に通貨を40%切り下げた。通貨防衛のための高金利政策で金融危機は回避されたが、経済状況は悪化、1998〜99年の自動車市場は急激に縮小した。 1999年には輸出が増加するとともに、直接投資が流入回帰した。通貨切り下げによる輸出競争力の改善に加えて、中長期的成長が見込まれている南米市場への供給拠点としての魅力が大きいブラジル企業の、ドルベースでの市場価値が低下、自動車部品メーカー等に対する海外からの企業買収が大幅増加するなどして、輸出と設備投資主導の景気回復過程に入っている。 |
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| ■自動車部品産業の稼働率は回復の動き ブラジルの自動車部品産業の状況をみると、1997〜98年に設備投資が大幅増加したこともあって(自動車メーカーの生産能力拡張が1998〜2000年に集中した)、自動車メーカーと同様、設備稼働率は1999年には65%の低さとなった。しかし、2000年には、207万台を生産した1997年と同水準の75%に回復している。 |
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| ■ブラジルの自動車部品産業の経営指標概略 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 資料:ブラジル自動車部品工業会(SINDIPECAS) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (注) 1.2000年は実績見込み。集計対象はSINDIPECAS会員部品メーカーで、2000年は468社。 |
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| ■欧米資本系が浸透する部品産業 ブラジルは、VW、GM、Ford が1950年代に生産を開始、Fiatも1970年代に生産を開始した。現在のブラジル自動車部品工業会(SINDIPECAS)の会員には、この時期に設立された企業が数多い。しかし、1990年代後半に企業構成が大きく変化した。 SINDIPECAS会員企業数は2000年で468社であるが、1991年も461社で大きな変化はない。しかし、1990年以降の設立企業が89社に達し、最近の10年間で企業の入退出が数多くあったことを示している。また、従業員数規模の分布でみると、従業員数1000人超の部品メーカーは1991年には63社であったが、2000年は34社に激減している。増加したのは125人以下の企業で、1991年の121社が、2000年は192社に増加している。 資本構成の変化をみても、1994年には、まだブラジル資本が過半を占めていたが、2000年時点では1/4強に低下し、米国とドイツを中心とする外国資本が3/4弱に達している。企業数では、まだブラジル資本系が6割を占めているが、資本の変化状況と関連付けると、1993年以降のレアル・プラン政策のもとで、政策規模の大きい部品メーカーとして残った多くが、欧米資本系に形態変化したことを窺わせる動きである。 なお、認証の取得状況は、ISO9000で400社、QS9000で300社を超えるなど品質認証取得率は高水準であり(調査対象は468社)、環境認証取得企業も急激に増加しつつある。 |
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| ■ブラジルの自動車部品産業の企業概要 |
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| 資料:ブラジル自動車部品工業会(SINDIPECAS) | ||||||||||||||||||||||||||
| (注) 集計対象はSINDIPECAS会員企業。 2000年は468社。 |
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| ■部品輸出入は、米国・メキシコに対しても輸出超過 ブラジルの国別自動車部品輸出入をみると、アルゼンチン、チリ、ベネズエラなど、南米各国に対しての部品輸出額が部品輸入額を上回っているが、米国とメキシコに対しても、部品輸出額が輸入額を上回っている。労働コストは概ね米国の1/7と言われており、北米メーカーのブラジル拠点はGM56万台、Ford47万台、VW80万台に達し、生産モデルも最新モデル化しつつある。こうした条件で生産されるブラジル製部品が、自動車先進地域への輸出を拡大し、あるいはGMが中国生産のモデル刷新にあたりブラジルからのCKD供給を開始したように、小規模・中規模の新興国事業にブラジルからの部品供給が組み込まれていく可能性は十分にある。 →【品目別部品輸入額表】 【品目別部品輸出額表】 (PDF形式:Adobe Acrobat Readerが必要です) |
| ■ブラジルの自動車部品国別輸出入額 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1000米ドル) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 資料:ブラジル部品工業会(SINDIPECAS) (注) 1.輸出の総合計は158カ国、輸入の合計は100カ国。 |
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| ■関税率引き上げとなるメルコスールへの域外部品輸入 ブラジルはメルコスールの中心国であるが、2001年1月に発効したメルコスール加 盟国間の新自動車協定によれば、自動車部品の域外関税は2006年にかけて段階的に 5%前後の幅で引き上げとなる。ブラジル通貨安に加えて、競争力確保のためには、部品輸入から現地生産に転換する必要性がさらに高まったことになる。 |
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| ■メルコスール加盟国間の新自動車協定の骨子(2001年1月発効の新自動車協定) メルコスールは、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国による、財・サービス・労働の域内自由市場創設を目標に、1995年1月1日に発足した。域内関税は原則廃止、対外共通関税は全品目の約85%について0〜20%の税率(平均で14%)で、残り15%の品目は留保品目とされている。域内原産としてみなされる現地調達率は原則60%である。 自動車関係についての加盟4ヶ国間の関係は、メルコスール協定のなかで自動車協定が定められている。ブラジル/アルゼンチンの関係については、FOBドルベースでの輸出入額相殺方式が定められている。1999年のブラジル通貨レアルの大幅切り下げによってアルゼンチンの競争力が失われたため、メルコスール協定そのものの意義も問題となっているが、以下は、2001年1月発効の新自動車協定の概略である(パラグアイは自動車生産国ではないため関係部分を割愛)。ブラジル/アルゼンチン間の自動車協定は2005年末で終了、2006年以降は原則自由化の方向だが流動的とみられている。 ■ブラジル ・乗用車・バス・トラック・自走道路機械・エンジン付シャシー・トレーラー・車体の域外共通関税は35% ・自動車部品の域外共通関税は、2001年の9.9%・12.3%・12.7%を、2006年末までに14%・16%・18%に、段階的に引き上げる(3段階の関税率はメルコスールの品目3分類に対応する)。 ・ウルグアイからの輸入関税0%適用には、完成車について2001年1.6万台〜2006年6万台の台数枠、同じく部品について2001年4000万ドル〜2006年6500万ドルの金額枠がある。 ■アルゼンチン ・乗用車の域外共通関税は35%。バス・トラック・自走道路機械・エンジン付シャシー・トレーラーの共通 域外関税は現行の20.8%と26.7%を、2006年末までに35%に引き上げる。 ・自動車部品の域外共通関税は、2001年の8.2%・9.3%・10.5%を、2006年末までに14%・16%・18%に、段階的に引き上げる。 ・ウルグアイからの輸入関税0%適用には、完成車について2001年1.8万台〜2006年2万台の台数枠、同じく部品について2001年4500万ドル〜2006年6000万ドルの金額枠がある。 ■ウルグアイ ・乗用車の域外共通関税は23%。バス・トラック・自走道路機械・エンジン付シャシー・トレーラーの共通域外関税は現行の9%と14%を、2006年末までに20%に引き上げる。 農業用以外のトレーラー・セミトレーラーについては域外共通関税14%。 ・自動車部品の域外共通関税は2%。 ・ブラジルからの0%関税乗用車輸入枠が2001年4000台〜2006年2万台、同じくアルゼンチンからの乗用車輸入枠が2001年6000台〜2006年8000台。部品については、ブラジル、アルゼンチンからのメルコスール原産部品の輸入関税は0%で、輸入制限枠はない。 ■ブラジルとアルゼンチン間の輸出入 ・自動車関連の関税は0%。ただし、2001年から2005年までの期間、3ヶ月ごとに、両国の自動車企業により提出された生産計画指標をベースに、自動車製品全体の輸出入を企業単位でモニターする。 FOBドル価格での両国間の輸出入相殺義務は従来の1:1ではなく、2001〜2003年の間、特定の輸出係数を設ける。輸出係数とは、各年ごとに定められた最大輸出と最低輸入(輸出入額相殺の許容範囲拡大=2001年が5.0%、2002年が7.5%、2003年は10.0%とし、2004〜2005年も2003年を下回らない10%以上とする=によって定められる最大輸出と、最大輸出した場合の最低輸入義務)との関係で、以下。 この輸出係数が輸出入額相殺の許容範囲となる(2001年は、105を輸出しても95を輸入すれば、輸出入額相殺条件をクリア)。 許容範囲を超えたインバランスには、基本関税率(=域外関税率)の70〜75%をペナルティ課税する。
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| ■日本の自動車各社にも具体的な動き トヨタのカローラの生産拡大を軸とする中南米での事業強化策発表(2000年9月:ブラジルのカローラ生産能力を2002年までに3倍の4.5万台に拡充、域内部品調達率を現行6割から8割に引き上げ等)、ホンダの南米本部創設(2000年4月・世界5極体制化)とブラジル生産能力の2003年4万台への拡充(現行3万台)、日産の2005年までの5車種生産開始(メルコスル域内・生産はRenault工場)、GMとの連携強化によるスズキの南米生産拡充、三菱自工によるダイムラーのブラジル工場での共同生産の検討など、日本の自動車メーカーもブラジルおよび南米市場への対応を始めつつある。日系部品メーカーにも、既に関連した動きが生じてきている。 |
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| ■ブラジルに関連する日本の部品メーカーの最近動向(国内各紙報道より) | |||||||||||||||||||||||||||
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